小雨、21度、98%
アメリカのファッションデザイナーでトッドオールダムという人がいました。いました、と書きましたが亡くなったわけではありません。90年代の終わりごろ、随分と人気のあったデザイナーでした。どういう服を作っていたかというと普通の服ですが、どこか些細な部分でオールダムのものかなと思わせます。詳しいいきさつは知りませんが、そんなオールダムさん、急に洋服作りを辞めてしまいました。もう随分と前の話です。そんなことを雑誌の「装苑」で読んでがっかりしたことを覚えています。
なんで、急にトッドオールダムのことを思い出したのか、昨日着ていたTシャツ、あまりに古いので、主人が捨てなさいといいます。 確かに、生地の白いところはどんなに漂白しても黒ずんで来ています。好きだから捨てれないのよ、と私。
私が持っているTシャツで唯一胸にプリントが入ったものです。 普通Tシャツですら、裾上げをしてもらいます。ウェストに入れるよりオーバーできることが多いからです。このTシャツを買った頃はミニマムな服が流行っていたとはいえ、試着したとき、びっくりするほどぴったりしていました。袖口、襟の開き加減、私の好みのTシャツです。しかも、香港そんなに冬になっても寒くないので、一年中半袖のTシャツをセーターの下に着ています。永いこと着ています。
オールダムのマークは、見出し写真のオレンジ色の王冠です。これはスウェットのパンツのちょうど真後ろ、腰よりちょっと低いところに付いています。これも、Tシャツと同時に買いましたからもうクタクタです。ちょうど、ジャストウェストのスカートやズボンが腰骨で履くようなスタイルになってきはじめたときのものです。
私がオールダムのもので買ったのは、この2つだけです。靴もバックも、奇抜ではないけどオールダムらしいラインがありました。この服を買った頃は私はまだ40代。あれもこれも欲しいと欲のかたまり、今考えると恥ずかしい思いがします。ただ、オールダムのものを少しずつ欲しいなと思っている矢先のオーダムの引退でした。どこが好きって、うまく言えませんが、遊び心のようなものを感じます。
雑誌の「装苑」には、自分の服がとても高い値段で売られていることに、疑問を抱いての引退と書かれてあったように記憶します。確かに、ジャケットなどもいいお値段でしたが、このTシャツですら、高いなと思ったものです。
トッドオールダム、今ではインダストリアルデザイナー、プロダクトデザイナーとしてアメリカで活躍しているそうです。どんなものを今は作り出しているのか、興味があります。
捨てなさいといわれはしましたが、Tシャツもスウェットもまだまだ私と一緒です。