虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

お友だちと仲良く遊べない、揉めてばかり、おもちゃが貸せないという時に

2011-11-17 13:11:21 | 幼児教育の基本

前回の続きは次回の記事で。

 

2、3歳児はまだまだお友だちと仲良く遊ぶのは難しい時期です。

とはいえ、「同じ年代の子はもう少し打ち解けて遊んでいるのに、うちの子は

遊びの輪に入ってもいかない」「お友だちにおもちゃをひとつも貸そうとしない」

「揉めてばかりで、遊んでいる時間がほとんどない」など、

子どもの性質が、内気過ぎたり、神経過敏だったり衝動性が強かったりする姿に

悩んでおられる方がおられることと思います。

 

その子がお友だちとたびたび起こすトラブルと同じシーンを、

大人が作った後で、

言葉で交渉しながら、創造的に解決する方法に導いていくと

次第に上手に遊べるようになっていきます。

 

いくつか具体的な例を紹介しますね。

↑の写真の●ちゃんは、神経過敏で人と接するときに強い緊張がある3歳の女の子です。

お友だちへの興味は芽生えてきていて、いっしょに遊びたい気持ちはあるのに、

お友だちが近づくと激しい口調で追い払ったり、いっさいおもちゃを貸すことができません。

お友だちに興味はあるけど、直接遊ぶのは怖い●ちゃんのために、

布で間仕切りを作って小部屋を作ってあげると、

「おもちゃをいっぱい、このお部屋に入れて!」と上機嫌で遊び始めました。

 

お部屋の中から●ちゃんが、「食べ物がいる!」と言うので、

ドーナツといちごを同じグループの☆くんに売りにいってもらうことにしました。

ところが●ちゃんは、おもちゃのお金の入った缶を手元に置いているのに、

食べ物を受け取ってもお金を払いたくありません。

自分の領域にあるおもちゃはいっさい他の子に触らせたくないのです。

 

そのため、「はい、~円です」と食べ物を渡して、お金を受け取る、

という交換遊びが成り立ちません。

 

そこでわたしが積み木のパンを売りに行くことにしました。

「こんにちは。パンですよ。100円ください」

●ちゃんは、パンは受け取るけれど、お金は渡したくありません。

でも、わたしと遊ぶときはいつも手渡してもすぐに返してもらえることを知っているので、

しばらくもじもじした後で、

「お金、すぐに返してくれる?」とたずねてきました。

「うん、すぐにね」と言ううと、●ちゃんはわたしに向かって500円玉を差し出しました。

 

お金とパンを交換した後で、わたしはすぐに間仕切りの布の下からお金を●ちゃんの方に

戻しました。

布の上でパンとお金を交換し、布の下からお金が戻ってくる仕組みが

面白くなった●ちゃんは、何度か交換を楽しみました。

 

その後、☆くんがパンを売りにきた時も、

またお金を返してもらえるという安心感からか、ちゃんと交換ができるように

なっていました。

 

そして、数回した後で、「もう、しない」と言いました。

そういう時に●ちゃんの言葉通り、さっぱりと終わりにしてあげることは

大事です。

緊張や不安が強い子は、

子どもが「イヤ」と言う時には、無理強いせずに

スッと引いてあげることが大事です。

 

2歳2カ月の◆くん。

パワフルで感情表現が豊かで利かん気の強い男の子です。

頭の回転が速くて、行動力があるので、

自分がこうと思うと、テキパキ動くしっかりさんですが、

お母さんの指示には聞く耳持ちません。

 

レッスン中に、レジのおもちゃで遊びたがったので、「どこで遊ぶの?」とたずねて、

本人の言う場所に置くと、自分で思いついて椅子を取ってきてセットすると、ちょこんと座って

遊び出しました。

そうして、次々、遊びを上手に作りだす◆くんですが、

お友だちが自分の遊んでいるおもちゃに触れようものなら、絶対、貸さないとばかりに

戦闘態勢に入って大騒ぎします。

大人たちが揉め事を仲裁しようとすると、火に油を注ぐ騒ぎです。

 

そこでわたしは◆くんがカートで遊んでいる時に、「そのショッピングカート、貸してよ!」と、

カートのかごに手をかけました。

「いや!」と◆くんはきっぱり。

「貸してよ~」とわたし。

「いや~!」と◆くん。

「じゃぁ、このパン、貸して」とカートのなかからパンを取り出します。

◆くんは考えながら、「いいよ」とこっくりしました。

「じゃぁ、このいちごも貸して」とさらにカートのなかからいろいろ取りだすわたしに、

◆くんは考えこみながら「いいよ」と言います。

最後にカートについているバーコードを読み取る機械を指して、

「これ貸してよ」とお願いしました。

◆くん、固まっていますが、しばらくして差し出しました。

「ありがとう~」というと、わたしは、それらのおもちゃを◆くんのカートに

返しました。

 

すると、◆くん、今度は「いいよ~」と貸すことが面白くなったようで、

頼んでもいないのに、わたしに「どうぞ」といろいろ差し出してくれます。

お友だちの☆くんにも、「どうぞ」と

カートから何か取りだしては渡しに行ってました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

●ちゃんにしても、◆くんにしても、

「ダメー」「貸さないー」という強い姿勢でお友だちに反発するのは、

それ以外の態度を取ってみた体験がないからでもあるのです。

また、自分の手元から何かがなくなっていくことへの

強い不安感があるからでもあります。

そこで大人が厳しく、「貸してあげなさい!」と教える態度で介入していると、

余計に防御を固くして、

お友だちと遊ぶこと自体難しくなったり、

揉めてばかりで遊び時間がなくなってしまったりするのです。

 

たとえ2、3歳という幼い子でも、

ふざけあったり、じらしたり、渡すとすぐに返してもらえたり、優しくされたり、

自分から相手にプレゼントするときの楽しさを味わったり、

自分で決めるまで待ってもらったり、

たくさん小さな願いを叶えてもらえたり、「イヤ」と言う気持ちをていねいに扱ってもらったりすると、

自分で創造的に問題を解決するようになります。

お友だちと仲良く、より楽しく遊ぶにはどうすればいいのか、

自分で判断して行動するようになります。

 

そのためには、子どもの心を大切に扱ってあげることと、

子どもが自分でよい方を選べるようになるまで、待ってあげることが大事です。

 


内弁慶の怖がりさん と ジュースが流れる筒  2歳

2011-11-15 12:41:08 | 幼児教育の基本

前回の続きは次の記事で。

 

(↑2,3歳児のグループレッスンから。スパンコールの腕輪を制作中)

 

家ではおしゃべりで活発で強気だという2歳4カ月の★くん。

 

でも公園などに行くと、お母さんにべったりで、

お友だちの輪に入っていこうとしないようです。

虹色教室でも、お友だちを前にすると、ちょっと緊張気味に黙っていて、お母さんのそばから離れようとしません。

他の子らのしている遊びには入らず、お母さんとふたりだけで

電車ごっこやブロック遊びをしています。

★くんは気が強くて、自分の意志がはっきりしている反面、

とても傷つきやすくて、お友だちにおもちゃを持っていかれそうになっても、

「いや」とか「だめ」といった意思表示をしないまま

されるがままになって引いてしまいます。

同じ年の子らにどう接していいのか途方に暮れているようです。

 

それでも、出会った当初は、

緊張した様子で、まるで自分とお母さんの世界の周りに見えないバリアを張りめぐらせて

遊んでいるかのように見えた★くんが、

2回目のグループレッスンの今日には、

じーっと放心したようにお友だちのする遊びを見つめていたり、

他の子の遊んでいるおもちゃを自分も使いたがったりするようになっていました。

 

でもまだまだ、自分から遊びの輪に入っていくのは怖い様子です。

 

お友だちのすることには興味しんしん……でもまだ近づくのは怖い★くん。

 

今回のレッスンで、こんな出来事がありました。

もうすぐ3歳になる女の子ふたりが、木製のケーキをセットして

人形を招いてお誕生日ごっこをしていました。

お誕生日の歌を歌って、プレゼントを渡して、ろうそくを吹く真似をして

盛り上がっていました。

 

その様子を遠巻きに眺めていた★くんは、

女の子たちが木製のグラスにジュースを注ぐ真似をし始めたところで

自分も近くにあった紙コップを手にして、お母さんに「ぼくもジュース……」とささやきました。

 

でも、女の子が、「ここにきて!」と自分の前の床をとんとん叩いて見せて、

ジュースを注いであげようとすると、

★くんは緊張して身構えたまま動こうとしません。

といって女の子が自分の方に近づいてきてジュースを注ぐというのも

自分の領域に侵入されるようで不安な様子です。

 

無理矢理、★くんを女の子の方に引っぱってくるのも、

女の子に★くんのところに行ってジュースを注いであげるように言うのも

まずいようだったので、

教室でトンネルに使っている長い筒を取ってきて、

女の子と★くんの間をそれでつなぐことにしました。

「さぁ、★くんのところにジュースがくるよ」と言うと、★くんは喜んで筒の先にコップを構えました。

女の子も合点して、筒のもう一方からジュースを注ぐ真似をします。

それまで参加していなかったもうひとりの女の子も、

筒を通したジュースを欲しがって遊びに入ってきました。

 

1メートルほどの距離があった子どもと子どもの関係に、一本の筒が橋を渡してくれました。

★くんは、とても満足そうでした。ジュースを飲む真似をしては満面の笑みを浮かべていました。

 

★くんのお母さんは、子ども好きの優しい方です。

★くんは、「あれして!」「これして!」とそんなお母さんを自分の意のままに

動かして、お母さんに対してだけはちょっぴり偉そうにしています。

★くんは教室の棚の上にあるおもちゃを「あれとって!」「これとって!」とお母さんに命令しては、

自分の思い通りでないと文句を言ったり、

取らせたものをちょっと触っては、

「次はあれ取って!」とすぐさま新しいおもちゃを取らせたりして過ごしていました。

 

そんな★くんにわたしは、「もう新しいおもちゃを取るのはお終いよ。棚の上のおもちゃは

もうこれ以上、取ってはだめよ」と言いました。

わたしの言葉に驚いた★くんはお母さんの影に隠れて

プリプリ怒っていました。

「先生が嫌いになった」とか、「もう帰りたい」といったつぶやきが

聞こえてきます。

お母さんの影から時折、顔をのぞかせては、こちらの様子をうかがっています。

「★くんと先生、けんかしたね」と声をかけると、★くんの表情にはこちらに対する強い好奇心と同時に、

照れ笑いのような笑顔が浮かんでいました。

 

「★くん、いったいどれがいるの?」と、

『おふざけ半分にプンプンと怒っている真似』をしているような口調でたずねると、

★くんは、こちらをじっと見つめたまま、「あれ、あれ」と高い棚を指さします。

 

「どれ?ちゃんと教えて」と言って抱き上げると、

これまではわたしが抱き上げようとすると不安になって、

「お母さん、お母さん」と騒ぎだして、

手を振りほどいてお母さんのもとに戻っていたのに、

わたしに抱かれたまんま、しゃんとした様子で、

「あれっ!」と銀色のブロックの入った小箱を指さします。

★くんに自分でそれを取らせてあげて、

「さぁ、これでいいの?」とたずねると、自信に満ちた様子でこっくりしました。

 

けんかして、仲直り……は、

子ども同士でも、大人と子どもの間でも、仲良くなるための

登竜門です。

 

お母さん以外の人との間で起こった小さなトラブルを

自分の力で克服できたことがよほどうれしかった模様です。

いきいきとした元気いっぱいの笑顔が

浮かんでいました。

 

ひとつひとつ人と関わる体験を積んで、

★くんは、もうすぐお友だちと楽しく遊べるようになりそうです。


自閉症のトムくん と 新しい成長の兆し 5

2011-11-14 15:59:17 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

トムくんは月に何度かアトリエに通っています。

そのアトリエの先生と親しくさせていただいていることもあって

わたしもトムくんのアトリエ通いに同行させていただきました。

アトリエの話は別の記事でくわしく書かせていただきたいのですが、

今回はほんの少しだけ……。

そこのアトリエでは、活動の後でその日の取り組み方や選んだ素材や色から察することができる

子どもの状態や芽生えつつある能力についてのアドバイスがあります。

 

この日は、トムくんが穏やかでのんびりした様子で活動していたことや、

これまでにはなかった色を混ぜて楽しむ姿があり、

集中力が増してきたため、色の変化する様子を観察する余裕が出てきたのではないか、

といった会話が、アトリエの先生とyoshikoさんの間で交わされていました。

 

わたしが鎌倉に滞在している3日間、トムくんは終始穏やかでした。

以前ならパニックに陥って激しく動揺した態度をしめすような場面でも、

誰かに助けを求めるようなかすかな声をあげながら、自分に注意を向けている人の表情をちらっとうかがって、

そのまま静まって元の活動にもどるか、笑顔になるか、休憩スペースに黙って移動するかで

事が収まっていました。

トムくんは左右の下唇に口内炎ができていて、何かを口にするたびに沁みるようでした。

それにも関わらず、小さな声で痛みを訴えて、

唇に触れてみて、少し首をかしげてかんがえていたかと思うと、

そのまま、また食べ始めることを繰り返していて、一度も騒ぎには至りませんでした。

 

穏やかで落ち着いているトムくんの態度からは、

メタ認知力がつき始めていて、

見通す力がついてきたことによる精神的な余裕が見て取れました。

が、一方で、トムくんには「穏やかさ」とは真逆の態度も見られました。

 

アトリエの一角で、トムくんは金づちで木にくぎを打ち付ける作業をしていました。

金物の本格的な金づちでガンガンと激しく釘を打ち付けているのです。

危なくないかと怖いほどなのですが、意外に的を外しません。

 

確実に狙いを定めて、荒々しいほどの激しさで金づちを

振るっていました。

 

そういえばトムくんの活動は動と静のメリハリがはっきりしてきていて、

静の時も以前のようにぼんやりと意識がはっきりしていないような態度ではなく、

静かに視線で何かに狙いを定めているし、

動の時も、ただバラバラと木製ビーズを手から落とすような時にも、

的になる缶やプラスチックの空き容器に狙いを定めていたことが

思い当たりました。

 

できるだけ「目的」や「因果関係」が

目で見て確認できるよう

わかりやすい場面を作ってあげると、

トムくんの心がいきいきと高揚してくるのが、

わかりやす過ぎておかしくなるほど感じとれました。

 

でも、そうしたトムくんの変化は良いことばかりでもありませんでした。

トムくんはさまざまな場面で自分が取るべき正しい態度を知りたがっており、

ある原因とある結果がシンプルなわかりやすく展開していくことを求める気持ちが強くなっています。

でも現実には、ランダムで混乱するような場面が

たくさんあるのです。

特に、妹のジェリーちゃんは、トムくんがせっかく学んで推理できるようになっている

展開を、たびたび混ぜ返します。

トムくんがルールを把握しかかったところで、

ジェリーちゃんルールを押し通して混乱させがちです。

 

トムくんの学習意欲が高まっていて、さまざまな状況を読み取ろうとしているだけに、

そうしたルールがあいまいで相手次第で状況がコロコロ変わるような場面は

トムくんの神経を疲れさせて、

強いストレスを感じさせているのを感じました。

 

こんなこともありました。

すれ違いざまに、「トムくん、手をつないで、あっちの部屋で遊ぼうか?ぶらさがるおもちゃのある部屋」と

声をかけたときのこと、聞き取れていなかったらしくそのまま数歩先までいってから、

後ろに下がってきて、わたしの手を取り、

「なあに?」という表情で顔を近づけてきました。

「あっちの部屋で遊ぼうか?ぶらさがるおもちゃのある部屋」と繰り返すと、

すごくホッとした様子になって、手をつないで奥の部屋に向かいました。

わたしとしては何気なくかけた言葉だけれど、

トムくんにすると、きちんと正しい指示が読み取れているだろうかと、

正しさを確認するまで緊張感が高まっていたようなのです。

見守る人々の対応が

大切な時期にさしかかっているのかもしれません。

 

次回に続きます。


自閉症のトムくん と 新しい成長の兆し 4

2011-11-14 07:30:15 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

大人が遊びに関わることで、子どもの想像力を高めたり広げたりすることは、

ハンディーキャップのない想像力豊かな子にも

大切だと感じています。

 

トムくんの妹のジェリーちゃんは頭の回転が速い想像力豊かな4歳児です。

ジェリーちゃんと遊ぶとき、

想像力を限界まで駆使するような会話を盛り込むと

心から楽しそうにしています。

ジェリーちゃんとの遊びのシーンをいくつか紹介しますね。

 

ジェリーちゃんは、籐のピクニックバスケットに入った陶器のままごとのお茶セットを取りだして、

コーヒーカップにお湯を注ぐ真似をしていました。

 

「ジェリーちゃん、紅茶をちょうだいな」と注文を出すと、

「紅茶はありません。コーヒーしかありません」ときどった調子で答えました。

 

「それなら、今日はコーヒーを紅茶っていう名前で呼ぶことにしましょう」と言ってみると、

了解した風に「いいわよ」といって、「はい紅茶です」とカップを差し出します。

 

熱い飲み物を飲むふりをしながら、「あれっ?この紅茶、ずいぶん黒いわね」と言いました。

みるみるジェリーちゃんの目がいたずらっぽく輝いて、

「そりゃぁ、当たり前よ。だって本当はコーヒーなんだもん」と言います。

「おかしいな、ジェリーちゃんは紅茶と言っていたけど、この紅茶、コーヒーみたいなにおいがする」とわたしが言いました。

「そりゃそうよ。だって、コーヒーなんだもん」と言いつつ、

ジェリーちゃんはこのこんがらがった状況を心から

楽しんでいる風でした。

ひとくち飲む真似をして、「それにしてもジェリーちゃん、この紅茶はコーヒーみたいな味がするわ」と言うと、

ジェリーちゃんはお腹を抱えて笑い転げました。

そして、大きな声で、「紅茶って名前で呼んでるけど、コーヒーなのよ!ほんとは!」

と言いました。

 

ジェリーちゃんは、まず見えないコップの中身をコーヒーに見立てた上で、それをわたしとジェリーちゃんで

共通の認識として、

それから今日はコーヒーを紅茶という名前で呼ぶというルールを実行すると

どんなことが起こるのか……

2重構造の見立て遊びをしっかり理解している模様です。

そうしたユーモアを楽しみ、柔軟に応じることもできます。

 

また、こんなシーンもありました。

ジェリーちゃんと算数遊びをすることにしました。

クマの形をしたひも通しのおもちゃを前にして、「クマちゃんを隠して、いくつ隠したでしょうってゲームをしようか?」

とたずねると、ジェリーちゃんは最初にいくつあったかも確かめずに

クマの形のボタンをつかむと後ろ手に

隠しました。

得意そうに、「いくつ隠したでしょう?」とたずねます。

 

これは難しい問題です。ジェリーちゃんの気分次第で隠している数を探るのですから。

 

もう少し年齢が上の子だったら、最初にあった数を告げてから隠して、

残った数から隠している数を当てることを教えることも必要かもしれません。

でもジェリーちゃんは4歳ですから、

算数遊びといっても、算数を教えるよりも、数の世界について

いろいろな想像をめぐらせて遊ぶことを大事にしたいと思いました。

 

そこでわたしも本気で、ジェリーちゃんが適当に隠している数を当てる方法を考えます。

「ジェリーちゃん、片手をあげてみて!」と言うと、

ジェリーちゃんはボタンを後ろ手のまま一方に移して、

片手を高くあげました。

「きっと、ボタンは片手で持てる量ね。

6枚は無理、5枚も大変よ。4枚か、3枚か……」と

わたしが言葉に出して推理すると、ジェリーちゃんはうれしさのあまり

満面の笑みを浮かべています。

「ねぇ、ジェリーちゃん、ちょっと手をゆさゆさしてくれる?」とたのむと、

ジェリーちゃんは後ろ手でカシャカシャ音を立てます。

「きっと、1枚じゃないわね。だって、ボタンとボタンがぶつかった音がするもの。

クマは2枚かな?」

ジェリーちゃんは大喜びです。

そして、わたしがどうしてそんな質問をしたのか、

よく理解していた様子です。

次にわたしがクマのボタンを隠す番になると、

たちまち、「片手をあげてよ」と言い、

「片手で持てる量だから、いっぱいじゃないわ」と自信満々で推理してみせました。

「手を振ってよ」と言って、

音がしないと、「1枚でしょ!わかっているもん!だってカシャッて言わないから!」と

とびあがらんばかりの喜びようで告げました。

当たりです。

よほど気に入ったらしく、その後、この遊びに

何度も何度も付き合わされました。

ジェリーちゃんがしつこく遊びを繰り返したがる時というのは、

いつもジェリーちゃんの想像力と思考力の限界に近いところを使って

遊んでいるときだな~と感じました。

 

 

 

 


自閉症のトムくん と 新しい成長の兆し 3

2011-11-14 03:56:30 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

『自閉症のDIR治療プログラム』という著書では、「想像力豊かに考えられるようになること」を

論理的に考えられるようになることの基盤となるものとして説明して、

とても重要視しています。

そのために次のような注意も促してあります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

周囲と関わりをもち意味のあるコミュニケーションを学び始めたばかりの時期は、集団活動は

一日の10パーセントを超えてはなりません。

集団では、我慢すること、許すこと、指示にしたがうこと、目的を達成することなどを経験

できます。しかしそれは二次的で、この段階では小集団での1対1の関わりが何よりも

重要です。関わりが続くようになり、想像力豊かに考えられるようになって初めて、

他の子どもの活動も経験してよい段階に進むのです。

もちろん、いずれも保護者や大人たちによって進行される必要があります。

( 『自閉症のDIR治療プログラム』S.グリーンスパン

 S.ウィーダー 著 広瀬宏之訳 創元社 p269より)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

自閉症の子に「想像力豊かに考えられる」素地を身につけさせる大切さは、

虹色教室で自閉症スペクトラムの子らとの遊びを通して実感しています。

教室では工作などの物作りとごっこ遊びを豊かにしていくことで、想像力を使って

考えるようになり、次には論理的に筋道を追って考えたことを言葉にすることが

できるようになっていってます。

 

自閉症スペクトラムの子らの場合、物作りといっても

最初は、その子がしつこいほどこだわっていて好むものを大人が作ってあげることと

好む感触の素材で感覚遊びを続けるような形の時期が長いです。

その時期に、大人が物作りとしての技能アップを焦っていると、

「想像力を使えるようになる」という課題を身につけそびれる子がいます。

 

子どもは、しばらくは「作って!」と注文する時期、「こんな風に作って!あんな風にして!」と注文のバリエーションを

広げる時期、感触を楽しんで物をバラバラにちぎったり、上から落として音を聞いたりしながら、「雨!」と命名してもらって、

次に自分もそのように見立てる素地を養う時期がたっぷり必要です。

 

ごっこ遊びにしても、自閉症スペクトラムの子の場合、

鍋のなかに木製ビーズを放り込むときのバラバラいう音や、混ぜるときに

感じる素材の力からくる力動感のようなものを味わう時期が

とても長いです。でも、本人のしたがることを保証しながら遊びにバリエーションをつけていくと

それはいつかごっこ遊びへと発展していきます。

そこでもあせらず、その子が何度も繰り返したがるひとつの活動を突破口として

豊かな想像力を使っていく世界に導いていくための

大人の手助けと環境や素材の力が必要です。

 

トムくんは、これまでは目の前に見えるものが全てで、

興味を持って取り組んでいたことも、ちょっとした間があると、関心がとぎれて

プイッとその場を立ち去ってしまいがちでした。

それが今回会ったトムくんは、ひとつの興味の対象に長い時間、注意をとどめておく

ことができるようになっていました。

また興味の対象も増えてきて、物事の流れを記憶しているものも

いろいろありそうでした。

 

しかし、そのようにトムくんの内部で何かが育ってきていることは

視線や表情から察することはできても、それをアウトプットして洗練させていく

ことは難しいように見えました。

そこでわたしは、トムくんに芽生えてきたように見える「興味を持続させて

想像力を使って何かに取り組む力」を、

アウトプットしやすい環境を整える工夫を提案しました。

 

トムくんの「工作コーナー」を作り、

「トムくんの創作意欲が刺激されるものだけを

扱いやすい状態で設置すること」

「白い段ボール」に切り込みを入れて、

上部はビー玉コースターのスターターやくるくる回転して落ちる部分が

箱に乗せるだけで変化させることが可能なようにしました。

側面の切り込みは2か所でビー玉コースターの通路の1本をそれに通して固定して、

扱いやすく崩れない状態で、上部の穴から落ちたビー玉が転がって外に出てくるように

しました。

 

これは、思った以上の大成功。

トムくんはたちまち工作コーナーとビー玉コースターの仕掛けに

夢中になったのです。

ただ夢中になるだけではなく、

ひとつひとつの道具をためしてみながら、

うまくいかないときは、パーツを変えてみたり、パーツを調節して回転させてみたりして、

うまくビー玉が落ちるように試行錯誤して考えるようになりました。

 

これまでこのビー玉コースターはビー玉を転がす感覚を楽しむ

おもちゃにはなっても、それ以上、遊びが発展することはありませんでした。

理由は、力を加えると崩れてしまうので

そうしたおもちゃの作りの安定の悪さが、興味の持続を奪っていたのです。

また試行錯誤するにしては、どこに注目すればいいのか難しかったようなのです。

白い段ボールから一部分だけが出ている状態だと、

どこに注目して、どれと交換して試行錯誤すればよいのか

課題が見えやすかったようです。

 

トムくんがよく考えて熱心に遊ぶ姿に

yosyikoさんもトムくんのお父さんも

トムくんにこんな潜在能力があったのかと

非常に驚いておられるようでした。

 

(↑の写真は近いうちにアップします)

次回に続きます。

 

 

 

 

 


自閉症のトムくん と 新しい成長の兆し 2

2011-11-13 22:13:45 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

トムくんと過ごすうちに、yoshikoさんが、

「この数ヶ月、成長を感じるものの、どこがどう伸びているのか漠然としていてわかりません」と

言っていた理由がピンときました。

というのも、半年前のトムくんと現在のトムくんで変わったところを挙げるとすると、

次のような点なのです。

 

会話をするときに、スイッチを押すと言葉をしゃべる機械のように

場面に反応して訓練された言葉を復唱するように見えたトムくんが、

言葉を告げた後で相手の反応を期待してわくわくとした待ち構えるような表情で見つめるようになったこと。

 

ちょっとでもじらされると集中がとぎれてプイッとどこかに消えてしまっていたのに、

「大丈夫かなぁ、どうかなぁ?」という表情でこちらをうかがいながら、根気よく応対するようになったこと。

 

妹のジェリーちゃんの動向を観察している時間がとても長くなっただけでなく、

その表情から理解力の向上が見てとれること。

 

相手がトムくんに期待していることを読み取ろうとする強い意志が感じられ、

どんな小さな指示でも、自分で理解できるものは必ず実行しようとするようになったこと。

理解できないときは、とまどった不安そうな表情をしているけれど、

以前のように逃げ出さずに、その場にとどまって相手の表情を見つめるようになったこと。

 

「~してね」とお願いすると、「先生におふとんを出してあげて」「ジェリーをドリンクバーに連れて行ってあげて」といった

複雑そうな指示でも、すぐに了解して、きちんとやりとげることができるようになったこと。

 

そのように、目で見て、数値で見比べることができない

「人がコミュニケーションを取りながら、できるできないを心で感受していくような分野」での飛躍的な

成長が見られたのです。

 

何となく雰囲気が変わった理由、漠然とした成長が感じられる理由には

次のような点を挙げられます。

以前はよくしていた不安的になるとほっぺたを両手でペチペチ叩いたり

身体を反るようにして突っ張らせて、あごを突き出して威嚇してみせたりする癖が

全くといっていいほどなくなったのです。

自然で愛らしい表情で、受け答えするようになっていました。

 

こうした変化は数値では表わしにくいものです。

でも、やはり大きなすばらしい成長だと感じました。

 

トムくんは、こちらがトムくんに期待しているものを

必死で読みとろうとします。

自分が何をすればいいかの答えを探して、こちらの顔を見つめます。

こちらの表情が意味することを

読みとろうともします。

自分の要求にOKを出してくれそうな表情か、怖いことは起こりそうにない表情か、

安心していていい表情か、OKと自分の行動を承認してくれている表情なのか。

 

でも、トムくんには相手がある考えを持っているということ、

また表情の背後にはその人の感情があるということを

理解することは難しいようです。

 

『自閉症のDIR治療プログラム』という著書では、

自閉症の子に他の人の考えや感情を理解させることを発達させるために、

学校や家庭でシンボリックな考えを身につけていくための遊びを提案しています。

簡単に要約して紹介しますね。

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子どもが自分の興味や関心にそった遊びを自発的に行うことが

大切。

遊ぶ場所にはすべて、実生活に関連する玩具が必要。

お医者さんごっこの聴診器や、赤ちゃん人形と哺乳瓶など。

 

子どもの好きなおもちゃをみつける。(愛着の発達やシンボルの発達段階を反映)

動物やトラックや食べ物など、子どもの考えや世界に介入し、

それを深めていく手がかりになるものを見つける。

子どもと関わりをもつためのプログラムを作るには、

子どもからのリードに従うのが一番。

 

言葉を使う以前でも、もちゃで興味や考えが表現される。

シンボリックで空想的な活動や身振りやおもちゃを通じて表現される

子どもの要求に応えるだけでいい。

 

たとえば、おもちゃのプールに足をつけたら「冷たい?」とたずねる、

飲み物を欲しがったら、コップを渡して、ティーパーティーに誘う、

空腹を訴えたらおもちゃの食べ物を渡して、アイスクリームもいるか聞いてみるなど。

           ( 『自閉症のDIR治療プログラム』S.グリーンスパン

 S.ウィーダー 著 広瀬宏之訳 創元社 p263 p264より)

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トムくんは食べることが大好きで、料理する過程にも強い興味を覚えています。

豆類や麺類が好きで、麻婆豆腐の作り方やそうめんの作り方などは、最初から最後まで

暗記しているようです。

途中で何をどのように鍋に入れるのかも知っていますし、

材料がどこにあるのか知っていますし、袋を開けるなどのお手伝いができます。

 

ですからトムくんのシンボリックで空想的な活動を作り出すためには、

トムくんの普段使っている台所道具とそっくりで少し小さいものや、

マーボー豆腐などが入っていた袋や箱を再利用して作るおもちゃなどがいいのではないかと

思いました。

調理場の一部には、できれば、段ボールに銀色のシートを貼って、

できるだけ実際のある姿に色を似せてみるといった工夫と、

木製の引き出しをつけて、調理道具を入れておくといいかもしれません。

トムくんは、そうした引き出しと調理道具に強い親しみを抱いているからです。

 

そのおもちゃには妹さんが近づくのを制限して、

安心して遊べるようにしてあげる必要があります。

 

水道の部分には、ポンプ式のシャンプーの空き容器を取りつけて、

押して、水を出しているような感触を楽しむことができるようにするのもいいかもしれません。

そのようにして、現実の料理への関心を、

 

お料理ごっこという空想遊びに進化させることができるようになれば、

想像の世界で言葉を使うことができるかもしれないし、

他の見立て遊びに広がるかもしれませんね。

 

トムくんのお家には木とプラスチックのままごとセットがあります。

それらは、トムくんがいつも観察しているフライパンやお鍋とかけ離れています。

おまけに妹のジェリーちゃんがいつも遊んでいて

使うと猛然として怒りだすので

トムくんはそれに触れることすらできません。

 

また、トムくんのお家にあるおもちゃの料理の材料はたまねぎやパンなど、トムくんにすると、

魅力が薄いものです。

できれば、そうめんの束や、豆腐、納豆など、トムくんが大好きな食材で、

すぐに触りたくなるようなおもちゃを用意する必要があるようです。

もっともそんなおもちゃはなかなか売っていませんが、

たとえば豆腐でしたら、スポンジを本物の豆腐の空き容器に入れると豆腐らしいし、

納豆の容器にポンポンのついた白い毛糸を少し着色して入れると納豆らしくなります。

食品で使ったものの空き容器をリサイクルすると、

パキパキ音がしたり、フニャフニャした感触だったりして、

おそらく固い木製の玩具よりもずっとトムくんの関心を引き出すはずです。

またそうしたおもちゃの道具で、いつもの料理の過程を実演してあげることも

大切かもしれません。

そうした環境作りで、

想像力を使って遊ぶというのはどういうことなのか、

理解するきっかけがつかめたらいいなと考えています。

 

次回に続きます。

 


自閉症のトムくん と 新しい成長の兆し 1

2011-11-13 19:49:22 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

   (ももかんさん、youtanへのご連絡……コメントにメールを記載していただきましたら、非公開で読ませていただいて、1週間ほど先になりますが、連絡させていただきます。)        

数ヶ月ごとに自閉症のトムくんに会いに神奈川まで出かけています。

わたしは自閉症の専門家ではなく、

「トムくんの遊びの世界を豊かにする」ことと「算数の感性を育てる」という2点で関わっています。

その都度、トムくんの成長を記録に残すためと、自閉症の子を育てている親御さんに

関わることが難しい子との遊び方のヒントをお伝えするために、ブログの記事にして残しています。

 

 トムくんとわたしのこれまでのいきさつは、このブログをずっと読んでくださっている方は

ご存じだと思いますが、

最近ブログを読み始めたばかり……という方のために

この記事の終わりに過去記事をリンクしておきます。

もう読んだという方は、スルーしてくださいね。

 

 トムくんとわたしの出会いは、2009年7月です。

当時のトムくんは、ほんの一瞬、人に注意を向けることすら難しい様子で、

まるで人を人として認識していないように見える子でした。

自分の意志とか気持ちとか考えといったものが感じられず、

催眠術にかかって眠りながら歩いている人のようにフラフラ移動していく姿が印象的でした。

 

それから2年あまり。

現在のトムくんは自分の意志を身体で表現したり、要求を言葉にしたり、

人を観察して真似したり、文字を書いたり、計算したり、

「かえるの歌」のメロディーをピアノで弾いたりできるようになりました。

表情豊かでいきいきとしていて、人と関わることを楽しむトムくんは、

かつてのトムくんとは別人のようです。

 

今回、トムくんのレッスンをするにあたって、トムくんのお母さんのyoshikoさんから、

 

「この数ヶ月、成長を感じるものの、どこがどう伸びているのか漠然としていてわかりません。

そのため次の課題が見えにくいです。今、成長の兆しが見ている部分を言葉にしていただくと助かります」

 

「パターンによる会話する能力はずいぶん伸びていて、安定してきています。

でも、~ください、と要求をだしたり、

これなあに? の質問に答えることができるのに、

自分から、これなあに? とたずねるといった自発的に質問しようとする態度が生まれてこないことが

気になっています」

 

という相談をいただいていました。

 

そこでこのふたつの点を心にとめながら、

トムくんとの遊びを楽しんできました。

今回の滞在中、とてもうれしい発見と変化がいくつかありました。

 

ひとつの物事に長い時間、注意をとどめておけるようになったため、

時間の流れにそって起こることを観察していて、

何かが起こったときにその原因をつきとめたり、

うまくいかない事態を改善したりすることができるようになってきたのです。

トムくんが、そうした思考実験を行いやすくなるよう工夫した点は

この続きの記事に書かせていただきますね。

 

また、まだまだ潜在的なものとはいえ、

コミュニケーションの上での新しい大きな成長の可能性が芽生えていました。

それもこの記事の続きでくわしく書かせていただきますね。

 

それでは、この続きは次の記事で。

 

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過去記事のリンクはこちらです↓

2010年5月

★(鎌倉で……)知力、能力、意欲を引き出すってどうするの? 1
★(鎌倉で……)知力、能力、意欲を引き出すってどうするの? 2
★(鎌倉で……)知力、能力、意欲を引き出すってどうするの? 3
★(鎌倉で……)知力、能力、意欲を引き出すってどうするの? 4
★(鎌倉で……)知力、能力、意欲を引き出すってどうするの? 5
★(鎌倉で……)意欲的に算数に取り組むための教材 6
★(鎌倉で……)意欲的に算数に取り組むための教材 7
★(鎌倉で……)やりとり と 勝ち負けを 教える 8


2010年9月 

★神奈川に行って来ました♪ + 劇的に成長する時期 1
★知的働きかけと それをめぐる盲点 (神奈川に行って来ました♪ + 劇的に成長する時期 2)
★知的働きかけと それをめぐる盲点 (神奈川に行って来ました♪ + 劇的に成長する時期 3)
★知的働きかけと それをめぐる盲点 (神奈川に行って来ました♪ + 劇的に成長する時期 4)
★知的働きかけと それをめぐる盲点 (神奈川に行って来ました♪ + 劇的に成長する時期 5)

★真似したい気持ち (神奈川に行って来ました♪ + 劇的に成長する時期 6))

2010年11月 

蒔いた種の芽が出てきた!算数・自発性・創造性が伸びてきたトムくん 1
蒔いた種の芽が出てきた!算数・自発性・創造性が伸びてきたトムくん 2
蒔いた種の芽が出てきた!算数・自発性・創造性が伸びてきたトムくん 3

蒔いた種の芽が出てきた!算数・自発性・創造性が伸びてきたトムくん 4
蒔いた種の芽が出てきた!算数・自発性・創造性が伸びてきたトムくん 5
蒔いた種の芽が出てきた!算数・自発性・創造性が伸びてきたトムくん 6
蒔いた種の芽が出てきた!算数・自発性・創造性が伸びてきたトムくん 7


2011年4月

神奈川のトムくんに会ってきました 1
神奈川のトムくんに会ってきました 2 トムくんと ジャンケン
神奈川のトムくんに会ってきました 3 トムくんと ジャンケン ②
神奈川のトムくんに会ってきました 4  お人形遊びとじゃんけん
神奈川のトムくんに会ってきました 5 トムくんと算数
神奈川のトムくんに会ってきました 6 トムくんと お友だち トムくんと工作 

 


中学入試用、暗記物クイズ大会 と 得意分野難問自慢大会 2

2011-11-10 13:15:25 | 連絡事項

お知らせ

明日から3日間、神奈川に出かけてきます。ブログの更新は来週の月曜日からさせていただきますね。

 

『中学入試用、暗記物クイズ大会 と 得意分野難問自慢大会』の日時が決まりました。

12月27日(火)の1時~4時です。

前日の12月26日(月)の1時~4時には、同じ会館で小学生向けの工作ワークショップを開く予定です。

場所は参加希望者にメールかプリントでお知らせします。

 

中学入試用の暗記物のクイズ大会で、

学んできた出題分野のクイズを出して、

解けた解けないを競うのでは、どうしても知識が多い子、暗記が得意な子ばかり

勝ち進むことになって面白くありません。

 

そこで、トリビア泉のように『へぇ~ボタン』(新聞紙を丸めて作ります)を

採用して、

暗記ネタに対して、「へぇ~」と感心した場合、

ボタンを叩きまくるとか、

身体や動物の入っていることわざなら、

先に答えに目を通している出題者が、ジェスチャーで

ことわざを当てさせるなど、競技よりも、知識に触れて、

知識をためる楽しみに気づけるような機会にしたい、と考えています。

あくまでも子ども主導なので、

内容は参加する子どもたちに相談しながら、それぞれの個性的な

アイデアを盛り込んでいきたいです。

 

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教室の幼稚園児をお持ちの親御さんたちとお話していると、

運動会や発表会の練習で

先生が完璧を求め過ぎて暴走するため、子どもが不安を訴えて不眠気味になる、

幼稚園を嫌がる、他の子が叱られているのを見て登園しぶりをする

という事態がめずらしくないようです。

少子化が進むなか、年々、子どもが通う幼稚園が、

「子どもは園の広告塔」「子どもの幸せよりも親へのアピール」となりつつあるようで

気になっています。

 

そんなことを小学生をお持ちの親御さんと話していたら、

こんなことをおっしゃっていた方がいました。

「園でも、小学校でも、それぞれの子の人間的な器を育てるということは

少しも考えないで、外から知識や技能をインプットして

装備させることだけを考えているようです。

でもそうして次々能力を付け加えることを繰り返しても、

自分という器がない子は、

新しいことをするたびに、いつも1からスタートという感じです。

応用がきかないんです。」

 

わたしもその通りだと感じて、

「教育と洗脳の違いがよりあいまいになってきている印象ですね。

教育する側が、子どもに自分で自由に考え、判断する余白を残さずに

近視眼的な目的に走ってしまいながら、

そうした罪悪感を感じたくないために自分で自分を洗脳しているようにすら見えます。

教育にかかわる人は、どこからどこまでが教育で、どの一線を越えたら

洗脳にあたるのか、敏感になる必要がありますよね」

と話しました。

 

 

 

 


自分のアイデア 問題解決法 (3歳3ヶ月の◎ちゃんのレッスンから)

2011-11-10 12:07:38 | 通常レッスン

困った事態にぶつかったとき、少し待っていると、

「いいこと思いついた!」と自分なりの解決法をしめすようになった3歳3ヶ月の◎ちゃん。

ブロックのかごの形のパーツで「ブランコが作りたい」というので、毛糸を取ってあげようとすると、

パーティーごっこでプレゼントをしばっていたリボンをほどいて、

「これでブランコできるよ。リボンで!」とうれしそうに言いました。

 

「自分で思いついた」「自分のアイデア」がうれしくて

たまらない様子。

 

リボンをかごの隙間に通しています。

バランスが悪かったので、少し調節してあげて、

こんなに立派なブランコができました。

お山や滑り台も作って公園のできあがり。

 

◎ちゃんには半年ほど前に弟ができました。

お世話したり、かわいがったりする

優しいお姉ちゃんを演じてがんばっていますが、

まだ3つですから甘えたい気もちを抑え込んでストレスも抱えているようです。

 

ハムスターたちを公園で遊ばせるときには、

小さい赤ちゃんハムスターばかり優先してかわいがって、

大きなハムスターには「大きいんだから遊んじゃだめ。ブランコ乗っちゃだめ」と

強い口調で叱っていました。

 

いつも自分自身に向かって、

「もうお姉ちゃんだから、がまんしなさい」と心のなかで叱って

甘えたい気持ちをがまんしているのかもしれません。

 

 

小さなグラスにビー玉をひとつずつ入れて、

お人形たちをテーブルのそばに集めていました。

人形が倒れるので、

積み木で椅子を作ると喜んでいました。


中学入試用、暗記物クイズ大会 と 得意分野難問自慢大会 

2011-11-09 20:27:03 | 連絡事項

シアトルでのレッスンについての訂正のお知らせです。

参加はシアトル近辺の方だけに限らせていただきます、と書かせていただきましたが、

シアトルの幼稚園の部屋を貸していただけることになりましたので、

これまでお断りしていた他州の方に参加していただくことも可能になりました。

1週間ほどで、もう少しくわしいことが決まりますので、メールをいただいている方には

くわしいことが決まり次第、連絡させていただきます。

(カナダから連絡をくださっていた方に何度かメールを送らせていただいていますが、

うまく送れずに戻ってきてしまいます。別のメールのアドレスがありましたら

もう一度書き込んでいただけると助かります)

 

 

先日、初めて他の塾の公開テストを受けてきたという小学2年生の★くんが、

興奮した様子で「こんな問題が出ていてさ」と、図を描いて説明してくれました。

テストの設問はどれもかなり長文だったようで、とても面白い問題だったそうです。

 

(問題の上にある「じゅくきょうしアルバイトぼしゅう、の文字は、虹色教室内のごっこ遊びの

じゅくきょうしのことで、教師の採用年齢は小学1年生以上です。子ども同士で作った

難問に答えることができたら、採用されます)

 

★くんは以前から、規則性の問題が好きでたまらないのです。

幼稚園に通っていた頃から、ブロックで塔を作るときに

一段ごとに規則にそって必要なブロックの数が変化していくことに魅了されていました。

 

今回のレッスンでは同じ小学2年生の◎くんと、

面積や体積や線分図や分数のクイズを心から楽しんでいました。

 

↓の写真のように、まぎらわしい描き方をしている図から、

「騙されないように!」と注意を集中して、

2×5+4×3=22 といった答えを出しています。

 

 

↓のような体積を求める問題も頭の体操として、

★くんも◎くんも面白かったようです。

問題は、展開図を組み立てて、立体を作り、

その体積を求めるものです。

 

線分図のクイズは↓のようなものです。

線分を全て足した額を求めます。

 

幼稚園~1年生までは、★くんも◎くんも手を使って何か作る遊びやボードゲームが楽しくて

たまらなかったようですが、

最近は大好きな遊びにこうした頭を使うクイズ類が加わりました。

記憶するのも面白くてたまらないようで、

テレビのニュースで耳にしたらしい「☆☆☆にすでに加盟している国はどこでしょう?」とか「モロッコの首都はどこでしょう?」

といったクイズを大量にわたしに浴びせて、社会科オンチのわたしを悩ませてくれます。

 

今回もほとんど★くんに答えを教えてもらいながら、

わたしは

この年末に教室の子らでするちょっとしたイベントを思いつきました。

『中学入試用、暗記物クイズ大会 と 得意分野難問自慢大会 』です。

教室の3,4年生の子らには、中学入試を志望している子らがいます。

その子たちが、中学入試用に暗記物に楽しく取り組めるように

低学年の子らも巻き込んでテレビのクイズ大会のように

参加しても、見ていても楽しめるような工夫を施して、クイズ大会をしてみてはどうか

と考えたのです。

★くんも、◎くんもその話に乗り気で、

◎くんは、「1位の賞品はぼくが作るよ。キモドラえもんのメダルにしよう!」とさっそく

会を盛り上げるアイデアを練り始めました。

 

12月の末頃で、(シアトルからの帰宅後)

飲食OKの公共の建物の部屋が借りれる日時に、お菓子とジュースを持ち寄って

パーティー風のクイズ大会を開くことにしました。

ついでに、参加する子は自分の得意分野でできるだけ難しい問題を見つけて解いてきて、

みんなの前でそれを解いてみせる~という得意分野自慢の時間も設けることにしました。

はっきりした日時は決まっていませんが、1~4年生の教室の生徒と、ユースホステルでのレッスンに参加してくれた

小学生は誰でも参加可能です。

参加したい方は、ブログのコメント欄に書きこんでくださいね。

12月の最初の週までに、くわしいクイズの出題分野と場所などをお知らせします。

知識はまったくなくても楽しめる内容にする予定です。