枕草子 ちょっと一息
複雑な男女関係
第百五十五段には、何かと少納言さまを慕っていたと思われる源中将宣方と絶交状態に至る経緯が描かれています。
もっとも、この段の最終部分の意味については異説もあって、「清少納言の忠告を聞き入れて、宣方が左京との交際を打ち切った」と解する研究者もいます。どちらかといえば、この解釈の方が穏便な感じがするのですが、このあと宣方が登場しないことなどから私は宣方との絶交と読み取りました。
それはともかく、枕草子に限らず、平安期の文学を読むにあたっては、男女関係というものをどのように理解するかで随所で微妙な差が出てくるように思われます。
少納言さまの場合でも、枕草子の中に描かれている部分だけでも「微妙な関係」と思われる男性が何人もいます。「それぞれの人物との関係は、本当はどうであったのか」ということだけをテーマにしても、相当な研究になるのではないでしょうか。
当時の貴族社会は一夫多妻が普通と考えられていました。それも、正式な結婚式や届けをするわけではなく、女のもとに通うことから交際が始まるわけですから、有力貴族であれば、私たちが考えるよりはるかに多くの女性と関わりがあったと考えられます。
それは、女性の場合でも同様だと思われます。経済的な面、子供の養育の面、妻問い婚であったこと、などから男性と同じようにはいかなかったでしょうが、現在の男女関係における倫理感とは相当の開きがあることを理解する必要があります。
その中で、宣方が少納言さまにからかわれたように、男女関係がいくらおおらかだといっても、交際する相手には節度が求められ、そういう社会の中にあっても、純愛があり、修羅場があるわけですから、この時代の男女関係もなかなか複雑だったようです。
複雑な男女関係
第百五十五段には、何かと少納言さまを慕っていたと思われる源中将宣方と絶交状態に至る経緯が描かれています。
もっとも、この段の最終部分の意味については異説もあって、「清少納言の忠告を聞き入れて、宣方が左京との交際を打ち切った」と解する研究者もいます。どちらかといえば、この解釈の方が穏便な感じがするのですが、このあと宣方が登場しないことなどから私は宣方との絶交と読み取りました。
それはともかく、枕草子に限らず、平安期の文学を読むにあたっては、男女関係というものをどのように理解するかで随所で微妙な差が出てくるように思われます。
少納言さまの場合でも、枕草子の中に描かれている部分だけでも「微妙な関係」と思われる男性が何人もいます。「それぞれの人物との関係は、本当はどうであったのか」ということだけをテーマにしても、相当な研究になるのではないでしょうか。
当時の貴族社会は一夫多妻が普通と考えられていました。それも、正式な結婚式や届けをするわけではなく、女のもとに通うことから交際が始まるわけですから、有力貴族であれば、私たちが考えるよりはるかに多くの女性と関わりがあったと考えられます。
それは、女性の場合でも同様だと思われます。経済的な面、子供の養育の面、妻問い婚であったこと、などから男性と同じようにはいかなかったでしょうが、現在の男女関係における倫理感とは相当の開きがあることを理解する必要があります。
その中で、宣方が少納言さまにからかわれたように、男女関係がいくらおおらかだといっても、交際する相手には節度が求められ、そういう社会の中にあっても、純愛があり、修羅場があるわけですから、この時代の男女関係もなかなか複雑だったようです。