雨、21度、88%
まだまだ、本格的な暑さには至らない香港です。4ヶ月ほど履き詰めたGパンをスカートに履き替えると、急に足さばきまで軽くなります。防寒用の上着がいらなくなる、身軽さは心まで軽くしてくれます。この時期、トップは半袖のTシャツ。何のロゴもない素っ気ない白黒紺のTシャツです。
ストレートなこんなTシャツは、若い時ならそのままで充分ですが、歳がいくと幾分貧相にも見えかねません。冬場の何もないいいカットのジャケットなら、大きなブローチでも付けるところですが,Tシャツだと生地が薄くてブローチを付けることが出来ません。そんなとき、引っ張り出してくるのが、首飾りです。ネックレスとも違います。ペンダントととも違います。正確な言葉はよく解らないのですが、私の中では首飾りという言葉がしっくりときます。
アンリークイールのトンボ玉の首飾りも、こんな時に活躍するアイテムですが、今年は、もっともっと古い首飾りを出して来て頻繁に使っています。 20年近く前に買い求めたプラダの首飾り。最近のプラダのアクセサリーを見ていると、こんな手仕事のもを以前は作っていたのだと懐かしくなります。革ひもに、コットンの糸を編んだものが付いています。長さは胸の下で止まるように調節しています。顔も小さい、体も小さいと大振りなアクセサリーはややもすると滑稽になりますが、素材が革ひもとコットンの糸、重苦しさを感じさせません。
昨日、久しぶりにプラダの店に夏物を見に行きました。この夏のプラダの幾何学模様のアイテムは色といい大きさといい、東洋人が着こなすには非常に難しいように思われます。まあ、見る分には楽しいのですが。私が見るのは決まって白のシャツかスーツの類いです。顔見知りのおねえさんが声をかけてくれます。彼女の目が、振り返った私の胸の首飾りに止まりました。その途端に、私も思い出したのです。この首飾りを買った時もこのおねえさんがいつものように相手をしてくれたのでした。もうおねえさんというお歳ではありません。20年以上もこの店に行けば、彼女がいてくれます。首飾りをとても懐かしそうに手に取って見てくれました。そして、初めて聞く話をしてくれました。この首飾りは、私の涙型と丸い形のものが2つしか香港に入らなかったそうです。売れないかもしれないと思っていたら、2つとも私が買って行ったそうです。
はい、2つ買いました。まんまるの方は年若い友人にあげました。ほんとは2つとも取って置きたかったのですがね。年若い友人は、今では2人の子供のお母さんです。きっと彼女のことですから、どこかに仕舞ってくれていると思います。
白のシャツと黒のスーツを見ていたら、プラダのおねえさん、それと同じようなものを沢山持ってるよと、まるで買わなくていいと言われているようです。私の手持ちのものまでご存知です。ありがたいというべきでしょう、無駄遣いもせず、手ぶらで家に帰りました。