昨年は385冊でちょっと多め。ストレスが多いと読書が増えるという従来の法則どおり。最近は目が疲れて読む速度が遅い。しかも、あまり面白い本が少なかった。
昨年3月のマドリッド、バルセロナ旅行の予習で読んだガウディの研究書は良かった
ガウディ建築のルーツ 鳥居徳敏 ガウディの建築の要素が分析されている、文章は分かりにくいが金字塔、レンガ造、構造表現主義、多彩色(ポリクロミー)、塔群造形、彫塑的造形、洞窟造形、曲面造形
久々の名作ミステリが出てきた
カササギ殺人事件 アンソニー・ホロヴィッツ 作中作と重なる2つのミステリ、作品での犯人の持つ要因(Stupid Cunt)に驚く、出版社での犯行の意図とトリック、そして明かそうとした主人公の名前の秘密、傑作
相変わらず北欧ミステリが充実
少女 犯罪心理捜査官セバスチャン M・ヨート&H・ローセンフェルト セバスチャンの娘のヴァニヤ、娘を失ったトラウマ、ショックで口がきけない少女との出会い、開発がらみの政治と養育殺人、多層の悲しみ、最後に秘密の暴露に
ピラミッド ヘニング・マンケル スエーデンの悲しみのある父や妻を描きながら、苦悩する警部、社会が崩壊していく過程での事件連作
トリックとして感心した
数字を一つ思い浮かべろ ジョン・ヴァ―ドン 数字当てのトリック、犯人のミスの追及など複層したトリックと解明、しかも結婚生活の悩みを抱えるエリート退職刑事
大御所は健在、うまい
偽りの銃弾 ハーラン・コーベン 連続殺人は、夫がシリアル・キラーで富豪の一族が疑う、元女戦士が夫を殺し、自らが撃たれる場面を中継、子供が育つ最後のまとまりが良い
罪人のカルマ カリン・スローター 30年前、ウイルの出生にアマンダが関与、そして叔父が交換殺人と遺産相続と消えた売春婦を妻にするDV、練られたスクリプトが30年前と現代を交錯して記述
珍しい香港もの
13・67 陳浩基 香港警察もの、考えられたスクリプト連作
日本のミステリも良い、奥泉光の文章がうまい
凍てつく太陽 葉真中顕 アイヌ、朝鮮人、日本人が室蘭でのウラン爆弾にからみ交錯、悪役三影の「哀しいなあ」とおとぼけ能代が重要、八尋とヨンチュンの友情
屍人荘の殺人 今村昌弘 よくできた二重密室とゾンビ化の時間トリック、さらに愛情を織り交ぜうまいデビュー作
雪の階 奥泉光 2.26事件当時、華族の友人の心中事件と、その謎、長い文体とゆったりした進行、取り巻く関係者の思惑、読ませる
それまでの明日 原僚 謎の依頼者と父を知らない若者、サラ金とヤクザなどの脱税、不動産の取引などが交錯、最後がしみじみ
有名な古典に満足
夢裡庵先生捕物帳 泡坂妻夫 考えられた江戸捕物連作、時代考証、語り、展開が楽しい、名作
研究関係の著作は良いのがあった。バッタは特に笑える
バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎 笑えるバッタ博士のアフリカでの現地研究と京大白眉プロジェクト、そして人とバッタ、ネットつながり
大坂堂島米市場 高槻泰郎 米の幕府の価格維持、藩の財政、先物、信用、金融への発達、現物先物からオプションへの発展、情報伝達など広範な研究
松竹と東宝 中川右介 京都の成り上がりと慶応のエリートが、歌舞伎、歌劇、映画で大阪と東京でやりあう、歴史資料としても楽しめる素晴らしさ
神社崩壊 島田裕巳 分かりやすい神社体系と出自、神社庁のしきりと伊勢神宮、日本回議、所得と負担、格差
今年は色街や歴史、そして真言密教など読んでみたい