虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

幼児を競争させることについて質問をいただきました。

2010-02-23 08:31:54 | 教育論 読者の方からのQ&A
☆競争心を刺激して、がんばらせる幼児教育……どうなの? 1 ☆競争心を刺激して、がんばらせる幼児教育……どうなの? 2の記事に次のようなコメントをいただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最近ブロック教室、はじめました!なおみせんせいのお声がきけて、近くに感じています。お蔭様で、すっかり冷めていたデュプロ熱が再燃しています。
郵便局のお話、小説読むように熟読してしまいました。いろいろ自分のいた職場など振り返りながら。

私は、三姉妹長女です。父に溺愛されていた時期が幼少期にあったからか、なんだかプラス思考気味な大人に成長しました。ただ、母は冷たく中学入試以降の私の成績、言動、もちろん気持ちにも無関心で通されました。。。

成人して、私は「なんでもっともっと頑張れなかったんだろう。なんでもっと自分に挑戦しなかったんだろう。どうして今は頑張れるんだろう。競争することから逃げていたなぁ…」と、学生時代の不勉強をものすごく後悔しています。なので、息子には、一生懸命頑張るという事を覚えて欲しい、一生懸命頑張ったら何事もそれなりに楽しいという事も味わってもらいたいなと思って育児しています。
なので、少しは競争も必要なんじゃないかなと感じています。そのへんはどうなんでしょうか。
あと、テレビで、競争させる育児の保育園の子供たちの運動会で、徒競走2位になってしまった男の子に、同じクラスの女の子が、「2位だよ、よかったね、がんばったね」って駆け寄っていて、感動的なひとコマでした。その男の子のせいで優勝をのがしたのに…。子供がみんな集まってよくやったよくやったと…。私、観ていて泣いてしまう程でした。

もともとやる気のない男の子でしたが、いつのまにか気合が入り、自ら頑張っていたようです。
こういう心の成長というか、いやなこともがんばって乗り越える力みたいなものも必要なんじゃないかなあ、なんて思うのですが、コレはなおみ先生のおっしゃる競争を煽る事とは違うと考えて大丈夫ですか?それとも、やはりこれも競争になるんでしょうか。
というか、そもそもが、幼児にはまだ競争は早すぎというのもありますよね。ちゃんと理解できていなくてすみません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

確かに子どもの頭と身体と心の成長にともなって、
競争の中に自ら飛び込んでいくなら、
競争はさまざまな良いものをもたらしてくれるでしょう。

けれども、幼児期に大人が過度に子どもたちを競わせる場を作るのは、
大人にとって操作しやすい……思春期までは頑張り続ける良い子を作ることができるでしょうが、

自己実現に向かって、思考で自分の意志を方向付けて、
自分の才能を開花させながら生きていくことからは遠ざかっていくのではないかと思われます。

なぜなら、
競争からは「自分らしさ」は生まれないからです。

子どもの中に「自分らしさ」が育ってきた上で、それを磨くために、
競争するのはすばらしいのです。

けれども、親の欲求か、自分の欲求か区別することすら
まだできていない幼児に、
競争で頑張らせたなら、
強迫的な人間関係や自分へのこだわりが生まれるのは、
目に見えているでしょう。

たくさん得るために……勝つためにがんばることも大切だけど、時には執着を手放すこと、勝ち負けにかかわらず楽しむことも人間関係を豊かにするな……

そうした気づきを得ないと、社会でがんばることは難しいです。
でも幼児の競争心のまま生きつづけたら、
人の持つ独自性への理解力が育たず、
がんばればがんばるほど、自分の「無能」にぶつかって、苦しむのではないでしょうか?

「必死でがんばれば、何でもできる」と幼児に大人は教えます。

「必死でがんばれば、何でもできる」と幼児は信じます。

でも必死でがんばって、例えば超がつく難関の中学なり高校なりに運良く入学して、
そこでも「必死でがんばれば一番になれる」「必死でがんばれば、次の目標に達成できる」と思って、必死になっていたとしたら、

同じように必死でがんばる能力の高い子たちの集団の中では、
「必死で」も「がんばる」も建前で、
才能や能力、置かれた環境で差がついてくるという現実にぶつかります。

そこで、1番になれなかったことを、「がんばれなかった」「必死さが足りなかった」と責めるなら、生きるエネルギーが失われていきますよね。

日本には『燃え尽き症候群』『ゆううつ症候群』とかいった心の病が
教師の間にも蔓延していると言います。
こうした心の病の原因は、ついついやりすぎる、がんばりすぎること。
相手に合わせすぎてストレスをかぶることから生まれます。
日本人の「がんばる」美徳も、
自分を仕事できない状態にまで追い込んでしまっては意味をなさないですね。

『いま、こころの育ちが危ない』吉川武彦 毎日新聞社
では、こんな文章が載っています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
困難に直面したときその問題に真正面から「向かう」ことが日本人は大好きです。日本人の美的観念にぴったりだからでしょうか。
だから人間魚雷や体当たり戦法、一人一殺など玉砕戦法が当たり前のように広がりました。
ストレスに向かうとき、たしかに「向かう」のですが、ただ向かうだけでは玉砕するだけでしょう。玉砕してしまっては「自分」はなくなってしまいます。
……
ただ向かえばいいというだけではないのです。自分と相手の力関係を読みきり、自分の力がまさっていると判断したときは、間髪を入れず、真正面から戦いを挑むべきでしょうが、それができるということは自己認識が育っているということでしょう。
やり通すだけのやる気があるかどうか自己診断するしかありません。
……
大切なのは、相手をよく知ること。よく相手がわかるようになることでしょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


競争の前に、友だちと遊ぶのは楽しいな~遊べない日はさみしいな~
優しくされた、優しくできた、けんかしたけど仲直りした~

そうしたゆるやかな子どもの世界の中で、友だちを知り、自分を知り、
幸福感を味わい、
その先に……
お互いに高めあうために自分を競争の中に投じてみよう~という
思春期以後の全力投球が生まれてくるのだと思います。

うちの子にしても、息子は特に幼児期~小学生を通して
競争心は皆無と言えるのんびりさんでしたが、
思春期近くなって、中学入試したいと言い出したときも、
中高一貫校からさらに上の高校を受験しなおしたいと言い出したときも、
じっさいがんばりだしてからの
一生懸命さや根気やくじけなさは、「この子にこれほどまでの強さがあったとは……」
と親の私がびっくりするほどでした。どんな障害物にぶつかってもめげません。とにかく強いのです。(それまで遊びまくってますから……ね)


にほんブログ村 教育ブログ 幼児教育へ



web拍手を送る



楽しく国語で遊んだり、学んだり♪ 過去記事をまとめました

2010-02-22 21:06:56 | はじめに
☆国語辞典で辞書引きゲーム♪

☆お正月にいかが? 「ことわざ折り紙カルタ」  

☆言葉の表現力を高めるために幼児期にできること。

☆子どもに難しい言葉を教える方法♪


にほんブログ村 教育ブログ 幼児教育へ



web拍手を送る

3歳児の遊びと学び♪

2010-02-22 10:02:16 | 幼児教育の基本
自分の世界がどんどん広がって、
こんなことを、こんな風にしたいの。こうすれば面白いと思うの。
これが私は楽しくて大好きなことなの。

と自分の思いを言葉や遊びで展開していくようになった
3歳の☆ちゃん。
テントを作ってあげると、とても喜んでいます。

このテント遊びの中で、10までの数、形、円の性質、お金のやりとり、
ブロックや積み木で道具を製作すること、はさみとテープでアイスクリームを作ること、
指示を耳で記憶して記憶力を高めること、
果物や野菜の切り口や種について学ぶこと

なども体感しながら学びました。
終始、笑顔がこぼれていました。

能力のある部分を取り出して、競争するために学ぶのでなくて、
自分の内面から生まれる意志、好奇心、溢れてくる想像力、願い、喜びに後押しされて
もっともっと知りたい!できるようになりたい!という思いで学ぶ子は、
本当にキラキラ輝いていて賢いです。
にほんブログ村 教育ブログ 幼児教育へ



web拍手を送る

競争心を刺激して、がんばらせる幼児教育……どうなの? 2

2010-02-21 21:16:43 | 教育論 読者の方からのQ&A

早稲田大学名誉教授の加藤諦三氏の著書
『妬まずにはいられない症候群』(PHP文庫)という著書では、

競争意識をかき立てる家庭で育った子の不幸について

胸が痛くなるような内容でつづられています。

子どもが競争心を煽られて育つと言うことは
つまり、
子どもが「自分が自分であることによって、家族に受け入れられていない」ことを
感じて育つということです。つまり、自然な自分であってはいけないのです。

のんびりやだったり、運動嫌いだったり、
想像力や創造力が豊かで、競争よりもクリエイティブであることを
好んだりする子であってはいけないのです。

頭脳活動を好む子は、他の子と自分を比べるより、自分の内面の好奇心を追いかけてのんびり過したがる子が多いですが、
それは許されないのです。

大人が望む運動での競争、基礎計算や文字を書くことをがんばるかどうか……

で大事にされたり、邪険に扱われたりします。


カレン・ホルナイが、自己蔑視の心理的結果の特徴のひとつとして、
強迫的に他人と自分を比較するという点をあげています。
自分に劣等感を持つと、
競争意識が異常に強くなり、
人より自分の方が優れているかどうか気になって仕方がなくなる
のです。
親自身が自分で自分を受け入れられないで、心の葛藤を解決できないでいると
親は子どもを巻き込んで解決しようとします。

親が自分で自分を軽蔑していると、
自分の子を幼いときから競争させたくてたまらなくなり、
他の子との優劣が気になって仕方なくなるのです。

子どもは自分を守るために必死でよい子を演じます。
その結果、親の心が不安定で、競争を煽られている子たちは、
外から見ると立派にしっかり育っているように見えます。

けれど、それは、そう見えているに過ぎません。

心の満足がないまま社会的に適応を強いられると、
態度やできることは擬似的に成長しているように見えても、
心理的な成長が幼児のままとまってしまうのです。

加藤諦三氏は、別の著書『「大人になりきれない人」の心理』で、

子ども時代に無責任に遊び楽しむことをしないで、
大人になってから責任ある立場を全うするのは、ナポレオンがアルプスを越えるよりもきついことである。

と言っています。
人間は、無責任なわがままで許される幼児の時代があって、
その時期に幼児的願望が満たされて初めて,
責任ある大人に成長していくのです。
「幼児的願望が満たされない」という不満は、
人間にとって[本質的な不満]となって一生ついてまわるのです。

『「大人になりきれない人」の心理』によると、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
子どもの時期に子どもにしか堪能できないことを十分堪能した大人と、
したくないことを力ずくでさせられていた大人は、同じ年齢でも全然別次元に住んでいるそうです。
子どもの時期にしかできないことを、「もういい!」というほど堪能した子どもは、満足しているので、我慢を強いられて育った人が「辛い」と感じることも「楽しい」と感じることが多いのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


幼児はまだ自分の意志でいろんなことをやってみて、
自分が「楽しい!得意だ!」という面に気づいて、
「そこで全力を出し切って友だちと競争してみよう」と考えることができるほどの
体験もなければ、気づく力もありません。

幼児が競争の場で、必死でがんばるのは,

自分を高めるためではなく、
「親に見捨てられたくない」
「愛されたい」
という根源的な不安感がもとになっています。
また発達障害のある子が勝ち負けにこだわりから競争に固執している場合もあります。

もし大人が安易に子どもの競争心をあおって
さまざまなことをさせたなら、
子どもが人の弱さを許したり、妥協しあったり、仲良く協力し合って
何かすることを学ぶ力は育ちません。

強迫的に競争ばかりに心を使うようになります。

しかしその競争は、自分のためになる自己実現を目指しているのではありません。
人に勝った負けた~あいつよりえらい~と感情的ないきさつばかりにとらわれる狭い世界でだけ生きて、

自分の可能性を求めて、自分の人生を生きることができなくなってしまうのです。

子育てをするとき、親は自分の心をきれいに保っておく必要がありますよね。みんながしているから……と、子どもを競争に駆り立てているときは、
自分の心を見つめなおす大事な機会ではないでしょうか?


幼児に時計の読み方を教える方法 ♪

2010-02-21 17:17:07 | 算数
☆すごろくをしたら時計が読めるようになる方法♪(○時と○時30分)

☆世界のナベアツ~で時計が読めるようになる…?

☆塗り絵をしたら簡単に 時計が読めるようになる方法♪

にほんブログ村 教育ブログ 幼児教育へ



web拍手を送る

「空が青い理由」を考える実験をしました♪ 科学クラブ

2010-02-21 15:28:20 | 理科 科学クラブ
前回の続は次回に書きますね。

今日の科学クラブは、天気や宇宙について実験したり学んだりしました。

空はどうして青いのか?

実験して考えました。

グラスに水を入れて、水がにごらないくらい少しだけ
牛乳をまぜます。懐中電灯やプッシュライトで照らすと、
水が青く光ります。

子どもの科学 という雑誌を参考に
実験しました。
牛乳の粒子が大気中のごみや水滴の役割を果たすため

青空が青く見える仕組みと同じになるのです。

他に夕日が赤く見える仕組みや
砂糖を使って沈む夕日を再現するのや、
たつまきを作る実験などをしました。

すっかり天気や宇宙のことに夢中になった科学クラブのメンバーは、
くわしい図鑑が欲しいようでした。

にほんブログ村 教育ブログ 幼児教育へ



web拍手を送る

競争心を刺激して、がんばらせる幼児教育……どうなの? 1

2010-02-21 07:05:13 | 教育論 読者の方からのQ&A
前回までの長い私のお仕事裏話……ちょっと重くて息苦しい気持ちで読んでくださった方もいるのではないでしょうか?

いじめやいびりや仲間同士の悪口や上司が誰かに向かって怒鳴っている声や、
先輩の「教えない」意地悪、ねたみや軽蔑……

そうしたドロドロが充満する職場というのは、
何もこの郵便局に限ったものではなく、
どこの職場にもあるものだと思います。

私もこれまで、保育所、デザイン事務所、
コンビニ、ケーキ屋、パン屋、ショッピングセンター、スーパー、老人のデイケアセンターなどさまざまなバイトやパートの経験がありますが、どこも人間関係のドロドロがなかった場所は
ありませんでした。大手スーパーでのパート裏話はコチラ。
(私は子どもの頃から作家志願なので、とにかくいろんなお仕事体験がしてみたいという気持ちがあったもので……
他に家庭で自営のファンシーショップや幼児に勉強を教える仕事や家庭教師などもしていました)

外から見ると和気あいあいとして明るい職場ほど、
ひとりのスケープゴートを作って全員でいじめていたり、
考え方や好みまで上司と合わせていて初めて
仲間と認めてもらえるような空気があったりと、
かえってヘドロがたまっている感じ……。

そうした職場で、必死で働いていると、
オドオドと弱気になって虐げられている自分たちが嫌で、
わが子には自立してバリバリ仕事して、上の勝ち組の立場で生きていって
欲しいと夢見る方が多いのもわかります。

でも、一歩下がって、お仕事現場を眺めてみると、
その場を構成しているひとりひとりの人は、鬼でも悪魔でもなくて、
またどこにも勝ち組として自信満々で生きている人はいなくて、
ごく普通の自分と同じ人間なんですよね。
新人パートにわめきちらしている職場のドンであるおばちゃんパートも、
上司に対しては、
病気をしても休みを申し出ることすらできないような弱い立場……。
人を機械のように扱う上司たちも、お客さんのワガママにぺこぺこ頭を下げるばかり……。
普通の弱い人間が弱い者いじめして
どこの職場もこうもドロドロと
やらし~感じによどんでいるのって、

何が原因といって、それぞれが本当は少しも自分の足しになっていない競争心に煽られているからなんですよね。


周囲に認めてもらいたい、褒めてもらいたい、感謝されたい、
自分が一番でいたいという思いを

がんばらないと親に見捨てられる子みたいに

病的に求める人が、すごく多いのです。

周囲に認めてもらいたい、褒めてもらいたい、感謝されたい、
自分が一番でいたいという思いを、

病的にもとめるのと、
普通に求めるののちがいは、

他人の足を引っ張るか、他人が認められないよう、他人が褒められないよう、
他人が馬鹿にされるよう、他人が自分より下になるよう

「教えない」とか「悪口言う」とか「無視する」とか、
「突然、怒鳴る」とかいったことに、
あれこれバリエーションを変えながら、力を注いでいるところです。

そうする一方、上にはめっぽう弱くて
言われるままに残業でも、無理な仕事でも引き受けていきます。

そうやって、自分自身の心がよどむと、
いくらクリーンな職場といったって、ドロドロしかみえなくなってくるし、
みんなの心が汚れてくるのも時間の問題です。

日本のお仕事事情……
それぞれひとりひとりの人は、安い給料で、休まないし、遅刻しないし、
自分の仕事に一生懸命だし、言われたことに反抗しないし、
仕事になれてだんだんベテランになっていくのに、

何だか自分に自信がないし、
自分に嫌気がさしてるし、
自分の仕事を見下していて、
といって夢の仕事を探す意欲はないし、
嫌な人ばかりに囲まれて、
ちょっっと褒められて有頂天になったら
上から残業ばかり押し付けられて……それでも「もう、イヤ~!」と声をあげる気力もないって人が多いのです。

長くなったけれど、タイトルの
競争心を刺激して、がんばらせる幼児教育……どうなの?
の話題にたどりつかないですね。
私は幼児期の親の心のあり方で、子どもの未来や社会の未来が
明るい方向に変わっていくものと信じています♪

次回に続きます。

にほんブログ村 教育ブログ 幼児教育へ



web拍手を送る

お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 9

2010-02-20 22:14:12 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)
●お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 1

●お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 2

●お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 3

●お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 4

●お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 5

●お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 6

●お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 7

●お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 8

☆くんとふたりきりで、仕事をすることになった当初、
☆くんはほとんど口をきいてくれませんでした。
仕事のわからない箇所をたずねると(田舎の郵便番号は特殊で、郵便番号簿では判別できないものがあるのです)
「はぁ~」とため息をついて、全身でイヤさをアピールしながら、
ぼそぼそと教えてくれました。

非協力的ではあるけれど……底意地が悪くはないな……
無視してるだけなら無害か……この部署に働けない人がきたらイラつくのもわかるわ……こんな恐ろしい仕事の責任が自分ひとりの肩にかかってくるわけだしね……

そんなことを考えつつ、まず何度も教える手間をかけさせて
仕事の足を引っ張らないように、
時折、別の部署に荷物を取りに移動するときに、聞いたことをメモしておき、
その日のうちに覚えてしまうようにしました。
また、単純作業や雑用には、真剣に取り組むようにしました。
(メジャーな仕事では、まだ迷惑かけてますからね。日頃、これがきちんとできない性格なんですが、そこはお仕事!……とがんばりました)

海外便の金額の計算は、ややこしいのですが……
肉体労働ではがんばりようがなくて、
重すぎる荷物の積み込みは☆くんの世話になりっぱなしなので、
金額計算ではりきるしかありません。

そうして自分のできる部分でがんばるうちに、
私自身の☆くんへの見方が変化してきました。

私に対する態度は相変わらず、ムス~ッとして、無視をきめこんでで、あまり良い感じがしないのですが、

「仕事態度」と「仕事の能力」という面で眺めると、
どんな小さな仕事もていねいでまじめで、ミスが少なく、いつも真剣で
かなり好感が持てるのです。
能力は非常に高くて、おそらく国公立大か難関私立大を出ているのではないかと思われました。上司に対する礼儀はきちんとしています。
正社員ではないので、おそらく私と同じ700円台の賃金……?
それで、命をすり減らすように休みなく全力疾走で働き続ける☆くんの姿が
ちょっと痛々しくもありました。

これまで私が見たことないほど働いていて……
☆くんが求めているものは、本当にささやかなもので、
ちょっと上司に褒められることだったり、周囲に認められることだったりするのです。
こんなに働いてて、現実にすごいのに、
いったんこの郵便局から外に出れば「フリーター」というくくりでしか
捉えてもらえない社会的に弱い立場です。
でも、これほど上司に当てにされ、利用されていては(こんだけ仕事ができても正社員にしてくれないのだとか)
自分の仕事について真剣に考える勇気も出ないでしょう。

そんな風に、☆くんについていろいろと見えてくるにつれ、
私は上司が視察にくるときは
なるべく☆くんのすごいところに上司が気づくよう
陰ながらアピールしていきました。

また、☆くんといっしょに別の部署の手伝いに行くときは、
☆くんが仕事がよくできることに周囲の人も気づくように
見えないところで手助けするようにしていました。

どちらも☆くんは気づいていませんでしたが……
時間が経つにつれ、☆くんと私は仲の良い男友達同士のようになって、
「あっち手伝いに行こうぜ~」「今日はすごい荷物だぞ~」と
いうノリで働くようになっていました。
私にすれば、☆くんが何年間もフリーターで過すことはもったいなすぎるように映るのです。自分で自分の能力を見定めて、
良い仕事を探しに行かなくちゃ~とアドバイスするのですが、自信がない様子。
仕事はすごくできるのに、自分で何がしたいのか、
つかみかねるようなのです。
それと自分の高い能力がきちんと把握できていないようでもありました。


とにかく単調で刺激が少なくて、それでいてハードな職場ですから……

お客さんが怒鳴り込んできて、上司が冷や汗かいて駆け回る事件や、
機械が壊れるたびにキレるおばちゃんパートがわめきながら
機械をバンバンたたく事件は、

何かワクワクしてくるような……?

思わず笑い出したくなる出来事でもあるのです。
すっかり仲良くなった私と☆くんは、
局内がワタワタして騒がしいときには、
目が合うと同時に、吹き出して笑いあうこともよくありました。

他の部署のパートやバイトのマイペースさんたちも
同様だったらしく、

息のつまるような仕事なだけに、
しょうもない出来事に野次馬根性丸出しになっていて、

そこの手伝いに入ると開口一番、
「ねぇねぇ、今日怒ってきたお客さん見た?すごかったよね~」と目をキラキラ
させながら話しかけてきました。
そんなくだらないことがきっかけで、別の部署にも友だちの輪が広がって……
それなりに楽しい職場になりつつもあったのですが……

上司からどんどん残業を頼まれるようになったことと、
夕食作って仕事に出かけてたものの
冷めた食事がまずかったのか、
息子が夕食も食べずに寝てしまうことや、宿題をせずに学校に行く日が増えたことが懇談会でわかり……

悩んだ末、仕事の引継ぎができる期間を終えたら
パートをやめることを申し出ました。

それほど惜しまれることもなく、
仕事覚えるのはやい割にあんまりお仕事できる方じゃないのね……と
気づいたのか?

いつもまったりしている私にしてはめずらしく駆け足で過した日々は終わりました。
にほんブログ村 教育ブログ 幼児教育へ



web拍手を送る



お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 8

2010-02-20 15:27:00 | はじめに
幼児教育とかけ離れた話題が長引いていますが、
このお仕事裏話……幼児を育てながら、

子どもの教育や将来について思いを巡らせている方々にお伝えしたい……
いっしょに考えていただきたい……と思うことも、

いろいろ含まれているんです。

それはMI理論について書いてある著書で目にした次のような内容……

IQテストの結果が良いと、その後の学校での成績も良い可能性は大いにありえるそう。  でも、
学校を卒業後、仕事で成功するかどうかにはほとんど関係ないのだとか。

多くの人は、それを「運」という言葉だけで片づけていますが、

実際、職場で働いてみれば、
何らかの能力の有無や高低がその後の人生を左右しているようにも見えるのです。

社会では、
人間関係的知能とか内省的知能といった、

IQテストでは測らないけれど、
多元的知能理論の中ではきちんと独立した知能のひとつと見なされている能力の高い低いが、
試される場もたくさんあります。

社会に出ると、そればかり求められる時期もあるんですよね。

郵便局でも、高学歴……なはずの正社員が、おどおどして、しゃべるのが苦手だったりすると、上から怒鳴られていびられて、こっちの胃まで
痛くなっちゃうような場面を何度も目にしました。

がんばること、できることが、素直に評価される学生時代と違って、
人の感情が織り成すドラマや
力関係のエネルギーの流れが読めてるかどうかが、
職場では大事だったりするのです。

良い大学を卒業して、良い就職するのがゴールじゃなくて、
そこからが、スタート地点でもあるのですよね。


そう考えると、受験戦争で勝ち抜かせることばかり考えて、
塾や習い事で子どもの時間を奪って、
友達との遊び時間を制限するのは、
先細りの将来設計……というか、
学校を出てからの子どもを苦しめるはめになるな~
と感じているのです。

お仕事裏話に戻りますが、実は私は、小銭を稼ぐこと以外に、
この郵便局内で、もう少しお仕事しておきたい事情が2つありました。
ひとつは、もともと作家志願ですから、辛かろうと、パート料が安かろうと、
たくさんの人々とさまざまな仕事が錯綜するこの職場には、
興味津々……観察しがいがあったのです。

それともうひとつ。
家庭教師先(私のもうひとつのお仕事です)の男の子(人)が、
大学をやめてぶらぶらしていたので、
その男の子(人)に合った仕事はないかと探しているところだったのです。

時々、忙しさがピークに達すると、上司がやってきて、
「主婦のお友だちで、働きたい人いないかな?」なんて質問を受けることがありました。
「事情があって大学をやめてしまった若い男の……」と言いかけると、
手を振られて、「主婦がいいんだけど」となるのですが……。

本当に忙しくなったら、上司も選り好みしていられないでしょうし、
もうちょっとここで働いておいて様子をうかがっておいて、

人間関係築くのが苦手……な、その男の子(人)が
働けそうな仕事内容はないか、
潜入調査しておこう……という気持ちもあったのですよ。


にほんブログ村 教育ブログ 幼児教育へ



web拍手を送る







お仕事裏話 ♪ 過去記事とその続編です 7

2010-02-20 13:06:23 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)
★くんが海外に旅立って、
私と☆くんだけが、速達便の部署に残され、ハードな毎日が始まりました。
何百枚の郵便物を高速に処理しつつも、
もし、数字の見間違いミスなんて出ようものなら……

上司とふたりきりで個室に閉じ込められて
こんこんと叱られ続ける……のだとか……

速達便を手に飛行機で上司が移動する話……の

恐ろしいこと

☆くんは、頭の回転が速く、完ぺき主義で粘り強く、
休まず、遅れず、とにかくまじめ一筋の20代前半の男の子(人)です。
その☆くんでさえ、上司を飛行機で飛ばしたことがあるらしい……

大雑把な私も神経尖らせて、目に力込めすぎて充血するくらい力入れて、
ピラピラピラ~電話帳みたいな分厚い郵便番号簿を調べ続け、
ちょっとの移動も息継ぎなしのかけ足で動き、
高速で郵便物を区分けし続けました。

とにかく、ミスが怖い~~

毎日、極限状態の恐怖に煽られながら、この部署はいつでも急いでいます。
のんびりやの私までが……!

この仕事……郵便物の量はその日その日のお客様次第。
絶対、最低の郵便量とつりあう人しか配置していないのに、
大量の速達便……なんて日はしょっちゅうあるのです。

時折、部署を視察して回っている上司が、「郵便物が多い日は手伝うからね~」なんて、甘い言葉をかけてきますが、
実際、大量の郵便物が届く日に限って、上司がつかまったためしがありません。

郵便局内を駆け回って捜し歩いても、いないんですよ~
それにどこも忙しくて、猫の手も借りたい状態ですから、上司を見つけたところで、
「まってね~もう少しこの仕事が片付いたらね~」なんて言われるのがオチです。
よほど幸運にめぐまれない限り、ダッシュで駆け戻って、持てる力を出し切って仕事するしかないんです。

速達便を送り出す時間までのカウントダウンに間にあうように……。

そうして死ぬ気でがんばって、速達便の袋を厳重にロックして、「あ~終わった~」と脱力したとたん、

次の仕事までの、数分の間を埋めてあげましょう……とばかりに
次から次へと
100枚の紙にハンコを押してく……とか、
何十個も箱をたたんでく……といった、内職が流れてきます。
一分足りと、人を休ませない職場……まるで機械の一部になったような日々が続きます。

おまけに精神衛生上よくないのが、よその部署から聞こえてくる
怒鳴り声と、大声で飛び交う他人の悪口……
(ここの郵便局内のパートは、どんなに辛くても、身体を壊しても、仕事をやめるのはご法度です。
やめたら、ひたすら悪口を言われます。
その時期、肩の痛みで仕事をやめた70歳を超えるおばあさんの悪口が、1月ほど続いていました。
とにかく悪口が怖いので、意識障害起すような大病した人も翌日には出勤してましたよ~。)

どこの職場も大変ですねもう少しだけ続きます。

にほんブログ村 教育ブログ 幼児教育へ



web拍手を送る