都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

投資銀行の高報酬は疑問:利益は享受、リスクは限定では

2009-08-10 19:23:51 | マクロ経済

最近、アメリカの金融機関でとある運用担当が「相場の低下を予測し先物・オプションで儲けたのだから億単位のボーナスが欲しい」とあった。これは疑問で、次の問題がある。まず、デリバティヴは何度も書くが手数料はGDPにあたるがゼロサムだ。経済全体では先物で利益が出たというのは損もあったということである。次に、会社員が「儲ける」と「所得」に跳ね返るなら、損の場合はどうなるのか。一般には個人の給与低下か解雇、悪くすると企業の倒産で損を全部かぶることは出来ないだろう。つまり利益を得た場合ほうが大きいリターンでリスクは少ないといえる。これはOPM(他人のお金)の運用と責任問題(エージェンシト理論 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%91%E3%83%AB%EF%BC%9D%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%88%E7%90%86%E8%AB%96 )と同じで、あたかもリスク負担の上限付きの投資家(損をしても限度あり、利益の場合は拡大)となる。この運用を任せる仕組みは「投機」に近い。上手くいけば、投資家もリターンがあるが、損も同じくある。その上、利益の場合は運用会社に上前をはねられ、損の場合は0となる。場代の高い賭け(もともとゼロサム)と変わらない。<o:p></o:p>

つきつめると、このような金融商品の仕組みと報酬が、新金融商品の拡大と複雑性、自己利益の追求という今回のアメリカ発金融破綻を生んだ大元である。げに恐ろしきは金の魔力と「みんなでやれば恐くない」だ。<o:p></o:p>

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