虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

(絵本大好きクラブ)ひとりひとりの子の資質の輝きに気づく時間を 1

2012-05-23 14:57:34 | 子どもの個性と学習タイプ

今日は『絵本大好きクラブ』の初日でした。

2歳3ヶ月~4歳1ヶ月までの★くん、◆くん、●くん、☆ちゃん、○ちゃんの5人で

絵本をテーマにごっこ遊びをしたり、工作をしたり、理科遊びをしたりして遊びました。

読み聞かせやクイズ遊びなどもしました。

 

子どもに何か体験させるというと、子どもが喜んで活動に参加しているかどうかで

「食いついた」「食いつかない」

といって一喜一憂する方がいます。

 

子どもがうれしそうに目を輝かせているもを見るのはうれしいものですし、

子どもを嬉々とさせる活動に知的な内容も含まれていれば、お得感も感じることでしょう。

 

でも、「食いついた」とか「食いつかない」など

外から見て、大人の期待通りに機敏に反応している時だけが

子どもの心に影響を与えているとは限らないですよね。

 

子どもの感じ方や興味の示し方、インプットのあり方やアウトプットのあり方は

それぞれ個性的で、

どの子もまいたエサに群がるような反応で

感動を表現するとは限らないのです。

 

目を丸くしたままで、ジィーッと他の子のすることをうかがっているだけに見える子も

心のなかでは驚きや感動や疑問ややってみたいことのアイデアが渦巻いているかも

しれないのです。

 

そうした場で大人が期待する反応をしたかしないか、

何かが上手にできるかできないか、

他の子と同じように活動しているかどうか、に目を配るのではなく

ひとつの体験を通して子どもの内面に浮かびあがってくる個性的な資質に気づいて

それを磨いて輝かせていくお手伝いができたらいいな、と思っています。

 

大人が余計な心配をしなくても

自分のなかにある宝物に気づいた子は

他の子らといっしょにする活動でも自分の優れた一面を発揮しながら

関われるようになってきます。

 

虹色教室に来ている小学生の親御さんが

こんなことをおっしゃっていました。

子どもの小学生のお友だちはほとんどが、学校の先生や塾の先生の良し悪しを

「面白いことを言って自分の楽しませてくれるかどうか」で

評価しているようなのです。

 

とにかく自分を楽しませてほしい、というテレビでも眺めるような構えが勉強にあって

「勉強とは自分がするもの」「受動的にしてもらうだけでなく自分から働きかけてみる、表現する」という

発想が全く見えないのだそうです。

 

確かに「面白い、面白い」と見ているだけでいつのまにか英会話をいくつか覚えちゃったなんて

ある意味で理想的に思えるような学習が幼児期や低学年くらいまでは

通用するし、それなりの結果も手にできるはずです。

でも、そんな頭の使い方が身についてしまうと

自分で能動的に考えていかないと答えを出せない学習に移行する時期には

手に負えなくなるのではないでしょうか。

 

「見る」「聞く」「教えてもらう」「言われた通りに訓練する」と同じように

 

「言う」「「作る」「表現する」「工夫する」「自分の頭で熟考する」といったことも

たくさん体験させてあげたいと思っています。

話が脱線したので戻しますね。

ひとりひとりの子の資質ってどんなところから見えてくるのでしょう。

4歳になったばかりの◆くん。

線路の絵本を作っていたので、「もっと長くしてみる?」とたずねると

顔を輝かせて、「線路だから、もっともっと紙をつながないといけないよ」という返事が返ってきました。

「もっともっと、パタパタ絵本みたいに」と言いながら、何枚も紙をつなげて

線路を描いていきました。

◆くんはストーリーが長い絵本も心から楽しむことができる想像力豊かな子のようです。

 

この日、和食レストランで昼食会をしたのですが、

2歳の子がカーテンを引っ張ろうとしたとたん、上にかけてあるハンガーに気づいて、

「それを引っ張ると、上から落ちてくるかもしれないよ」

と指摘しました。

次にどうなるのかな、と推理することに敏感な様子です。

 

保育園では指示に従うのが一テンポ遅れがちなのんびり屋の一面があるようですが、

よく物を観察し、想像を膨らませたり、先を推理したりすることが好きなために

そそくさと反射的に動けないようです。

 

◆くんの資質のすばらしい点に気づいて、

想像力や推理力を使って楽しむ体験をいろいろ積ませてあげるといいように思いました。

 

和食店の個室から外に出る時、◆くんはすかさず靴入れの脇にかけてあった靴べらを手にしていました。

「勝手に触らないの」と注意する必要もあるでしょうが、この場面では靴べらを使うことに問題はなさそうだったので、

「◆くん、それはどうやって使うの?」とたずねました。

「こうやって、靴をはく」と見本を見せてから、

ゴルフのバットを振るような真似をして、「こういう風にもできるね」と言いました。

「◆くん、それはどこにしまうの?」とたずねると、ちゃんと元通りかけていました。

好奇心からあれこれ触ってしまう時も、質問を投げかけると

いろいろと考えているようです。本を読んでもらうのが大好きな◆くんに、

自分の言葉で説明させ、考えを表現させる機会をたくさん与えてあげる大切さを感じました。

 

次回に続きます。


自己肯定感は褒めると上がる? 2

2012-05-23 07:44:19 | 自己肯定感を育む

自己肯定感は褒めると上がる? 1

の続きです。

以前、「親自身が『子ども』から『大人』に変化できていないと、数値で子どもを管理したがるのでは?」という

辛口の記事を書いたことがあります。

子どもの自己肯定感の高低は、その記事で取りあげた内容と密接に関わっているように

捉えています。

↓「親自身が『子ども』から『大人』に変化できていないと、数値で子どもを管理したがるのでは?」

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『10代の子をもつ親が知っておきたいこと』水島広子  紀伊国屋書店
(この著書でクロニンジャーの「七因子モデル」を知りました。)

という著書の中で、「あれっ?」と感じる興味深い話を目にしました。

思春期の子を持つ親御さん向けの本ですが、幼児を育てている方にとっても
とても大切な話だと感じたので、簡単に要約して紹介しますね。

思春期の心の病である拒食症の治療の中心は、
対人関係療法で言うところの「役割の変化」になるそうです。

思春期の課題を消化して、「子どものやり方」から、
「大人のやり方」に変化を遂げることが
病の治癒につながるそうです。

「子どものやり方」というのは、「何でも自分の努力で解決する」というものです。

一方、「大人のやり方」は、「必要であれば他人の力を借りよう」と
考えられることです。

成績が上位になれない、という場合も、一人でさらに努力して自分を追い込んでいくのではなく、いろいろな人生があることを知って、
自分の存在を社会の中で相対化できるようになることです。


「何でも自分の努力で解決する、のが『子どものやり方』だなんておかしい……大人になっていくということは、
他人に頼らず、自分で責任を持っていろんなことをこなせるようになることではないの?」
と感じた方がいらっしゃるかもしれません。

世の中は、矛盾だらけで無秩序なところです。
「がんばったから、幸せになる」とか「努力に比例して成功する」という
単純なルールで成り立っているわけではないですよね。

すべての課題を自分の責任でこなそうとする人は、「秩序」によって安定するタイプが多いので、
「努力すれば成績が得られる」「親切にすればすかれる」というようなルール
で世の中が動いていないと不安になります。
そうしたタイプの人が、自分の秩序を乱す出来事に直面すると、パニックを起します。そのパニックへの対処のひとつの形が
拒食症という病なのだそうです。

「体重」は、食べなければやせるという体重計の数字にきちんと表れるので、
達成感と安心感が得られます。

思春期には、「自分の限界を知るということ」という
重要な課題があります。
努力すれば何でもできるようになるわけではない。がんばればみんながほめてくれるわけではない。運命や環境をすべて自分の力でコントロールできるわけではないと認めること。

その上で、自分にできる範囲で全力をつくせるようになることが、
大人になるための思春期の課題です。


「人間は努力すれば何でもできるし、そもそも人間は学力だけで評価される」
という狭い考え方は「子ども」としての役割から生じるものです。

大人になるということは、
「人間にはいろいろな限界があり、その中で支えあっていくことが人生」と
いう大人としての役割で考えることができるようになること
なのですね。

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『10代の子をもつ親が知っておきたいこと』で、
拒食症をはじめとする思春期の心の病についての話を目にするうち、
ちょっと怖くなったことがありました。

子育て中の親の中には、思春期の課題を超えそびれて、
まだ「長い思春期」の最中にいる方も多いです。

機能不全の家庭に育った私も、
ひとりめの娘の子育てでは、大人になれていない心のまま
良かれと思って子どもの自尊心を蝕むようなことを
平気でしていました。

「子ども」の心のままで、
心の病を引き起こすような世界観のもとで子育てをしていると、
目に見える安心感や数値上の上昇を確認することを求めます。

「努力すれば成績が得られる」「親切にすればすかれる」というような
安心できる秩序が守られている世界を
お金を払ってでも得ようとします。

それが教育産業が作り上げた
人工的な架空の世界であったとしても、
それを全世界のように錯覚した状態で子育てをしたいと願います。

子育ては、「すべてを自分の力でコントロールしたいという」
現実にはありえない考え方が
はびこりやすい場です。

なぜなら、「自分で努力はしたくないけれど、
コントロールして数値の確認をする作業だけをしていたい」と
いう本当は現実の世界で叶えられてはいけない
病特有の執拗な願いを
簡単に実現してしまうからです。

おまけに、教育産業の多くが、そうした親の考えを
正当化して、
さらに煽りがちです。
教育産業が、儲かることを最優先に考えるのは、
ビジネスだからしょうがない部分もあります。

利用する側が、親にとっての最優先課題はビジネスのそれと
重ならない場合が多いことを自覚することが
大切だと思います。


子どもの幸不幸は、
どんな能力の親のもとに生まれたかよりも、
ちゃんと思春期の自分の課題を済ませて、「大人」になっている
親に育てられているかどうかで決まるように感じています。

子どもの未来も、「大人」に育てられているかどうかで、
大きく変わってくるのではないでしょうか?

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↑先の記事は自己肯定感について説明するために書いたものではありません。

わたしは子どもを外の評価の体系で測っては、数値で確認しながら育てていくことが、

自己肯定感が下がる原因と直にイコールで結ばれると考えているわけでもありません。

 けれどもそうした育て方に代表される

大人が自分の狭い世界観で自分が見たいものを子どもに投げかけて、

子どものある一面には関心をしめし、別の一面は(自分の価値観と合わないからという理由で)無視するような

育て方が、

自己肯定感を育む土壌の貧しさにつながるんじゃないかな、とは思っています。

 

ですから、毎日、子どもをシャワーをあびせるごとく褒めて育てたところで、親が子どものなかに見たいものを褒め、

認めたくないものを無視して褒めているとすれば、

そうした褒め言葉は親の価値観の押しつけでしかなく、

どこかで子どもを否定し阻害している行為ともつながりやすりと感じています。

 

 

 

 

 


九州でのレッスンの申し込みは終了しました。

2012-05-22 23:41:11 | 生徒募集 イベント参加募集

数日前に、九州のあそびのアトリエさんのところでレッスンをさせていただくお知らせ を記事にしたのですが、

親子レッスンはすでに募集人数に達してしまったそうです。

    

申し込みはすでに締め切られています。

(九州方面にお住まいで参加したかったという方、申しわけありませんでした。)


発達のでこぼこの凹の部分を絵本で補う 2

2012-05-22 16:59:20 | 初めてお越しの方

前回、「絵本をいっしょに見ながら、見る時に状況を正しく把握するコツや

理由を正確に推測するコツを教えていくことにしました。」

と書きましたが、それについて具体的に説明しますね。

 

「見る時に状況を正しく把握するコツ」というのは、

たとえば、数名の女の子が輪になって遊んでいる絵をそこに入れてほしそうにもじもじしている女の子の姿が

描かれている絵があるとします。

「この子はどうしてもじもじと困った顔をしているのかな?」とたずねると、

★ちゃんなら、「困ってるから!」と答えることが予測されます。

 

もしその質問の少し前に、「もじもじしていて、おしっこに行きたかった子」のお

話を目にしていたら、

自信満々に、「おしっこに行きたいから!」と答えることでしょう。

 

★ちゃんが状況を把握するにあたって、何が間違っているのかというと、

「見る」という行為が対象の自分の知っている一部分だけしか見ていない場合も、

その状況が何を表しているかの答えになると

思っていることなのです。

 

「そらまめくんのベッド」という絵本を読んでいた時のこと、

途中で絵本にうずらの半身が描かれていました。

「誰かな?」とたずねると、★ちゃんは即座に「かば!」と答えました。

 

おそらく知っている絵本のストーリーで次に現れるのが「かば」だったことがあったのか、

茶色い色から「かば」がひらめいたのでしょう。

 

でも、その絵は良く見れば、茶色い身体に羽根のような模様が描かれているし、卵を温めているのです。

顔が見えないように下半身が描かれているとはいえ、

ストーリーの展開からも「かば」だとは言いがたいのです。

 

それなのに「かば」だと主張する姿から、

★ちゃんの世界の見方と解釈の仕方の偏りが推測されるのです。

 

見ているものが、「赤くて、昆虫で、背中に黒い斑点があります」という情報から

それが何か言い当てる時、

「あ~赤いから、りんごだ!」と言い当てるのに近いのです。

いくつかの情報の一部にだけ着目して、そこから連想されるものを

過去の記憶からひっぱりだしてきて言う、

ということをしょっちゅうしているようなのです。

 

それが学校で習う勉強というのは、案外、こんなにも偏った方法に頼っていても

できるようになっていくところがあるのです。

算数にしても国語にしても繰り返し練習するなかで、

意味が正確にわかっていなくても、問題の一部に反応して過去のやり方を思い出せば

何とか乗り切ることができますから。

そんな風に意味と切り離された形でも、取りあえず学習を先に進めていくことは大切ではあるのです。

でも知力の発達を学校の学習の進度でだけ測っていると、

こうした思わぬ落とし穴を見落とすことになると思っています。

 

次回に続きます。

 

 

 

 


発達のでこぼこの凹の部分を絵本で補う 1

2012-05-22 13:09:37 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

知的ゆっくりさんの★ちゃんのは

2年生の後半ごろから記憶力がよくなってきたこともあって

学習上のつまずきが少しずつ減ってきました。

2ケタや3ケタの繰り上がりや繰り下がりのある計算もマスターできましたし、

国語の文章題も易しいものなら解けるようになってきました。

 

虹色教室に初めて来たのは小学生になってからです。

 当時、とても気になったのは、

3,4個のブロックで「アヒル」のような簡単な見本を再現したり、

コップのお人形に目鼻をつけたりする時に、

ブロックの位置ををつけまちがえたとか、左右の目の位置がずれているといったささいなミスではなく、

見本とは似てもにつかないような仕上がりになることでした。

それでも本人はいたって満足そうに「できた」と言います。

 

アヒルを真似るはずが、何十個もブログをつなげただけの作品を作って「できあがり」としたり、

顔を描く予定が、顔の外に目があったかと思うと、口のある位置に髪留めと称したものを描き込んでありました。

 

現在、4年生となった★ちゃんは

その頃からすると見違えるほどしっかりしていますし、

物分かりもよくなっています。

社会性の発達がよく、自然な受け答えができる子ですから、

外から見ると、本人がわかっていないことが見えにくいです。

 

学習面では何度も練習させると機械的にやり方を覚え込んでできるようにはなっているけれど、

根本的な意味の理解に危ういところがあるようです。

新しく何か学ぶと、前にできていた解法が新しく学んだ方法とごちゃごちゃになってしまうのです。

 

これまではスローステップでひたすら上へ上へ積み上げていく形で学習を進めてきたけれど、

そろそろ前ばかり見て進む方法に無理がではじめているようでした。

 

学習の土台となる理解力がもろくて未熟なまま

どんどん新しいことを覚えて、何度も練習させて、なんとかできるようにさせて前に進むことに

限界が見えだしたのです。

 

記事のはじめに、就学した後も簡単な物作りをすると、

途方もないほど見本からかけ離れた作品に仕上がっていた話を書きました。

今でこそ、自分の見聞きしている状況をそこそこ正しく把握して、

体験したことを時間の流れにそって記憶できているようですが、

6,7歳になるまでの★ちゃんが世界をどのように見て、どのように記憶して、どのように解釈していたのか、

気にかかるのです。

 

本来、幼児期に通っていく現実を論理的に理解していく過程がスポッと抜けたままに

なっているんじゃないかな?

というのが、わたしの憶測です。

 

そこで、レッスンの合間に絵本を読み聞かせながら、

絵に描かれているものを指して、「かえるは何をしているのかな?」

「どうして、この子は走っているの?」「これはなあに?」といった質問を投げかけてみると、

周囲が思っている以上に

動詞の使い方や理由を推測する方法が間違っていることがわかりました。

 

学校で習っている学習が何とかできるようになっていくため、

その前の段階の非常に基本的な事柄に多くのつまずきを抱えていたことに

気づかれていなかったようです。

 

「かえるが寝転がっている」絵を指しても「座っている」と言ったり、

川に落ちたものを棒で引っ掛けて拾おうとしている姿を見せて、「何をしているのかな?」とたずねても、

「川で泳いでる」と答えるなど、

目にしている対象の行動や状況を正しく把握していない上、

正しく把握するようにつとめる大切さに気づいていないようなのです。

そこで、絵本をいっしょに見ながら、見る時に状況を正しく把握するコツや

理由を正確に推測するコツを教えていくことにしました。

 

次回に続きます。

 


計算嫌いのやんちゃな子に楽しく計算練習させる方法

2012-05-22 12:41:32 | 算数
計算を嫌がってなかなか上達しない子に
楽しく練習させる方法を紹介します。

計算カード…ワーク(使用済み)を切り抜いて作ったカードです。…
の前に手を出させて 
「すばやく答えないと
ぱちんと叩くよ!」と今にもぱちんと叩きそうに
手を構えておきます。

本当はたたくまねか 空振りなんですが
このドキドキ感がたまらないらしくて
かなり長い時間 計算をしたがります♪

飲んだ水はどこへ行くの?

2012-05-22 09:22:57 | 通常レッスン

3歳児さんたちのグループレッスンで、

子どもたちにこんな問題を出しました。

コップに入ったお茶を見せて、

子どもたちの前でごくごく飲んでから

空のグラスを指さして、「あれ、あれ、からっぽ。お茶がなくなっちゃったよ。

どこに行ったのかな?」とたずねたのです。

 

★くん、☆くん、●くんの3人は

首をかしげて不思議がっています。

「わからない」と☆くん。「ここかな?」と自信なさそうに

首のあたりを指さします。

 

「知ってるよ」とジェスチャーつきで説明しはじめた●くん。

●くんいわく、「こうなって、こうなって、こうなって……ここ!」と、

指で、口から入って、お腹を通って、足までお茶が進む様子を表現しながら、

最後に足のつま先を「ココ」とさします。

飲んだお茶は、人間の足のつま先からたまっていくらしい……。

 

●くんのトンデモ発言を小学生の子らに話したところ、

「わたしも小さい頃、コップみたいに

足の下に水がたまっていくと思っていた!」と言いながら、

大笑い。

 

ダンナに話したところ、

「さすが、さすが、3歳でよく考えている。自然の法則に気づいてるんだな」と

感心していました。

(確かに……水が上から下へ下へと向かうのは自然の法則? )

 

3歳児さんたち。

「傘はどうしてさすのかな?」と問うと、

トンデモな意見が飛び交って、

めったに「雨に濡れないためよ」というあたり前の答えが返ってこない

貴重な年齢です。

 


(真似したい気持ち)  言葉が遅い 目が合わない……成長に気がかりなところのある子のレッスン 3

2012-05-21 23:15:32 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

 

★くんは近くにいる時はほとんど目を合わせようとしません。

お母さんといっしょに遊んでいる時も、お母さんの顔に視線を向けることはほとんどなく、

遊びに熱中している時は少し固い無表情で視線は何を見るでなく空を泳いでいることがよくあります。

「~しようか?」「してごらん」とわたしやお母さんが誘いかけても

聞こえていないかのような様子で、

自分のしたいことに集中するか、次に触れたいものを探してうろうろしています。

 

この日、★くんの目や耳の使い方について、わたしは「あれっ?」と心にひっかかる場面に

何度か遭遇しました。

 

 

というのは、お母さんの近くにいるときはお母さんと目を合わせることはほとんどなかったのに、

お母さんが1メートルほど離れてボール転がしの相手をしだした時には、

目が合いやすく、互いの呼吸を合わせて遊んでいて、笑顔も少し出ていたことです。

たまたまでしょうか。それとも距離と目の焦点の合いやすさなどの

関係があるのでしょうか。

人との接近で緊張するなどの別の理由があるのでしょうか。

 

また、★くんが線を描いたオレンジの色画用紙を天井からひもでつらしてあげたところ、

上に上がっていく紙を目で追う時には、★くんの表情にパァッと輝くような笑みが浮かんで

輪ゴムを持ってきてそれにつけてみたり、

クーピーで巻いて作った赤い紙をつけてみたり、線を描き加えようとしたりと、

活発にアイデアがひらめくようだったことです。

 

また、耳に関しては、こんなことがありました。

工作の最中、わたしは★くんに何度も声をかけて、はさみを使うように誘ったり、作り方の見本を見せたり

していました。

そうした声かけに対して、★くんは全くの無関心を装っていて、

まるで聞こえていないようにやりすごしていました。

 

が、声をかけてから5分から10分くらいして、一度は別の場所で他の活動をした後で、

★くんが思いだしたように声をかけの指示通りの活動をしていたのです。

「見てね。★くん」と言いながら見せていた手本についてもそうでした。

ずいぶん時間が経っているとはいえ、適当に思いだしてやっているというより、

5分から10分くらいして、ようやく自分に言われていたことの意味を了解したかのように

どこか生真面目さが漂う真剣さで、

少し前の手本を模倣していました。

 

 


ひとりひとりの子の興味 と 着目ポイント

2012-05-21 20:09:18 | 子どもの個性と学習タイプ

2歳代で身につけてもらいたいと考えていること 1

で記事にした★くんと☆くんのレッスンから。

 

教室で工作や理科実験をする時には、

それぞれの子の興味や関心を出発点にして何をするか決めています。

子どもがどんなところに着目するのか、★くんと☆くんの例から

紹介させていただきますね。

 

★くんはドールハウスで遊ぶ時に注意深くカギをかけていました。

様子を見ていると、カギがかかる時の仕組みに興味があるようでした。

 

上の写真のようにひねるタイプのカギや上下にスライドさせるタイプのカギなど、

引っ掛けるだけの簡単なカギの仕掛けを工作のテーマにすると

工作が楽しくなります。

 

「子どものために工作のアイデアを1から考えるなんて難しすぎる」と思うかもしれませんが、

その部分に注目してみると、

ストローや輪ゴムや紙コップといった身近にあるものを使って

子どもが目を輝かせて喜んで、おまけにそれからさまざまなことを学べるような

見本が数分でできるものです。

 

ふみきりに興味がある子でしたら、

曲がるストローに飾りのテープを貼って、短い方の先を押さえて、

もう一方を「カンカンカン」と言いながら上げ下げすれば、

子どもは大満足した上で、ストローのじゃばら部分の活用方について学びます。

 

この曲がるストローを短めに切ると、

曲げ伸ばしでカギがかかったりしまったりする仕組みもできますね。

 

☆くんは、前回、いっしょに作ったテレビや影絵の仕組みが気にいって、

プッシュライトに興味がありました。

そこで、100円ショップの色が変化していく丸いライトに

穴を開けたカップをかぶせて、プラネタリウムもどきを作りました。

☆くんは、感覚が優れている子です。

 

教室に来始めた1年ほど前までは緊張が少し強くい性質で、

言葉の発達がゆっくめの子だったのですが、

工作や電車遊びを通して、☆くんの関心が高い「長い短い、速い遅い、深い浅い、太い細い」といった

物の違いを比べる言葉をいろいろ使うようにしていると、

2歳9カ月となった今は、様々な物事に興味を抱くようになり、

言いたいことが内面から溢れるようにでてくるようになりました。

 

虹色教室に来る途中の駅で、「特急電車は駅につくときは、ゆっくりだけど、出発する時はビューっと速いね」

と☆くんのお母さんが思ってもみなかった発見を☆くんが口にしたので、

とても驚いたそうです。

 


小学生の子たちの頭を使うおもちゃ

2012-05-21 17:05:26 | 虹色教室の教具 おもちゃ

算数クラブで遊んでいるおもちゃの一部を紹介します。

「ニキーチンの積み木」「シンクファンの頭脳パズルのシリーズ」

「マッチ5」です。

難易度が少しずつ上がっていく立体パズルと

頭の中で玉や図形を動かす速さを競う遊びです。

こうした頭を使う遊びも友だちとワイワイいいながらすると楽しいですよ。