雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

太陽は私たちの根源 ・ 小さな小さな物語 ( 1323 )

2020-12-26 16:40:48 | 小さな小さな物語 第二十三部

『 太陽の表面温度がおよそ5500℃であるのに対し、その外側の大気、もっと言えば上層の大気では、なぜかその温度が100万℃を超える超高温になっている、という事実をご存知でしょうか。まるで40℃のお風呂から立ち込める湯気が1万℃ーーのようなおかしな現象なのです。
このメカニズムは現在でもよくわかっていませんが、太陽の磁場が関係していることがさまざまな観測から予想されています。  ( 一部 割愛させていただきます )
太陽の大気は非常に希薄なため、通常は太陽本体のまぶしさのせいで見ることが出来ません。しかし皆既日食の時だけは肉眼でも見ることができます。その姿はまるで冠のような形状であったため、ラテン語の冠の意味で「コロナ」と呼ばれるようになりました。 ( 以下 割愛させていただきます ) 』

以上は、6月25日付の毎日新聞朝刊の『 県立大 西はりま天文台からの便り 』の 研究員・高山正輝氏の記事を引用させていただました。
そして、記事の後半では 
『 現在コロナと名がつく製品や店舗に対する間違った認識や風評被害の報告がありますが、太陽コロナはコロナ「ウイルス」とは全く無関係の、ただの太陽上層大気のことです。』
ということも述べられています。

残念ながら、現在、新型コロナウイルスによる感染症と同様に、その名前や、感染者、その家族、さらに信じられないことに医療関係者の家族に対する差別やからかいなどが多数行われているようです。
差別が起こる大きな原因に「無知」があるようですが、何も学者のような知識がなくとも、ほんの少しばかりの優しさと思い遣りさえあれば、かなりの部分は解決するのではないでしょうか。
正直なところ、私自身、何かにつけて差別する心があるのをとても否定など出来ません。今現在でも幾つかの差別をしてしまっているのでしょうし、見てみぬふりしているのはもっと多いのでしょう。しかし、今少し、ほんのばかり今少し、優しさと思い遣りと少しばかりの知恵があれば、かなりの部分は解消するのではないかと認識はしています。

私たちの社会から、差別を完全になくしてしまうことは極めて難しいことだと思われます。それでも、私たちの意識次第でかなりの部分が和らげることが出来ると信じたいのです。
ただ、今回のような、「コロナ」という名前だけでからかったり悪意を示すなどといった話を聞きますと、そのレベルに暗澹とした気持ちになってしまいます。
コロナウイルスの「コロナ」は、テレビで顕微鏡の映像を嫌というほど見せられていますので、太陽のコロナというより、瓶の王冠を連想するのですが、大変な研究結果の発見でしょうに、かわいらしい名前を付けたものと感心してしまいます。
太陽の方の「コロナ」となれば、皆既日食でないと見ることが出来ないのですから、よくぞ発見し名付けたものと感動さえします。
太陽は私たちが存在する根源の一つであり、コロナウイルスの映像も科学の進歩なくしては目にすることなど出来ない存在なのです。一方は私たちの存在の根源であり、一方は私たちを苦しめる根源の一つですが、どちらも、それをもとにして差別したり、からかったりできるものではないはずです。
そのような情けない風潮だけは解消させましょうよ。

( 2020.06.26 )


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