小雨、28度、86%
日本の琺瑯、野田琺瑯のポットや月兎印のコーヒーケトル、色とりどりで人気があるようです。北欧の琺瑯やフランスの琺瑯とはまた違った、日本人向きの形も、大きさも使い勝手の良い琺瑯です。お鍋だって、LE CREUSETのような鋳物ではないので、持ち重みがありません。
高校を出て家を離れて、最初に買ったケトルは月兎印の真っ赤なコーヒーケトルでした。今の山田耕民さんがデザインされるひとつ前のケトルです。今のケトルもスリムですが、そのケトルは注ぎ口がやや鶴首になっていてコーヒーケトルの原型のような形でした。私が、それを選んだのは形ではなく、色でした。真っ赤なホーロー。今でこそ、色とりどりのホーローケトルがありますが、当時は赤いケトルなんて珍しかったものです。40年近く前のことです。
家庭を持ってバットを買ったのは、ケトルを買って数年後、赤い縁取りが気に入って買ったバットです。そして、それも月兎印の琺瑯でした。 確か一番大きなサイズを求めました。豚カツを作るときパン粉をはたくにも、揚げたての天ぷらの油を切るにもやや大きめのサイズです。タッパなどを代用して、このバット一枚で、この30数年の主婦生活を過ごしてきました。最近、和菓子を作りに興味があります。和菓子を作る時は、成形の段階で小ぶりなバットが数枚必要です。さて、新しく買おうと探してみると、月兎印のバットの縁の色が焦茶色に変わっています。それはそれで、いい色なんですが、私が欲しいのは、縁の赤。今の台所は昔の台所と違って、色が溢れています。プラスチック製品、カラフルなキッチンタオル、そんな台所では、その焦げ茶の縁のバットやボールはシックに見えて素敵でしょう。でも、私が欲しいのは赤い縁のバット。
困りましたねえ。欲しいもののイメージがしっかりとあるときは妥協がありません。復刻版を作ってくれないかしら?などと思いつつ、バットの裏の兎のマークを眺めます。最近の月兎印のマークは、兎までもロゴまでもが大きくなっています。
最近、夢にまで見る赤い縁のバットです。