全体にバブルの頃、アメリカで産業競争力育成のためマネージメント・テクノロジーができたが、筆者は2011年を第三の敗戦と位置付け、日本に適用している。多国籍企業(MNCs)の方策を「ピザ型」としているが、これはアメリカでは当たり前の論拠(20年前に習った)で新鮮味がない。しかし、世に言われる空洞化やリストラなど日本の本丸での創造力減退方策(脂肪のない高齢化)はよくない、その逆こそ生きる道(力と考え)としているのはとても良い。<o:p></o:p>
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ハーシュマンの不均整成長論 (違う観点から改革を考える)、優位性を生かすべく歴史は跳ばないが、連続した改革は加速できるというのが骨子だ。オイルショックが省エネ技術を育てた。今回も変革点というのも力強い。<o:p></o:p>
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面白いのは産業構造が収斂してきていて、付加価値に向かっているという当たり前の検証だ。また、日本はオーバー・スペック好きで低価格に弱いというのも指摘が多い。複雑性セグメントに着目したのは現代の「摺合せ」より「組合せ(企画・設計・製造の分化)」に棹さして痛快だ。更に感性が不可欠で「京都に帰れ」とは嬉しい。<o:p></o:p>
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笑えるのは、学生と産業の一神教の物理から多神教の化学への転向だ。つまりは技術蓄積の「職人」志向だ。しかし、物理も応用など色々あって、これからはクロス・オーバーのできるブリッジ人材がより求められるだろう。(コンサルタントは理系でMBAの出身が多い、両方学ぶと良い)<o:p></o:p>
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日本の病の「平時対応維持(臨機応変な作戦の主導者がいない)」、「中央志向(権力へのへつらいと思考の放棄)」は問題だが、「利害関係調整」は調整システム、規範がない(ごね得、利権など)が問題であり、協議と納得は都市計画でも必須だ。(例えば、これを急いだ神戸の復旧はさまざまな問題を今に残す)<o:p></o:p>
企業の病では、大いに賛同できる。器量の小さい経営者で仲良し役員会、組織の防衛は過剰なクレーム対応(お客様主義とも呼ばれる)、コンプライアンスという内部管理があり、人のエネルギーを疲弊させる(ある建築会社の作業所監督は「報告に忙しくて現場に出られない」とこぼしていた)<o:p></o:p>
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中国との方策は賛同できない。中国自身が巨大な経済規模になるといいうのは国のありようが再度変わる可能性もあるからだ。むしろ、中国の重点的な産業クラスターと協調すべきだ。<o:p></o:p>
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痛快な内容でお奨めします<o:p></o:p>
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