
今日は、緊急入院していた義母の転院手続きに出かけていて、記事のアップが遅くなってしまいました。
少し前に、メタ認知力について、記事書かせていただきました。
メタ認知を高めることは自立した学習者を育てることはわかったけれど、、どうやったらメタ認知力を伸ばすことができるの?」と思った方がいらっしゃるかもしれませんね。
メタ認知力を高めるとは、自分の行動を少し高い視点から眺める力を養うことです。
幼児を育てている親御さんは、
メタ認知なんて難しそうな言葉だから、まだまだ先の話だろうなと受け取ったかもしれません。
けれども、まだ2、3歳という幼い子たちも、言葉のかけ方を工夫するだけで、メタ認知力が伸びてくるし、その結果、情緒が落ち着いて、知恵がついてきて、集中して工作やごっこ遊びなどで遊べるようになってきます。
それでは、具体的な例をあげて、メタ認知力の養い方を紹介しますね。
4歳児0ヶ月の★くん、☆ちゃんのふたごちゃん、1歳10ヶ月○ちゃん、2歳1ヶ月の●くんの4人で、不定期の異年齢のグループレッスンをしたときの話です。
異年齢のグループでは、大きな子も小さな子もどちらも成長させてくれるすてきな出来事がいろいろ起こります。
○ちゃん、●くんは、どちらも2歳前後ということもあって、しょっちゅうおもちゃの奪い合いをしていました。
その都度、力の強い●くんが、おもちゃを取り上げてしまって、「貸さない!いやいや!」と意地をはっていました。
見ていた親御さんが、「ハイッて渡しなさい。どうぞしなさい」と指示を出しますが「いや!」の一点張りです。
○ちゃんは、毎回、おもちゃを取られてしまうことに呆然として、
悲しいそうな表情をして突っ立っていました。
すると、4歳になったばかりの☆ちゃんが、
作っていた薄紙のお花をもうひとつ作りたいと言い出し、「○ちゃんの分」と言ったのです。
「○ちゃんは、ほしかったおもちゃで遊べなかったから、お花を作ってあげることにしたの?」とたずねると、☆ちゃんは、こっくりうなずきました。
☆ちゃんは、喜怒哀楽をオーバーなくらい表現する子で、聞き分けの良いふたごの★くんに比べて、感情的になって泣くことがよくある子です。
でも、それだけにおもちゃを取られて悲しいときどんな気持がするのか、
くやしい時どうしてほしいのか、よくわかっているようなのです。
「☆ちゃんは、○ちゃんが、おもちゃで遊べなくて悲しいだろうなって思ったのね。だからお花を作ってあげたのね」
そう言うと、☆ちゃんは、その通りだと言いたげな真剣な表情になってうなずきました。
すると、その様子を見ていた●くんも、★くんも、
自分からお片づけのお手伝いをしたり、自分の持っているおもちゃを差し出したりしました。
同じような場面で、子どもに親切な行動を教えようとして、
「ほら、かわいそうだから、それをあげなさい」とか、
「これこれしてあげなさい」とか、子どもに指示を出す方がいます。
その場合、反射的に子どもは大人の指示に従うかもしれませんが、
次から進んで親切な行動を取る子はほとんどいません。
また周囲にいる子たちも、他人事として知らんふりしています。
子どもに声をかけるときは、子どもを動かすために指示の声をかけるのではなく、
「これから何をすればいいのかな?」と次の自分の行動に思いを馳せたり、
「どうすればいいのかな?」と問題解決をうながす声かけをします。
それか、上の場合のように、子どもが行動を起すまで大人は何も言わない方が良いのです。
答えを持っているのはいつも大人で、指示を出してもらって、その通り何も考えずに行動することを身につけてしまうと、
いろいろできるようになってもメタ認知の力はなかなか伸びないのです。
それでは、子どもに良い行動を教えられないと思うかもしれませんね。
良い行動は、
大人がお手本として、たびたびやってみせてあげていると、子どもは自然に真似します。また、子どもの良い行動を具体的に言葉で説明しつつ褒めると、
他の子たちも真似します。
子どもに質問する場合、必ず答えを求めるようなことはしません。
その時、答えなくても、問いは子どもの中にでゆっくり浸透しているはずだからです。
メタ認知力を高めるには、自分で何をしようとしているのか、意図がわかった上で行動することが大事です。
たとえば、「ままごとのお皿とスプーンがほしいな」と思って取りに行くだけのことでも、自分で意図して取りに行くなら、
「ままごとをするには、あんな道具、こんな道具が必要だな。何かをするときには、必要なものを取りにいって準備しなくちゃならないんだな。
道具は、あの場所においてあるな。行ったみたら、やっぱりあったからうれしいな。
お母さんがお片づけしなさいって言うのは、取りにいったときなかったら悲しい気持ちになるからなんだな」
といった気づきがあります。
ところが、これしなさい、あれしなさい、と親が指示をしっぱなしか、
これは出しちゃだめ、あれは出しちゃだめと注意しっぱなしだと、いつまでたっても、自分の行動を俯瞰して眺めることができないのです。
それなら声をかけるのをやめて、放っておくと良いかというと、それも問題があります。
子どもが、良くない行動や、良い行動をした場合、その行動をていねいに言葉にしてあげると、子どもは客観的に自分のしたことを振り返ることができます。
周囲の子も、行動とそれに伴う心の動きを理解することができます。
たとえば、意地が悪く見える行動も、まだ相手の気もちを察することができない月齢の子どもたちにすれば、意地悪とは少し異質なものなのです。
叱りつける前に、
「●●くんは、このおもちゃがほしいのね。ちょうだいって言われたら嫌なのね。ひとりで遊びたいのね。おもちゃをハイってしたら、なくなるから悲しいのね」と本人の行動や気持ちを言葉にして説明してあげる必要があります。
そうした上で、「じゃあ、あとで、貸してあげてもいいよって気持ちになったら、渡してね」と具体的に説明すると、たいていの場合、数分で、「どうぞ」と自分から渡しに行く姿があります。
このように、子どもの行動を言葉にしてあげると、メタ認知力がアップしてきます。
子どもが自分の行動や気持をコントロールできるようになるには
長い期間が必要ですから、
無理強いせずに気長に働きかけることが大事です。
また、幼い子にすると、これから自分の獲得する行動や態度を学ぶために、
年上の子にすると、自分の行動を客観的に眺めたり、優しい気持を引き出すために、異年齢で遊ぶ時間を設けることはとても大切だと思います。
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