虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

小2の女の子たちのレッスンで  (工作と算数の世界のつながり)  

2019-06-15 18:12:03 | 算数

幼児期はリボンや綿で食べ物を盛りつけたり紙コップ人形を飾り付けたりする工作を

満喫していた女の子たち。

今回も、「お家が作りたい」「ポップアップ絵本が作りたい」と

これまで何度か作りたがっていたものを作ったのですが、

「(マスを数えるだけで垂直に線が引けて、きれいな立体が作れるから)

工作用紙って大好き!」と言いながら展開図を描いて工作していたところと

折り目に筋を入れてきれいにしあげることを心がけるようになったところが

「2年生になったな~」と感心したところでした。

 

Aちゃんのお家に8ぴきもアオムシがいるそうで、ちょうちょになるまでさなぎをささえる

円すい型のポケットがいるという話でした。

コンパスを使って工作用紙に円を描き、円すいを作ったAちゃん。

「これにピンクの色画用紙を貼りたいけどコンパスの幅がわからなくなっちゃった」と

困っていました。

「円すいのこの部分(母線にあたるところ)をコンパスで測り取ったら

さっきと同じ円が描けるよ」と言うと、

それからよく形を観察して、「あっ、そうか!」と手品の種明かしでも

されたようにびっくりしていました。

 

算数の時間にサピックスの『きらめき算数脳 2、3年生』のおそうじロボの問題を解きました。

かなり難しかったのですが、全員、解き終わっても少し余裕があったので、

工作用紙を使って、かけ算と面積図の問題と等差数列の問題のクイズを出しました。

 

まず初めは、かけ算クイズ。

1センチの1マスを「1」とします。

「これは何かける何でしょう?」

「7×10」とBちゃん。

他のさまざまな形をかけ算の形で言った後で、

5×20と10×10を見せて、どちらの数が多いかたずねると、みんな「どちらも100だから

同じ」と答えていました。

こうしてかけ算を形でとらえるクイズをしていると、

かけ算がさまざまな形に変形できることがわかってきました。

 

また、「1日3びきずつまいにちアオムシがうまれます。7日たつとアオムシはなんびきに

なるでしょう?」といった問題を面白がって答えていました。

 

子どもたちが特に興味を持っていたのは等差数列の和の問題です。

1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=

という数の階段をふたつ作ってがったいさせると、

(1+10)×10になることがわかった後で、

2+4+6+8+10の階段をふたつ作ってクイズを出したり、

「1から100まですべての数をたしていくと

いくつになるでしょう?」

というクイズを出したりすると、みんなきちんと正解していました。

 


ビンゴゲームと割り算の練習

2019-05-26 21:38:31 | 算数

今学校で穴あき九九という割り算学習の準備をしているという小学3年生の子たち。

ビンゴゲームで数字が出てくるたびに、

「答えがその数字になる九九を言う」「どんな数字で割れるか言う」という

遊びをしていたら、

喜んで取り組んでいました。

特に34=17×2や38=19×2といったちょっと面倒な計算も

ビンゴカードを押すという楽しみがあるので

嫌がらずにしていました。

たまにひとつひとつの数字に集中する遊びはいいですね♪

 


1年生の子のレッスンで(遊びと工作と学びのつながり)

2019-04-18 20:22:53 | 算数

 <虹色教室で培ってきた算数遊びと療育的な関わりの知恵を共有したいと思っています >

でうかがったご意見をもとに大人の方向けの講座を予定しています。募集は、ゴールデンウィーク

明けにさせていただきます。

 

 

教室のレッスンはそれぞれの子が興味を持っていることややりたがることをする中で、

子どもの知的好奇心が動いた物事をテーマに学びを発展させるようにしています。

アナログゲームなどの遊びと工作や理科実験と学びを行き来しながら

教室で過ごしている様子を、紹介しようと思います。

 

小学1年生のAちゃんのレッスンの様子です。

Aちゃんは幼稚園時代、ボードゲームやカードゲームに夢中で工作はあまりしたがりません

でした。でも、小学校にあがって、ていねいに手作業をすることへの関心が

高まっているようでした。そこで、コンパスを使って作るメダルの見本を見せると、

作りたがりました。

子どもと工作をする時、ワクワクして何度もやりたくなるような

作業が含まれるようにしています。

マスキングテープを貼っていく作業は子どもたちの大好きな作業です。

(こうした作業に余裕がある時は、どれくらいの長さのマスキングテープが必要か考える機会にも

しています)

 

 画用紙の裏に好きなマスキングテープを貼ります。

 

裏にマスキングテープを貼った画用紙に、

コンパスで円をかき、その半径だけ開いたコンパスで

円周を切ります。

すると、花のような絵柄ができあがります。

同じものを裏に何も貼っていない画用紙でも作ります。

Aちゃんのアイデアで、花の裏側には、残った面を貼りました。

(3年生以上の子とこうした工作をする時は、こうした面の面積の計算方法について

問いかけています。)

虹色教室では、こうした基本の作り方を学んだらめいめいが自由に自分で発展させて工作を

楽しんでいます。

最初から最後まで自分で作ることができてうれしそうなAちゃん。

100円ショップで見つけた六角形と10角形の紙皿を見せると、

「はちのすの形」と喜んでいたので、辺同士をつなげて並べて遊ぶことにしました。

Aちゃんは秩序のあるパターンを作りたいようで、白い皿が足りないのを残念がっていました。

でも別の見方をすると、どこから見ても同じ形に見える6つの六角形の組み合わせができることを

喜んでいました。

Aちゃんが形に興味を抱いているようだったので、『グローカルヘヘキサイト』という

図形を敷き詰めていくゲームをしました。

合わせる辺の数だけ得点をもらえます。

このゲームが大好きな子は多いです。はじめて挑戦したAちゃんもたちまちこのゲームが大好きに

なってはりきって得点計算をしていました。

 

算数の学習時間に、サピックスの『きらめき算数脳』の問題を解きました。

とても難しい問題でしたが、Aちゃんは喜んで取り組んで、正解していました。


算数のセンスを養う小学生の数遊び

2019-04-17 14:15:53 | 算数

小学2年生のAちゃん、3年生のBちゃんと

数を素因数分解していく遊びをしました。

1~50までの数をできるだけ小さな数同士のかけ算であらわしていくんです。

たとえば、8の下に、2×2×2にあたる

2のチップを3つ置いています。

この遊びのいいところは、とにかくやっていて楽しいことです。

これに慣れると、分数の約分、公倍数や公約数、割り算、整数問題、分数の応用問題

などが簡単に感じられるようになることです。何が素数かも覚えてしまいます。

数の下に数のチップを置いていく遊びの後で、下のようなクイズをしています。

答えはA=8(2×2×2)

 

分母と分子に同じ数があったら、外に出していきます。

 


少し難しくなるとやりたがらない子、難しそうだと思うと最初からしない子にどう接したらいい 2? 

2019-04-11 21:04:05 | 算数

(↑ ユースホステルにて)

 

「難しそうだからやめておく」という子が、

考えることをめんどくさがったり考えるのが苦手だったりする子だった場合、

ただ成長を待って見守るだけではダメかな、と思っていることを書きました。

 

それなら、どうすればいいのかというと、

まず考えることを避けるいくつかの理由をできるだけ正確に把握するようにします。

 

考えることを避ける子の中には、親子の1対1の会話の量が少ないために

語彙量が足りなくて、問われている内容がイメージできない子がいます。

できるようにするためにプリントやワークをさせることや

他の子らよりできない何かを練習させることしか、親御さんの頭にないままだと、

いやいややらせるうちに自信をなくしたり、大の学習嫌いになってしまいがちです。

遊びや日常のひとこまひとこまで、よりていねいに言葉を伝えたり、

子どもとの会話を楽しんだりすることが大事なのではないでしょうか。

言葉からイメージする力が足りない子らと遊ぶ時、

わたしは言うまでもなく当たり前のこともいちいち言葉にしたり、

クイズにしたりします。

「お母さんはどこに行ったの?」と聞かれたら、「お母さんは買い物に行ったのかも

しれないね。そうだ、○ちゃんが教室で遊んでいる間にシャンプーがなくなっていたから

買ってこようって思っているかもよ。

レジのところで洗剤の箱をはいって渡して、お財布からお金を出して、おつりを

もらっているかも。お風呂に入った時、シャンプーがなくて、リンスしかなかったら、

どうなるかな?リンスで洗えばいいか……?」といった話をしたり、

子どもがミニカーを並べて遊んでいたら、「暑い暑い。今日はとっても暑い日ね。

今は冬なの?それとも秋?」とたずねたり、いっしょに信号を確認したり、

車のガソリンの残り具合を相談してガソリンスタンドに行くことにしたりします。

「どちらが」とか、「1番、2番目に~、3番目に~」とか、

「向かいあわせにおいてね」とか、「半分にしないと……」とか「○○くんの道路の車を

全部あわせたのより先生の駐車場の車の方が多いよ」といった話をしたりします。

子どもがアニメのキャラクターが好きなら、アニメの話題で、こうしたさまざまな

言葉に触れられるように気をつけています。また、子どもが思わず、「こうだよ」と

説明したくなるような問いかけや会話を目指しています。

 

考えようとしない子には、自分の身の回りの状況を把握するのが苦手な子もいます。

そうした子にワークでの解き方だけ教えても、あまり意味がないと思っています。

「少し難しくなるとやりたがらない子」には、

それまでの成長の中で、年相応の「向上心」が育っていないように見える子がいます。

 

向上心は自分がやりたいと思ったことにしっかりやって達成感を味わうと高まります。

また、過保護や過干渉な関わりではなく、人として尊重され、

自分の興味や行為を認められるうちに養われていきます。

 

教室の小1のDちゃんと年中のEくんは、

最近、「向上心が育ってきているな」と感じる姉弟です。

DちゃんEくんのお母さんから、この夏休みにお家でしている試みについてうかがって、

子どもの意欲や根気を刺激するすてきなアイデアに感服しました。

家族で、「最近、ラジオ体操ってないよね」という話から、

「家でラジオ体操をしよう」という流れになったそうです。

お母さんがラジオ体操のスタンプカードを作っていると、

Dちゃんも真似て作ったのだとか。

それから毎朝、家族みんなで早起きし、テレビのラジオ体操をつけて、

みんなで体操をしてスタンプを押して、スタンプが10個たまったら、

子どもといっしょにお菓子作りをすることにしたそうです。

お菓子は本の中から好きなひとつを選んで、材料を買いに行くところから。

 

この取り組みをはじめた当初は、「すぐに飽きてしまうかな」と思っていたそうですが、

もう2回お菓子を作って、今も毎日続いているという話です。

 


カードゲームと算数学習

2019-03-21 19:58:53 | 算数

小学3年生のAくんのレッスンで、『死ぬまでにピラミッド』という

ゲームで遊びました。

形の描いてあるさいころを振って、より大きな二等辺三角形を作っていくという

シンプルなゲームですが、いざ遊びはじめると秩序のある形を作っていく

気持ちよさにはまります。

ゲームをした後、2、3年生の子らとは、規則性に関する

クイズをしています。

上から1段、2段、3段、4段と

縦に数字を書きだしてから、

隣に段ごとの一番小さい三角形の数を書きだしていきます。

子どもたちはすぐに、三角形の数が4ずつ増えていることに気づきます。

 

<三角形の数>

1段めは、

2段目は、6  

3段目は、10

4段目は、14


それでは、6段目の時には、2に何回4を足したでしょう?

 という問題。

答えは5回。2段目の時は1回足して、3段目の時は2回足して、4段目の時は3回

足しているんです。

Aくんは、最初は首をかしげていましたが、

「わかった。〇段目より1ずつ少ないでしょ。」と気づきました。

 

それでは、100段目の時の小さい三角形の数はいくつでしょう?

 Aくんはちゃんと当てることができました。

 

 


半分の半分は4分の1

2019-02-07 17:26:16 | 算数

半分の半分は4分の1とだと知っていると計算が楽になります。

1と10と100の4分の1はなにか、折り紙を使って学んでいるところです。

 

 

<おまけ>

100円ショップで売っていたロディ―人形が、デュプロのお人形の

馬になっています。端をはじくと走る仕掛けで競馬もしています。

 


様変わりする算数セット……算数セットを使わない学校もあるそうです

2019-01-15 20:32:31 | 算数

最近の小学校の算数セットは、ひと昔前のものと比べてずいぶん様変わりしたようです。

かつてわが子の就学を控えた親たちをうんざりさせた算数セットの名前つけ作業も、

今では、単語カード風に束ねてある計算カードとせいぜい10個までの具体物、

プラスチックの時計などに名前をつければいいだけのようです。

算数セット自体、使わない学校すらあって、

ないならないで授業が成り立つなら、算数セットなどという面倒な道具を

どうして購入させていたんだろう、と古い教育の無駄なあり様を疑問に思う方も

いらっしゃるようです。

 

確かに、授業中の手遊びのもとになるようなセットがあるのは面倒なだけかもしれないし、

ちまちました小物は無くし物と忘れ物の元凶となることでしょう。

 

それでも、「1年生で教えるのはここまでだから……」という数の棒やチップの横で

幅をきかせる計算カードを目にすると、もやもやした心配が頭をもたげてきます。

かつての算数セットはよかったとか、今の算数セットではダメだとか、

そういうことではなくて、

それは、世の中のお母さんの考えや先生の考え方を象徴しているようでもあるし、

子どもの置かれている環境や子どもの脳内を具現化したもののようにも見えるからです。

 

教室に初めて来る年長さんや1年生の算数の力を見ていると、

「3+1=」といった問いには、即答できるのに、

★ちゃん、●ちゃんの前にドーナツのおもちゃを2個ずつ置いて、

「★ちゃんのドーナツを1個、●ちゃんにあげるとどうなるかな?」といった

質問には、首をかしげたままになってしまう子がけっこういるのです。

 

目の前の物を見ながら、「これをこっちに移動させたら、どんな風に変化するかな?」と

イメージすることができないのです。

物を手で動かさないでもイメージできるようになるには、

それまでに実際に物に触れて、手で操作した体験がたくさん必要です。

いくら計算カードで式を暗記しても、物をイメージして考えていく力が

伸びていくわけではないのです。

計算カードを暗記する時、子どもによっては、

まるで電話番号を丸暗記していくような理解で覚えていく子もいるのです。

 

また、3人の子どもたちがいる時に、

「★ちゃん、☆ちゃん、●ちゃんの3人の子の手の中に3個ずつおはじきがあるよ。

みんなのおはじきを合わせるといくつになる?」

とたずねても、ひとりひとりの子を指さしながら、

「1,2,3……4,5,6……」と見えないおはじきを数えあげていくことが

できない子もいます。

 

算数セットが貧弱になったから、

具体物を操作したり、イメージしたりする力が弱くなったというわけではないけれど、

できるだけ効率的に学習単元をマスターさせていくこうという考えを

世の中の大人たちがこぞって目指すことには、

意外な落とし穴があるのではないか、と考えてしまうのです。

 

 

2ケタの筆算はできるけれど、数の理解がほとんど進んでいない子たちといっしょに

100を作っていく遊びをすると、

それまで学校で何度計算プリントをしてもピンときていなかったことが、

ハッとわかる時があるのです。

 

「小学1年生で学ぶのは、この数まで」と決まっていても、

実際に目で見て、手で操作する数が習う数の範囲だけだと、

本当の意味で数について理解できるのでしょうか?

 

わたしは習うものが10までの足し算という時にも、

目で見て、身体で数を知るには、

100とか1000といった数を見たり触れたりすることが大事だと

思っています。

 

数というのが、どこまでも続く秩序として子どもの中に根付くには、

たくさんの数を見たり触れたりする体験が必要ですから。

 

算数セットにまつわる変化について、もやもやとした思いをくすぶらせていた時に、

内田樹氏の 子どもたちよ、英語のまえに国語を勉強せよ という文章を読んで、

自分が何に対して気を揉んでいたのか腑に落ちました。

この文章、英語について書かれているものですが、学習全般に通じる、

大事なことが述べられているのを感じました。

 算数セットの話題からは、少し逸れてしまうかもしれませんが……。

 

内田樹氏は、英語力が下がった理由は

「英語を学ぶと将来的に有利」などと、英語力を実利に結びつけるようになったから」と

おっしゃっています。

 

学習の“報賞”があらかじめ開示されると、

子供たちはいかに効率よく“報賞”を手に入れるか、最小の学習時間で、

最大の効果を求めるようになります。

頭のいい子ほど、「聞き流すだけで英語力が上がる」とか

「居眠りしながら英語力が身につく」といった市場にあふれている

「最小の学習努力で最大の効果」をめざしている学習法に傾倒しがちなのだとか。

 

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かつての「英語が好き」な子供たちは、誰に言われなくても英語の小説を読み、

英語の音楽を聴き、英語の映画を観て、厚みのある英語力を身につけた。

そのようにして得た英語力は試験の点数にそのまま反映されるわけではない。

無駄が多すぎたからである。入学試験に出るはずのない「無用の知識」を大量に

含んでいたからだ。

けれども、その「試験には出ない知識」が彼らの英語力の厚みを形成していた。

あらかじめ“報賞”を開示すれば、子供たちは必ずそこに至る「最短距離」

を探すから厚みがない。だから、「この教科を勉強すると、いいことがある」という

誘導のしかたはしてならないのである。

             

『子どもたちよ 英語のまえに国語を勉強せよ』内田樹

                      (プレジデントFamily 2013年7月号)

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「無駄が多すぎる学習方法に含まれる入学試験に出るはずのない大量の無用の知識が

かつての英語力の厚みを形成していた。」というくだりは、

自分の子たちを育てていて、強く実感しているところです。

無駄な過程を山ほど踏みながら、わが子たちが勉強したり、アルバイトして

社会と関わったりする姿を見ていると、

確かに、成功を約束された最短距離をひた走っていくのと違って、努力もしている、

能力も十分あると思うのに、それに見合う成果になかなか結び付かないな、と

もどかしい時期だってあるのです。

でも、「厚み」とか「深み」という言葉で、

そうした無駄の多い体験を経たわが子たちと向き合うと、

知恵にしろ、精神力にしろ、物事に対する深い理解にしろ、未来を思い描く力にしろ、

わたしが20代の頃といわず、今のわたしも到底及ばないな、とも感じています。

無駄もいっぱい含んでいるような何か自分を投じることから得るものの大きさ、

豊かさのようなものをわが子たちの成長から実感しています。

 

話がずいぶん脱線したので、算数セットの話題に戻りますね。

写真は、アスペルガー症候群の6年生の☆ちゃんの学習の様子です。

 

「1.3は0.1がいくつ分か?」という問いに、

「1.3個」という答え。

そこで、「0.1が2個だと、0.2。

0.3が3個だと0.3……0.1が10個だといくつ?」とたずねると、

「0.01」と答えました。

また、「0.1が10個だと、1よ」

と教えてから、「1.1は0.1がいくつ分?」とたずねると、

「1.1」と答えていました。

これは具体物を使って、何個なのかと数えているものと、0.1にあたるものを

目で見て確認しておかないと、こんがらがっているな、と感じたので、

キラキラした小物のひとつを0.1として13個並べて考えてみました。

そうやって、「0.1、0.2、0.3……と置いて行けば、

それまでこんがらがっていた知識もきちんと整理できました。

 

「1枚8円のシールを6人に5まいずつ配ると、いくらお金がかかるのか」

という問題も、

文章を読みながら具体物をセットしていってもらうと、

「~まいずつ」という言葉の理解につまずきがあることが判明。

「5まいずつくばる」という文を読んで、

人形にそれぞれ1枚ずつ、全部で5枚のシールを配り終えて、

「できた。配れない人形もあった」と言って涼しい顔をしていたのです。

 

これまで☆ちゃんは「~まいずつ」という記述が出てくる問題は

解けてはいたのですが、

「こういう言葉がでてきたら、掛け算をする」と覚えていただけで、

意味を正しく理解してはいなかったのです。

 

「5個ずつ9皿に分けると、3個あまる」という問題を

具体的に皿と小物で表してみるようにうながすと、

ひとつの皿に9個、小物を乗せており、「3個あまる」という部分は、

「3掛けるの?」とたずねて、計算式で紙に書こうとしていました。

 

☆ちゃんのように言葉と実際の物の扱いが結びついていない場合にも

学校で習っている期間は、計算ドリル等で同じ問題を繰り返し練習するので、

パターンとして解けるようになっていることはよくあります。

学校の先生も、親も、そうして形だけでもできるようになって、

テストで点を稼げたら良しとする風潮が蔓延しているように思われます。

 

それは算数セットを従来のものに戻せば解決する問題でもないでしょう。

でも、物を扱わなくても、計算カードで暗記だけして、

数式を扱えるようになれば問題なし……という方向に行き過ぎることには

危機感を覚えます。

 

勉強は、学校で習う内容を訓練したかどうか、それができるようになっているかどうか、

にだけ力を入れていても、

それ以外の無駄とも思われるさまざまな体験を経なくては、

きちんと力がついていかないし、正しく理解できないところがあります。

 

ゲームをして遊んでいると、

頭の使い方をきちんと習得していないことに、

成績が伸び悩みの原因が見つかることがあります。

写真のゲームは、青、赤、緑、黄色、紫の5色と

猫、犬、馬、牛、豚の5ひきの動物について、

青い猫、赤い豚、黄色い馬、紫の牛のように4ひきの動物、

それぞれに色がついているカードを見て、

そのカードにない色で、いない動物を場のカードから探す遊びです。

 

こういうゲームをする時には、まず、色か動物のどちらかを先に絞り込んで、

色は緑がないから……猫でも豚でも馬でも牛でもない動物の犬と

合わせて、答えは緑の犬ね……と判断すると、すぐに答えがわかるようになります。

 

そうした情報を処理が苦手だと、

色の情報を覚えておくことができなくて、動物だけで判断したり、

逆に色だけで判断したりしがちです。

 

カード遊びなんてテストではでない……と思うかもしれませんが、

そうした遊びの中で、手で物を操作しながら、

「問題文を読んで、書いてあることを記憶した状態で、

そこに描かれている図について判断する」とか、

「文中にいくつかの情報が含まれている時、ひとつひとつの情報を整理して

段階を踏んで解いていく」といった力が身に着いていきます。

 

「単元で習うことが、ちょっとでも早く労力を使わずにできるようになること」

だけを目指すことには

いくら表面的な知識は詰め込んでも、そうした頭の使い方自体は身に着きにくい

という難点があるのではないでしょうか。

 

幼児や低学年の子どもたちは、

本人たちが、学習の“報賞”や将来の実利の意味も知らないうちから、

「最小の学習努力で最大の効果」を与えようとする大人たちの

レールの上に乗せられていきがちです。

それは、子ども自身が、自分の判断で、少ない努力で多くの効果を得ようよ

模索すること以上に

学びの根っこをスカスカにしてしまうのかもしれません。

 

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具体物を使った数の体験のアイデアは、

虹色オンライン算数教材でたくさん扱っています。

サンプルだけでたっぷり算数の世界での遊びを紹介しています。

ぜひのぞいてみてくださいね。

 


年長の女の子グループの算数のレッスンのひとこまです

2019-01-14 21:12:24 | 算数

年長のAちゃん、Bちゃん、Cちゃん、Dちゃんの算数のレッスンのひとこまです。

おもちゃのお金を使って買い物遊びなどをするうちに、

100円や50円や10円のさまざまな組み合わせを作ると、

いくらあるのかすぐに答えられるようになった4人。

両替も楽々こなしていたので、

少し難しい問題にチャレンジしたいかたずねると、大乗り気でした。

 

そこで、7つの丸を描いてもらい、

「硬貨が全部で7枚あります。その7枚で200円になるように

組み合わせることができる?」

とたずねました。

50円ばかり並べてみたり、10円ばかり並べてみたりして、

ああでもないこうでもないと長い時間、

試行錯誤をしていました。

が驚いたことに、全員、自力で、下のような7枚を見つけ出すことに成功していました。

うまく200円になったのがよほどうれしかったのか、

「もっと算数の問題したい。もっと出して~!」という声があがっていました。

 


表に整理すること と 規則を見つけだすこと (科学クラブのレッスンで)

2019-01-07 14:48:45 | 算数

小学2、3年生の科学クラブのレッスンで。

メンバーのひとりの☆ちゃんが、「お家でしたけれどわからなかった」という問題を

持ってきてくれました。

小学2年生用の問題集(『スーパーエリート問題集』)に載っているものだとはいえ、

東京学芸大附世田谷中の入試に出た過去問でなかなか難しい規則性の問題でした。

ちょうど科学クラブの子たちは、実験のデーターを表に整理することや、

表から規則的なルールを読みとることを大切にレッスンをしていますから、

実験後の学習タイムに

みんなで取り組んでみることにしました。

まず、大きな紙に図を描きなおして、

並んでいる奇数に番号を打ちました。

 

それぞれの番号にある数を書き込んでから、

どのように数が変化しているのか、

その数を求めるためにはどんな式を作ればいいのか

アイデアを出し合いました。

科学クラブの子らはどの子もこうしたルールを見つけだすのが

とても得意なので、「できるからやらせて!」「ぼくがやりたい!」「わたしが!」と

難なく書き込んでいました。

が、わたしがいじわるにいきなり、「それなら、100番目はどう?」と

たずねると、1+2×(100-1)のところを、1+2×(101-1)と

間違えていました。数が大きくなるというだけで、

何となくこんがらがりますね。

その後、1列目、2列目、3列目それぞれの一番最初の数に

つけた番号を調べて、その番号の求め方の規則についても考えました。

↑ ■くんは、30列目の1番最初の数についている番号を

当てることができてうれしそうでした。

答えは、1+2+3+4+5………+29+1

で求まります。

プログラムロボットで遊んでいます。(左端の円柱形のおもちゃです)

一度壊れてから、子どもたちが

線をつなぎなおしているので、元の形と異なります。

ロボットで紙コップを倒すコースを作っていたのですが、

良い写真が残っていません。

■くんがブロックで作ったゲームで■くんと☆ちゃんが遊んでいたのですが、

「ルール違反をした」とか「こんな小さなスペースで試合の仕様がない」とか

「そんなルール聞いていない」とか「サッカーでの罰則は、

このゲームでもあたり前に守るべき」とかでひと揉め。

 

そこへ●くんが、「何揉めてるの?」と仲裁に入り、

どうすれば解決するかいっしょに考えてあげていました。

ルールをもう一度確認しあい、ゲームのサイズを大きく作りなおして

一件落着です。