過去記事を紹介します。
虹色教室では2時間の間に、工作や積み木を使った創作活動、理科実験、
暗算や九九といった積み上げていく学習、プリントによる思考力のテスト、それぞれの個の興味にあわせた活動(今はプログラミングなど)をしています。
創作活動や理科実験を
全力で取り組めるいきいきしたものにしようと思ったら、
積み上げていく学習は、意欲的に取り組んで
短時間に集中してパッパッと理解していく力が必要です。
子どもだけのグループで学びだした子たちは、
お家では甘えん坊の子も
自立した態度できちんと学んでくれます。
私が子どもたちを見ていると、
子どもはどの子も(たとえ知的障害がある子でも)
成長するにつれてそうした態度を身につけていきます。
そうした子どもの学習欲や理解力を高めるためには、
赤ちゃんのころから親の接し方がとても大切です。
親子レッスンに幼い子を連れていらっしゃる方々が
子どもに何か教えているとき、
子どもが少しうんざりするくらい長い説明をくわえようとしたり、
まだ完全に理解にいたっていないときに、
確認テストのような質問をしたり、
子どもがじっくり同じことを繰り返したいときに、
次のステップをもとめたり、
子どもが自分で考える間を与えずに
どんどん教えたり、
子どもが飽きてももう少し……とがんばらせたり、
子ども自身にやりたいことを選ばせなかったり、
子どもが自分の学ぶ力に自信を抱くことができるような言葉かけをしていなかったりします。
そうしたことを数回でも続けていると、子どもはたちまち
勉強は面白くないもの、自分は上手にできない子……
ということを学びます。
私が、子どもに何かを教える場合、子どもがいきいきする楽しい活動の中で、
少しだけ教えて、
もっと教えて欲しいという気持ちが強いうちに
さっさとやめます。
そして、子どもがどんなにしっかりしていて
学ぶことが大好きで理解力がある子か、私がとても
うれしく感動していることを子どもに伝えます。
つまり勉強するときはいつでも、
大人が子どもから満足を得るよりも
子どもが大人の働きかけや言葉かけから満足を得る量の方が
たくさんになるように調整しているのです。
赤ちゃんにとっての学習は、
はいまわって、触って、口に入れて、物に手を使って働きかけること
です。
赤ちゃんがしたがることが、十分できるように手助けしてあげます。
もし大人が見本となることを見せてあげたい場合は、
だまってポイントに気づくように見せて、
赤ちゃんに興味が生まれるまでは無理強いしません。
そうした赤ちゃんの時期から、大人が、
勉強するときはいつでも、
大人が子どもから満足を得るよりも
子どもが大人の働きかけや言葉かけから満足を得る量の方が
たくさんになるように調整する
ように気をつけていたら、子どもはその子のペースで
学ぶことが大好きな子に成長していきます。
幼い子に今すぐ何かできるように求めることは
ばかばかしいことです。
子どもって、本当に個性的で、その子としての
魅力にあふれているからです。
昨日の小2の☆のレッスンでこんな気づきがありました。
この子は競争がきらいで、コツコツ練習するのも嫌い、学校の宿題はぐずぐず……という子です。
でも星が好きで世界の地理が好きで、算数の難問が好きで、恐竜が好きで、読書が好きで、音楽が好きで、スポーツが好きで、機械の組み立てが好きです。
☆くんのお母さんは、☆くんが好きなことは十分取り組める環境を用意していますが、☆くんが嫌いなことは、責めずに叱らずに、そっとフォローしてきました。
昨日、☆くんは教室で購入した『テルミン』という楽器をはじめて見て、
喜んで弾きはじめました。
熱心にいろいろやってみたあとで、
大人の科学の本のテルミンの弾き方の記事を熱心に
読みながら、再度弾いていました。
それから、テルミンが生まれた歴史や、テルミンの構造の記事を
熱心に読んでいました。
また、算数の文章題がとてもよくできていたので
「すばやくたくさんの量がよくできたね」と褒めると、
「算数よりもさ、宇宙のことがしたいな」と言っていました。
(それが教室ではすばやく学習をやりとげる理由です)
それで、海王星の周期が描ける道具を作りました。
競争がきらいで、コツコツ練習するのも嫌い、学校の宿題はぐずぐず……という☆くんの性質は、泣いても嫌がっても、
叱って矯正して
みんなと同じようにできるようにできたのかもしれません。
でも、そうして他の子と同じように育てようとして、
☆くんらしい探究心や読書欲が育まれたか……というと怪しいのです。
それより、☆くんらしさがきらめくようになると、
ぐずぐずしてコツコツしなくちゃならない作業を怠ける癖は、
自然と克服されてきました。
小学校の他の子たちよりちょっと時間がかかっているだけなのです。