わたしが自閉症の子たちと関わる時は、
その子サイズの目盛がある『ものさし』を
自分の中に作っていくようにしています。
すると、それまで子どもとうまく関われなかったとおっしゃる親御さんのイメージの中にある
子どもの進歩や成長や遊びの広がりを測るための『ものさし』と
わたしの『ものさし』は、
質も目盛の単位も全く異なる場合がほとんどです。
そこで、親御さんにわたしの抱いている『ものさし』のイメージを取り入れていただくと、
子どもの成長が促進されていくことがよく起こります。
『ものさし』といえば、最近、こんなうれしい報告をいただきました。
の記事で書かせていただいた●くんについてです。
「タイトルに偽りあり」じゃないですが、
●くんは発達障害ではなく脳の先天的な障害によりハンディーキャップを抱えている子なのですが、
記事の中で(そう断りを入れた上で)
他の話題といっしょに紹介させていただいていました。
今回も、自閉症の子の『ものさし』の話ではないのですが、
親がその子サイズに作る『ものさし』について説明させていただくために
●くんの話を取り上げさせてくださいね。
●くんのレッスンから、1ヶ月半ほど経った先日、
お母さんから、●くんの変化について
いくつかお知らせいただきました。
以前はブロックを階段のようにずらして積み重ねて「怪獣~」と言うのみだったのが、
前脚と後ろ脚を分けてつけたり、左右の足をつけたり、首や脚の長さを変えて、
カンガルーやリスに見立てたりするようになったそうです。
ペンギンの人形を縦に並べたり、円陣を組んで配列したり、家に外階段を取り付けてみたりと、
ブロック活動の幅が広がったそうです。
トイレが自立し始め、呼びかけると返事をすることが増えてきたそうです。
またお友だちに興味を示し、声をかけるようになってきたのだとか。
お母さんのお話では、虹色教室に来るまでは、1年前とか半年前と比べて、少しできるようになったかな、という
状態だったけれど、たった1ヶ月半ほどで
さまざまな成長を感じられた、ということでした。
子どもには成長が足踏みしているように感じられる時期と
急速に発達する時期が交互に訪れますから、
たまたま成長が著しい時期と虹色教室に来た時期が重なったとも思われます。
ただ、そうとばかりは言えないな、と感じているのは、
●くんのお母さんの●くんの活動を眺める視線が、非常に細やかで、
小さな成長や心の動きもキャッチできるようなものになりつつあるからです。
●くんのお母さんの何げない
最近ではおもちゃの車6台を丁寧に一列に揃えて並べたり(縦、横)、教えてもいないのに2列だったり
3列にきれいに並べては「ママ、見て~。」と言ってくる姿がとても愛おしく感じます。
といった言葉からも、
お母さんがどんな小さな変化も感じ取り、より良いフィードバックを返しているであろうことを
察することができます。
お母さんが●くんの成長の非常に些細な変化も
測定できるような『ものさし』を自分の中に作りつつあることが、
●くんの成長を促進しているにちがいない、と感じられるのです。
次回に続きます。