虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

親子のボタンの掛け違い…… はっきり言うべき時におうかがいを立てる?見守ればいい時に厳しく言う? 

2016-04-11 13:33:45 | 子どもの個性と学習タイプ

2歳半ばの子と親御さんのかかわりが、

ちぐはぐにボタンを掛け違えたような状態になっているために

子ども自体はしっかりした発達のいい子なのに

困ったちゃんぶりが次第に激しくなっている子を見かけます。

 

2歳代といえば、第一次反抗期の真っ最中ですから、かんしゃくを起こしたり、

泣いたり、「いや!いや!」と何にでも反対したりするのが普通です。

 

それでも子どもと親の関わりのあり方が

その都度その都度、その子の個性や発達に即したもので

親のおとな心がしっかりと発揮されている状態でしたら、

子どもはわがままを言ったり、かんしゃくを起こしたり、

お友だちとぶつかりあう体験を重ねるにつれて

次第にその子なり経験値が上がって賢くなっていくのです。

 

といっても2歳児さんですから、

衝動的にお友だちに手が出ていた子が、

すんでのところで一拍置いて、「我慢、我慢」と沿えられた大人の手に身を預けて

ちょこっと我慢したり、物を取り合うにしても、場合によって譲ったり、

代替案で満足したりできるようになる程度ですが。

 

先に、

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2歳半ばの子と親御さんのかかわりが、

ちぐはぐにボタンを掛け違えたような状態になっているために

子ども自体はしっかりした発達のいい子なのに

困ったちゃんぶりが次第に激しくなっている子を見かけます。

-----------------------------

といったことを書きました。

 

「子どもと親御さんのかかわりが、

ちぐはぐにボタンを掛け違えたような状態になっている」っていったいどういうこと?

 

と気になった方がいらっしゃるでしょうね。

 

具体的な例を挙げると、

「ここではそっと見守ってあげるといい」という時に、

うるさいくらいダメ出しをしたり、

 「褒めながら正しい態度が取れるように誘導すべき」という時に、

脅すような口調で注意したり、

 「これはきちんと厳しく注意すべき」という時に、

「~してくれないかなぁ?」といったおうかがいを立てるような対応をしたり、

 「これ以上愚図るようなら、クールダウンするように仕向ける」という時に、

機嫌を取りながらお小言を続けたりするといったことです。

 

「1人目ちゃんの2歳児を育てている」という方が陥りやすい

悪循環だな、と感じています。

 たいてい大人相手なら良好な関係を築く力のある常識的できちんとした親御さんです。

2歳児さんは手強いですよね。

 

ただ、だからといって「それなら専門家にしつけてもらおう」と親子関係が

ちぐはぐなままで、集団の保育施設に預けるのはよりいっそう関係がこじれるか、

心と心が疎遠になるだけなのでお勧めできません。

 

親子の関わりがうまく噛み合っていないと、

子ども自体は機嫌がよくて、周囲と調和して遊ぶ力があっても、

親御さんが声をかけるたびにだんだん子どもが暴君のように振舞うようになって

しまいには手がつけられなくなっていくことがよくあります。

またこのまま育っていくと、3,4歳になると

「親の言うことはまったく聞かなくなりそうだな」と危惧されるケースも

多々あります。

 

2歳5ヶ月の★くん。

体格のいいしっかりさん。

遊びに夢中の時も、声をかけると、さっと振り向き、

問われたことに即した答えを言います。

「~作ってみる?」「~してみる?」といったチャレンジをうながす誘いかけには

お友だちと揉めている最中でも、目を輝かせて「ハイッ」とお返事します。

 

この★くんへの親御さんの声のかけ方のひとつひとつが気になったので、

グループレッスン中、気の毒なほど何度もダメ出しをする結果となりました。

 

それでも「どこがどうまずいのか、どのように接したらいいのか一から

全て教えていただきたい」と熱心におっしゃる勉強熱心な方で、

「レッスン中に大人同士でおしゃべりばかりしていると、

子どもが落ち着かなくなりますから後から記事にして伝えますね」とお約束し、

今、記事を書いているところです。

 

★くんのお母さんは良識的な落ち着いた方です。

ちょっぴりやんちゃでお母さんを叩き始めることもある★くんに

大らかに優しく接している愛情深い方でもあります。

 

ただ2歳児さんであり、男の子であり、自立心が強くて

きかん気な性質の★くんと、

言葉でこんこんと言い聞かせてしつけようとするお母さんの関わりが

うまく噛み合っていないのです。

★くんのペースに飲み込まれて、良いように操作されているようでもあります。

 

頭の回転が速いこと、自立心に富んでいて、チャレンジャーな気質は、

悪い使い方をすれば、周囲を振り回して自分の思うままに操作するのが上手くなり、

怖いもの知らずなので、叱られても同じことを繰り返し、

大人の指示を無視することにもつながりがちです。

 

★くんにしても2歳児ながらに

「ここでしつこく騒いだら、お母さんは折れて自分のわがままが通るだろう」

「お友だちを叩いてもいいもん、お母さんに怒られたって怖くないもん」

「お母さんが話しかけてても知らんふりしておこう」

という処世術をすでに身につけつつあるようでした。

 

★くんへの具体的な対応は次の記事で続きを書かせていただくことにして、

先に★くんのような強い気質の子に対する関わり方を書いた

過去記事を紹介させてくださいね。

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「やんちゃくんをどうしつけたらよいでしょう」
 
声が大きい、自己主張が激しい、剣を振り回したり鉄砲のおもちゃで
 
遊ぶのが好き、お友達からすぐ物を取り上げる、年中けんかしている、
 
親に言い返す、物を取ったあと「●ちゃんのだよ。ちょうだいって
 
取ってもいいのかな?」とたずねると、
 
躊躇なく「いいの!」と答える。
 
誰にでも話しかけていき、主張して、結局みんなからちやほやされがち。
 
といったやんちゃタイプの子も、虹色教室にはたくさんいます。
 
私との相性が比較的いいので、虹色教室ではこのタイプの子の問題は
 
ほとんど起こりませんが、
 
親御さんのそうしたやんちゃくんへの対応には「問題あり」と
 
感じることが大いにあります。

私とその子で過している限り、快活さ、リーダーシップ、決断力、
 
強い意志、やりぬくエネルギー、何にでも食いついてくる好奇心、
 
疲れ知らず、機敏、集中力、潔さ、といったそうしたやんちゃタイプの
 
子の良いところが全面に出ているのに、お母さんかもしくは
 
ほかの大人たちのいるところでは、
 
わがままさ、自己コントロールができない、乱暴、大人への反抗、無視。
 
強がり、かんしゃく、しつこさ、その場の快楽的な楽しみばかり追う
 
暴力的な遊びばかり好む、あまのじゃく、といったやんちゃくんの
 
負の部分がどんどん引き出されてくることがよくあるのです。

どうして、同じひとりの外向型のやんちゃなタイプの子が、
 
こんなにも良い子であったり困った子であったりするのでしょう?


私は現在の日本のお母さん、お父さんのこのやんちゃタイプの子に
 
対する対応の仕方が、ほかのタイプの子の子育ての中でもきわだって
 
まずい場合が、よ~くあるからだと思っています。

やんちゃくんを相手するとき、周囲の大人がしめす必要がある態度は、

快活さ、リーダーシップ、決断力、強い意志、
 
やりぬくエネルギー、好奇心、疲れ知らず、機敏、集中力、潔さ
 
といった態度だと思っています。
 
やんちゃくんって親が、どうしようかな~と迷いのある態度で、
 
叱っていると、相手の許容範囲の限界まで……時にはそれを超えて、
 
自分の我を通してくるものです。
 
大人がハキハキしない決断できない態度だと、その隙を見つけて
 
ワガママの限りをつくしてきます。
 
けれども意志がはっきりしていて、ぶれたり揺れたりしない相手には、
 
気持ちがいいほど「潔い」態度で返してきます。

日本は、集団の色によって子どもに求める態度がコロコロ変わるので、
 
このやんちゃくんタイプの子が親から見れば最低最悪の態度を、
 
一番得した、うまくいった方法と誤解して、習得していきます。
 
「やめなさい」と言っても、しつこく悪さを繰り返すときは
 
「●と○とどちらがいいの?」と質問して、子どもに選ばせて、子どもが
 
選んだ方をぐずぐずせずに実行します。
 
そうしたとき、できるだけ創造的でユーモアのある解決法も一つ
 
用意しておくと、子どものかたくなになった心がほぐれて、
 
気持ちを切り替えて良い選択をしやすくなります。
 
日本風子育てでまずいな~と思うのは、こうしたとき、子どもが
 
大人がすすめる方法じゃないものを選んで、最終的に悲しい損した気持ちに
 
なっているときに、「ほら、お母さんが言った通りでしょう?」などと、
 
いやみっぽく潔い態度から程遠い言葉を吐いてしまうことです。
 
これだと、「どっちにする?」という質問の答えは、お母さんの気持ちや
 
判断によってきまるもの……と教え込んでいくことになりますよね。

また、遊びのあとで、たくさんもめたけれど
 
子どもなりに我慢もした時間のあとで、
 
「は~ぁ~」やれやれ……といった、ため息のような
 
今日もあなたのせいで疲れたわ~というメッセージを送ってしまうことです。
 
それよりも、ちょっとでも我慢できたのならそこにスポットを当てて
 
自分のイメージを作っていきやすいように、終わりには
 
「きちんと良い判断ができたね。~のときは、お兄さんだったね」
 
と誇らしい気持ちになれるような言葉をかけます。

そうしたときは私は、2つの視点でその子に接します。

たとえば、おもちゃを投げてふざけることを繰り返す場合、

投げるのをやめて楽しくおもちゃで遊ぶか、子どもにはつまらない
 
地味な遊び道具と交換するかを選ばせる……など、まず子どもに自分で
 
自分の態度を選んでコントロールできるような選択をさせて、
 
悪いことが及ぼす悪い結果を体感させて、学ばせます。そのかわり、
 
いやみを言ったり、普段から実行しない脅し文句は使いません。

また、投げてふざけるには、
 
やんちゃくんの体力にすれば、遊ぶスペースが室内で狭すぎたり、
 
運動不足だったりすることがありますから、
 
その子にとって必要な環境が整うようにします。

また、大きな声を出す、投げるなど一つひとつのことが、
 
より上手になって、上手にコントロールできるように教えます。

たとえば、剣やゴムでっぽうなどの使い方を教えて
 
危なくないように意識を集中して扱えるようにしていきます。

乱暴だから……とこうしたおもちゃを与えないでいると、
 
いつまでも力をコントロールできずに、めちゃめちゃで破壊的な
 
遊び方ばかりしてしまいます。
 
そうではなく、遊びでも、スポーツでも極めさせて、自尊心を高めて、
 
自分の強い力を無駄に使うことのばかばかしさを教えるのです。

何かが上手になると、それまでのワガママな態度は
 
子どもにとってたちまち赤ちゃんぽい魅力の薄いものに感じられてきます。

強いエネルギーを抑えるのではなく、
 
磨きをかけて上手に扱う方法を教えるのです。

こうしたことは、方法ばかりにとらわれても
 
親がその「本質的なこと」を体得できないうちは
 
うまく子どもに伝わらないと思います。

やんちゃくんというのは、スーパーヒーローに育てる可能性と
 
悪のヒーローに育てる可能性の二つを持った子です。

もし大人が想像力を豊かにして、

子どもの中にスーパーヒーローの
 
性質のいくつかを見出して、それが育つスペースを与えずに、

悪のヒーローの部分ばかり指摘して、子どもをそちらに導いていくなら
 
そのようにしか「なりようがない」ですよね。

もし親御さんが「わたしは素直でかわいいあかちゃんと、
 
言うことをきくペットと、優しいお父さんとお母さんが登場する
 
「ままごとあそびの世界」が好きだから、
 
ヒーロー物は私の世界の登場人物として認めない!」という
 
態度でこのやんちゃくんに接したなら、やんちゃくんはこの
 
「ままごと世界をぶっつぶしにくる悪のヒーロー」にしか
 
なりようがありません。

現代は、日本中の大人が、ガキ大将も、
 
やんちゃな子ども軍団も、汚れてどろんこの子も、
 
けんかばかりして次第に人の気持ちがわかってくる子も、
 
挫折して根気を学んでいく子も
 
「子ども」というイメージから、追い出し抹消して、

CMに出てくるキラキラ光る夢の世界の子ども
 
大人の話をワクワクして聞く子、素直でてきぱきした子だけしか
 
認めませんというルールを、お家でも公園でも幼稚園でも小学校でも
 
勝手に作り上げて子どもに押し付けがちです。

でもそれって、
 
日本にはウルトラマンもスーパーマンもいらない、「ママ」の言葉に
 
有無を言わずに従う子だけが必要です。

と子どもたちにメッセージを伝えていることにはならないでしょうか?

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「愛情の次にたいせつな子育てのルール」(主婦の友社)によると、
 
子どもに接する態度で親がミスを犯すと、

子どもが「親の関心をひくための戦い」に夢中になって、
 
何を言っても聞く耳持たない状況に陥ってしまうことが
 
あるそうなのです。

そこで、してはならない子育てのミスを紹介しますね。

愚痴をこぼす親(子どもの態度が悪いと文句ばかり言う親)

子どもは愚痴を言われるたびに、
 
「ママはぼく(私)のことがいやなんだ。もっと悪いことをして、
 
ママの注意をひかなくては…」となるそうです。

 
「なぜ、こんなことをするの?」と聞く親。
 
親の怒りを感じた子は「自分は受け入れられていない」と思い、
 
親が困っていると感じた子は「自分の方が優位な立場だ」と
 
思うそうです。

 
お願いをする親

子どもがやってもやらなくても同じ結果になる指示を出す親
 
「☆ちゃん。片付けなさい!」
 
☆ちゃん、無視。
 
「☆ちゃん、片付けなさい」
 
☆ちゃん、無視。
 
といった子どもに指示を出し、子どもが従わないことを容認していると、
 
「親が自分に要求することはあまり重要なことではない」と思うそうです。
 
徹底しない指示や要求を繰り返すと、子どもは親の言うことを
 
まったくきかなくなる危険性があるそうです。
 

予告を実行しない親

おどすけれど、おどしておしまい。
 
予告の乱用は、「親の言うことを聞くべきではない、と教え込む」
 
のと同じだそうです。
 
 
無視する親
 
問題行動を見て見ぬふりをするのは、
 
子どもの行動だけでなく人格を無視することにもつながります。
 

子どもを非難する親
 
脅かす親 罰する親。体罰は親子の信頼関係を破壊します。
 

こうしてミスを並べていると、ならどうすれば良いの…?と
 
悩んでしまう方もいますよね。
 
↑の間違いを、「受容」や「愛情」と間違って捉えている方も
 
いるかもしれません。

今回はくわしく、正しいルールのしるし方を紹介できないのですが、
 
簡単に言うと…

子育ての基本は「愛情」と「手本」をしるすことなのだそうです。
 
でも、それだけでは子どもは言うことを聞きません。
 
そこで必要なのが、「しつけのテクニック」です。

こうした子育て技術を具体的に伝えていける子ども向けの施設が
 
できたらよいな♪と思っています。


子どもの個性にじっくりと関わること

2016-04-02 20:47:29 | 子どもの個性と学習タイプ

Aくんはやんちゃで衝動性が強くひとつのことに集中できない一面と

秩序のある美しいものが好きで完璧主義で好きなことに深く集中する一面という

正反対の性質を併せ持った男の子です。

同年代の子といっしょの時はわくわくするあまり気持ちが高まって

自己コントロールがききにくくなるため、

個人レッスンに切り替えて、Aくんがやりたいことをとことんやりつくすことが

できるような環境を用意するようにしています。

 

そうして、Aくんという子とじっくり関わってみると、

この子は面白い子だなぁ、賢い子だなぁ、

やんちゃさの背後にこんなに繊細で優しい性質が隠れていたんだな、

ちょっとした刺激に影響されやすくて、おふざけ全開モードになっている時は

遊びの成り立ちにくさが気になっていたけど、

環境次第で上手くいかないことが続いても何度もチャレンジしなおすほど

エネルギッシュにひとつのことに集中できる子なんだな、

とAくん独自の魅力が浮き彫りになってきます。

 

この日、Aくんが興味を持ったのは、他のグループの子が作って帰った

警察署の車を上らせていくための坂の部分でした。

その上にビー玉を落とす仕かけを取りつけて、

大きいサイズのビー玉を落として遊びだしました。

 

Aくんは実験が大好きです。

他の子らとブロックでミニ四駆のレース場を作った際、

ゴールのトンネルにティッシュペーパーを挟んでおいたら、

車がそれを突き破って走っていった話に強い関心をしめしました。

ビー玉を滑らせる坂の途中にトンネルを作り

ティッシュペーパーを挟んでみることにしました。

 

突き破って滑っていくのかと思いきや……この通り。

とても感心したのは、

もっと高いところからビー玉が落ちるようにしたらいいんじゃないか」

「もっとビー玉をたくさん転がしたらいいんじゃないか」

と試行錯誤するAくんの根気とていねいさ。

何度やっても上手くいかなくても、驚くほどへこたれないし、

それは熱心に、条件をひとつずつ慎重に変えていきました。

どの条件でティッシュペーパーが破れるのかわかった後で、

ビー玉の落下装置にアルミ箔をはさんでみることにしました。

はじめ、簡単に破れてしまったのですが、

Aくんの「アルミ箔をボコッとさせて、ビー玉が入るようにしたら?」という意見を

取り入れて、アルミ箔をピンッと張らずにブロックに挟んだところ、

ビー玉を落としても穴が空きませんでした。

 

面白かったのは、

意外なほど予測がはずれてしまうことです。

見た感じこだろうと踏んでいても、

実際にやってみると思ってもみなかったような結果を得るのです。

 

 

 先月のブロック講座まではAくの作品は平面が主でしたが、

ほんのひと月ほどで物を立体的に組み立てるのが得意になっていました。

あってという間にビー玉を落とす道具やサッカーゲームなどを

ブロックで作っていました。

 

Aくんの個性にゆったりと関わったことが功を奏したのか、

算数の学習でもすばらしい集中力と実力を発揮してくれました。


子どもの成長を感じる瞬間

2016-03-28 20:20:20 | 子どもの個性と学習タイプ

もうすぐ年長になるAちゃんのお母さんから、うれしい報告をいただきました。

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Aはお風呂で遊ぶことが好きで、普段から計量カップや氷、泡などで

あれこれしてますが、

先日お風呂に入ってたときに、浴槽のお湯に、水道の冷たい水を混ぜたら

甘いにおいがすることに気づいたそうです。

私にはそんな匂いはしなかったですが、本人は真剣で、洗面器やコップ、

石けんの入れ物などあらゆるものに同じ条件の水を作って、

さらに洗面器で覆い隠して密閉させたものや、脱衣所に置いておくものなど、

いろんな状況も考えて、さながら実験のようでした。

明日の朝までちゃんと置いててな!と言って、翌朝はすっかりそのことは忘れてた

みたいですが、Aが奈緒美先生のところで、通常レッスンや科学クラブで

お世話になってから1年が過ぎ、先生が個性を大事に、丁寧に育てて下さって、

本人のなかにしっかり何かが根付いていることを目の当たりにしたように思いました。 

実験ぽいことをしたから嬉しいとか、賢くなったんじゃないか、という気持ちではなく、

虹色教室に出会えて、Aは幸せ者だなあと思ったのと、

本人の個性を決めつけたり思い込んだりしないで、私もその都度、

本人の様子をみながら一緒に楽しんだり、考えてみたりしたらよいのかなあ、

とふと肩の力が抜けた出来事でした。

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このAちゃん、先日の春休みのユースホステルのレッスンにも

(今回は小学生向けのユースだったのですが、新年長の妹さんの参加があったので、

妹さんの友だちのAちゃんもお誘いしました)参加してくれました。

ユースホステルに泊る前日、Aちゃんはお母さんに参加する子どもの人数をたずねて、

折り紙でツノ箱をもくもくと折りだしたそうです。ずいぶん折ってから、

お母さんにも助けを求めて、「くじびきを作りたいねん」と言ったそうです。

ツノ箱には、キャンディーをふたつずつ入れ、番号を打っていました。

 

お母さんの話では、Aちゃんが急にこんなことを思いついたのは、

前回のユースホステルで小学生のお姉ちゃんたちが

『将来の職業がわかるおみくじ』を作って、紙コップに入れて配っている姿を

目にしたからのようです。

その時は、さほど喜ぶ様子もなくおみくじを手にしていたそうなのですが、

心中は好奇心や自分をやってみたい気持ちが渦巻いていたようです。

Aちゃんのくじびきは、それはそれは大盛況でした。

 

Aちゃんのくじびきに影響されてか、おみくじを作って

ベッドの上で、配っている子がいました。

あまりの人気に人員整理役の子が必要だったほどで、

 「順番に並んでください。1人ずつ部屋に入ってください」という指示のもと、

子どもの行列ができていました。

 


性格は遺伝? と 飽きっぽい子、我慢が苦手な子に根気をつける方法(ベビーにも)

2016-02-08 09:49:45 | 子どもの個性と学習タイプ

精神科医の水島広子氏は、『10代の子をもつ親が知っておきたいこと』

という著書の中で、遺伝の影響を受ける因子と、環境的な因子の関係について

次のように述べておられます。

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「自分はねばり強くないほうだから、ねばり強さが要求されることは避けておこう、

コツコツやらねばならないときは特別な工夫をしよう」

などと考えられるのは、自尊心の高さを示しています。

自分をよく知り、肯定的にとらえると、このような建設的な考え方ができるのです。

また、すべての人が性格について科学的な知識を持っているわけではありませんから、

時には「君はどうしてそんなに我慢が足りないんだ」

「君はどうして新しいものに関心を示さないんだ」などと責められることがあるでしょう。

その際に、それは自分には変えられないものなのだということがわかっていれば、

自分を責めて自尊心を低下させることもなくなるでしょう。

変えられないのは自分の性格だけではありません。相手の性格も同様です。

他人の不完全なところを受け入れやすくなるので、

協調性を高めることができるでしょう。

(略)

世の中にはまったく同じ性格の人はいません。

いろいろな人がいて、いろいろな出会いがあって、その中でお互いに学びあっている、

というふうに考えれば、精神性も高まるでしょう。

      (『10代の子をもつ親が知っておきたいこと』p28より)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大人は子どもに対して、

「どの子もねばり強くなければならない」

「どの子も慎重にミスのない行動を取れなければならない」

「どの子も人に共感的で優しくなければならない」といった理想を押し付けがちです。

そして、欠点や弱点はできるだけ幼いうちに、

しつけて克服させなければならないと考えることがよくあります。

大人たちを見てみれば、誰もが、ねばり強くてミスをしない性格ではないし、

どの社会人も共感的で優しい性格でもありませんよね。

もちろん、欠点は見てみぬふりをしたほうがいい、弱点は克服しなくてもいい、

というわけではないのです。

ただ、生まれ持った遺伝的な気質は、

直そうと思ってすぐに直せるものではないし、

それぞれ高くても弱くても良い部分があるものです。

叱ったり責めたりして直そうとすれば、「自分はダメだ」「努力しても無駄だ」と

感じるようになります。

 

幼稚園や学校での集団の場では、「心配性」の子は、集団に溶け込みにくく、

活動に積極的でなかったり、泣いたり、ぐずぐずしたりする困った面が目立ちます。

それで、親御さんは、社交的で活発な子とわが子を比べて、がっかりするかもしれません。

でも、心配性は直さなくてはならない悪い気質ではなくて、

自尊心を育てながらその子らしさを大切にすれば、

慎重できちんとしたミスの少ない人となって、

周囲の人々から信頼を得るようになるはずなのです。

また、学校の宿題をさせようとしたり、習い事の課題に取り組むときには、

「ねばり強く」ない子は、厳しくしつけていかなければならないよう思えるかも

しれません。

でも「ねばり強く」ないことは、必ずしも悪いわけではなく、

ものごとにこだわらず柔軟性があってさっぱりしているという周囲の人々から愛される

性格のもと、とも言えるのです。

ですから、生まれ持った気質は、それぞれ良いものとして大切にしながら、

生活をしたり勉強したりする上で困ったことにぶつかったら、

自分の持っている条件の中で最善をつくせるよう工夫していくと

いいのではないでしょうか?

たとえば、大量に出る計算の宿題を嫌がって、いつもぐずぐずする子がいるとします。

その子の「ねばり強さ」が低いとすれば、

「帰宅するなり、自分から進んで一気に最後までやりきってしまう」ことを

期待しても難しいはずです。

「いつになったら、さっさと宿題をすませるようになるのかしら」と毎日ため息を

つくのも無駄なことです。

期待するとすれば、「ちょっと嫌々でも、寝るまでには何とか宿題をすましている」

くらいでも、褒めてていいのかもしれません。

そういう子は、目新しいことや自分が考えたことには乗り気で取り組みますから、

「めんどくさい宿題を、どうやったら楽しいものにできるのか」アイデアを出しあっては、

試してみるのもいいかもしれません。

ひとつ飛ばしで計算するとか、めんどくさい苦手な計算を先にするとか、

後回しにするとか、10問解くごとにスタンプ帳にはんこを押していくとか

さまざまな方法があるでしょう。

そうして自分が得意なことや長所を使えば、苦手なことは何とか乗り越えられる‥‥‥

それほど嫌ではなかった‥‥‥という体験がたくさん必要なのではないでしょうか。

 

「『ねばり強さ』が低いことは遺伝の影響を受ける因子だから、変えることは難しい」

という話を書きました。

変えることが難しい気質を、叱ったり責めたりするのは無意味ですが、

ねばり強くない子はない子なりの、根気との付き合い方が必要だと思っています。

というのも、現在は、飽きっぽくて我慢が苦手な子が、さらに飽きっぽく、

さらに我慢が苦手になるような物があふれかえっているからです。

 

テレビゲームや携帯ゲームやテレビは、自分から働きかけなくても、

次々、目新しい刺激を与えてくれます。

遊園地もショッピングモールも、飽きるという気持ちを味わう間もなく、

楽しい刺激に満ちています。

 

話がちょっと脱線しますが……うちのダンナは、もうかれこれ10年あまり、

校庭キャンプやジュニアリーダーの養成のボランティアなどをしているのですが、

年を追うごとに、子ども向けのイベントに対する周囲の大人たち(親御さんやスタッフな

ど)の捉え方が変わってきていて、困惑しているようです。

子どもたちが自分たちでテントをたてたり、自分たちで料理をしたり、

子ども同士で相談させて自主性や社会性や思考力を育むことが従来の主旨だったのに、

「準備は大人がしてあげて、子どもたちには楽しんでもらったらいいのでは?」

「料理は危ないから親がしてあげたらいいのでは?」

「塾があるので、お友だちと相談する時間には出られません。」

「もっとこうしたら、楽しいし、楽になるのでは?」

といった意見がたくさん出るようになって、イベント当日に、勝手に手出し口出しを

する人も増えて、自主性や社会性を育むという主旨は忘れ去られて、

単なるお祭りと化してきているそうです。

本当なら、ちょっとめんどくさくてブツクサ言う場面があってもいいはずなのです。

クレームのでない楽で楽しいだけの世界を作り出そうなど思わず、

「ちょっとしんどいけど、面白さがそのしんどさを忘れさせてくれる」

「友だちといっしょだから、いやだったこともがんばって我慢できた」くらいの体験こそ、

子どもの心身を鍛えてくれるはずだからです。

 

先日いただいたコメントでは、学校の授業も、子どもの自主性や社会性や思考力を

育むことより、授業がよりスムーズに脱線しないで進行し、子どもたちが考えたり

悩んだりしないで楽に参加できることを優先しているような内容だったそうです。

 

コチラです↓

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娘が小学一年生になり、授業参観がありました。

「じぶんのかおをかきましょう!」というテーマの授業でしたが、

配られた画用紙には卵形の顔の輪郭が描いてありました。

「まず、色を塗ります。肌色を横に持って~わたぬりと言います。

次に白をわたぬりします」と先生のする通りに生徒は描きます。

先生が見て、色が濃すぎた子は先生が勝手にテッシュでふきとります。

「次に目を描くよ~隣の人の目を見て~こんな風に描いて~」と先生は

黒板に写実的な目を描いてみせます。

私は思わず「隣の子の目を見て描くなら自分の顔じゃないじゃん!」

と心の中でつっこみをいれましたが(笑)子供は素直ですね~

誰も文句を言わず先生の言うとおりに描いて絵は出来上がりました。

みんな同じような特徴のない顔です。

私は「はあ~!」と疲れて、「何?この授業!」と怒りがこみ上げてきました。

一年生の授業って昔からこんなものなんですかね?

自分の時の記憶がないのでわからないのですが。

こんなつまらない、それこそ苦行のような事をもくもくと五時間目まで

続けられると勉強嫌いになってしまわないか心配です。

算数のプリントも絵の中の動物を数えるだけの問題なのに先生が黒板に

書いた通りに写さないとダメらしいです(涙)

休み時間に折り紙をして良いのですが、一日2枚しか使ったらダメらしいです(涙)

今の小学校は何なのでしょうか?

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こうした子どもをめぐる環境の変化のダメージを特に受けやすいのが、

もともと「ねばり強さ」が低い子どもです。

飽きっぽかったり、我慢が苦手でも、友だちと駆け回って遊ぶ時間がたっぷりあれば、

体や心が鍛えられて、少しずつ我慢ができるようになるでしょうし、お手伝いをしたり、

物作りをしたりする時間があれば、飽きずにがんばれることも増えることでしょう。

でも、それが難しい昨今です。

使う道具も、使い方など練習しなくても、「スイッチ オン」で動く便利なものばかり。

そうした便利で刺激的で楽で楽しい環境の中で、

我慢が苦手な子たちにとって我慢を強いられる場面といったら、

「お勉強をするときだけ」となってしまいます。

「ねばり強さ」が低く飽きっぽい子というのは、好奇心が強くて目新しいものに

強く惹きつけられる子が多く、次々新しい刺激を求めるので、

頭の回転が速い子も多いです。

ですから、本当なら、決してお勉強が嫌いなわけではないのです。

でも、便利で楽チンな世界で、唯一、勉強だけが自分に嫌な我慢を強いてくるとなると、

そうした子たちの頭の中では、

「お勉強」=「我慢すること、苦痛」とイコールで結ばれてしまいがちなのです。

それこそ、ほんの一瞬でも考え込まなきゃいけないものは、

「いやいやいやいやいや!」とオーバーなほど毛嫌いして、

いつもいつも楽しくて楽な時間だけ求めようとする習慣が身についている子もいます。

それで私は、そうしたタイプの子たちには、お手伝いや工作といった地味な活動の中で、

できるだけ飽きずに作業をやり遂げる力を養うようにしています。

 

多くの親御さんは、我慢が苦手な子たちに宿題をさせるのが

あまりに大変なものですから、「やりなさい、やりなさい」と叱って勉強させて、

勉強の時間に苦痛を味合わせて、その埋め合わせをするように

残りの時間をゲームやテレビで埋めてしまいがちです。

でも、それだと、どんどん勉強が悪者になるばかりです。親御さんの心に、

「遊びにエネルギーを使ってもしょうがない。少しでも勉強に力を入れて!」と

いう気持ちがあると、なおのこと、勉強が悪者になりがちです。

しっかり何かに関わって、集中力を継続する体験を遊びや工作やお手伝いの場で

させていけば、「ねばり強さ」が低い気質は変わらなくても、

勉強だけを極端に拒絶することはなくなってきます。

自分の手を使って何かをして達成した体験がいろいろあると、勉強でもそれを生かして、

勉強の面白い面に気づいたり、工夫したりしながら

やるべきことはこなすようになってきます。

 

うちの子たちも、「ねばり強さ」が低い子で、息子は大のテレビゲーム好きでしたから、

これはキケン!と……昭和の時代のような生活の不便さや地味な活動を

わざわざ取り入れて、大切にするようにしていました。

「買えばすむものも、作ってみる。便利な道具があっても、

あえて手間のかかる道具を使う。遠出も自転車で行く。

友だちと遊ぶ時間をたっぷり取る。たくさん失敗して自分で考えさせるため、

やりたがることは何でもやらせて、細かく干渉しない。好きなことはとことんやらせる」

といったことです。うちの家族はみな、我慢強さからほど遠い気質なのですが、

そうした生活のおかげで、それぞれが自分のやろうと決めたことを

途中で諦めたり、放り出したりせずに、ずっと続けていける力がついていると思います。

 

次のような質問をいただきました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昭和の時代のような生活の不便さや地味な活動をわざわざ取り入れて、

大切にするようにしていました。便利さになれないように生活したいと思っています。

体重計もデジタルを使っていたのですが、デジタルだとただ数字を読んでいるだけ

なので、ダメだなと思い、デジタルではない体重計を使うことにしました。

最初は何キロか読めず、「前の体重計がいい」とぶうぶう言っていましたが、

数ヶ月で読めるようになり、

「後1kgで20kgやぁ」とか妹やパパとの体重の違いもわかるようになりました。

先生のされていた不便な生活を、もう少し具体的に紹介していただきたいです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私自身が我慢が苦手な性質なので、自分に無理をさせるような「生活の不便さ」ではなくて、

「ちょっと面倒だけど、まぁ、いいか……」レベルの選択をたくさんするといったものです。

まず、子どもたちが幼かった頃の工夫から書きますね。

たとえば、子どもが幼かった頃でしたら、買い物してきた食品を袋から取り出すとき、

子どもが手伝いたがることがよくありました。

子どもって、包んである袋を自分で開けるとか、

新しいマヨネーズの銀色の蓋部分を自分で剥がすとか、

しょうゆを移し変えるのとか、やりたがりますよね。

ちょっと目新しくて、失敗しそうな危なっかしいものが好きなものです。

それで、大惨事にはならないようにだけ工夫して子どもにやらせるんですが、

たいていこぼすか、ひっくり返すかするし、上手に出来てもけっこう面倒。

でも、とにかくやらせて、こぼせば、拭くものを取ってきて

子どもといっしょに拭いて、今度はそのぞうきんを絞らせてあげました。

大人がやれば、1分もかからないものに、

ぐだぐだと無駄な時間と労力を使うのですが、

幼くたって自分がこぼしたならそれなりの責任感が芽生えますから、

いっしょうけんめい後始末を手伝いました。

子どもは「いいとこ取り」のお手伝いが大好きです。

マヨネーズをやさいの上に絞るとか、氷をトングでつかんで入れるとか、

卵を箸でかき混ぜるとか、こしょうをパッパと振りかけるとか……。

そういう子どもが好みそうなものは、サッと私がしてしまわずに、

子どもを呼んでやらせてあげて、「○ちゃんが、こしょうをかけてくれるから、

いつも助かるわ。」とか「○くんがこないと卵をかきまぜる人がいなくて大変だったわ、

あーよかった」などと言って、ひと仕事をしてもらいました。

 

ちょっと暖かくなってくると、子どもは水遊びをしたがります。

うちは一軒家なので玄関なら水がこぼれてもさほど問題はないので、

洗面器に水を汲んでハンカチを洗わせてあげました。

小さい石鹸でごしごしこすったり、絞ったり、干したり……

何十分でもきりがないくらいしています。

飽きれば、近所に子どもと野の草を取りに行って、ままごとがしやすいように

整えてあげました。途中で子どもの友だちにあったら、

ついでに連れ帰って(親御さんの承諾済みです)いっしょに遊ばせていました。

すると、木のナイフで切ったり、すりこぎですりつぶしたりして、

いくらでも機嫌よく遊んでくれます。

基本は、あまり予定を入れず、ゆっくりペースの生活です。

のんびりした気楽な生活をしながら、ちょっとめんどくさいなと思うことを、

子どものためのビッグイベントにして、とにかく作業に熱中させていました。

洗濯物を取り入れたら、その中から子どもの靴下と洋服数着を選り分けて

かごに入れて、「お仕事、お仕事。この中に靴下があるんだけど、

探さなきゃいけないのよ。見つけられる?」とたずねて、

やりたがったら、靴下探しをさせておいて、私は他の洗濯物をたたみました。

息子が1,2歳の頃、引き出しを開けては、ポイポイ中身を取り出して

散らかしていました。

開けてほしくない引きだしはストッパーで開けられないようにして、

その代わり、息子の背の届く位置の引き出しのいくつかに、わざと散らかすための

もの(空き箱など片づけやすく、出すとき心地よいもの)を詰めておいて、

ぜんぶ散らかし終えるまで見守って、それから、いっしょに片付けました。

空き箱のひとつに息子の好きなミニカーなどを入れておく工夫もしました。

かなり地味なイベント……たとえば、「お外にカラスを探しに行こう」とか、

「きれいな宝物の石を見つけよう」とか、「今日はスーパーのレジでおつりを

受け取ってね」とか、「橋の上から見た景色が夜はどんなだか見に行こう」とか、

そのくらいのことをメインにしてお出かけをして、

子どもの要望をよく聞いて、「あっちの公園にも石があるか探してみたい」とか、

「お札を渡したときのおつりももらいたい」とかいう願いを実現するために

わざわざ少し手をかけてあげるようにしました。

その代わり、その他はゆるゆる育児で、楽をしました。

 

「今日は、夜になったら、月が出るかな? お母さんに見つけられるかなぁ?」

といった悩み相談も、子どもにしておくと、

子どもは真剣に、暗くなると窓の外を見上げて、「お母さん、月、出てたよ。

出てる、出てる。○ちゃん、見つけてあげたよ。よかったねぇ」とうれしそうに

報告してくれていました。


ひとつのことにじっくり関われる素地

2016-01-07 08:10:48 | 子どもの個性と学習タイプ

小学3年生の女の子たちと

空気の圧力で水を飛ばす道具を作って遊びました。

 

うまくいかないとき、「こうかな?」「こうじゃない?」とあれこれやってみて、

やっているうちに「そうだ、こういうことやってみよ!」と閃いて、ためしています。

一人の子のアイデアで、ストローの先に空気の吹き込み口にプラスチックのコップを

取りつけてみたら、うまくいきました。

 「遊び」に近い自発的な活動のなかで何かに夢中になって関わると、

学習する時の考える力の持久力が変わってきます。

 

理科実験や工作の後で解いた「つるかめ算」などを面積図で解く問題。

 

集中して頭を使うような遊びをした後は、

見たことがない問題を解くときに、柔軟に多角的に考えて、

自力でやりきろうとする態度がアップします。

 

「もっと問題を出して!」とやる気が高まっていたので、

つるかめの足が200近いケースなど大きな数で問題を出しました。

すると「結局大きい数になったって、筆算する時に(ケタが)増えるだけでしょ?」

と自分なりに基本を応用させて解いていました。

 

そういう姿を見ると、「あれもこれも」と将来役立ちそうな知識を詰め込んだり、

技能を訓練するよりも、

 「ひとつのことにじっくり関わることを楽しめる」素地を養うことが大事だなと

思いました。

 

それは「うまくいかないとき、わからないとき」に簡単に他人に頼ったり、

放りだしたりしないで、自分で試行錯誤をしていくことにつながります。

 

子どもの遊びの世界を豊かにすることは、

そのまま子どもたちの学力の向上につながっていくことを今回も強く実感しました。


絵が好きな子にどんなことをしてあげるといいでしょう?

2015-12-27 19:47:58 | 子どもの個性と学習タイプ

★くんは、絵が大好きな5歳の男の子です。
教室に来ると必ずといっていいほど、絵を描きたがります。
前回のレッスンでは、水彩絵の具を使わせてあげると、とても喜んでいました。

子どもが絵を描くのが大好きだと、
「上達させるために何をしてあげられるかな?」「絵画教室を探そうかな?」と
悩んでしまいますよね。

子どもが何かに喜んで熱中しているとき、そうした親側のあせりは禁物です。

すぐに何か教えたり、習わせる前に、子どもの姿をよく観察すると、
今の「大好き」を起点にして、さまざまな方向に伸びていく可能性が
見えてくるからです。
とにかく急いで、既存の枠にはめてしまうと、
他の可能性を遮断してしまうかもしれません。

★くんは、絵に熱中する前まで、積み木で日本のお城を作ることを
繰り返していました。
正確に高さをそろえたり、橋の形通り再現したりするのを喜んでいました。

几帳面な性質で建造物への興味が強い子ですから、<今の「絵が好き」から、設計図を描いたり、見たりすることや、
地図を描いたり、地図の見方を学んだりすることにつながるかもしれません。

また、5歳以降は、
「こうしたい」という自分の工作のイメージが、
動きのあるものや、磁石や滑車などの科学的な知識を取り入れたもの、
展開図などの算数の知識を取り入れたものに変化していく時期ですから、
この時期の描いたり作ったりの作業を、
「上手に絵を描く技術を身につける」という大人の決めた枠の中に押し込めて しまうのはもったいない気がするのです。 ★くんは絵が大好きで、しょっちゅう絵を描きたがります。

描くことに抵抗がない子は、 算数の文章題を絵を描いて解いていくよう教えると、
算数好きになることがよくあります。
頭脳パズルの作って解くことも楽しめます。

絵=絵画教室で習うもの
絵=絵を上達させなくては……とあせりさえしなければ、

さまざまな方向に可能性を広げつつ、絵も上手になっていくことができるのです。

それには「タイミング」が大事です。
親だけが少しでも早く、「上達させたい」と願ってみても逆効果!
今、子どもが家で、ただただ、らくがきするのを楽しんでいるなら、
それを最優先にして、同時に子どもをよく観察するといいですよね。

たとえば、
「絵として他人から見て上手に描けるわけじゃないけど、
絵を描くのが好き」という子がいたとします。

その子に、自然に、ちょうど良い刺激を与えつつ、描きたいときにたっぷり描ける環境を用意してあげると、

算数の文章題を解いたり、地図や頭脳パズルを作ったりすることを楽しみつつ、
絵も少しずつ上達するかもしれません。
けれども、 上手にさせようとして、急いで絵を習わせたり、描き方を教えたりすると、 「自分は上手ではないな」とコンプレックスを抱いて、それ以降、描くことを楽しまなくなるかもしれません。
そうなると、せっかく描くことを通して、親しめたかもしれないさまざまな可能性が消えてしまいますよね。ピアノを習って、音楽嫌いになった子の話はたくさん聞くのです。
習い事が悪いわけではないのですが、急くのはよくありません。

子どもの適性をよく見て、先のさまざまな可能性も把握して、
子どもの心に響く対応をするのが良いと思うのです。

『ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』相良敦子
の著書のなかで、こんな話が取り上げられていました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
幼稚園の教育実習に行ったふたりの学生の報告です。
お芋堀りのときのこと。Aちゃんは、お芋を掘ることよりも、土を掘りながら別のことを楽しんでいるようでした。
「ねぇ、先生、どんどん掘っていくと、下の方は冷たいよ」
実習生のIさんは、とっさに「どうして冷たいかわかる?」とたずねました。
「わからない」とAちゃんが応えたので、Iさんはどうして冷たいのか理由を説明してあげたそうです。

もうひとりの実習生Fさんは、Bちゃんに「先生、とてもいいこと教えてあげる」と連れられていきました。
そこは滑り台の下の砂場でした。「先生、つーめたいでしょ」
Fさんが砂に手を入れて冷たさを味わっていると、
Bちゃんは、さんさんと日が照っている砂場にFさんを連れて行き、「先生、あったかいよ~」と言ったそうです。園庭に冷たい砂と温かい砂があることを発見し、それを宝物のように教えてくれたのです。
Fさんは感激し、Bちゃんと何度も2つの砂場を往復し、心ゆくまで砂の感触を楽しんだそうです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
前のIさんの報告に、著者の相良敦子さんは、「なんとやぼな対応でしょう」
と感想を述べています。
Fさんについては、「Fさんは、やがて幼稚園の先生となりましたが、子どもとともに感じ、発見から発見へ、工夫から工夫へと進んでいくすばらしい先生になりました」と報告しています。

子どもが何かに夢中になっているとき、その子のなかで、
さまざまな気づきや喜びや発見が渦巻いています。
感覚が敏感な時期の子には、その時期特有の学び方があります。

そのとき、多くの親御さんは、何か目に見える進歩が欲しくなって相良さんが「なんとやぼな対応でしょう」と嘆かれているような対応をしがちです。

「教えたい」「進歩させたい」「今すぐ結果を見たい」と急いて、
先の大きな成長をつぶしてしまわないように、次のふたつのことが大事です。

★子どもの今の発見や喜びに共感する。

★その子その子の個性と発達の段階を良く見て可能性をつかんでおいて、
ちょうど良い「タイミング」で、(ほとんどは子どもからの求めに応じて)新しい遊び(新しい学習)に誘う。

 



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ままごと好きの年中さんのレッスン

2015-11-30 13:56:10 | 子どもの個性と学習タイプ

お料理に強い興味がある年中さんの☆くん。教室に着くなりおままごとのキッチンに

直行して、チャーハンを作る真似をし始めました。

 

てんびんを使って、

お金を投入するとお菓子が出てくる仕掛けを作って見せてあげるものの

「待って!待って!まずはお料理がしたいから」と気もそぞろです。

そこで、今回はたまたまひとりでのレッスンだったので

☆くんの好きなままごとやお料理にたっぷりつきあうことにしました。

 

ごっこ遊びとはいえ、裏庭でネギを取ってきたり、(取ってくるフリです)

切り刻んだり、「あ~洗うの忘れていた」と慌てたり、

トウガラシを丸まま投入して辛くしすぎたり、

はちみつの隠し味を加えたり、お客さんの「あちち~」の声にフーフーと

息を吹きかけて冷ましてあげたりと……本気です。

 

そんなままごとをもっと楽しいものにするために、いくつか簡単な工作を提案しました。

 

お皿で丸を描いて、半分に切ってから円すい形に丸めます。

ソフトクリームのコーンを作るのです。

子どもにはこのコーンの巻き方が難しいです。

☆くんもうまくいかなくて戸惑っていたので、折り紙のように折ってから

中を広げる方法を教えると自分でできて喜んでいました。

 

綿を入れてソフトクリームのできあがり。

綿は子どもが扱いやすくて何度も繰り返し使える工作素材ですが、

何でも口に入れる幼い子がいる家庭では扱いに注意してくださいね。

ティッシュペーパーや新聞紙でも十分楽しめます。

 

綿を使っておにぎりやお弁当も作りました。

☆くんはが我慢が苦手で、かんしゃくを爆発させることが多い子だったのですが、

物作りを始めるようになって、急に落ち着いてきました。

以前は、絶えずお母さんにかまってもらいたがっていたのですが、

ひとりで集中して机に向かうことも増えてきたそうです。

 

皿で丸を描く方法でピザも作りました。

 

☆くんお得意の糸電話も作り、ピザ屋の電話注文を待つこととなりました。

 

とぅるるるる~

「はい」「もしもし、ピザ屋さんですか?」

「はい、そうです」

「チーズとベーコンのピザをください」といったやり取りの後で、

☆くんはピザをオーブンに入れて焼いてから届けてくれます。

 

本物すぎるおもちゃよりも、自分の想像力で

「オーブンがあるつもり」でスイッチを押したり温度調節したり、

時間を設定したりすると楽しいですね。

「あ~何度にしようかな?180度だと熱すぎてこげちゃうかしら?」と

椅子の下をのぞきこむとか、

「あっオーブンが動かない!」とボタンを押しまくってあせる真似をしてから

修理屋さんに電話して呼んでみたり。修理屋さんというのは、もちろん☆くんです。

 

 ソフトクリームの機械(テーブルの脇)の故障にかけつけた修理屋さん。

ドライバーとトンカチ(げんこつ)で修理中。

 

 

「もしもし、ピザ屋さんですか?

あの~今日はお外にピクニックに行こうと思っているんですけど、

ピザだけだとお腹がすいちゃうと思うんですよ。

何かお弁当のようなものも届けてくれますか?」とか、

「あの~ピザって熱いですよね。ピザを食べた後で

冷たいものが食べたくなったら、

食べられるようなものって売っていますか?」といったりして、

☆くんが自分の知恵を使って楽しめるような注文を出しています。

 

こうしたままごと遊びをたっぷりした後で、手やテーブル周りを除菌して、

本物のパンケーキ作りもしました。

 

作り方をよく読みます。

☆くん、以前、グループの子のひとりのお別れ会をした際に

お絵かきグミランドというお菓子をお友だちと作ったことがあります。

その時、パッケージ裏の説明に耳を傾けた経験が

よほど心に響いたらしく、その後、同様の知育菓子を買ってお家で作った時も、

「箱の裏に説明が書いてあるんだよね。それを読んでから作るんだよね」と言って

聞き分けよく作業をしていたそうです。

 

今回もパンケーキミックスの説明をよく見て、手順通りに作っていました。

☆くん、いろいろな料理のレシピを見ながら

自分でお料理できるようになりたいようです。

 

3分ほどで完成!ひとくちだけ食べて、後は包んで帰りました。

 

工作で作った操り人形を人形劇に舞台で動かして以来、

この人形劇場が大のお気に入り。

今回は、お互いに即席で物語を作って遊びました。

 

わたしが演じたのは、「だれが一番、怖いの?」という話。

カバやひょうやおばけや恐竜が次々表われて、「ぼくが世界で一番怖い!」と

自慢します。最後にみんなは大げんか。

☆くんが舞台に向かって、「けんかしゃちゃだめ」と注意すると、

人形たちがびびって、「☆くんが一番、怖い!」となるお話です。

 

☆くんも物語を作って、劇に挑戦。

お話はわたしが演じたのと同じ「だれが一番怖いか」というお話でした。

お話のレパートリーを広げるために絵本で読んだ話などを劇のストーリーに

取り入れていくといいかもしれませんね。

 

算数タイムには、駅名が書いてあるトランプを

1から順番に並べていったり、数のクイズに答えたりして遊びました。

 


ひとりひとりの子の興味と着目ポイント

2015-11-27 08:57:57 | 子どもの個性と学習タイプ

2歳代で身につけてもらいたいと考えていること 1

で記事にした★くんと☆くんのレッスンから。

 

教室で工作や理科実験をする時には、

それぞれの子の興味や関心を出発点にして何をするか決めています。

子どもがどんなところに着目するのか、★くんと☆くんの例から

紹介させていただきますね。

 

★くんはドールハウスで遊ぶ時に注意深くカギをかけていました。

様子を見ていると、カギがかかる時の仕組みに興味があるようでした。

 

上の写真のようにひねるタイプのカギや上下にスライドさせるタイプのカギなど、

引っ掛けるだけの簡単なカギの仕掛けを工作のテーマにすると

工作が楽しくなります。

 

「子どものために工作のアイデアを1から考えるなんて難しすぎる」と思うかも

しれませんが、その部分に注目してみると、

ストローや輪ゴムや紙コップといった身近にあるものを使って

子どもが目を輝かせて喜んで、おまけにそれからさまざまなことを学べるような

見本が数分でできるものです。

 

ふみきりに興味がある子でしたら、

曲がるストローに飾りのテープを貼って、短い方の先を押さえて、

もう一方を「カンカンカン」と言いながら上げ下げすれば、

子どもは大満足した上で、ストローのじゃばら部分の活用方について学びます。

 

この曲がるストローを短めに切ると、

曲げ伸ばしでカギがかかったりしまったりする仕組みもできますね。

 

☆くんは、前回、いっしょに作ったテレビや影絵の仕組みが気にいって、

プッシュライトに興味がありました。

そこで、100円ショップの色が変化していく丸いライトに

穴を開けたカップをかぶせて、プラネタリウムもどきを作りました。

☆くんは、感覚が優れている子です。

 

教室に来始めた1年ほど前までは緊張が強い性質で、

言葉の発達がゆっくりした子だったのですが、

工作や電車遊びを通して、☆くんの関心が高い「長い短い、速い遅い、深い浅い、太い細い」といった

物の違いを比べる言葉をいろいろ使うようにしていると、

2歳9カ月となった今は、様々な物事に興味を抱くようになり、

言いたいことが内面から溢れるようにでてくるようになりました。

 

虹色教室に来る途中の駅で、「特急電車は駅につくときは、ゆっくりだけど、出発する時はビューっと速いね」

と☆くんのお母さんが思ってもみなかった発見を☆くんが口にしたので、

とても驚いたそうです。

 


何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子

2015-11-04 04:01:21 | 子どもの個性と学習タイプ

早期教育の弊害の話の続きを書きたいのですが、

読んでいる人にきちんと伝わる形にまとめられず、

話があっちゃこっちゃ飛びつつ書きなぐっている状態です。

早期教育の弊害については、もう二十年近く気にかけて分析したり検討したり

していることなので、自分の内面ではかなり明確に捉えていることなのですが、

予備知識がない方に、どこからどう説明すればいいのかはかりかねています。

いったん記事を消して、別のタイトルで整理しなおすことも考えましたが、

ごちゃごちゃのままもう少し書き進めたいので、

読んでくださる方は雑談に耳を傾けるつもりで文章の粗さを許してくださいね。


先に過去記事をアップします。

早期教育の話題とは遠いけれど、わたしの中では地続きでつながっている話です。

早期教育の問題の核心は、

「大人の期待を察するのが上手で、常に、『自分がどうしたいのか』よりも、

『大人が自分に何を期待しているのか』

『その場の空気が、自分にどう振舞うように求めているか』を優先させることに

大人も子ども自身も疑問を抱かなくなっていくことにあるでしょうから。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

3歳8カ月の◆くんは、利発で明るくてしっかりしている男の子です。

 

幼い頃から手のかからない育てやすい子だったそうで、

幼稚園での集団生活を控えている今も、

活発で誰とでも親しくなる上、他の子と争わない優しさも備えていますから

安心です。

◆くんのお母さんは穏やかで優しく理知的な方です。

◆くんに心から愛情を注いでいて、接し方は過干渉でも過保護でもなく、

早期教育に走ることもなければ、放任しているわけでもなく適切です。

 

そんなふうに何ひとつ問題がないように見える◆くんと、

理想的とも思える◆くんとお母さんの関係ではありますが、

わたしには何点か、どうも心に引っかかることがありました。

 

そこで、◆くんのお母さんにその旨を伝えようとするものの

言葉で正確に言い表すことができなくて、

しまいに、「お母さんの接し方にしても、◆くんの発達にしても

何ひとつ問題がないし、むしろ◆くんは他の子よりも発達がよくて

とても頭の良い子ですから、わたしがあれこれダメ出しする理由もないのですが、

わたしには気にかかる点がいくつかあって、今この時期に無視するわけにはいかない

気がするんです。

文章でしたら、細かい状況を書いて整理できますから、あまり誤解がないように

伝えることができるかもしれません。

気になる点を指摘するので、もしかして不快な気持ちになるかもしれませんが、

よかったら、◆くんのことをブログに書かせていただいてもよろしいでしょうか」

とたずねました。

 

◆くんのお母さんからは、

「わざわざ遠方から通っていますし、わたしの態度で直す必要があるのなら、

直したいです。どうぞ書いてください」

とおっしゃいました。

 

今はもう小学生となった子たちですが、

3歳頃に、お友だちとは仲よく遊べるし、頭も良いし、活発で、気持ちが優しくて、

お母さんとの関係も良好に見えるけれど、

わたしの心には今の◆くん同様、どうも引っかかる点がちらほらあった

という子たちがいます。

 

その子たちが幼児の頃、わたしはいろいろと気にかけながらも、

「悩むことなく子育てしている方に、わざわざ心の葛藤を起こさせるような

アドバイスをするのもどうだろう?」と感じて、

言葉を飲み込んだまま見守っていたのです。

 

そうして成長した子らがどうなったのかというと、

どの子も、程度の差こそあれ、

「やっぱりもう少し小さい頃に、気になっていた問題に親御さんといっしょに

向き合っていればよかったな」と深く反省する事態にぶつかることになりました。

 

そんな経緯から、心がざわざわした時には、誰も気にとめないような些細な事柄でも

そこに問題が潜在しているなら、光を当てておきたいし、

解決が必要なことなら、取り組んでおきたいと思うようになったのです。

 

前回の続きです。

◆くんは自由遊びが主流ののびのびした幼稚園への入園を予定しています。

誰とでも親しくなり、揉め事も少ない◆くんですから、

おそらく新しい集団生活にすぐさま溶け込んでいけることでしょう。

 

それなら何をわたしが気にかけていたのかというと、

そのひとつは◆くんが夢中になって没頭している時に見せる遊び方でした。

 

教室に着いた◆くんは、木製のドールハウスに目をつけて遊びたがりました。

それから警察署のドールハウスも使いたがって、隣に設置しました。

近くにあったお茶犬ハウスもその正面に置きました。

 

その後、チェストの上に乗せているドールハウスを指して

「あれも取って!」と頼んできたので、「◆くん、おもちゃの出し過ぎ。

このドールハウスはだめ。今出しているおもちゃで遊んでね」と告げると、

サッと気持ちを切り替えて「だったら、あの階段のところだけは使ってもいい?」と

ダメだと言われたドールハウス内にある階段を指さしました。

 

わたしが、階段を渡すと、「でも、どこにつけようかな?」と迷っていました。

 

◆くんが今遊んでいるドールハウスは、

階段を引っ掛けるための穴が室内にあいていないのです。

そこでわたしが、警察署とドールハウスの間に隙間を作って、そこに階段を置いて、

2階の部屋に上がっていけるようにしました。

 

◆くんは、わたしに向かってにっこり微笑んで、

「ダメダメ、そこはこうやってひっつけとかなくっちゃ」と言って、

ドールハウスと警察署をピッタリひっつけなおしてから、

「それからね、この家は……」と言いながらお茶犬ハウスを半開きにして、

警察署のドアの前にドアを柵で囲うような形にセットしました。

それから、「どろぼうが来たらいけないから、入れないように、こうしてこうして

おくんだよ」と付け加えました。

 

わたしが黙っていると、◆くんは、

「悪いのが入れないように、こうしておこう!」と言って、

木製の立体パズルでお茶犬ハウスの隙間を埋め、「こうしたら入れないよ」と言いながら、

果物が入っているかごや、クルクル回して遊ぶおもちゃや、玉ころがしのおもちゃを

どんどん取ってきては、扉から誰も入れないようにしてしまいました。

わたしが、「お友だちが来たらどうしよう?」とたずねると、

◆くんはドールハウスの2階に小鳥の人形を舞い降りるようにさせて、

「鳥さんは、ここから来れるよ」と事もなげに言いました。


 「それ以上おもちゃを出してはダメ」と注意すれば、◆くんはすぐさま素直に

指示に従ったことでしょう。

でもわたしはしばらく◆くんのしたいようにさせていました。

 

というのも、◆くんのおもちゃの出し方は↑の写真の通り、

ランダムででたらめに見えるものの意図は一貫して、

警察署の扉から誰も入れないようにする作業のままで、

何かに憑かれたような集中力を見せていたからです。

 

さんざん扉をふさいだ後で、

しまいには、ビー玉転がしのおもちゃ等で、天井部分からの侵入を防ぐように

埋め尽くすことまでしていました。

 

わたしは、いくつかのぬいぐるみを持ってきて、◆くんに好きな物を選ばせました。

するとセサミストリートのビックバードの人形を選びました。

◆くんは鳥好きのようです。

 

わたしは黒猫ちゃんのお人形を手に、「◆くん、遊ぼうよ!」と声をかけました。

すると◆くんは、ビックバードを手にすると、黒猫ちゃんの頭を

ツンツンツンツンとつつきまわります。

その後も何度も、お人形を手にして「遊ぼうよ」と声をかけるたびに、

◆くんから、「うん、いいよ~」という応答はなく、

ビックバードのくちばしで、わたしが手にしている人形をつつきまわることを

繰り返していました。

 

◆くんが手にしているビッグバードの反応は、

いつも機嫌がよくて、誰が声をかけても、にっこりほほ笑んで、

「うん、いいよ~」と良い返事をし、大人から注意を受けた時さえすぐに気持ちを

切り替えて、さわやかに切り返す◆くんの姿からすると、正反対とも言えるものです。

さんざん攻撃をした後で、やっぱりやりすぎたなぁと気づいて、

「じゃ、遊ぼう」というような展開はなくて、いつまでたっても

「遊ぼう」と言って近づいてくる人形には、つつきまくって撃退する以外の

別の選択肢がない様子なのです。


何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子 3

何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子 4

何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子 5

何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子 6

何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子 7

何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子 8

何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子 9


何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子 10

何ひとつ問題がないように見えるけれど、気にかかる子 11

 


子どもの性格について考えることでどんないいことがあるの?

2015-10-30 08:31:30 | 子どもの個性と学習タイプ

虹色教室では(ユングのタイプ論による)子どもの性格タイプを把握して、

それに合わせた接し方をすることがよくあります。

このように話すと、子どもを一時期の外からの見た目で分類して、

「○○タイプ」という情報のフィルターを通して、

小さな枠に押し込んだ形に育てるのじゃないかと心配する方もいます。

でも、実際に性格タイプについて思いをめぐらすことは、

そうしたステレオタイプな見方や考え方とは真逆にあるとも言えるものです。

もともと人は、自分以外の人を眺めるとき、

「自分」というフィルターを通して眺めているものです。


自分の感じ方や見え方や感じ方、それまでの自分の経験や教えられたこと

自分が良しとするもの、価値を感じるもの、あこがれるものによる格付け、

今いる環境にある価値観をどうとらえているか……

そのように「自分」を通して相手を理解しているものです。

 

わが子についてより広い視野で理解しようと思っていても、

自分にとって「わからないもの」「ネガティブに捉えてきたもの」は、

やっぱりそのようにしか見えないし、

理解しようと思うあまり、極端な甘やかしに傾いたり、

嫌な部分は見て見ぬふりをしてしまうこともあります。

一方、欠点は小さいうちからしつけて修正していかなくてはと思うあまりに、

その子の個性的な長所まで押さえつけて、

子どもの性質となじまない親の価値観を押しつけてて育ててしまうことも

多々あります。

 

性格タイプを知るということは、まず、自分の見え方や感じ方や価値観が

全てではないと知ることです。

また、今、子どもの置かれている環境にある価値基準も、

あるひとつの価値観を体系化したもので、絶対的なものではないことを学ぶことです。

 

たとえば、ユングのタイプ論では、

人の構え(態度)を大きくふたつに分けて考えています。

外向性と内向性です。

といっても、人はそのどちらかに分類されるのではなく、

外向性も内向性も持っているけれど、

ふだん表に出ている態度がどちらなのかで、

「外向的な人」と「内向的な人」という違いが生じています。

 

外向的な人とは、関心が外の世界に向かっていて、どんな環境や状況にも

合わせることができる人です。

内向的な人とは、外の世界よりも自分の心の中の世界に関心が向かう人で、

身の回りの環境は、自分の心に合っているか、受け入れられるかを一番に考えます。

環境や出来事が、みんなからうらやましがられるようなすごい価値を持ったものでも、

自分にとって興味がなければ価値を感じないのです。

 

わが子が、外向的な人にも内向的な人にも

その性質だからこその長所があります。

どちらかが正しくて良い態度だから、どちらかの態度に矯正していくものではなく、

一方に偏り過ぎずバランスよく、

長所を磨きながら生活していくのがよいのだと思います。

 

外向的な人の長所はどんな環境にも合わせられることです。

でもそれは自分が何をすると、楽しい気分になり、充実できるかを、

環境や状況に依存しているともいえます。

 

内向的な人は、新しい環境や状況になかなかなじめないけれど、

ひとたび自分に自信を持つと、トラブルが起きたり、周囲から批判されたりしても、

強く信念を抱いてやりすごせるところがあります。

 

そのように、人の態度に、外の世界か、自分の内面かという

ふたつの方向性のようなものがあって、

どちらにも長所と短所があることを知っておくと、次のような良い点があります。


たとえば、子どもをサークルや幼稚園に連れて行った時、

そこになじまず、嫌がって泣くことが続くと、

「この子は、社会性が育ってないのかしら?」「今まで甘やかしすぎたのかしら?」

「発達障害があるのかしら?」

「どうしてこんなに頑固でわがままなんだろう?」と、

子どもに対するネガティブな思いでいっぱいになってしまう時があります。

確かに、そうした態度を取る子の中には、社会性の育ちがゆっくりで、

発達障害の疑いのある子もいます。

でも、そうではなく、内向的な性質のために

新しい環境になじむまでに時間がかかる子もいることを知っておくことは、

大事なことだと感じているのです。

もし、それを知らないと、「この子は協調性がないから」と子どもに無理させたり、

攻撃的な言葉で責めて自信を失わせるようなこともあるからです。

特に外向的な方が内向的な子を育てている場合や、

内向的な方が外向的な子を育てている場合は、

誤解や偏見によって、子どもの心を傷つけたり、本来の子どもの性格を抑圧して、

親の価値に添うようにゆがめて育てることがないように

注意しなくてはなりません。

そうした意味で、私は子育て中、性格タイプに考えをめぐらせることや、

子どもの性格タイプを把握するように努めることは大事なことだと

感じています。

 

子どもの性格タイプについて知っておくことが特に大切だ、と感じるのは、

「子どもとはこういうものですよ」「子どもはこのように発達します」

「子どもはこのようなことを好み、こうすると進歩します」

といった人気の育児法や教育法をもとに子育てしている時です。

たとえば、モンテッソーリ教育を実践している方の中には、

「全ての子どもは秩序感を好み、同じ作業を満足するまで繰り返すもので、

それをしたがらない子は発達を逸脱した子ではないか」

と信じている方がけっこういます。

実際、モンテッソーリ教育の関連本では、

「全ての子どもはこのような存在である」と言い切るような説明がなされています。

私はモンテッソーリ教育のすばらしさを実感しているし、

どの子にも大切なものだとは思っています。

でも、子どもたちに接していると、モンテッソーリの「お仕事」を嫌がり、

手本通り教えようとすると、おちょけて自分勝手に振舞うごく普通の子たちがいるのです。

モンテッソーリ教育というフィルターを通して眺めると、

「問題児」か「困ったちゃん」か「発達がゆっくりの子」にしか見えないほど、

感覚的な作業を繰り返すことを嫌がり、いつも新しい刺激を求めて

奇想天外な物の使い方をし、手本通りせずに、自分のやり方にこだわる子です。

子どもは「どの子もこのようなものである」という捉え方を緩めて、

子どもにはさまざまな性格タイプがあって、優れている機能が異なる……という

見方をすると、直観が優れている子たちは、感覚が劣等機能にあたるので、

モンテッソーリの教育法が苦手な子がいても少しも不思議ではないのです。


「感覚的な作業を繰り返すことを嫌がり、いつも新しい刺激を求めて

奇想天外な物の使い方をし、手本通りせずに、自分のやり方にこだわる子」

というのは、

「想像力に富み、独創的で創造的で、機械的推理能力が優れていて、

ユーモアがあって柔軟で意味を察することが得意」な子が多い、

直観が優れているタイプであることがよくあるのです。

 

 



↑ ユースホステルのレッスンで。マジックボールを10ずつすくっています。

30すくって「10の3回分」と言っていた子もいました(ココプラザの美術工房です)

 

今回のユースホステルでのレッスンは、

外向型の子と内向型の子が、半々くらいの比率でした。

全員、初めて会った子たちなのですが、外向型の子らは、

和室での2時間半ほどのレッスンの間にもう何年来の仲良しみたいに親しくなって、

じゃれたり、けんかしたり、「いっしょに~しようよ」と相談しあって

移動したりしていました。

私にもたちまちなついて、食事の時には、「ぼくが先生の隣だよ」と主張したり、

自分の工作を動かすための方法を習いたがったり、

理科でクイズを出すときには、自分が先生のように振舞って、

「みんなちゃんと座って!こっちで勉強しないと意味ないじゃんんか!」と

しきることもまでやっていました。

ルールのあるカードゲームも、初めてするものも、すぐにゲームの流れを察して、

楽しそうに遊んでいました。





一方で、内向型の子たちは、

そうして積極的に参加している子たちの様子を観察することからスタートし、

ゆるゆると自分のペースで関わっていました。

私が、「○○してみる?」と誘うと、ちょっとひきつった表情をして、固まるか、

首を振る子もいます。

そのように表面的には、その場の活動への参加を嫌がっているように見える時も、

こうした内向型の子たちは、

イメージの世界では、「こんなふうに参加したい」という自分像を持っていたり、

ひとりひとりの人を観察しながら、その人との距離の取り方を測っていたりするのが

わかりました。

内向型の子たちは、その内気でもじもじした消極的な態度からは想像がつかない

くらいに、理想的な自分の振舞い方のイメージや高いプライドや自分なりの考えや

判断を持っている場合が多々ありますから、

安易に積極的な子たちと同じ活動をするよう干渉しすぎると、

それが原因で傷ついたり、へそを曲げてしまうことがあります。

自由度が高い場では、ちょっと冷たいようでも、

(ひとりにさせておくようで気にかかるでしょうが)本人がしたいようにして、

そっとしておくといい場合があります。

そうして、あまり構いすぎないようにして様子をうかがっていると、

自分がやってみたいと思うことをしている子たちの方を

食い入るように見つめているはずです。

もし、そこで、大人が寄ってたかって機嫌を取ったり、

なだめすかして参加させようとしたり、強制的に他の子の輪に入れようとすると、

内向型の子たちは、そうした自分への侵入的な態度に反発したり、

ただなすがままに依存的に従ったりして、

「ぼくは(私は)ダメな子なのかな?」という他の子たちより自分には

足りないものがあるというイメージを自分にかぶせるときがあります。

ただ、そっと子どもを尊重して待ってあげることが、

大事な場合が多々あるのです。(発達障害を持っている子への対応はまた異なります)

 

続きを読んでくださる方はこちらをどうぞ

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 4

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 5

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 6

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 7

子どもの性格タイプについて考えることでどんないいことがあるの? 8

 

 

性格タイプによって、作る作品にこんな特徴があらわれることがあります。 ↓

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子どもの性格タイプによって

作る作品も創作活動から学び取るものもずいぶんちがうように感じます。

感覚タイプや感覚寄りの子たちは、労を惜しみません。

大量の作業をこなしながら「規則性」を導きだします。

直観タイプや直観寄りの子たちは、大雑把であまりていねいに作りませんが、

独創的で、自発的に次々ひらめいて作ります。

科学的な仕組みを利用した工作なども好みます。

作品作りから抽象的思考を発展させます。

感情タイプの子も思考タイプの子も、感覚寄りか思考寄りかで、

作品作りから何を学びとるかが、異なるように思います。



<内向的思考感覚寄りの子の作品>(内向的感覚思考寄りの子かも)



内向的思考感覚寄り、内向的感覚思考寄りの子たちは、

大人顔負けの作品を作るけれど、大人の手助けを嫌がって

全て自分で作りたがります。

直観タイプの子たちが壮大なアイデアを思いつくものの、

めんどうな作業は手伝ってもらうことをすぐにあてにするのとは

ずいぶんちがいます。

このタイプの子たちの作品は計算された建築物のような美しさがあるものが多いです。

色にも形にも数にもこだわります。

作品作りを通じて、「規則性」に気付きます。



<内向的思考感覚寄りの子の作品>(内向的感覚思考寄りの子かも)




<内向的感覚思考寄りの子の作品>(内向的感覚感情寄りかも)



<外向的思考直観寄りの子の作品>(外向的直観思考寄りかも)

駅のエレベーター。入口と出口が変化するように工夫しています。色使いもきれいです。

 





独創的で直観的な作品作りが多かったので、

ずっと外向直観思考寄りの子だと思っていたのですが、

成長するにつれて思考力が急速に伸びてきたことと、

感覚を必要とするていねいな作業も得意なことと、

他人の感情を読むことが少し苦手なことから、

外向思考直観寄りの子だろうと思うようになりました。



<外向的直観思考寄りの子の作品>(外向思考直観寄りかも)



おおざっぱな作りとはいえ、独創的で宇宙をテーマに作っているところと、

他に船や車などを作るときに、動きを作りだす工夫をしたり、自分で発想して、

問題を解決していく力があるところから、外向直観思考寄りの子ではないかな、

と思いました。



<外向感情感覚寄りの子の作品>



たくさん作る労を惜しまないところがあります。

感情に響く作品作りが好き。写真は詩のカード。




友だちとの交流を目的にした作品作りも好きです。

 



<外向的直観感情寄りの子の作品>





遊べる作品が好き。

自分のオリジナルアイデアを盛り込みます。仕上がりはこだわらず、

大きなサイズのものを作るのが好き。

 


<外向的直観感情寄りの子の作品>


アイデア重視で、2階建てにするとか、3階建てにするとか、凝ったものが好きです。

大きなサイズの遊べるものを作るのが好きです。

 



<外向的感覚思考寄りの子の作品>

このタイプの子は、労を惜しまないところと、

頭を使うことを好むところがあるので、自分から「テスト」や「通知表」

「スケジュール表」などを作りたがる子がいます。



<内向感覚感情寄りの子の作品> (内向的感情感覚寄りの子かも)


美しい色が好き。労を惜しまないところと、ていねいに作業する繊細さが

あります。自然への興味につながる制作を好みます。

(香水作り、石鹸作りなど、貝殻でする制作、星座を手芸で表現するなど)

 



<外向的感情感覚寄りの子の作品>

労を惜しまないところがあります。ファッション、お人形などのテーマを好みます。



<外向的直観思考寄りの子の作品>(外向的直観感情寄りかも)






ボールの向きを変えるアイデアを工夫しています。

他にも運動の向きを変えたり、

玉を押しだすさまざまな仕組みなどを、ゼロから考え出す力が優れています。



<外向的直観思考寄りの子の作品>

中学生の男の子の作品。ライトがつくピタゴラスイッチ。

 


<内向的直観思考寄りの子の作品>

うちの息子の高校生のときの作品です。色合いや構図がこのタイプの子が

好みそうなものだなと思いました。

 

 






内向感覚思考寄りの子 と 内向思考感覚寄りの子

外向感覚思考寄りの子 と 外向思考感覚寄りの子 は、

たいていどの子も積み木遊びが大好きで

そこから自然に多くのことを学びとります。

↑ の写真は、おそらく内向思考感覚寄りと思われる1歳後半の男の子と

積み木で遊んでいる様子です。

感覚タイプの子たちは、物のサイズに敏感で、

囲った空間に、ぴったり物を収めることが大好きです。

秩序も好きですから、同じ数ずつ、空間に収めて並べていく作業も喜びます。

積み木遊びに色画用紙を取り入れて、

数台の電車をはみださないように置くことができるスペースを作ってあげると、

「狭い」「広い」という概念に親しみ、面積に対する興味にもつながります。

色画用紙を折ってトンネルを作ったり、紙で立体を作って

展開図のようになったものを見つつ遊べるようにしてあげるのも

このタイプの子の気持ちを満たします。

このタイプの子たちは長さが比べられる写真のような棒状の積み木や

遺跡などを作るとき仕上がりがきれいなレンガ積み木でよく遊びます。

このタイプの子らは、遊ぶことと学習の壁が薄いです。

歴史や地理や化学や計測と関係ある算数を幼いころから好みます。

けれども、感覚的に学びたいときに、考える問題をあれこれ出題されると

勉強を嫌がるようになるかもしれません。

自分の興味からスタートする学習を何度も繰り返すことが好きなのです。

几帳面で完璧主義なので、できることが確認できないと、

取り組みたがりません。理想やプライドが高い子が多いので、

他の同年代の子と比べるような学習をさせると、強い拒絶を示すときもあります。


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積み木遊びの話からそれますが、お勉強の話も少し……。

感覚タイプの子たちは、計測することがとても好きで、

算数を学び出したとき好むのも、


まわりのながさが、14センチの四角形があります。

たてはよこより1センチながいです。たてとよこの長さは何センチですか


といった問題や、



12デシリットルと、300ミリリットルを合わせると、

何デシリットルになりますか


といった問題や、

表やグラフにデーターをまとめてあって、分析しながら解いていく問題です。


感覚が優れている子たちはたいてい

新しいことよりも慣れている繰り返しを好みます。

ですから、毎日コツコツがんばって、

スローステップで力をつけていく系統学習を好む子も多いし、実際、それによって

力がついていきもします。

ただ、感覚が優れている子の中でも、

思考を使うことを好み、難問にチャレンジすることが好きな

外向か内向の感覚思考寄りの子 と 
外向か内向の思考感覚寄りの子の一部には、

スローステップで学ぶ方法はまどろっこしくつまらなく感じられる子もいるようです。

感覚が優れている子で、

思考タイプで感覚寄りという子も

感覚タイプで思考寄りという子も、

一般的に基礎計算の繰り返しなどを好むと捉えられている「幼児期や低学年の子」

という枠からはみ出してしまうような論理的な思考や抽象的な考え方を、

早い時期からしはじめます。

そうした子らは、暗記して練習させるだけでは、勉強に対する興味を失ってしまいます。

知力を限界まで使いたい子たちには

解いていて充足感が味わえるような問題を与える必要があります。

話を積み木遊びにもどして……



↑の写真は、外向的思考直観寄りの子と作った「なわばり図」ですが、

これはもともと内向的感覚思考寄りの子の作品からスタートした遊びです。

 






↑のような遺跡作りも、美しさだけでなく世界や歴史への興味を広げられる点で、

内向感覚思考寄り、内向思考感覚寄り、

外向感覚思考寄り、外向思考感覚寄りの子が好む積み木遊びです。