虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

いろいろなものがリンクしあっている世界を味わう

2016-10-11 09:52:52 | 理科 科学クラブ

子ども向けの科学絵本に松ぼっくりを水につけると、松ぼっくりの形が変化する話題が載っていました。

雨から種を守ろうとする自然の知恵なのだそうです。

 

教室には1年前にいただいた 「だいおう松」の巨大な松ぼっくりがあります。

科学絵本を見ながら、「これを水につけたらどうなるかな?これも絵本の松ぼっくりみたいに変わるのかな?」と問うと、「ムリムリ!だって、これ死んでるもん」と子どもたち。

確かに1年も棚の上に放置されていたものですから、「死んでいる」と言われるのも仕方がないのかも。

ダメもとで実験。水を入れたボウルの中へ。

 

子どもたちは工作の合間に松ぼっくりの様子を見に行っては、「あー、すごい、形が変わっていってる!!」と大騒ぎしていました。

思った以上の展開に、わたしもびっくり!!

 

2時間後の姿はこちら……↓

表面は松ぼっくりというよりパイナップルのよう。

まったく別の植物のように変形。

サイズは3分の1ほどに縮こまったように見えます。

小1のAくんは、数分おきに松ぼっくりの変化を見に行って、「うわぁー!アルマジロみたい」と喜んでいました。

後でお母さんからうかがったところによると、最近、Aくんは大きな松ぼっくりを見つけて家に持って帰るという経験をしたところなのだそうです。

その経験そのものは日常のちょっとした出来事だったのでしょうが、そんなささやかな経験のひとつが、次に別の形で出会った時の強い好奇心の引き金となるんだな、と感じました。

 

少し前にブログでHEPでやっている『もうどく展』の紹介をしたところ、さっそく見てきたという子が何人かいました。

『もうどく』展を見てきた子たちと、植物も生き物も他の動物に食べられないように、自然の知恵を使って必死で生きているだね、という話をしました。

『もうどく展』を見てきたという子たちは、このだいおう松の松ぼっくりの変化に対して、「松の針のチクチク攻撃で他の動物が近づかないように自分の体を守ったり、

水がきても種が大丈夫なように変形したりして、すごいなー」とより深く感動していました。


工作『レントゲン』 と らせんに切る道具

2016-10-03 19:00:36 | 理科 科学クラブ

レントゲンのおもちゃの作り方を紹介します。

紙に7mmほどの穴をあけたものに、鳥の羽根の細い筋が整って並んでいる部分を貼ります。

 

基本の作り方はこれだけです。

見栄えをよくするために、同じように穴をあけた紙を上から貼ったり、機械に見えるように飾りつけたりします。

 

蛍光灯の光に向けて手をかざし、

レントゲンのおもちゃの穴からのぞくと、レントゲン写真のように透き通った手の中に骨が見えます。

 

「すごいすごい」と喜んでいた小1のAちゃん。足の骨が見えるかためしていました。

ばっちり見えたそうです。

 

これを見たうちのダンナさん。

「よく知ってるな。それ、昔、赤い羽募金で作るのが流行っていたよ」と言っていました。

「目の錯覚で指が細く見えるのが骨に見えるんだろう?」とのこと。

 

ついでに、100円ショップ(セリア)で見つけた野菜をらせんに切る道具を紹介します。

プラスチックの刃でカットするので危なくないです。

背後に映りこんでいるトラのぬいぐるみは気にしないでください。


 ベイブレードの研究

2016-09-14 08:35:36 | 理科 科学クラブ

今日は、小1、小2の子どもたちの科学クラブでした。

前々から、『ベイブレードの研究』がしたいと言ってたので、今日はそれぞれの子が自分のベイブレードも持ち寄って、回転する秘密や持続力、データー処理の仕方などを学びました。

ベイブレードの持続力勝負。

2回戦で、コマが回っている時間を競います。

タイマーを10分に合わせて、そこからスタート。

ストップした時点で、10分から残り時間を引いて、回転時間を求めます。

4人とも、分や秒の計算がよくできていました。

 

結果は折れ線グラフにもまとめます。勝ち負けが関わっているので、どの子も必死。

グラフの意味をよく理解していました。

写真は、迎えにきた親御さんたちに、グラフの意味と、計算の仕方を説明しているところです。

ただ「わかっている」だけでなく、「わかっている」ことを、他の人にも伝わる言葉で表現する訓練を大切にしています。

ベイブレードの研究の他、からくりハウス作り(空気の仕掛け、ゴムの仕掛け、音の伝わりの実験、回転を利用した仕掛け)などを、作りました。
化学実験(さまざまな化学反応をさせて、二酸化炭素を作る実験)をしました。

グミの作り方

2016-08-04 08:17:08 | 理科 科学クラブ

夏の科学クラブで『グミ』を作りました。

 

グミの作り方はとても簡単で楽しいです。

グミ用の型は100円ショップ等で売っています。

 

すっぱいジュースを使う場合、レモン汁はなくてもOKです。

 

<グミの作り方>

 お好みのジュース   大さじ3

砂糖        大さじ1

粉ゼラチン     5g

レモン汁      数滴 

 

①マグカップなどにジュース、粉ゼラチン、レモン汁を入れて、

電子レンジで30秒温めます。

 

②砂糖を入れて混ぜます。

 

③スプーンでグミ液を型に流し入れます。

 

④冷蔵庫で30分以上、固まるまで冷やします。

 

 

グミ作りの際、5g入りのゼラチンの袋を手で持ってみて、

どれくらいの重さか確かめあいました。

そんなふうに自分の手を量りのように使って、5gとはどのくらいの重さか、

それなら1gというのはどのくらいなのかと推理していると

重さに対する感性が高まってきます。

 

グミ作りでは、液体から固体への子どもたちにとって魅力的な変化を体験できます。

ぜひ一度、作ってみてくださいね。

 


寺田寅彦のエッセイ と夏の理科遊び

2016-07-27 07:49:10 | 理科 科学クラブ

小学生の頃、学校の図書室で、
岩波少年文庫の『科学と科学者のはなし』寺田寅彦エッセイ(池内了編)を読んで
えらく感激した記憶があります。
古本屋でその本を見つけたので、買ってきてさっそく目を通しました。
今、読んでも、とても面白かったです。

読みながら、紙芝居か、実演で、
子どもたちにこの本の面白さを伝えたいな~という思いが
湧き上がってきました。

まぁ、そんな大がかりなことをする前に、

教室の科学クラブで子どもたちに
この本をもとに小さな実験をいくつか見せてあげて……

それからブログでこの本を紹介して、
夏休みにこの本に目を通した親御さん伝いに、寺田寅彦の思いが少しでも子どもたちに浸透していくといいな~と感じて……

さっそくブログの記事にすることにしました。

まず、大好きな『茶碗の湯』というエッセイ。

物理学者の寺田氏が、湯の入った茶碗ひとつを前にして、
繰り広げる話です。
茶碗の湯って、何のおもしろみもないようですが、よく気をつけてみていると、
だんだんにいろいろの微細なことが目につき、
さまざまな疑問が起こってきます。

湯の面から立っている白い湯気は、熱い水蒸気が冷えて、小さなしずくになったもの。
雲や霧の仲間です。
黒い布をむこうにおいてすかすと、
粒の大きなしずくはチラチラ見え、

日光にすかせば、場合によっては、虹のような赤や青い色がついているそうです。
これは白い薄雲が月にかかったとき見えるのと似ているそう。

茶碗から上る湯気をよく見ると、暑いかぬるいかおおよそわかるのだとか。
暑い湯は温度が高くて、周囲の空気より軽いため、どんどんさかんにたちのぼり、湯がぬるいと弱いのです。

湯気が上るときはいろいろの渦ができます。茶碗の上で起こる渦の大じかけのものは、
雷雨のときに空中に起こっている大きな渦です。

白い茶碗に入っている湯は、ひなたで直接日光に当てて底を見ると、
ゆらゆらした光った線や薄暗い線が不規則な模様になって動いているのが見えます。
夜、電灯の光を当ててみると、もっと鮮やかに見えます。

茶碗の湯が冷えるのは、湯の表面の茶碗の周囲から熱が逃げる為。表面にふたをしておくと、茶碗に接したところでは湯は冷えて重くなって下方へ流れ、
真ん中は上へ。
ビーカーの底をアルコールランプで熱したときの水の流れが、
湯の中の糸くずの動きで見ることができるのだとか。

いっぱいの茶碗の湯は、他にも「かげろう」のでき方、湖水や海の水の流れ方、

山谷風、モンスーンなどがどうやってできるのかなどを、
わかりやすく教えてくれるそうです。

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寺田氏の言葉に次のようなものがあります。
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俗に明きめくらというものがあります。
両の眼は一人前にあいていながら、肝心の視神経が役に立たないために
何も見ることができません。

またたとい眼あきでも、観察力の乏しい人は
何を見ても、ただほんのうわつらを見るというまでで、
何一つ確かな知識を得るでもなく、ものごとを味わって見るでもない。
これはまず心の明きめくらとでも言わなければならない。
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子どもたちを『心の明きめくら』にしてしまってはいけませんね。

子どもたちとともに、いろんなものをゆっくりじっくり味わいたいな~
と思いました。


食べ物を使った 理科の実験

2016-07-19 09:33:29 | 理科 科学クラブ

小2の☆ちゃんと、食べ物を使った理科の実験を楽しみました。




にんじんの中央にスプーンで少し穴を掘って、塩を詰めます。


2~3時間の間にどんどん水が出て、にんじんがしわしわになっていきます。

簡単な実験ですが、作業が楽しくて、

子どもからさまざまな気持ちや疑問を引き出す実験です。

これまで、この実験では、子どもたちから、野菜には水が含まれているのか……。

塩が水を吸って湿ってくるのが面白い。

にんじんが汗をかいたり、おしっこしたりしているみたい……。

といった感想がありました。


野菜からでんぷんを取り出す実験もしました。


牛乳に柑橘類の汁を入れて、ヨーグルト状に固める実験もしました。


質問「子どもたちと実験するとき大事にしていることって何ですか?」

2016-07-17 12:57:31 | 理科 科学クラブ

理科実験についてこんなコメントをいただきました。

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4歳の娘がいます。

工作はいつの間にか親の発想を超えたものを作るようになりました。

子どもってどんな子も工作が天才的な時期があるんじゃないかなぁと

実感しています。

そんな娘を見て、そろそろ科学の実験みたいなことはどうだろうと思い、

自由研究大図鑑のような本から実験をしてみようかとやってみるのですが、

なにぶんうまくいきません。

まず、本に載っているような明確な結果が出ず、たいてい失敗します。

そうすると、何をしたかったのか私も子どももよくわからなくなり、

実験とは離れた別の遊びになりうやむやに終わるといった感じです。

私自身が理科の授業の実験が苦手でした。

答えが教科書に載っているのにどうしてやらないといけないのかと

思ったし、実験ってあまり教科書通りにいかないですよね。

結局、失敗したけれど本当は教科書のものが答えですというような授業の

流れも苦手でした(^_^;)

お風呂の中で子どもが自分で思いつくような実験ぽいものは楽しんで

やっているので、今はまだその段階でよくて、

実験の意味を理解し、結果の予測みたいなものができるくらいになる

時期までもう少し待ったほうがいいのでしょうか?

いつか実験を楽しみたいと思ったときのために、先生が子ども達と実験を

するときに大切にしていることって何なのかお時間があるときに

教えていただけると嬉しいです。長文失礼いたしました。

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3~5歳の子たちと理科実験をする時に大切にしていることを書いた

過去記事を紹介しますね。

 

幼い子たちと理科の実験をするとき、

手品のようなすごい科学実験よりごくごく素朴で当たり前で、

大人にとってはそんなの実験と言えるの?というくらいのものの方が、

物の科学的な性質がわかって喜ぶことがよくあります。

 

写真は氷と湯(お風呂の温度くらい)を使った実験です。

氷と湯(お風呂の温度くらい)が入った容器と水に浸けられるおもちゃを

用意します。それだけ……です。

湯につけた指を氷につけて感じる変化を楽しんだり、

お湯の中に氷を入れて、溶ける様子を観察したり、

子どもはさまざまな実験をしてみるはずです。

「お湯だと氷がすぐ小さくなるね。水だとどうなるの?」とたずねられたら、

水の入った容器も用意してあげるといいですね。

氷に塩をかけたらもっと冷たくなるのは本当か試してみるのもいいです。

氷が溶けるのにどれくらい時間がかかるか調べてみると、

そんな単純な実験もその日の気温や氷のサイズや

氷の凍り具合などで異なることがわかるでしょう。

氷で遊んだあとは、プリンの容器などに花びらや葉っぱと水を入れて

氷を作る実験も楽しいです。

氷が溶けること、水が凍ること

そんな小さなことでも、子どもは不思議で満たされるものです。

 

3、4歳の男のたちのグループレッスン。

男の子たちはとにかく好奇心を刺激されるような遊びが大好きです。

教室にある科学の実験用の箱を開けて、

「これしたい!」「あれしたい!」と大騒ぎです。

 

いろんな水と空気の実験をしました。オブラートに絵をかいて

水に浮かべたり、水の中での光の屈折を利用した実験をしたりしました。

 

水でふやかす園芸用のゼリーを水に浸けています。

ふやかしたあとで、シリンダーに入れて押すと、細かく粉々に砕けて

ジュース作り遊びができるので子どもたちはとても喜びます。

 

3,4歳児さんたちと理科遊びをする時は、

「ピンポン玉にフーッと息をかけたらどうなるかな?」

「うちわであおいだらどうなるかな?」といった質問をして、

「きっとこうなるよ」「ああなるんじゃない?」といった予想を

子どもたちに立てさせるようにしています。

そうすることで、物の性質や原因と結果のつながりについて理解が深まってきます。

 

理科遊びを楽しく実りのあるものにするには、いくつかコツがあります。

 

一つには、大人が実験を用意するということです。

子どもにさせるのではなく、子どもが抱いている興味に気づいて、

それを広げたり深めたりするような実験を用意してあげるということです。

たとえば、外で影を踏んで遊ぶのを喜ぶ時や、

「どうしてぼくの影はぼくより背が低いの?」と質問した時などに、

人形にいろんな方向からプッシュライトを当てる実験をしたり、

「ガラスのコップに入れた水の影は何色かな?」とか

「セロファンを使った工作をして、きれいな色の影を作ろう」と

誘ったりすると、子どもは乗り気で取り組むことと思います。

 

もう一つは、実験のなかに、創作活動を取り入れるということです。

実験して理解した原理を工作のなかで活かすようにすると、

興味がより深まるだけでなく理解が進みます。

 

↑日常のひとこまひとこまに、「どうして?」「なぜ?」と

不思議を味わう機会はたくさんあります。

ビー玉が転がり落ちる仕組みを作った後で、

穴の切り方によってでてくるビー玉のサイズが変わることを不思議がる◆くん。

確かに、穴を開けなくても、十字に切り込みを入れるだけで、

丸いものが通ってしまうのは不思議なのです。

わくわくさんを神とあがめている(お母さんの弁)◆くんは、

この日も、「わくわくさんは、こうやってこうやって作ってたんだよ」

と言いながら大量に紙コップを消費した後で、

最後に自分で考えた2階建ての家を作り終えて大満足の様子でした。

もとはわたしが作ってあげた「がちゃぽん」だったものに、

もう一つコップを重ねただけなのですが、

とにかくわたしでも……わくわくさんでもなく……自分で思いついて

作ったということでうれしくってたまらなかったようです。

2階があるのはどんなにすごくて面白いことか、

お友だちに自慢げに話してきかせていました。

 

ほかの子らは屋根の高さによって電車が入らなかったり

入ったりすることに苦戦していました。

何度も屋根を取っ払って作りなおし。

「あれぇ?」「あれぇ?」という声が聞こえていました。

 

この日、お迎え時に◆くんの小学1年生のお姉ちゃんも来ていました。

将来、宇宙に関わる仕事がしたいという宇宙大好きのお姉ちゃんです。

そこで、お姉ちゃんに先生になってもらって、宇宙の実験道具が入って

いる箱の中身について解説してもらうことにしました。

子どもたちはお姉ちゃんを取り囲んで宇宙の絵本などを楽しんでいました。

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5歳の☆くん。毎日、お父さんとお母さんを、「なぜ?」「どうして?」と

質問を責めにしている様子です。

先日も、

「地球は丸いのに、どうして海の水はバシャーンってこぼれないの?」

とたずねてきて、答えに迷ったそうです。

確かに地球が丸くて、逆さまになっている部分があるとしたら、

海の水がこぼれないのは不思議ですよね。

 

☆くんと、簡単な理科工作。

ペットボトルに目打ち(プッシュピンでもOK)で小さな穴を開けます。

穴の部分に水道の絵などを描いておきます。

水を入れて蓋をしめると、穴から水はこぼれませんが、

蓋をゆるめたり、手で押して軽く圧力をかけると、

ピューッと水が噴き出します。

 

 

↑ テレビです。

段ボールの細い箱に切り込みを入れて、

虫めがねを差し込んでいます。

覗くと、虫めがねにテレビのような画像が映っています。

 

懐中電灯をあてて

お化けをつかまえるおもちゃを作りました。

 

どうして、見えなくなったり、見えたりするのか、

不思議だったようです。

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<寺田寅彦のエッセイと夏の理科遊び>

小学生の頃、学校の図書室で、岩波少年文庫の

『科学と科学者のはなし』寺田寅彦エッセイ(池内了編)を読んで

えらく感激した記憶があります。

古本屋でその本を見つけたので、買ってきてさっそく目を通しました。

今、読んでも、とても面白かったです。

読みながら、紙芝居か、実演で、子どもたちにこの本の面白さを

伝えたいな~という思いが湧き上がってきました。

まぁ、そんな大がかりなことをする前に、教室の科学クラブで子どもたちに

この本をもとに小さな実験をいくつか見せてあげて……

それからブログでこの本を紹介して、

夏休みにこの本に目を通した親御さん伝いに、寺田寅彦の思いが

少しでも子どもたちに浸透していくといいな~と感じて……

さっそくブログの記事にすることにしました。

 

まず、大好きな『茶碗の湯』というエッセイ。

物理学者の寺田氏が、湯の入った茶碗ひとつを前にして、繰り広げる話です。

茶碗の湯って、何のおもしろみもないようですが、よく気をつけてみて

いると、だんだんにいろいろの微細なことが目につき、

さまざまな疑問が起こってきます。

湯の面から立っている白い湯気は、熱い水蒸気が冷えて、

小さなしずくになったもの。雲や霧の仲間です。

黒い布をむこうにおいてすかすと、粒の大きなしずくはチラチラ見え、

日光にすかせば、場合によっては、虹のような赤や青い色がついている

そうです。

これは白い薄雲が月にかかったとき見えるのと似ているそう。

茶碗から上る湯気をよく見ると、熱いかぬるいかおおよそわかるのだ

とか。熱い湯は温度が高くて、周囲の空気より軽いため、どんどん

さかんにたちのぼり、湯がぬるいと弱いのです。

湯気が上るときはいろいろの渦ができます。茶碗の上で起こる渦の

大じかけのものは、雷雨のときに空中に起こっている大きな渦です。

白い茶碗に入っている湯は、ひなたで直接日光に当てて底を見ると、

ゆらゆらした光った線や薄暗い線が不規則な模様になって動いている

のが見えます。夜、電灯の光を当ててみると、もっと鮮やかに見えます。

茶碗の湯が冷えるのは、湯の表面の茶碗の周囲から熱が逃げるため。

表面にふたをしておくと、茶碗に接したところでは、

湯は冷えて重くなって下方へ流れ、真ん中は上へ。

ビーカーの底をアルコールランプで熱したときの水の流れが、

湯の中の糸くずの動きで見ることができるのだとか。

一杯の茶碗の湯は、ほかにも「かげろう」のでき方、湖水や海の水の

流れ方、山谷風、モンスーンなどがどうやってできるのかを、

わかりやすく教えてくれるそうです。

 

寺田氏の言葉に次のようなものがあります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俗に明きめくらというものがあります。

両の眼は一人前にあいていながら、肝心の視神経が役に立たないために

何も見ることができません。

またたとい眼あきでも、観察力の乏しい人は

何を見ても、ただほんのうわつらを見るというまでで、

何一つ確かな知識を得るでもなく、ものごとを味わって見るでもない。

これはまず心の明きめくらとでも言わなければならない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

子どもたちを『心の明きめくら』にしてしまってはいけませんね。

子どもたちとともに、いろんなものをゆっくりじっくり味わいたいな~

と思いました。

 
 

疑問がいっぱい

2016-07-10 09:10:28 | 理科 科学クラブ

 年長と1年生の子らの科学クラブの様子です。

1年生のAくんは、目にするもの触れるもの不思議でたまらない様子で、

家でも教室でも四六時中、疑問を口にしています。

今回も教室に着くなり、「どうして遠くに見える山は青く見えるのに近くだと

緑に見えの?」とたずねたり、持参した『じしゃくの本』を開いて、

不思議に思っていることを口にしたりしていました。

 

 いっしょにレッスンしている年長のBくんは、科学実験が大好きな男の子。

新しい実験をする度に満面の笑みを浮かべて、

不思議に感じたことを言葉にしていました。

 

「どうして遠くに見える山は青く見えるのに近くだと緑に見えの?」の疑問を

探究するのに「空が青い理由」を考える実験をしました

の時に使ったこのボトルが役立ちそうです。

このグループで近いうちに、光についての実験や空や天気について考える実験を

いろいろやってみる予定です。

 

 

Aくんが持ってきた『じしゃくの本』に

磁力を持つ鉱物の絵が載っていたので、教室にある鉱物のコレクションを

広げて磁石にひっつく石探しをしました。

 

「あった!!」と子どもたち大感動。

こんな風に磁石につく石は河原や海岸でも100個に1個くらいの割合で

見つかるそうです。

多くは、地中のマグマが固まってできた玄武岩や花崗岩といった

火成岩なのだとか。

興味のある方は、河原や海岸に遊びに行く際に強めの磁石

(磁石を持っていく時は、電子のICカード類に近づけないように注意して

ください)を持参して探してみてはいかがでしょう?

黒っぽい石か白黒まだら模様の石を中心に探すといいです。

石が磁石にピタッと吸い寄せられた瞬間は何とも言えません。

 

でも磁石にひっつく石以上に人気があったのは、

鉄が含まれているとあるのに磁石には引っつかない『パイライト』。

「どうして?どうして鉄が入っているのに引っかないの?」と

興味しんしんでした。

 

先カンブリア時代のストロマトライトも人気。

バクテリア(藍藻)と泥粒の層状の構造を持つ岩石なのだとか。 

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磁石に興味を持ったついでに砂鉄集めをして遊びました。

 

クリップを磁石で擦って

クリップに磁力を持たせるのも楽しかったようです。

磁石に興味を持った子らとは、忍者たちが方角を知るために使った道具を

作ったり、やわらかいスライムに砂鉄を混ぜて、

磁石に吸い寄せられて移動する不思議なスライムを作ったり、

磁石を袋に入れて砕くとどうなるか調べる実験なども喜びます。

 

AくんとBくんは、

『電磁石とでかモーター』というキットで遊ぶことにしました。

 

スライム作りやスーパーボール作り、尿素の結晶作りなどもしました。

(AくんとBくんへの連絡→お家に持って帰った尿素の結晶が

うまくできないようなら、液の中に数滴だけ食器用洗剤を入れてみてください)

 

尿素の結晶作りをする時、「尿素を大さじ5はい」「水を大さじ5はい」

「PVAのりを小さじ3ばい」を混ぜあわせます。

 

Aくんに、「大さじ1は15(cc)。小さじ1は5(cc)。

大さじの1ぱい分は、小さじの何ばい分だと思う?」とたずねました。

しばらく考えてから、Aくんは3はい分?」と答えました。

「それなら、尿素の大さじ5はいを

小さじで測るにはどうすれないいかな?」とたずねると、

今度もしばらく考えてから、「15はい分かなぁ?」と答えていました。

 

この問題、年長のBくんには言葉だけでは難しいと思ったので

ブロックを用意して、小さじ1はいをブロック1つとして大さじ1ぱいの

3の塊を5つ作って、「大さじ1ぱい、大さじ2はい……」と数えてから

「小さじだと何ばい分かな?」とたずねました。

合点したBくんは、ブロックを数えあげて、「15」と答えていました。


2歳の子も作って回せる『色混ぜゴマ』

2016-07-07 13:59:32 | 理科 科学クラブ

教室ではコマを回転させて色混ぜ実験をするのが人気です。

いらないCDで作ったコマやモーターで回転させるコマなど

いろいろなものを作っています。

でも、幼い子にとって、コマ遊びは回すだけでハードルが高いです。

 

そこで、「1~3歳の幼い子たちでも

自分で作って回せるコマはできないかな」と考えていて、

こんなアイデアが浮かびました。

 

切った輪ゴムを一本をブロックにはさんで輪ゴムをねじるだけです。

 

簡単にできる割りに、うっとりするくらいきれいに回転します。

色の混ざり方も美しいです。

 

2つコマをつないでみると、面白い発見がありました。

上の輪ゴムだけねじると、上のコマが回転する力で下の輪ゴムがねじれて、

時間差で下のコマが高速で回転しはじめます。

途中で逆回転します。

こちらは小学生の科学クラブの子たちに教えてあげる予定です。

 


3歳児さんたちのピタゴラ風工作 アルキメデスの揚水ポンプを作ってみました♪

2016-06-14 20:25:21 | 理科 科学クラブ

3歳2ヶ月のAくん、3歳6ヶ月のBくんのビー玉転がしのおもちゃ作りの様子を

紹介します。

3歳の子たちと工作をする時、こんなことに注意しています。

 

①作りたいイメージを形にする時、

3歳の子でも簡単に扱えるような素材を用意する。

 

②時々、簡単に作ることができる作業や操作手順を教える。

 

③子どもが自分のやり方で自由に作り出したら、正解を教え込もうとせず、

自由に作らせる。

 

④子どもの「こうしたい」「ここが面白い」を実現するための

試行錯誤を手助けする。

 

AくんとBくんの希望は「ピタゴラスイッチが作りたい」というものです。

ビー玉が通る道に曲がるストローを使うと、3歳の子でもイメージを実現しやすく

なります。

 

先に両面テープで道を作って、ストローを貼ります。

 

子どもが、ストローよりももっと高さのある迷路を作りたがる場合、

広告紙などをくるくる丸めて作った棒をストロー代わりに貼ると、

紙なので粘土のように形の変形をさせることができます。

 

Bくんの発見。

「ストローを折ってぐるぐる巻きにすると、

大好きなショベルカーのひっかき出す部分のようになる」ということ。

「こんな風にシャッシャッてビー玉を取るの」とBくん。

 

作ったストローの手で、カップの中に入ったビー玉を取り出せるようにしました。

「ひっかき出す」という動きは、

紙箱に穴をあけてストローを通して左右に動かせるようにしたものに

取っ手をつけると可能です。

AくんもBくんも満足のいくピタゴラ装置が完成しました。

 

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アルキメデスの揚水ポンプは、斜めに傾けた筒のなかを

らせん状のスクリューを回転させて水をくみあげるポンプのことです。

下水道科学館に行くたびに、教室の子どもたちが

夢中になっていたので、作ってみることにしました。

ペットボトルに細いホース(ホームセンターで安価で購入できます)を両面テープで

貼りつけました。

後から、プラスチックボンドで補強する予定。

 

(↑ これを見本に作りました)

 

水がスルスル上がって行きます。大成功です。

カルキ抜きをした水をくみ上げて、ベンケイガニたちの迷路に水をかけてあげました。

 

ベンケイガニたちは、

年中のAちゃん、Bちゃんが作った迷路がとっても気に入っていました。

切り口がギザギザしていて粗いので移動しやすいようです。

Aちゃん、Bちゃん、大喜びです。

 

この日のAちゃんとBちゃんの作品。算数の時間も楽しく過ごせました。