枕草子 第百三十九段 碁をやむごとなき人の打つとて
碁を、やむごとなき人の打つとて、紐うち解き、ないがしろなる気色に、ひろひ置くに、劣りたる人の、ゐずまひもかしこまりたる気色にて、碁盤よりはすこし遠くて、およびて、袖の下は、いま片手して控へなどして、打ちゐたるも、をかし。
碁を、高貴な方が打つとて、襟元の紐をはずし、気楽な態度で、無造作に石を置くのに対して、お相手の身分の低い人は、座り方からして緊張している様子で、碁盤より少し離れて、及び腰になって、袖のたもとは、もう片方の手で押えたりして打っていいるのも、滑稽です。
現在でも見られるような光景ですが、さすがに少納言さま、厳しく観察されています。
碁を、やむごとなき人の打つとて、紐うち解き、ないがしろなる気色に、ひろひ置くに、劣りたる人の、ゐずまひもかしこまりたる気色にて、碁盤よりはすこし遠くて、およびて、袖の下は、いま片手して控へなどして、打ちゐたるも、をかし。
碁を、高貴な方が打つとて、襟元の紐をはずし、気楽な態度で、無造作に石を置くのに対して、お相手の身分の低い人は、座り方からして緊張している様子で、碁盤より少し離れて、及び腰になって、袖のたもとは、もう片方の手で押えたりして打っていいるのも、滑稽です。
現在でも見られるような光景ですが、さすがに少納言さま、厳しく観察されています。