都市の分析を時系列、多国(空間)を要素で分析している。章立てが、到着、歴史、習慣、滞在、街をさまよう、マネー、余暇、都市を超えて と面白い着眼点だ。ただ、データは間違いも散見される。例えば、「東京都心に通勤は250万人」とあるが、昼間人口増加分であり、通勤人数は1,000万人だ( http://www.toukei.metro.tokyo.jp/tyukanj/2000/tj-gaiyou.htm )、新宿の乗降客数(326万人 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%AE%BF%E9%A7%85 )の引用もあるのに矛盾している。<o:p></o:p>
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面白いのは、取り纏めると対立法となる分析だ、当方の再構築では(この方が分かり良い):<o:p></o:p>
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・ダウンタウンと郊外<o:p></o:p>
・骨格:ニューヨーク、ブラジリア<o:p></o:p>
・都市の不衛生:ごみ、排泄物、伝染病<o:p></o:p>
・マストラ整備→Commuterの本来の意味は「定期券(Season Ticket)」<o:p></o:p>
・郊外へのホワイト・フライトと都心荒廃、ジェントリフィケーション<o:p></o:p>
・都心観光、ウォーターフロント再開発での復興<o:p></o:p>
・郊外の発展、イギリス、アメリカ→塵芥、騒音、混雑を嫌う(トマス・ジェファーソン「疫病都市」)<o:p></o:p>
・かつての都市は不衛生であった、道も歩けないほど汚い、大気汚染→現代の中国か<o:p></o:p>
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・車と歩行者<o:p></o:p>
・自家用車という寄生物(ギー・ドゥボール)<o:p></o:p>
・マストラから高速道路と自家用車というモーダル・シフトと都市構造の変容<o:p></o:p>
・広すぎる道路とジェイ・ウオーク<o:p></o:p>
・オランダのボンエルフ、「裸の道路(ハンス・モンデルマン)」による「共有空間」で人間味と居心地重視へ<o:p></o:p>
・自動車産業から衰退するデトロイトはアメリカ版のアクロポリス<o:p></o:p>
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・摩天楼とモール・デパート<o:p></o:p>
・エレベーターと鉄骨が摩天楼を誘発<o:p></o:p>
・デパートは18世紀後半、コルカタの植民地などの「欧州商店」が起源→本当か?<o:p></o:p>
・郊外ショッピング・センターの発達、超大型の出現<o:p></o:p>
・都心の観光商業(フェスティバル・マーケット・プレイス 等)、なお、ロンドンのウエスト・フィールドは都心外辺と思うが、都心商業の理解がいま一つではないか、むしろタイムズ・スクエアを取り上げるのが良い<o:p></o:p>
・アーケード、バザールの歴史は専門書を読むのが良いと思われる<o:p></o:p>
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・文化(劇場、図書館)と風俗<o:p></o:p>
・20世紀初頭のベルリンは3つのオペラハウス、50の劇場、音楽堂など文化で人をよんだ「知の首都」<o:p></o:p>
・風俗街、中世のイギリスには「女性器愛撫横丁(グロープカント・レーン)」( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%97%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%88%E9%80%9A%E3%82%8A )というのが各地にあったとのこと、日本は吉原など、それにしても凄い名前の通りだ<o:p></o:p>
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・貧富(高いところ、低いところ、安全、衛生)<o:p></o:p>
・スラム街 10億人以上<o:p></o:p>
・金持ちは高層マンション、ゲーテッドコミュニティ、貧乏人は不潔な住宅<o:p></o:p>
・都市でも、住宅でも高いところは金持ち<o:p></o:p>
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都市の歴史などはジャレド・ダイアモンドが大風呂敷で面白い、都市の各論は専門書が詳しいため、本著は概論に近いが観点の面白さがある。都市史の入門書の位置付けだ。<o:p></o:p>
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