遊びでも学習でも、
理解力が乏しかったり、衝動性が強かったりするためにルール違反が多い子には、
注意してダメ出しするのではなく、
「ルールが守れたら得する」場面をたくさん作って対応するようにしています。
すると、少しずつでも、「きちんと自分を制御してルールを守れた」という成功体験が
蓄積されていきます。
ささいなことでも、それまでできなかったことができた時、
「どんな状況で、どのように成功したのか」を具体的に伝えるようにしています。
手短に「なぜそれが成功なのか」理由も教えています。
たとえば、こんなふうに。
『STRATEGO』は、軍人将棋の一種で、相手に見えないように
自由に駒を配置して対戦して遊ぶのですが、多動気味の子たちは
しょっちゅううろうろと席を立ったり、身体をゆすったりする癖があるので、
図らずしも相手の駒を見てしまうズルをすることが、しょっちゅうあるのです。
そんな場合、「相手の駒を見るのはルール違反よ」と告げるだけでは、余計面白がって、
わざと相手の駒を覗きに行くおふざけに発展しがちなのです。
何度も注意されることは、何度も注目されることを意味しています。
それに味を占めて、みんなでしている遊びを破壊しながら、
破壊している子が一人、上機嫌で笑い転げる展開が繰り返されることも起こりますし、
その結果、毎回、その子にとってほかの子らの遊びの破壊が遊びになってしまったり、
その子が遊びの輪に入れてもらえなくなったりする事態にもつながりがちです。
ですから、そうしたズルが始まった時点で、その子ができそうなレベルの我慢
(身体を支えて置いて、「ふらふらしたら見えちゃうからね。がんばって、がんばって
見ないでね。相手の駒を見ちゃったらダメなのよ。ズルだからね」などと声をかけながら
ゲームに介入します)をさせて、きちんとできた部分を伝えるようにしています。
「大丈夫、B(相手)の駒は見ていないよ。もし、ふらふらーって歩いて、
後ろから覗いたらズルになっちゃうからね。そうしたら、Bくんの駒が復活するよ。
よかったね。もう少しでBくんの駒が復活するところだった。危なかったわ。
気をつけてルールを忘れないようにしていてね」という具合に。
また定期的に、
「どうして、戦う時は駒を見せあうのかな?」と質問したりして、
自分のやっていることの意味を説明したり、
ひとつひとつのルールがある理由を再確認したりする機会を設けています。
次回に続きます。