雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

碁をやむごとなき人の打つとて

2014-09-28 11:00:09 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第百三十九段  碁をやむごとなき人の打つとて

碁を、やむごとなき人の打つとて、紐うち解き、ないがしろなる気色に、ひろひ置くに、劣りたる人の、ゐずまひもかしこまりたる気色にて、碁盤よりはすこし遠くて、およびて、袖の下は、いま片手して控へなどして、打ちゐたるも、をかし。

碁を、高貴な方が打つとて、襟元の紐をはずし、気楽な態度で、無造作に石を置くのに対して、お相手の身分の低い人は、座り方からして緊張している様子で、碁盤より少し離れて、及び腰になって、袖のたもとは、もう片方の手で押えたりして打っていいるのも、滑稽です。


現在でも見られるような光景ですが、さすがに少納言さま、厳しく観察されています。
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