虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

発達の凹凸のある子たちの思考力と社会性を育む関わり 2

2014-10-08 15:04:09 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

発達の凹凸のある子たちの思考力と社会性を育む関わり 1

の続きです。

 

前回の記事で、

「実際には、発達に気がかりのある子の行動や伸びを左右する要因は、多種多様で、

日常のあらゆる場面に散らばっています。

成長のきっかけも成長していく道筋も数えきれないほどあります」と書きました。

 

発達に凹凸のある2、3年生の子らのレッスンの様子です。

 

2人と1人のチームに分かれて、『STRATEGO』というゲームをしました。

どの子もこのゲームは初めてなので、最初にルールを説明しました。

 

2年生のAくんはいくつかのルールを理解して指示に従って遊ぶのが難しい子です。

気持ちが高揚してくると、感覚刺激を求めて動き回って、

ゲーム盤上のコマをぐちゃぐちゃにしたり、

ほかの子が作っているものを壊してしまうことがあります。

 

同じく2年生のBくんも感覚刺激を求めて落ち着きなくうろうろしがちですが、

少ないルールなら理解できるし、指示にも従えます。

悪気なくルール違反をすることがよくあります。

 

3年生のCくんは、教室ではこちらの話をよく聞いて理解し、

ルール通りにゲームを楽しむことができますが、

家ではルールのある遊びをすることはめったにないそうです。パッと思いついたことを

口にすることはよくありますが、考えを組み立てていくのは苦手です。

 

教室では、遊びが成り立ちにくい子たちが

「ルールを覚えたり、ルールを守ったり、頭を使って問題を解決したり

する必要がある遊び」に親しんでいけるようにさまざまな工夫をこらしています。

 

それぞれの子の情報処理や感覚処理の能力に合うように

ルールを教えることも一つです。

 

「前に1進める、横にも1進める、斜めはダメ、進めない」と教えるのでしたら、

「前」と言う時に手を突き出し、「横」と言う時には、右手と左手を順に横に伸ばし、

斜めはダメと言う時に手を交差して大きなバツを作ります。

実際に駒がどう動くのか、子どもにやらせた上で、ダメなケースも、

「バツバツバツ~!」と言いながら、何度かやってみせて教えることもします。

忘れてしまいそうな場合、紙にイラストつきのルールを書いて、

傍らに置いておくこともあります。

 

幼い子たちにじゃんけんや左右や数を教える際も、同様に

身体を使って表現するよう促しています。

たとえば、じゃんけんをする時には、「パー」と「チョキ」を出し合ったあとで、

「パーの勝ち」と口で教えるのではなく、

チョキのはさみでパーの紙をチョキチョキ切る真似をして、

「チョキの勝ち~!」とチョキの手を上に高くあげさせて教えます。

数も、数える度に指で表現しています。

 

ルール自体をワクワクしながら続けることができて、わかりやすいものに

変更することや、その子が興味を持つ内容から順に教えることも一つです。

 

たとえば、強い感覚的な刺激を求める子たちは、

『STRATEGO』の爆弾に触れた時にどうなるか説明するところから話をすると、

ルールに興味を持ちやすいです。

ほかのゲームにも、「ロケットが飛ぶ」とか「落とし穴に落ちる」とか

「高速で追いかけ回される」といったルールを加えると、

飽きるのが早い子たちが、長い時間、ゲームに参加できるようになることも……。

 

もし、その子たちの今の課題が、「途中で投げ出さずにじっくりと遊ぶこと」なら、

面倒なルールはなるべく減らして、

ゲームの進行がスムーズになるようにします。

『STRATEGO』のクレーター上は進んではいけないルールなのですが、

今回はクレーターの上も進んでいいことにしました。

 

しょっちゅうルール違反をする子がゲームに参加している場合、

きちんとルールを守る子がイライラしてきてゲームが続かなくなりがちです。

そこで、「相手がルール違反をした時は、

「一度、取られてしまった駒を1つ復活させることができる」

というルールを加えると、違反があっても、

ルール違反をされた子のモチベーションが下がることなく

ゲームを続けることができました。

また、ルール違反が多い子が、「次は違反しないようにしよう」と

努力するきっかけになりました。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
カルタ、すごろく、アルゴ (しまなみ)
2014-10-11 03:46:48
うちのムスメは、目を素早く動かすことが難しいようです。また、ルールも、このシリーズのお子さんのように、なかなか守れず、勝ちこだわりが強く、往生します。日常生活では落ち着いてきたので、遊びが充実できるように、誘いながら、ルールに親しませてあげたいと思いました。
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