チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

パンの耳

2014年04月14日 | 日々のこと

曇、22度、89%

 プラスチックで出来たパンケース、食パンを保存しておくケースというのが私が小さい頃にはありました。クリーム色の本体に透明な蓋がついていました。日本でいう一山の食パンよりやや多く入ります。一山半ぐらいです。大通りを渡ったところのお酒屋さん兼タバコ屋さん、いえ雑貨屋さんでパンを買ってくるのが私の唯一のお手伝いでした。蓋を開けてパンをなおすところまでがお手伝いでした。食が細くて、食べることの興味がなかった幼い頃です。それでも、ちょっとお腹がすいて、台所の大きな食器棚の戸をひきます。茶道具と一緒にパンケースが仕舞われていました。背も低かったので、きっと椅子に上って戸を開けていたことでしょう。パンケースの蓋をとると、いつも中には、耳だけしかありませんでした。真ん中の白いフカフカのところだけ食べて、きれいに焼き色のついた耳は残されています。こんなことをするのは母です。

 たまに、普通の食パンも残ってはいますが、たいてい耳だけが入っていました。薄暗い台所で耳だけのパンケースをのぞくとなぜか寂しくなりました。それでも、残された耳を食べます。それが美味しかったかどうかはちっとも記憶にありません。硬くなってまずかったかもしれません。ただ、妙に寂しくなるのでした。

  食パンは買わずに自分で焼きます。ある朝の私が食べ始めた食パンです。食パンを食べるとき、どうしてか、まず耳から食べ始めることに気付いたのは、つい最近のことです。自分の習慣なんて意外に知らないものです。そして、いつも心密かに思っているのは、耳は美味しいなあ、です。真ん中の白いフカフカよりも耳の方が美味しいと思っています。

 サンドイッチにする時に耳を落としても残さず私が平らげます。自分で焼くパンですから、決して無駄にはしません。昨日食パンを焼きました。当然、パンの端が2枚出ます。今朝の朝ご飯は、この2枚です。私にとって、一番のご馳走です。

 パンの耳をどれだけ食べて来たでしょうか。随分長い付き合いです。そして、今でもパンの耳だけのパンケースを思い出すと、胸がきゅっとなります。

コメント
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