地元の人に聞いても海岸の名前はないようなので私たちは北浦の小さな海岸と呼んでいるが岩風呂跡まで行けるように潮が引くと広い海岸になり途中より絶壁なのでその海岸部分には大きな漂流物が打ち上げられている。
苔が生えた街路灯の鉄柱が打ち上げられていたのが目についていたが私は岩風呂跡の事しか考えてなかったが妹のきんかんは街路灯の鉄柱を素材にした。
”力持ちのカタツムリ”。
松の切株がカタツムリで苔が生えた街路灯の鉄柱の上にはご丁寧に石まで数個置かれていて重そうだ。
切株がカタツムリで角も2本生えている。
きんかんは”力持ちのカタツムリ”を作り終えると潮が満ちてくるから引き上げようと言うが私はどうしても岩風呂跡を使った作品を作りたい。
それに”石柱”もまだ作りかけだった。
きんかんはさっさと持てるだけの荷物を持って引き上げた。
私が岩風呂跡の作品を仕上げて帰るとき”力持ちのカタツムリ”は半分ほど海の中だった。
使われていた植物素材は次に作る作品のためか持ち去られていた。
見渡すときんかんがどうしてあわてて引き上げたかわかった。
私たちが”北浦の小さな海岸”と呼んでいた場所は道路傍だが途中より絶壁になりその箇所がだけが海へセリ出て岩風呂跡へ続きそこまで満ちてくると両サイトは砂浜でもセリ出ている分早く海になる。
満ちてくるとその部分が海になっているので絶壁をよじ登るか海を泳がないと帰れない。
目ざといきんかんは岩風呂跡へ行くときチェックしていたようだ。
ギリギリで海に入ることなく小さな海岸へたどり着いた。