チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

ブタのまんじゅう

2014年04月10日 | 日々のこと

曇、12度、78%、東京

 中華料理の本場の香港に住んでいます。中華料理は、大きく4つに分けられます。北京料理、上海料理、四川料理、広東料理。でも、実はそれ以上に地域地域によって、また、民族民族によってそれぞれの特徴のある食べ物があります。香港のような観光都市では、そのどれもが食べることが出来ます。つい先日、観光で香港にみえた方のご所望で地元広東料理にお連れしました。広東料理は海の幸山の幸どちらも使います。そのうえ、早くから西洋とのつながりも深く、ケチャップやホワイトソースのようなものを使った料理も見られます。そう聞くと、なんだかアレンジされた中華料理のようですが、実際食べてみると中華料理そのものです。ところが、ミッシェランがどうのなどと取沙汰される昨今、いけません、正統の広東料理を食べさせてくれる料理屋が少なくなりました。フュージョンされた広東料理、それは広東料理に限ったことではないのかもしれません。盛りつけもフレンチのようなものまで出てきました。当初は目新しくて良かったのですが、長く住んでいると、正統広東料理が懐かしくなります。

 日本といえば、余程のお店でない限り中華料理全般のお店です。四川料理と名を打った店ですら、北京ダックが置いてあったりします。そんな時、内心がっかりです。香港にいるので、帰国すると周りの方は中華料理はもう充分ですよねと、気を遣ってくださいます。ところがこの私、日本中華と密かに名付けている、日本の中華料理が大好きです。チャンポンなんて、中国でなくシンガポールでしか食べられません。私の育った福岡の豚骨ラーメンなんて、今でこそ、一龍などがチェーン店を出していますが、日本独自のものです。

 昨日、東京の伊勢丹デパートの地下の食品売り場に行きました。このデパ地下に来ると、お昼にいいお寿司をいただいたにもかかわらず、急にテンションが上がる私です。各地の名産、銘菓。生鮮もお惣菜も、お腹とお金の余裕があれば全部いただきたいくらいです。家の冷蔵庫には、お昼のご馳走の残りが私たちを待っています。家で待つお嫁さんに、何か甘いものをと探す私ですが、中華料理のデリのコーナーに立ち止まってしまいました。知らないお店の名前です。香港の中華などと書かれています。そんなことより何かが目を引いたのです。ガラスのショーケースの片隅、小さなパックに入った、しかも、残りひとパックの こちらです。私ならずとも、おちょぼ口の方でも一口で召し上がれるちいさなまんじゅう。ブタの形をしています。中のあんは、蓮のあんです。蓮の実から作るあんは、中国では小豆のあんより高級です。

 残りひとパックですから、目ざとい私は駆け寄って求めました。お嫁さんにお土産です。

 香港の飲茶にも、時折、金魚やひよこの形のこうした蒸しまんじゅうがあります。伊勢丹の地下で見つけた正統広東料理です。あまりに可愛いので、昨晩は手が付けられず冷蔵庫で休んでもらっています。食べる時は、必ず蒸し直して。

 やっぱり、日本のデパ地下は楽しい!と、今日もまた別のデパ地下に行ってみましょう。

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桜坂の桜 間に合いました!

2014年04月09日 | 

晴れ、11度、45%、東京

 さくらさくらといっても、種類もいろいろあることぐらいは知っていたつもりですが、咲く時期もそれぞれに違うことを忘れていました。私は、桜を4月の花だとばかり思っていたのですが、3月の花だという方が多いのには驚きました。入学式の時に桜が咲いている、どうも小さい頃見た絵本の記憶が、私には桜が4月の花だと思わせているようです。その入学式も終わった昨日、日本に戻ってきました。

 羽田から私鉄を乗り換えて、向かう先は息子家族が住む多摩川にほど近い街です。私鉄の電車は、家並みの中を走ります。家の庭先に、公園に、線路の脇にも桜がまだ残ってくれています。八重桜にいたっては、満開です。しだれ桜は、まだつぼみのものもあります。

 駅を出て、緩やかな坂を上ると散り始めた桜の並木が目の前に開けて来ます。ここが歌にも唄われた桜坂の桜です。 先日訪れた時は、ちょうど大雪のあとでした。桜坂と書かれた石碑の周りには、雪が残っていました。そしてその時まで、桜坂が歌に唄われていたことすら、この私知りませんでした。実は、駅からの道々、ここの桜を見に来る人たちと一緒でした。石碑の横で記念撮影する人、道の上の赤い陸橋にも人の姿が見えます。あらあら、ほんとに有名になったのですね。

 満開の時とは違って、あの香りはいくら深呼吸をしても香ってきません。それでも、こうして街をうっすらと紅色に染める桜を見ることが出来ました。

 桜ばかりではありません、香港では見ることの出来ない花や木に、なかなか足は前に進みません。

  かえでは秋の紅葉の時と、春の青かえでの時とでは趣が全く違います。透けるようなかえでの葉の下、ちいさなちいさな赤い花がついています。このちいさな花は、7月にもなるとタケコプターのような面白い形の種と変わります。かえでも、香港にはない木です。

 垣根にスズランを小さくしたような花が、 ドウダンツツジも香港では見られません。小さい頃、母に教えられたドウダンツツジは、もっと赤い花でした。その時、普通のツツジとどうしてこんなに違う花なのかといぶかったものです。

 巡ってくる季節を感じること、四季を持つ日本ならではのことです。さて、今日はどんな花たちに会えるかしら。

 

 

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電化製品のマニュアル

2014年04月08日 | 香港

小雨、19度、90%

 先日、掃除機を買い替えました。フランスのメーカーですが、作られているのはきっと中国に違いありません。香港で電化製品を買うと、ものすごく分厚いマニュアルがついてきます。たとえば、ひげ剃りのような小さなものにだって、かれこれ5センチの厚みがあるマニュアルがついてきます。会社によって違いますが、5、6カ国語以上で書かれています。中国語は2つ、マンダリンと広東語。英語に、アラビック語、フランス語にドイツ語。韓国語にスペイン語。日本語だけはお目にかかりません。パナソニックの製品だって、なぜか日本語のマニュアルがついていません。分からないものは邪魔なので、潔く英語のところだけ抜き取ります。

 この掃除機のマニュアルは、フランスで作られたものらしく、一番最初はフランス語のマニュアルから始まっていました。掃除機のマニュアルなんか読まなくったって、使えますからそのままにしてありました。昨日、ヒョイと取り上げてめくってみると、一面図解がされています。使い方のイラストです。言葉での説明なしのイラストマニュアル。これはいいわ、どんな人にだって、イラストなら万能言語です。写真でなくて、手書きっぽいイラストなのがなんだか好感が持てます。

 見開き2ページのコマイラスト、面白い2コマを見つけました。

  スイッチを入れる。

  コードを巻き返す。

 掃除機本体の後部にある2つの大きなスイッチ。その使い方です。ご覧のようにハイヒールでポンと押さえつけています。この2つしかないスイッチ、確かに大きなサイズです。以前の掃除機に比べたら、5倍もあるでしょうか、でも、何ら疑問も抱かずに使っていました。ハハーン、そうか足でおすのね。と納得です。

 実は我が家は、靴のまま家の中で生活をしています。靴を脱ぐのはそれぞれベットに入るとき、もちろん、スリッパはありますから、疲れた足を休めたければ、スリッパに履き替えますが、基本靴を履いたままです。30年近くそういう生活をしてきましたが、未だかつて、こんな私ですら掃除機のスイッチを足で入れることは思いつきませんでした。コードを巻き返す時など屈んで指で押します。

 この絵を見た分かりました。どうもスイッチの力の入れ具合がうまくいかないのです。指で押す、足で押す、圧力のかかる面積が違います。全くもって生活習慣の違いから来る、些細な相違です。

 きっと、フランスだってみんながみんな、足でスイッチを入れているわけではないでしょうが、そんな様子を想像すると楽しくなります。

 大丈夫、私は日本人です、足でスイッチを入れたりしませんから。

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ノーフォークアイランドパイン、タチツボスミレそしてタツナミソウ

2014年04月07日 | 香港

曇、19度、94%

 毎月月初めに、香港島の東のマントバットラーに上ります。私の足で小1時間で上れるような山です。頂上へ向かう最後の600段近い階段をのぞくと、全て舗装道路。味気ないようですが、これだけの高い建物に囲まれて生活をしていると、たとえ道は舗装されていても、土の匂いを感じる山登りは体に精気をくれます。

 今月は月が明けたら雨続きでした。昨日も雨の降りそうな曇り空、降り出す前にと急ぎました。連れもない一人の山登りは、気ままです。歩くペースだって自分の思い通り。立ち止まって、好きな景色を思う存分楽しめます。そんなことが出来るのも、この山は、いつもいつも人の行き来の多い山だからです。流石の私でも、九龍サイドの山並には一人で入って行けません。

 3月のはじめに来た時と違って、遠目にすら、山が春に染まっているのが解ります。毎日この山登りを日課にしている人たち、バーベキューサイトの場所取りに急ぐ人たち、そんな高い山ではありませんので、みんな軽装です。

 香港の山は植林が繰り返されています。原産が香港でない木が、定期的に植え付けられています。この山などは、それらの木が育って、頂上に近付くと鬱蒼とした森になっています。そんな中、1本、なんとも素直に真っ直ぐに伸びた木を見つけます。 中央のこの木、ノーフォークアイランドパインです。名前からも解るように、オーストラリアのノーフォーク島が原産です。パインといっても、葉の形は、松のそれとは違います。 なぜか群生していません。ここばかりか、このノーフォークアイランドパインは、必ず一人で立っています。そして、お日様を求めるのか他の木より頭ひとつ飛び出して、真っ直ぐに天を向いています。この木を見る度に、私まで、姿勢を正してしまいます。霞の中でも、明るい朝日の中でも、この木の姿を見るのが楽しみです。

 高い所ばかりを見てはいられません。足元のちいさな草花がここですよとささやいています。

 頂上近くの石段の脇、いつも待っていてくれるのは、タチツボスミレです。 先月はまだ葉っぱだけ、今年は幾分遅く花をつけました。すみれの原種ともいわれる、タチツボスミレ。うっかりすると見逃してしまいそうに可憐です。

 タチツボスミレの横に、ぽつんとタツナミソウが、このちいさな花は実に見事な作りです。 蘭を小さくしてような、こんな精巧なちいさな花があるのかと。いつも感心してしまいます。香港にも、こんな草花が育っています。

 来月になったら、それこそ足元はもっと色取り取りの草花が咲きます。少し気がかりなことが、いつもなら3月の終わりには鳴き始める蝉が、今年はまだ鳴きません。蝉の発鳴き、まだうまくないジージーというあの鳴き声を今か今かと待っています。

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桜の和菓子

2014年04月06日 | 菓子

曇、20度、89%

 日本中がさくらさくら。強い春の嵐で桜が散ったとか、今年のしだれ桜は見事だとか、ありがたいことに、日本中の方のFBでその桜の様子を見せていただいています。しかも、その多くは桜とパグが写っているという特別バージョンです。こんなに、ひとつの国がひとつに花に思いを寄せる国が、日本以外にあるかしらと、日本人のなんと一途な気持ちを感じます。

 日本を離れて30年近く、桜を思う気持ちが以前に増してきました。私の年齢のせいもあると思います。若いとき息子の手を引き、テツという名の犬を連れて、毎日毎日桜並木の下を通っていたころは、こんなに桜への思いがなかったようです。歳をとることの良さを今更ながらに思います。

 香港だって、緑の若葉に花の季節がやって来ました。それでも、うすべにいろの花への思いは心の隅にどっかと座っています。そんな思いで、この時期には桜の和菓子を作ります。

 やっぱり桜餅! 関西風、関東風とあるそうですが、道明寺粉を使うこの桜餅が好きです。季節に関係なく、この桜餅は急に食べたくなる和菓子のひとつです。夕方の風の匂いに桜餅を思うことすらあります。きっと、香り高い葉っぱのおかげです。沢山の方が桜の木の下のパグの写真を見せてくださいました。お礼に、 横を向いていますが、まさに桜餅に引き寄せられたこの方、モモさんです。左手が出ていますが、決して自分では手出をしません。じっとひたすら、いただけるまでお待ちになっています。

 この時期の和菓子は桜一色、桜花をのせたお饅頭、山桜に見立てたきんとん。練りきりで、桜を作ってみました。 色付けも、形作りも、難しい。もう少し優しい紅色にしたかったのに、あら、なんだか桃色になっています。それでも、口にする桜は、目にも楽しいお茶のお供です。

 あと二晩寝ると、昔見慣れた桜の元へと出かけます。少し、私の為に桜が残っていますように。

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小布施の栗

2014年04月05日 | 日々のこと

曇、18度、85%

 栗は秋の味覚、と思い込んでいる私は、年が明けていただく栗になんだか違和感を覚えます。先日は近江八幡のはねやの栗のお菓子、今度は小布施の栗です。

 小布施の栗が美味しいもの、貴重なものだと知ったのは、18で東京に出て来てからでした。大事にちいさな包みを渡された時は、なんだろうと思ったほどです。丸のままの栗がころっと入った栗の鹿の子は、微かな甘みでほっこりしています。これが、小布施の栗なのね、と今でもあの時の美味しかった記憶があります。

 その小布施の栗菓子が、日本橋の三越で期間限定で売られるようになったのは、もう30年以上前の話です。11月も半ばを過ぎると、売り切れの為に店仕舞。今では考えられないことです。東京の大手のデパートの地下に行けば、日本全国のお菓子から海産物まで揃う時代になりました。いえいえ、お家にいてPCに向かってお買い物だって出来る時代です。日持ちが2日間、なんていったって、例のクール宅急便とやらで玄関先まで届けてくれます。季節の魚だって、養殖で一年中食べられます。春から初夏にかけての楽しみだったイチゴ摘み、今ではイチゴの最出荷量が多いのはクリスマスの12月だそうです。

 ここ香港では、一年の半分、生の栗が市場で売られています。生の栗がなければ、真空パックの栗。これまた季節感がありません。おそらくこの栗は中国産です。そのうえ、フランスからの栗の真空パックも手に入ります。栗好きな我が家ですから、こうして年中栗が食べられることは嬉しいのですが、はたと栗が量産されているのかと不思議に思います。

 小布施の栗は以前は、12月に入ると手に入りませんでした。だから、とてつもなく、美味しく感じたのでしょうか。少し高いお金を払ってでも、こうした楽しみを買おうとしました。この「くりかのこ」、 昔ながらに、自然な甘みを感じます。色も自然な栗の色です。でも、季節外れにいただく栗は、心なしか喜びが半減します。まだ、小布施の栗が貴重だと思っていたころは、お正月の栗きんとんには、明治屋のちいさな瓶詰めを使うしかありませんでした。甘いシロップ漬けのその栗は、きっとクチナシかなんかで色付けされて、明るい黄色でした。

 流通、製造、保存、いろいろな要件が発達して、季節がなくなった食べ物。モグモグと栗をほうばりながら、遠くなった時代を思い出しています。

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水の音

2014年04月04日 | 香港

曇、18度、88%

 ここ数日、香港は雨と雷でした。香港島の中腹に住んでいるので、雨が降り出すと、すっかり雨のベールに囲まれます。山向きの私のベットにひっくり返っていると、晴れた時は、香港島のピークの稜線と岩肌が見えます。雨が止むと、この岩肌を、降ったばかりの雨がまるで白いさざ波のように波頭を上げて、滑り落ちていく様が見られます。我が家の一帯は昔から大きな地滑りがあってところです。大きなマンションが、ひとつ下の道まで流されたこともあったようです。この岩肌を流れ落ちる水を見ていると、然もありなんと思う次第です。

 香港で水の流れる音を耳にすることは稀です。海ですら、寄せては返す浪の音、なんていう風情ではありません。浪の音もありません。南シナ海に面する海水浴場ですら音無の海岸です。そのうえ、川自体がほとんどない街です。運河が流れる街も、川の流れる音がありません。町中が車の音や人の生活音でうるさ過ぎるのかな?とも思います。いえ、やはり、水の流れそのものが少ない街です。

 雨上がり、山肌を流れる水を見ながら、窓を開けて耳を済ませばいいようですが、外の湿度は100%。窓を開ければ、後日、カビだらけの壁というしっぺ返しがやって来ます。

 土砂災害の多い一帯ですから、水路は沢山作られています。朝走る時やモモさんとの散歩のとき、この水路を流れる水を見て、水音を聞く、不思議に安堵感を覚えます。もちろん、雨上がりの清々しい匂いも胸一杯に吸い込みます。高い木に花をつける白蘭の花の匂いも、この雨上がりに、高い木から静かに甘い匂いを振りまいています。

 日本でも報道されていたように、この香港の天候は梅雨ではありません。異常気象だそうです。今日、明日と雨の合間が期待出来そうです。さて、水音と美味しい空気を満喫しに、モモさんと散歩に出かけます。

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生命麺包

2014年04月03日 | 香港

大雨、19度、99%、雷注意報

 パンを買いました。ほとんど家で消費するパンは自分で焼きます。この消費、当然、モモさんを含む主人と私、そして、毎日我が家にやって来る鳥たちを指します。

 野生の鳥たちに出窓の外でパン屑を与え始めてもう7、8年でしょうか。きれいな声で鳴くコウラン、シロガシラ、ちいさな鳥たちがやって来ます。きっかけは何だったのか、きっと焼きそこないのパンが出来たからだったかな?もう忘れています。鳥たちは、とても規則正しい生活です。朝、私が植物に水遣りをするため窓を開けると、それを合図に窓辺に集まります。ストロベリーポットの上にザル豆腐のかごをのせ、その中にパンを小さくしてやると、代わり交代にやって来てはついばんで行きます。そうそう、今日は鳥の話ではありません。「生命麺包』の話です。

 「生命麺包」というパンを買ったのです。鳥たちの為にパンを買いました。この所、私が焼くパンは日本から友人がわざわざ送ってくれた貴重な日本の小麦で作った強力粉を使っています。鳥たちには申し訳ないのですが、流石の私もこのパンは、鳥たちに分けてやれません。この時期、鳥たちは巣作りを始めます。それなのに、香港は異常な天候で実を付けたブラックベリーもほとんど地面に落ちてしまっています。雨が降っても、強風でもやって来る鳥たちのご飯を減らすことは出来ません。そこで、久々にパンを買って来ました。

 麺飽、ミンパオと読んでパンのことです。「生命麺包」つまり命の糧のパン。薄いろう引きの紙の包装紙、中には薄切りの食パンが20枚ほど入っています。普通の香港のスーパーのパンの棚、下のあたりに必ず見られる包みです。お値段にして$10、120円ぐらいです。

 30年近く前香港にやって来て、初めてスーパーで買ったパンがこの「生命麺包」でした。まだ、家財道具が日本から着く前です。何にもないガラんとしたアパートに春休みの息子と二人きり、広東語も全く出来ません。市場に行っても、物見遊山。結局、スーパーであまり手を加えなくて食べられるものを、片っ端から買って食べてみました。今のようにフランスのなんとかカイザーのパンなんてありません。山崎パン、パナッシュ、糧友パン、サンジェルマン、ドンクなど日本のメーカーのパンは、当時は高級なパンでした。値段だけではありません。あの頃の香港の地元の食パンは、どれもこれも中折れ、つまりちゃんと立った食パンでなく、真ん中が折れていました。この、香港一大手のガーデンベイカリーの「生命麺飽」だって例外ではありませんでした。

 ろう引きの薄い包装紙は、中折れのおかげで、いつもしわが寄っています。いつごろだったでしょうか、この香港一大手のガーデンベイカリーに日本のパン作りの人がアドバイザーとして入られました。以来、食パンが立つようになりました。もちろん、今ではどんな町中のパン屋さんの食パンだって、きちんと角があり立っています。ちいさなパン屋さんも、ここ数年は日本の強力粉を使っています。フランスのなんとかカイザーばかりか、おいしいパンが食べられる香港です。

 この紺と白のチェックの包み紙、包装全てが30年近くもひとつも変わっていません。このパンのシリーズは4つあります。カルシュウムを強化したパンだとか、それぞれ、オレンジ、グリーン、ブルーのチェックの包みです。その3つは、今ではロウ引きの紙ではなく、ビニールに変わりました。香港ガーデンベイカリーのパンの中で、包みが変わらない唯一のパンが「生命麺包」です。

 お味は、甘めのぱさっとした小型食パン。軽い軽い食パンです。

 久々に手にとった「生命麺飽』、命の糧のパンが意味するように、きっとガーデンベイカリーの基本のパンなのだと思います。変わらない包装に、いつまでも、安く、命の糧をと考えるガーデンベイカリーの気持ちが伝わってくるようです。

 今日も、雨、雷の中を鳥たちはやって来ます。小さくちぎってやるとき、きっと私も幾つかを口に放り込むことでしょう。

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カンペールのサンダル

2014年04月02日 | 身の回りのもの

曇、20度、95%

 我が家のモモさん、全天候型散歩犬、たとえ、雨が降ろうが、台風のシグナルが出ていようが、お散歩に行きたがります。お散歩イクオール、トイレです。こればかりは生理現象ですから、お付き合いしないわけにはいきません。雨の日も風の日も、決まった時間にお供をします。

 ところが、我が家ときたら斜面に建っているものですから、一旦外に出ると、上がれば下りる、下がれば上がる、坂道の上り下りです。寒い間は、ラバーソールの紐靴をはいてお散歩に出ます。だんだんと暑くなってきました。足をしっかりと包む靴なんて、もう履いてはいられません。サンダルの季節の到来です。私がサンダルを履くのは一年のうち、7ヶ月半。女ですから、普段以外の外出時にもそれなりのサンダルやミュールを履きます。一年の半分以上は、足は解放されるわけです。

 そうは言っても、坂の上り下り、雨が降るし、霧もかかって地面は自然結露しています。まずは滑らないことが散歩の時のサンダルの条件です。ここ数年の流行のビーチサンダルでは、足元が覚束なく感じます。お出かけ用の華奢なサンダルでは、モモさんの踏ん張りに対抗する力が足に入りません。モモさんが来る前から、散歩用のサンダルは、カンペールのものでした。スペインのこの靴メーカーは、形も靴底の模様にまで、独特な味わいがあります。紐靴の靴底のラバーは、とても重たくて、あれには閉口した覚えがあります。サンダルは、そこまで重くありません。5年ほど履いた2代目のカンペールのサンダルを始末したのは、昨年の11月のことでした。もう、靴底が随分薄くなっていて、滑り易くなっていました。

 暑くなって来たので、5年ぶりにカンペールのお店に出向きました。日本のカンペールの店ほど種類が豊富ではありません。スペイン、マヨルカ島の市場のかごのようなバックなどはなく、靴だけです。

 今年選んだのは、 私にしては珍しいオレンジです。靴底が一番軽いタイプです。実際の足よりひと回り大きな形なので、坂を下っていてもつま先が前に出る心配もありません。一番嬉しいのは、くるぶしをしっかり固定してくれるバックベルトです。これは足の疲れを減らしてくれます。

 流石にこれを履いて町中には出向きません。せいぜい下の市場止まりです。でも、散歩とその市場というのが、私の基本。つまり、この靴にこれから数年一番お世話になります。

 靴持ちの良い私です。長い靴は20年近くも履いています。ただ、散歩用の靴と走る為の靴だけは、消耗品です。好きな靴は大事に長く履きたいと思います。カンペール、今はベトナムで靴を作っているようです。

 少し雨が降り出しました。オレンジの色で気持ちも明るく、モモさんとお散歩に出かけます。

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異常気象 香港

2014年04月01日 | 香港

曇、20度、100%

 ここ数日、香港はちょっと物騒な天気です。雷、大雨、挙げ句はヒョウが降ったそうです。この時期にヒョウです。しかも、大粒のヒョウで、ショッピングモールの天井のガラスを壊したとニュースでは伝えていました。なんとそのヒョウが隣接の中國シンセンでも降って、主人の会社の車のガラスが割れたのだそうです。香港島はヒョウは降らなかったのですが、私が20数年前にヒョウにあったのも、被害のでたショッピングモールのある近くでした。でも、12月の寒い時期、こんな20度近い天気の日ではありませんでした。それに、大雨、雷だって真夏の香港の名物で、やはり時期外れです。異常気象でしょうか。

 狭い香港ですから、気象庁からでる天気状況はひとつだけです。島を含めて南から北に拡がる香港では、地域によって天気の差がでます。昨日の10時前の私の携帯に送られて来た気象庁の天気状況は、見出しの写真です。雷注意報、大雨注意報、季節風注意報。その時の我が家から見た外の風景は、 こんな状態です。このすぐ後に大雨が来ました。気象庁からは、地滑り注意報も出ました。昨日で3日目。毎日こんな状況です。土曜日は、運転中にこの雷、大雨に出会いました。山沿いの片側一車線、ワイパーを一番強くしても、前はうっすらとしか見えません。雷と風の音で他の音も遮断されています。前の車のテールランプすら見えません。心細いのですが、勝手知った道です。それに、私だけじゃなくみんな見えないのよ、と開き直っています。そうは言っても、家に着いた時は、ホッとしました。集中的に降る雨ですから、せいぜい長くても2時間で上がります。

 香港の注意報の出し方もここ数年で随分変わりました。20年以上前は、台風の注意報が5段階で知らされるだけでした。それが、大雨で流されて亡くなる人もいます。大雨注意報が3段階に分けて出されるようになりました。香港は地盤が岩石だそうです。大雨が来ると、雨水は土に吸い込まれずに岩肌を走って川や滝のようになります。土曜日の運転中も、滝のように落ちる水の中を2カ所通過しました。当然、坂道は川のような水が流れます。歩く人にとっても危険です。

 台風の注意報の10や8、大雨注意報の黒雲がでると、一斉に街は停止します。公共機関、学校、会社は休み、公共交通機関も止まります。バスやフェリーばかりではありません、タクシーだって一台も通っていません。でも、そんな注意報がでるのは、6月以降、真夏に限っていました。

 昨晩のテレビの天気予報、香港の上に前線が停滞したままです。 昨日の午後の気象庁の天気状況です。今もこのままです。夜中、光っていた雷が今は見えません。雨もほとんど降っていません。ヒョウばかりか物憂い天気です。

 さて、雨が止んでいるうちに、モモさんと散歩に出かけましょう。

 

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