虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

立ち歩きや破壊行為が、自立した行動になるまで 6

2010-12-22 12:35:28 | はじめに
心理療法家の河合隼雄氏が、
『いじめと不登校』という著書の中で次のように述べておられます。

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最近、『子どもと悪』という書物を執筆を終了し、校正をしていたが、これこそ「生きる力」の具体例だと思い当たった。
端的に言えば、子どもの「生きる力」は、悪の形を取ってあらわれてきやすいのである。
簡単な例をあげよう。
幼稚園で、まったく話をしない誰からも孤立している子がいた。いつでもぽつんとしている。ところが、そのこが、ある特定の子に近寄ってきて、腕をつねった。つねられた子は、もちろん、すぐに逃げてしまったが、しばらくすると、またつねりに来る。

このとき、自分が幼稚園の先生だったら、どう考え、どう対処するだろうか。
実は、これは、今まで孤立していた子の「親しくしたい」という気持ちのあらわれなのである。残念ながら、この子は自分の感情をうまく表現できない。
そこで、つねると、つねられた子は「痛い」と言って自分の方を見たりして、ともかく関係ができるので、こんなことをする。
もちろんつねりに行くのは、その子が好きだからである。
他人をつねることは悪いことだ。
しかし、この場合、ひとりぼっちだった子が他の子と親しくしたいという願い……「生きる力」のあらわれ……としてそれをしている。
だからといって、この子が他人をつねるのをほめるわけにはいかない。
その行為をとめるにしろ、そのときに先生が、これまでは大人しかったのにいじのわるい子になった、と考えるのと、
他の子と親しくなりたいと思うようになった、と受け止めるのでは、その接し方が変わってくるだろう。

      『いじめと不登校』河合隼雄 潮出版社
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虹色教室でも子どもが「自分なりの善悪の基準を作っていこう」
「自分の内なる物差しを作っていこう」
「本当の意味で友だちと仲良くなりたい」
という時の最初のサインは、
「誰々ちゃんが、こんな悪いことしているよ~」の告げ口の形なのです。

自分のことを棚にあげて、友だちの汚点ばかり指摘してくる
言いつけ魔ちゃんたちのつげ口は、ある意味で
悪のひとつの形ともいえますよね。

でも、その告げ口を適当に扱わず、
かといって大人の価値観を押し付けて、
「教えよう」「しつけよう」という接し方をしないでいると、
告げ口の後ろにある子どもの本音が見えてきます。

まず、幼い子たちの場合、自他の区別がはっきりついていないので、
「悪いことしているよ」と言いつける相手というのは、
自分の分身でもあるのです。

悪いことがしたい、
めんどうくさいことはやりたくない、
大人の指示通りに従いたくないという自分の気持ちと、
それを外に出したらお母さんや大人に嫌われるんじゃないかという不安の間で揺れていて、
「あの子はあんな悪いことしているよ。悪いことしても、あなたは嫌わない?自分のことを見捨ててしまわない?」という思いが、
告げ口になっているような一面があるのです。

「先生、●●ちゃんが、ばかって言った~」
と言いつけてくるとき、
●●ちゃんを呼び出して、注意するのではなくて、
「ばかって言うのは悪いことなの?」とその子にたずねて、
「うん」とこっくりすると、
「他にも悪いことばってどんなのがあるの?」とたずねると、
「うん○とか、あほとか~」と言いながら告げ口した側の子が
ゲラゲラ笑い出します。
そういう言葉を使ってみたかったんですね。

そうして、悪いとされる言葉をいろいろ口にした後で、
「あ~大変、そんな悪い言葉を使っちゃいけないね」というと、
告げ口された側の子まで笑いながらうなずいて、それからは、そうした言葉を使おうとしなくなります。

また
「あのね。先生。Bちゃんが悪いの。私はうさぎちゃんを貸してあげたのに、ハムスターいっぱい持ってて、くれないの」と言ってきた場合、

「Aちゃんは、Bちゃんにうさぎを貸してあげたのね。でもBちゃんはAちゃんに貸してくれないのね。それは悲しいね。
貸してもらえないときに、さっき私は、どうぞってしたのにな~どうして、Bちゃんはしてくれないのかな~って思うよね。」とAちゃんの言葉に共感しながら言います。

Bちゃんには、
まず最初に、「あのね、先生、Bちゃんが悪いのって言いつけられて、いやな気持だね。」と今の本人の気持ちに共感した上で、

「ハムスターは大事だから貸したくないの?」とたずねます。
「そう」とこっくりしたら、
「Aちゃんね、ハムスターが貸してほしいんだって。あとで、貸してあげてもいいなと思ったら、どうぞってしてね」と言ってそのまま放って置きます。


こんな風に言いつけた相手が叱られずに、むしろ大切にされて一件落着となったとき、大きな子たちなら
「先生ったら、Bちゃんをひいきしている」とむくれるかもしれません。

でも、幼い子たちの場合、告げ口相手が優遇されると、
一番、安堵の笑みを浮かべるのは、告げ口した子なのです。

おかしな話ですが、
告げ口した子にすれば、告げ口されている側の子も、自分の一部のように見ていて、
そちらの子が厳しく叱られれば、
同じようなことをやりたと思っていた自分も否定されて、嫌われるような気持ちになるようです。

それが、どちらも厳しく叱られず、
自分たちで解決してもよいとなると、
リラックスして賢い判断をして、
自分なりの倫理観でお友だちに優しく接するようになってきます。

もちろん、そうした倫理観を育てていくには、
子どもは状況をきちんと読めていないし、相手からの視点がわかっていないことを
大人が知っていなくてはなりません。
意地悪に見える態度のほとんどは、
意地悪い心ではなく、わかっていないからしているのです。

もめたときに、「自分で解決しなさい」と放って置くのではなくて、
子どもが見えていない部分や
相手の気持ちを
「もし、あなたが、○ちゃんで、こんなことがあったらどうする?」
とたずねて、相手の立場に立って考える方法を説明してあげなくてはなりません。
でも、それ以上は、干渉せず、お互いの判断にまかせるようにします。
そうすると、ほとんどの場合、よい形で解決するし、
その場では解決しなくても、
時が経つと、きちんと出来事を消化して、成長している子どもの姿があります。

こうしたことを書くと、幼い子は、叱ったりしつけたりする必要がないの?
と思う方がいるかもしれませんが、

大人がいつもコミュニケーションのよいお手本を
ていねいに見せる必要はあります。

また、子どもにきちんとルールを説明することも大事です。

ただ、ルール違反が起こったときに、無理やり大人の価値観を押し付けるのでなく、
子どもが自分の判断力や倫理観を
現実の世界でためしていけるチャンスをあげるのです。
(もちろん危険なことなどは別です)

告げ口という形ではじまる関係は、

お互いに自分がやられたら嫌なことは相手にしないで、気持ちよく楽しく
遊んでいこう

という前向きな態度に変わっていきます。

子どもが、いちいち大人の判断をあおがなくても
自分たちで考えていいことがあるんだという気持ちを
共有するようになると、

問題が起これば、周囲の子たちも参加して解決します。

また、それぞれの子が、
自分の内なる物差しのおかげで、
他人が見ていないところでも悪いことはしない『自分で自分を律することができる態度』を身につけていきます。

告げ口が、仲良しに変化していくとき、
子どもは自分の嫌な一面も受け入れて、それと上手につきあいながら
よいところを伸ばしていこうとするようになります。




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言い争いから考える(小1の算数クラブから)

2010-12-19 17:25:56 | はじめに
小1の女の子たちの算数クラブでのこと。
「工作でハムスターの学校や幼稚園が作りたい」と言うので、材料の入っている箱から選ばせると、「私これ!」「私これ」と包装紙を何枚も取って床に敷き詰めました。
それから空き箱で学校や滑り台などを作りはじめました。

月1回している算数クラブでは、最初の1時間10分ほどは工作やボードゲームなどで遊んで、
残りの50分は算数の学習をしています。

遊びの内容は子どもたちに決めさせているので、
4人グループのうち、3人は工作を始めたものの、1人の子は積み木のお城作りをしていました。

最初、積み木のお城は部屋の中央で作っていたため、
工作をしている子たちが何度か足を引っかけて、積み木を崩してしまい、
軽い小競り合いになっていました。

「先生~せっかく作ったのに壊される~」
「先生~だって、作ろうと思って後ろに下がったら、積み木があるんだもん」と双方がぶつくさ言うので、

「よく見てよ。積み木を作っている子のスペースと、工作をしている子のスペースは、部屋を半分に分けたところで、半分ずつだから、1対1の比なのよ。
でね、面積は約1対1だというのに、人間の比はどうなの?」とたずねました。

すると、ふくれっつらでけんかしていた子たちが、「1対3!!」と笑いながら答えました。
「面積が1対1のところに、人が1対3で遊んでいたら、そりゃぁ、狭い~ぶつかる~とか言う人が出てくるよね」と言うと、
「じゃ、引っ越ししよう!」と、積み木をしていた子が移動しはじめ、それを手伝う子も出てすっかり仲良しに。それからは部屋を四分割にして、遊んでいました。
少しすると、生まれたばかりのハムスターを大量に箱に入れている誕生コーナー。
ウサギのぬいぐるみのおっぱいを吸ったり、背中に乗っているハムスターたちがいるベビーコーナー。
学校、公園なども作っていき、積み木のお城の子も遊びに参加して、
最終的にセレブになったハムスターベビーたちがお城で過しているというストーリーが展開していました。

教室で学習前に遊ばせているのは、1時間以上創造的に遊んで遊びこむと
学習意欲や集中力や考える力が増すからですが、
それとは別にいろいろと良い効果があります。

遊びの場面で、「ずるい」「おもしろい」「うれしい」「くやしい」といった感情を通して考えた算数の概念は、
子どもが本当の意味で「わかる」からなのです。

それから、遊びの場面で、「こうしよう」「ああしよう」と自由に思いつきを遊びに移す体験をすると、
立体の図や線分などをラフに描いて、自分で考えていくことが上手になってくるからです。

最近の子たちは、問題を読みながら、ラフな図を描いてみるというのが苦手です。どんなに簡単なものもゼロから自分で何かしなくてはならないものに
尻込みしがちなのです。
もし、そうした図を訓練で教えたとしても、ちょっと問い方が変わって
変形した図となると手も足も出ません。

子どもたちに必要なのは、訓練ではなくて、
問題をよく見て、自分の力でイメージして解決していける創造的な力なのです。
それは机に座ってする勉強よりも、友だちと遊び、協力しあい、ぶつかりあい、自分たちで問題を解決するときに身についてきます。

たくさん遊ぶと、より高い視点から物事を眺めて理解する力がつくので、学習効率もずいぶんちがいます。

この小1生たちも、遊んだあとで、2桁かける1桁のかけ算の筆算、割り算の筆算、分数の足し算、小数の大小について教えたところ、自分たちのしていることの意味をきちんと理解して、
すぐにマスターして解けるようになっていました。

この子たち、遊び時間があと10分で終わるというとき、「あ~あと1時間、遊び時間があればいいのに!」「あ~3時間だったらいい」「もう、ここに泊まっちゃおうよ。遊び時間、24時間だよ。ねぇ先生いいでしょ!」と冗談を言いながら、笑っていました。


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幼児の思考力を伸ばす方法  ガイドライン 2

2010-12-17 14:36:38 | はじめに
前回の記事の 就学前の「学習」環境の設定する研究にもとづいたガイドラインの続きです。
この本は、「脳の発達と子どもの行動や学習との関連を調べている発達神経心理学の研究」したもので、
著者のジェーン ハーリーは、神経心理学・認知心理学の研究と臨床に携わっている方です。

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★心的パターンは感覚連合のネットワークの上に作られる。
感覚的な世界のパターンに注意を向かせるように子どもたちを仕向ける。
たとえば、「これはどんな味がする?」「それは何の形に似てる?」など。

★視覚的なパターンはどこにでもある。「空に映っている木の枝をみてごらん。
まるで木が腕を伸ばしているように見えないかい。絵に描くと面白いかもしれないね」

★順序づける技能を教える。ものを大きい順位並べたり、出来事や単語を覚えたりすることを教える。
因果関係のような抽象的なつながり(たとえば、もしXをすればYが起きる)について話すことも役に立つ。
しかし、就学前の子どもたちは彼らが期待したとおりの順番になるかどうかにこだわるはずである。
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教室で子どもたちが遊んでいるとき、自由でリラックスした雰囲気を作ると同時に、感覚的な世界のパターンに注意を向かせる質問や、視覚的パターンに興味を抱かせる言葉をかけます。

また、子どもが興味を持った素材を、順序づけたり、因果関係について冗談を言ったりして、遊びを盛り上げます。

こんな風に私が子どもと遊んでいるとき、
ほとんどの親御さんは、子どもが何をして遊んでいるか、どんな新しい技術をマスターできそうかだけを気にしています。

そのため、子どもがお家でいつもしている遊びを教室でもしたがり、
大好きな遊びですから、
ちょっとした言葉かけで、感覚的なパターンや視覚的なパターンについて
見つけ方や分析の仕方に気づいたり、順序や因果関係に興味を抱くようになっていたとしても、
「それは家に帰ってからできるから、
別のもので遊んだら?」とせかしてしまいがちです。

子どもにいつも知的な目に見える成長を望んでいる親御さんというのは、
「もう字が読めるの?」「もう、~できるの?」
と周囲が感心するような課題には注目するのですが、
もうできていることややっても成長しないように思える遊びは
できるだけ早く切り上げさせようとしています。

その結果、できるようになったことが、ただできるだけに終わってしまって、
頭の中で、より抽象的な概念に情報をまとめていく作業がおろそかになっているのをよく見かけます。

子どもは同じことを繰り返したり、できるようになった体験を横に広げて、同じレベルで「もういい」と自分が納得するまで遊びます。

それは大人の目からすると赤ちゃんぽく映るものもたくさんあります。
でも、それは無駄な時間ではなくて、
作業が子どもの中で統合されていく過程でもあるのです。

子どもが何度も同じことをして、余裕でその遊びに没頭するときには、
感覚的なパターンに注意を向けさせたり、視覚的なパターンに注意を向けさせると、
子どもは頭を使いながらおしゃべりするのを喜ぶようになります。

虹色教室では、2歳くらいから工作もどきの遊びを楽しんでいます。
そうした子たちの育ちを見ると、はさみを切ったり、
粘土をこねたりする活動に熱中したあとで、それまでできなかった課題が急にできるようになるという
成長が見られます。
知的な課題の訓練はほとんどしていないのに、工作遊びの期間に
飛躍的に知性の伸びが見られるのです。
子どもがやりたがることを存分にやらせるとき、子どもの能力は急速に伸びていきます。また、そのとき、大人の適度な言葉かけも大切です。

ペロ嫁の 工作 de 知育な日記NEW! のペロ嫁さんが、
★工作で、親の力の入れどころ & 子供に与える物って難しい・・・
という記事の中で、ひなのちゃんが、工作遊びするうちに、いつの間にかいろんなことができるようになったことを書いておられます。

また、工作をするようになるためのヒント↓も。
★我が家の、子供を工作に誘うコツ & 進化・・・変化?・・・する工作 ^^


maple family の記録のお姫ちゃん(3歳3ヶ月)の工作の様子
の記事も幼児の工作環境を作る参考になるかと思います。
★まちの工作

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少し前に記事に書いたオンライン教材についてご質問をいただいています。
オンライン教材はただいま製作中で、来年の春ごろ発売予定です。



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子どもの間違いから学ぶ方法 2

2010-12-13 20:35:50 | はじめに
子どもの間違いから学ぶというのは、
子どもが「あれっ?」というところで間違えたとき、
教え込んでわからせるのではなくて、
「こうした概念に気づきにくい生活をしていないかな?」と子どもの暮らしを見直して、環境を改善したり豊かにしたりしていくことです。

幼児教育には、賛成派、反対派、どちらもいらっしゃることと思います。
私は子どもの世界に評価や競争を持ち込んだり、
ペーパーでの学習をたくさんさせたりすることには反対です。

しかし、
幼児期に小学校受験に出てくるような
『数量・比較』『お話の記憶』『言葉』『常識』や『図形』や『推理』といった問題に触れて、

きちんと集中して話を聞いたり、聞いたことや見たことを記憶にとどめたり、
表現力を豊かにしたり、推理したり、図形で遊んだり、
理科や行事などの常識問題をしたりして、
頭を使い方や頭を使う楽しみを知るのはよいことだと考えています。

そうした頭を使う体験を、遊びや生活の中で
たくさん楽しめるように工夫しています。

そうして、問題を出すとき、子どもが間違えるときがありますよね。
間違えるたびに、
「間違えてもいいんだな。チャレンジすることこそ大事なんだな。どうして間違ったのかよく考えてみよう」
という気持ちになるように、気をつけています。
親御さんによっては、できないと、いちいちその場でわからせようと
説明をはじめる方もいるのですが、
私は、大人が、子どもが今、理解のどの段階にいるかを把握すれば十分だと思っています。
あわててできる状態にするより、
自由にリラックスして、たくさん間違えることができる場にすることを優先しています。

女の子のグループレッスンの子たちは、語彙が豊かで、とってもおしゃべりです。

ですが、女の人がいろんな家事をしている絵を見せて何をしているのか問うと、せんたくものをほしているときは、「せんたくしている」
たたんでいるときも、「せんたくしている」
ほうきで掃いている絵は、「そうじしている」
と言ってました。ハトが、エサをついばんでいる絵は、「食べている」
猫がつめを研いでいる絵は、「ひっかいている」と答えました。


正解と言えば、正解なのですが、
「ほす」「はく」「たたむ」「ついばむ」「とぐ」といった
絵を正しく表現する言葉が使えているかというと、
三角かな?というところ。
こんな場合、「間違っているよ」とは言わず、
「せんたくしている」と答えれば、
「そうね、せんたくものを干しているね」と正しい言葉で返してあげるといいですね。
それから、家庭では、子どもがおしゃべりだと、大人は言葉を気をつけて使おうとはあまり思わないのですが、
少しだけ言葉の世界の豊かさを味わうような会話をするよう
つとめるとよいかと思いました。

虹色教室通信では、よく「はやくはやく」とせかさない……ということを
繰り返しています。
それはつまり、豊かな言葉の世界をゆっくり味わうことや、
自分の言葉で、考えを練ってみること、
身近な不思議に科学的な疑問を抱いてゆっくり親しむことを意味しています。
目に見える成果の陰で、
そうしたものが犠牲にされているのをたびたび見かけるからです。

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1歳10ヶ月チーくんのレッスンから♪(赤ちゃん時代からちょっと卒業)1

2010-12-10 07:06:53 | はじめに
昨日は、つんつるせんせいと つんつるえんのふたりというブログのasibeさん家のチーくんのレッスンでした。
虹色教室のレッスンに行ってきました!
チーくんは、お姉ちゃんのレッスンのつきそいやベビーのグループレッスンで、何度か教室に来てくれたことがあります。
これまでは毎回、上機嫌で積極的だったのですが、
今回は来るなり固まって、じーっと私の顔を見つめていました。
その後、すぐにおもちゃの方には向かっていかず、私の様子を見て、お母さんの顔を見てをゆっくり繰り返しながら、
おもちゃを手渡しても、そのおもちゃを見るお母さんの様子を見て、私を見て、おもちゃに触れて~と恐る恐る動いていました。
その視線の動きと表情は、「お母さんは、これをどんな風に見ているかな?」と、うかがっています。
お母さんの視線を追って物を見て、
それを見ているお母さんの表情を見て、次に私の顔をまじまじと見た後で、
ようやくおもちゃを触っていました。

チーくん、自分以外の他者の視線や、その人の表情にとっても敏感な時期のようです。
急速に知恵がついてきて、赤ちゃん時代を卒業しつつあるのでしょう。

チーくんに電車のおもちゃを渡すと、
手の中でゆっくりくるくる回しながら、正面から、横から、上から、後ろから、裏からと順に眺めては「んー」と言って指差して、
お母さんの顔を見て、

お母さんは、ぼくの指差しているもの見てるかな?どんな顔してみているかな?
と確かめる動作をしました。

「チーくん、いろんな方向から物を眺めるのが面白いみたいですね」と言うと、
「以前、虹色教室通信で箱のいろんな面に穴をあけて、
ミニカーで遊ぶ方法が載っていたので、やってみたらとても喜んで、それ以来、いろんな方向から眺めては喜ぶようになったんです」というお話でした。

そこで、ブロックのトンネルの真ん中に窓を開けて、電車をくくらせてみました。
すると、最初は、電車がトンネルの先から現われるたびに大はしゃぎして、
トンネルの先をのぞきこんでいたチーくんが、
上の窓からも電車が見えることに気づいて大感激。
「あー、んしゃ、がだんがたん」と言いながら、指を指しては
お母さんに見るよう強要していました。
そのたびに、私の顔も見て、「んきゃっ」といって得意げな笑顔も向けていました。

このトンネルを少し改造して、コインを入れると
ウルトラマンのカードが出てくるようにすると、
こちらも大ヒット。
最初の緊張はどこへやら、
何かするたびに、私に向かって、満面の笑みで、「見て!すごいでしょ!」というポーズを取るようになってきました。

次回に続きます。


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 ブロックス で面積当てクイズ 2

2010-12-09 07:47:49 | はじめに

ブロックス勝負……同じ色で正方形を作るのはきついと判断した3人……
いきなり一致団結して、
「みんなで合体させて、大きいの作ろう!」と言い出すがはやいか、
写真の15×15の正方形を作って、「勝った!」「勝った!」と
笑っていました。

「それにしても、15×15の面積は、九九では答えが出せないね。
答えを出すよい方法はあるかな?」と問うと、
全て数えきろうとするYくん。
「そうね。全部数えるのは良い方法だけど……。大きすぎる場合、切って分けてから考えることもできるよね」と言うと、

10×10=100なら3人ともすぐわかるということで、その(延長)線で4つの面に切り分ける案が出ました。
案を出し、
10×10と、5×10、5×5、10×5の4つの面に分けると良いということで意見が一致しました。

この3人、幼児期に工作や積み木、ブロック遊びをたっぷりしてきたので、
面や立体について、さまざまな角度から考えていくことがとても得意です。
幼児期のもの作り体験は、図を見ると、補助線が自然に浮かんでくる
状態を作ります。
また、習っていなくても新しい問題解決の方法を思いつくことも
上手です。こうした能力も、工作などで養えます。

ブロックスなどを使って、直感的に面積を理解する遊びをしていると、
中学入試で『面積図』を使って、平均やつるかめ算などを考えていく
ことも得意になっていきますよ。



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2歳10ヶ月の女の子のレッスンから♪(子どもの個性を引き出す働きかけ)

2010-12-08 09:09:08 | はじめに
昨日は2歳10ヶ月の☆ちゃんのはじめての親子レッスンでした。
☆ちゃんは、分類すること、同じ仲間で集めること、
1つの皿に1つずつ物を乗せていくこと、
卵のおもちゃの中に、1個ずつどんぐりを入れていくこと、
積み上げること、それを元のケースにきちんと収めること、
すべる動き、回転する動きなどに興味を持って、
ひとつひとつの遊びに集中して取り組んでいました。

☆ちゃんは、自分で何をしようかと決めたり、
自分であれこれ考えたり、
選んだことを根気よくやりぬく能力が優れた子です。

それで、「何をしようかな」と黙って周囲を見回しているときや、
「これをしよう」と自分で決めているときは、
☆ちゃんのお母さんが、「あ、☆ちゃん、こんなものがあるよ」「~をしてみたら~」と声をかけても、
まるで聞いていないように無関心でした。

そこで、
「この子は、周囲の誘いや声かけで自分のしたいことを決める子でなく、
自分で何をしたいか決めたり、よく観察して考えたりするのが得意なようですから、誘うタイミングをもう少し、この子のペースにあわせるといいかもしれません」とアドバイスしました。

思ったとおり、☆ちゃんにあれこれ指示を与えたり、
アドバイスするのを控えて、何を選んだのか、どんなことを考えているのか引き出すようにして遊びました。
すると、
そわそわしていた☆ちゃんが、笑顔を見せて、楽しそうにおしゃべりしながら、
同じ種類のもの同士分類し、
たまごのおもちゃにはひとつひとつ中身を入れ、
よくお手本を見て、難しい課題に取り組もうとしはじめました。

お料理やケーキを作って遊んでいるとき、
☆ちゃんに、1つ~5つの穴が空いてい木製の立体パズルを順番に箱に入れてから、
ひっくりかえして、5段のケーキを作る方法を見せました。
すると、興味を持った☆ちゃんは、自分で、パズルにピースを入れ始めました。

1,2まで入れて、次に4を入れそうになったとき、☆ちゃんのお母さんが
「それはこうするのよ」と正しい方法を教えそうになりました。

「何度か間違えると、この子は自分で正しい方法に気づくので、
ちょっとだけ待ってくださいね」とお願いして様子をみました。



レッスンが近づいたので次回に続きます。


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小学校受験に合格し、算数の能力を発揮しはじめた☆くん

2010-11-27 20:50:35 | はじめに
☆くんとの最初の出会いは、4歳のときです。当時、☆くんは、
病院で、重度の自閉症の診断を受けていました。
初めて会った頃の☆くん
いっしょに何度か遊んだときの印象は、
重度というより中度の診断を受けている子に近い気はするけれど、軽度の子たちとは明らかにちがうコミュニケーションの成り立たなさや、理解する力の弱さを感じました。
4歳で会った当初は、
定型発達の子の1歳3ヶ月~2歳くらいの子たちとの遊び(お散歩に連れて行って、あれこれやりたがることを、少しフォローしながらさせてあげる)
をすることでで伸びそうではあるけれど、
数分、いっしょにそうした遊びをするのも難しい……というのが現実でした。

その後、☆くんはゆっくりゆっくり成長していきました。
親御さんの教育や兄弟姉妹との遊びの中でできることが増え、
ばらつきはあるものの、高機能自閉症やアスペルガー症候群の子と同じレベルのことも、ちらほらできるようになっていました。

☆くんが5歳のとき、教室に通っていたアスペルガー症候群の子が小学校受験に合格した
ことがきっかけで、☆くんのお母さんから、
「☆くんに小学校を受けさせてみたい」というご相談を受けました。
☆くんはアレルギーがあり、公立小の給食が食べられないため……という理由でした。
受験したいという小学校は、プリントの試験だけでなく行動観察や面接もあります。
「結果はわからないけれど、無理のない形で学習をしてみましょう」ということになりました。
☆くんのお母さんが、
小学校受験用の塾に☆くんを連れて行ったところ、集団でのレッスンは無理だろうと告げられたそうで、個人レッスンを受けることとなりました。

私も、☆くんが極端に苦手な分野、お話の記憶や推理の問題など、少しずつですが関わってきました。
そして、先日のレッスンで、☆くんが小学校受験に合格したという
うれしいお知らせを受けました。

うれしいことはそれだけではありません。

☆くんは、字や漢字は読むけれど、意味を理解するのが、
極端に苦手な子でした。絵本の絵を見せて、そこに描かれている絵について
たずねても、ちんぷんかんぷんな答えがかえってきていたのです。
それが、この1年ほどの学習で、考える力がグーンと伸びたようなのです。

立体図形を作って遊ぶときも、向かい合う面や立方体を作る方法をきちんと理解していたし、
ぴぐまりおん1~2年生の『数独の問題』の解き方を教えたところ、
すごく気にいって、自力でたくさん解いていきました。
上の写真は数独をする☆くんです。

『数独の問題』を解く☆くんは、□が2つあるとき、それは3か4の可能性があると仮定して、横の列の数を見て、3があるとすれば、4を決定し、もうひとつの□には3を入れるという
論理的に考えていかなければならない方法をたちまちマスターしました。
☆くんが、こうした問題に接したのは初めてだと聞いて、
とても驚いてしまいました。
今後も、算数分野の力が伸びていきそうです。

子どもの成長する力はすごいので、現状だけを見て、簡単にあきらめたり、決め付けたりしてはいけないな~と、感じました。


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東京の工作イベントの部屋の名前について

2010-11-12 22:08:52 | はじめに
11月13日(土)パルテノン多摩 リハーサル室
        13時30分~16時30分

11月14日(日)浅草公会堂  第一集会室
        9時半~12時
        13時~15時30分

★両日とも、
レジャーシートをお忘れにならないようにお願いします。

たくさんの方々が集まりますので、インフルエンザ等を流行らせてしまうと大変です。
とても申し訳ないのですが、風邪等で熱がある方は、参加をご遠慮ください。

名古屋工作イベント (うで時計♪) 15

2010-11-05 17:46:39 | はじめに
名古屋工作イベントの様子を紹介し終える前に、ココプラザのイベントが~!!
イベントが続いているので、ブログを休止しておいて
本当によかったです。
(気兼ねなく、工作イベントの記事ばかりアップできますからね♪)
この調子だと、ココプラザの工作作品を紹介し終えるころに、東京の工作作品が続きますね。飽きた~という方は、ブログ休止中の期間だけですので、もう少し我慢してくださいね。

東京には、工作イベントの後、私用でもう少しの期間滞在しますので、
東京でのイベント後の作品紹介は少し後になります。

工作イベントは大人数になるので、当日、作品についてのアドバイスをしきれなかったり、ゆっくり作り方の学習をしてもらえない場合があります。
そんな訳で、できるだけ記事でお伝えしようとは思っているのですが、
はんぱない量で……すべて書ききれていません。
作品が載っていないという方ごめんなさい~♪

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滋賀の工作イベントから、工作熱が続いている★くん。
自作の腕時計が決まっています。
後ろに映っている車や線路も★くんの作品です。

工作する★くんは、自分の中にどんな物がどんな風に作りたいか
というイメージがしっかりあります。
それで、とてもしっかりと、手順や作り方を説明するのです。

こんな風に、作りたい工作物をきちんとイメージできて
自分なりに試行錯誤できる3,4歳の子たちというのは、
少しすると、ゲームのルールを理解したり、
知的な課題に取り組んだりするのがとても得意になっていきます。
工作そのものの出来不出来より、
目的意識を持って何かに取り組めることと、
振り返って自分のしたことを眺められることが大事だと感じています。

工作イベントの後で、★くんは、小学生のお兄ちゃんの作っていたATM
が気に入って、お家で作ることにしたそうです。
しっかり学んで帰っていますね。



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