都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

難波湊町のウォーターフロントと周辺開発

2009-08-23 07:13:36 | 都市開発

水都大阪も開幕したようなのでウォーターフロントを。ウォーターフロントの開発にはソフト・ハードで人を集める・いつも賑わう方策が必要だと拙著に書いたのは91年だ。湊町のウォーターフロントは人工的で木が少なく木陰や陽を遮るものがない、設計が単調でヒューマンスケールを越えており居心地のよさが無いなどの課題が明白だ。恐らくは設計者がドラフターで線を引いたようで単純な平行線が多い。さらにホールと高速出入口はヒューマンスケールを越えた大きさがある。<o:p></o:p>

さらに、対岸のレストランも単調なデザインで人のざわめきの演出がない。歩くと、暑い、日陰が無い ベンチがない、お店がない、回遊動線がない、とどめは水辺の景観がビルの裏側、マンション、ホテルしか見えないというものだ。<o:p></o:p>

水辺のデザインは「水辺の他にない風景」、「ぶらぶらできる施設」、「季節によって変化する半屋内空間」が要点だ。(拙著で「半屋内空間」を定義している)また、道頓堀の中心である戎橋から四ツ橋筋付近で分断され水辺を歩いてつながっていないのも課題だ。<o:p></o:p>

さらに、「ルネッサなんば」は国鉄貨物ヤード跡地の再開発で都市再生緊急整備地域ともなっているが( http://www.toshisaisei.go.jp/  http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tosisaisei/kettei/020719housin.html )、ウォーターフロントの後背地開発としては回遊の連続性、用途の相互補完に課題が多い。特にOCATと湊町リバープレイスはもっと景観、施設利用、来街者の行動など「街を利用する」ソフトの検討が欲しかった。<o:p></o:p>

さらに同じ難波エリアなのに「なんばパークス」との差異や相互補完、相乗効果が明解でない。また施設の連関性では同じJR大型用地再開発でも品川での明解な軸線と通路は分かりやすい。(朝のラッシュは土石流のようだが) 用途もモザイク状でオフィス、商業、複合施設、住宅、公共施設が混在している。ターゲットは車利用の商業客なのか、オフィスなのか明解でない。街並みの形成、エリアのマーケティングに課題が多い。東京のようにオフィス需要が大きく、新幹線もとまる品川ならオフィスで本社ビルが林立されたのであろうが、オフィス需要の伸びない大阪での難しさを切に感じる。<o:p></o:p>

結論として、湊町のウォーターフロントでは日除けを増やし、要所に小型のお店を設けるのが良いだろう。立ち飲みのホルモン串焼でも、串カツでも、ショット・バーでも良い。木陰で憩いながら、夕陽を眺めながら、気に入ったお店を巡ったり、ゆったり佇んだり、芸や音楽を楽しんだりという行動の多様性が欲しい。

コメント
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