都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

デパートの歴史を探る(上):分析編 

2009-11-04 19:50:30 | 都市開発

 デパート業界に元気がない。歴史と今後を探るべく次の3冊を読んで考えた。<o:p></o:p>

「デパートを発明した夫婦」 鹿島茂 1991年 (以下 発明):ボン・マルシェついて<o:p></o:p>

「百貨店の博物史」 海野弘 2003年(以下 博物誌):幅広いエッセイ風<o:p></o:p>

「胸騒ぎのデパート」寺坂直毅 2008年(以下 胸騒ぎ):日本の百貨店の探訪(エレベーターに着目が特に良い)<o:p></o:p>

なお、デパートとは各部門(departmennt)に分かれているが、店舗(store)として一体化しているのでこの名前となったとある。<o:p></o:p>

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歴史(発明・博物史)<o:p></o:p>

最初のデパートはパリのアリスティッド・ブシコーによるボン・マルシェで1852年に共同経営者となり1869年 新店開業した。グラン・マガザン(商品・部門分け・ひとつの建物 募集と分類 商品の百科事典)と呼ばれた。 欲望の装置(発明)とされている。イギリスでは1830年代から萌芽し、アメリカでは1860年から70年にかけての開業があった。(以上博物史)なお、日本 1904年東京で越後屋呉服店を前身とした三越百貨店が最初となっている。<o:p></o:p>

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ボン・マルシェの分析(発明)<o:p></o:p>

超近代な販売システム(ゾーン別・売り子別売上管理)で販売チャネルの合理化し、現金取引、交渉なしの定価・割引(他店より安い)、自由に出入りし商品が見られる、返品可能(今まではツケで相対価格、入ったら出られない)<o:p></o:p>

また、企業運営(マネージメント)の特徴として利益循環システム(売上管理と給与、フリンジベネフィット :社内学校、退職金)と商業のホワイ・トカラー化(徒弟制でないサラリーマン化)がある。社員を中流のモデルとして育て、その応対でお客様のモデルとなったとある。(ただし今は見る影もないとあるが)<o:p></o:p>

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プロモーション(博物史、発明)<o:p></o:p>

バーゲンのシーズン化とテーマ別大売出し、「エクスポジション」 という季別、テーマ、集積がこの頃からある。ゾラは「現代商業のカテドラル」と呼んでいた。<o:p></o:p>

大掛りな建築と吹き抜けという施設も大事だ<o:p></o:p>

さらに、ディスプレイ、商品配置の重要性も書かれている。<o:p></o:p>

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歴史背景<o:p></o:p>

都市化と消費、工業化の時代にデパートは発生した。「消費する喜び」はアメニティ(歴史保存、緑 等)が都市生活を補完するために現れたのと同じではないか。<o:p></o:p>

中流階級への提案があり、今までの格差の穴埋めで「ハイ・ライフ」が目標になった。<o:p></o:p>

博覧会が流行しモノの時代となったとある。<o:p></o:p>

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これに比べ、現在は経済の成熟化、情報の活用と楽しみ(ゲームなど)、デパートをとりまく環境は大いに違っている。<o:p></o:p>

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日本独特のデパート(百貨店)<o:p></o:p>

大食堂、屋上遊園地(高島屋の象 等)、催事、物産展は日本独自ではないか。<o:p></o:p>

松坂屋上野店「デパートの根っこは遊園地と食堂なんですよ!」というのも分かる。更に、大分 トキハ本店では315円の親子丼、カレー、中華丼 和洋中そろい踏みがあり、エレベーターガールの戸の開け閉めに丁寧さがある。(胸騒ぎ)デパートが輝いていた60年代はこの大衆が楽しめる都心のテーマパークであったとわかる。<o:p></o:p>

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(次回は提言編 乞うご期待)

コメント
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