虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

抽象的な思考力がしっかり身についてきました♪ 小学3年生。

2013-01-23 20:22:48 | 通常レッスン

 

小学3年生の★くんと☆くんのレッスンです。

ゲームやブロック遊びや工作が大好きな★くん、☆くん。

そうした遊びの体験の豊かさは、抽象的な思考力を問われる学習をする時、

打てば響くような理解力の高さにつながっているのを感じます。

 

今回はこれまであまりやったことのない周期算の問題を

まず自分の力で自由に解いてから、自分たちで間違い直しをし、

その後で応用問題に取り組みました。

 

最初にふたりが間違えたのは、2,3,4,2,3,4,2,3……というきまりで

並んでいる数の500個目までの数を全部足す問題です。

500÷3をしてあまりを2とした後で、答えの計算で2を足してしまったのです。

 

実際には、2と3のふたつが余りにあたるので、5を足さなくてはならないのです。

答えあわせをしながらそれに気づいたふたりは、次の応用問題ではきちんと正しい答えを導き

だしていました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1,3,1,1,2,1,3,1,1,2,1,3,1,1……のきそくで並んでいる

数の

はじめから数えて123こ目までの数を全部たすと、

いくつになりますか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

という問題です。

こうした規則性の問題に初めて触れる時には、上の写真なら、2,3,4にあたる

ひと塊に捉えることができる数を袋詰めにしていく内職(お仕事)を

体験してみて、そのイメージを土台に解いていくとよくわかります。

 

「袋に詰めれなかった余っちゃったカードが○と○……。

その得点を足すと……」と考えるのです。

 

★くんと☆くんが、こうした問題をすぐに理解したのには、

ゲームで遊ぶ際に、「1回戦は3点、2回戦は4点、3回戦は1点入ったから……」といった

ゲームの得点計算のイメージなどに

よく慣れているからのように思いました。

日々の学習量はあまり多いとはいえないふたりですが、

さまざまな遊びで培った柔軟な思考力が、

抽象概念について

即座に直観的に理解する力の強力な後ろ盾になっているのを感じました。

 

 

カメラ好きの★くんが☆くんの作ったブロック作品の内部を撮影したものです。

 

★くんのブロック作品。

 

左は☆くんのブロック作品。


4歳児さんたちのゲーム、算数、ブロック、好奇心を広げるための活動

2013-01-23 13:18:19 | 通常レッスン

4歳4ヶ月の★ちゃん、☆ちゃん。4歳10ヶ月の◎ちゃんのレッスンの様子です。

 

工作や折り紙で2階建ての家や3階建ての家を作って以来、

上に高く高く作っていく物作りに精を出す◎ちゃん。

しっかりした作りっぷりに「上手に自分でどんどん作っていきますね」と

感心していたら、◎ちゃんのお母さんが、

「2歳の時に一度、こちらのブロック教室に参加したんで、

早い時期に基礎板といくつかのブロックを与えていっしょに遊んでいたのが

よかったようなんですよ」とおっしゃいました。

未就園児向けの講座がそんな風にあと後まで役に立ったと聞くと、とてもうれしいです。

 

4歳児さんたちは、ルールのあるゲームがとてもたのしくなってくる時期です。

色のさいころを振って、出た色と同じ色のいちばん近いマスまで

ひとっ飛び。何が出ると有利なのか、よくわかっているので、

さいころを振る時には出て欲しい目を念じるようにして

振っています。

きょう、一番人気があったゲームです。

SOLCHE STROLCHE (AMIGO社)

 

課題の「カードの中にない色で、

カードの中にいない動物」を探します。

答えは、赤い牛でした。

白熱の試合。★ちゃんも☆ちゃんもすごい集中力で

取り組んでいました。

見つけるのは大人より素早いかもしれません。あんまり真剣にやりすぎて疲れたのか、

一番枚数をかせいていた★ちゃんは、4枚取った後で、「4枚取ったら、お休みってことにするね」

と、自分ルールを加えて、休んでいました。

ご当地キティーちゃんの絵柄を合わせる遊びも大人気。

4歳は、「理解した上で集中する」のが上手になる時期だな、と思います。

それまでの月齢の子らも集中して、いろいろな活動をするのですが、

「まず集中して、やってみた上で、理解にいたる」という感じです。

ご当地キティーちゃんで遊んだついでに

各地の食品パッケージを集めた箱を開けたり、ゆるきゃらを見ながら、「会ったことある、ない」

といったおしゃべりをしました。

すると、◎ちゃんが突然、「コッペちゃんに会ったことある!」と発言。

「えぇ~そんなレアなゆるきゃらに……!?」と◎ちゃんのお母さんを含め

みんなびっくり。

 

首のあたりにあまりにも怪しげなはさみ?がついているコッペちゃん。

 

「コッペちゃん」 京都の丹後町イメージキャラクター。

十脚目クモガニ科ズワイガニ属  の 6歳。メス。特技はカニ歩き。

 

◎ちゃんのお母さんがコッペちゃんの裏に貼ってある出身地(京都府)を確かめて、

「ああ~会ったのかも?わたしは気づかなかったけど、ここに行ったわ~」と言いました。

「ほらっ、いたよ。会ったじゃん!」と◎ちゃんは

もううれしくってたまらない様子でした。

今後、相当なゆるきゃら好き、地理好きさんになる予感。

算数タイムは、けんかをして帰ってしまったハムスターの数を当てたり、

みんなにおやつがいきわたるか考えたり、

指を使って数を分解する遊びをしたりしてずいぶん盛り上がりました。

こうした頭を使って考える作業が、どんどん楽しくなってくる時期のようです。


『天才脳の育て方』 林成之先生の5つのメソッド 4

2013-01-22 17:49:50 | 教育論 読者の方からのQ&A

林成之先生の『天才脳の育て方』 の5つのメソッドの続きです。

 

④くり返し考える力

 

書いたものやプランを練り直したいのに、どうしても新しいプランが生まれず、

なかなかできないことはありませんか?これは「統一・一貫性」の本能が働くからです。

その本能を外すには、時間をずらしてもう一度トライするのがオススメです。

何度もくり返し、時間をかけて考えることです。非効率的に見えても、そのたびに考えが検証・

修正され、少しずつ進化する。その少しが積み重なって飛躍が生まれ、独創的な思考や発見があるのです。

物事をきちんと理解・記憶するには、最初に「好きだ」というプラスのレッテルをはり、完璧なまでに繰り返し

思考していく過程が大事なのです。


この「くり返し考える力」を育む過程を極端に嫌う親御さんはたくさんいます。


ほんの数分でも子どもが考え込んでいると、

「考える=わからない」と解釈してしまうのです。

 

子どもが問題に即答できないと、

(親御さんが)不安にかられてすぐに教えようとしたり、

その場でその時間内にできないことで(親御さんが)悩んだり、

子どもの能力にがっかりしたり、

問題のレベルに疑問を持ったりするのです。

 

わたしはたとえその時間内に解けなくても、

子どもが解答を知った時に、

「あ~そっか!」と表情を輝かせて納得しているようなら

その子が考えるのにちょうどいいレベルだと考えています。

 

でも親御さんによっては、子どもが1,2分、考え込むことが耐えられなくて

(ひとりだけ

できなくて困っているように見えるから)

その場で一生懸命わからせてしまおうとする方が多いです。

わからないという苦痛を味あわせると勉強嫌いになるんじゃないか、と心配する方もいます。

もちろん、何の手がかりもなく、答えを知っても意味がわかっていないような

問題を考えさせることは無意味です。

でも、目で確かめて、「ああっそうか」という感動があるレベルなら、

一度はわからなくて、しばらくして何度か考えてみるくらいの経験をした方が、できた時の

達成感はひとしおなのです。

 

わたしはたいてい、具体物を使って、目で確かめながら考えられるようにしてから、

いったん考える作業から解放しています。

そして別の視点からその問題を捉えることができるような

課題を出したり、物作りの場で気付きをうながすような質問をしたりしています。

 

そうしてしばらく時を経てから、もう一度、同じレベルの問いを出すと、たいていきちんとできるように

なっています。

 

わたしが気にかけているのは、

いつもわが子がその時間内に「できている」ことを期待している親御さんの子は、

「くり返し考える」のが非常に苦手になっている子が多い、ということです。

 

遊びのことでも、日常の疑問にしても、勉強内容にしても、

わかるまで自分の頭でくり返し考えてみるなんて、その子の辞書にないようなのです。

 

「どうしてかな?」「なぜかな?」という疑問を追い続けたり、

物事を分析したりする姿が、どこにも見られないのです。

こうした姿は3歳くらいの子でもとてもよく見られます。

何日もよく考えていて、自分なりの魅力的な解答にたどりつく子もよくいます。

 

たまには「わかりたいなぁ」という願望を抱いたまま、

わからないものをわからないままで、心の中に保っておくような体験が

必要なんじゃないかな、と感じています。

 

『天才脳の育て方』なんて大そうなタイトルの話題について

あれこれ書きながらも、それならわたしがそんなきちんとした子育てをしたのかと問われたら

いい加減なもので、上の子も下の子もかなり適当に大雑把に育てるうちに、

わたしの知恵がついたころにはすっかりふたりとも大きくなっていました。

もう一度、最初から子育てをやり直したいけど、そんなエネルギーもなし……教室に来る

かわいいおちびさんたちと遊んで満足しています。

 

それでも、林成之先生の5つのメソッド

「一気にやる力」「チームのため力」

「成功体験力」「くり返し考える力」「他人の脳に入る力」

は、そうした放りっぱなし子育てをやっていても、

いつの間にか5つともずいぶんしっかり身についているな……と感じます。

 

おそらく子どもってあんまり構いすぎないでいると、現実にぶつかりながら

そうした力に磨きをかけていく潜在力を持っているんでしょうね。

 

もちろん、わたしとダンナの子なんで、そそっかしいところとか、ワーキングメモリーがあまり強くない……とか

いろいろ欠点もありますから、

5つのメソッド通りの力があったら天才脳?とはとても思えませんが……

普通の子たちだけど、たくましい……

ので親のわたしは安心させてもらっています。

 特に「くり返し考える力」については、娘は人間関係や人生について、

息子は物作りや興味のある分野の学習について、この力をフルで使っているな、と思います。

答えがなかったり、わからなかったりしても、何度も何度も自分の力で

くり返し考え続ける力があると、

どんなに遠回りしても、自分にとって最適の夢へと続く道を見つけ出していくことができるんだろうな、

と感じています。

 

 


2歳児さんたちの見立て遊び 巧緻性を育む遊び

2013-01-22 14:58:56 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

2歳児さんたちと見立て遊びをする時は、

大好きなはさみを使ってチョキチョキしたものを使うと喜びます。

また、「見たてるためにそれを作る」という目的を持った行動にも結び付きます。

 

2歳4ヶ月の■くんが電車で遊んでいたので、「切符を作る?」とたずねると、

喜んでうなずきました。

はさみで小さな紙をたくさん切り抜きました。

そこで、ブロックで切符が出てくる機械を作ってあげると、とても喜んで遊んでいました。

 

2歳のこの時期に「他人の提案を受け入れて、何かに取り組んでみる」という

体験を少しずつしていくことは大事だな、と感じています。

お友だちのコップにジュースをジャージャー。

 

氷が出てくる機械にコップをセットしてガラガラと氷を入れて

それからジュースを注いだり、

冷蔵庫から牛乳を出すふりをしてからボウルに注ぎ、

卵を割りいれて、小麦粉を入れて、「ゴホンゴホン」と咳をする真似(粉が舞い上がったところを再現して)。

2歳前半くらいから、そんなひとつひとつの動作を楽しみながらするごっこを遊びを

とても楽しむようになってきます。

少し多動気味の子も、

本人が何度もやりたがるような面白い動作で見立て遊びをさせていると、

想像する力がついてくるにつれて、

落ち着いてお友だちと遊べるようになってきます。

たくさん笑顔とおしゃべりを引き出すようにします。

 

お片づけの時には、「お水を出すから、お皿を洗うわよ!」と呼ぶと、

うろうろしかかっていた子たちも

進んで片付けをしてくれました。

箱にしまいながら、ジャブジャブ。

お人形やブロックのお片づけでは、「滑り台でシューっとお家に帰るよ」

「お人形たちは寝る時間。夜が来たよ。夜が来たよ。

ブロックさんもおやすみなさい。ベッドさんもおやすみなさい」とていねいにひとつひとつを寝かせながらしまう真似をすると、

うろうろしていた子も片付けはじめます。

 

 

 


2歳児さんたちの頭脳パズル と ゲーム

2013-01-22 13:45:53 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

教室でゲームや頭脳パズルをこのんでやりたがるようになるのは、

3、4歳児さんたちが主ですが、

2歳頃から「なんちゃって○○」も含めて、そうしたものに親しむようになっていきます。

 

写真は2歳10カ月の★ちゃん。

課題の色の順になるように

色の玉を移動させて戻す問題にチャレンジ中。

横から覗いていた2歳11ヶ月の○ちゃんも、その後でチャレンジ。

○ちゃんは、こうした問題を解くのが好きなのか、初めてやったわりに、

うまい具合に玉を操作して元通りにすることができていました。

この頃、パズルにはまっているという★ちゃん。

Make´n Break もやってみたがりました。

タイマーを合わせて、カードの指示を見て、積み木を積みます。

2歳8ヶ月の◎ちゃんも興味しんしんです。

まだ形だけの「なんちゃって○○」の遊び方ではありますが、

2歳の後半にさしかかる子たちの「なんちゃって……」は、大まかな流れをそれらしく真似るのが上手で

面白いです。

磁石の棒に玉を付けて動かしていく迷路遊びをする2歳2ヶ月の☆ちゃんです。

 

この写真は別のグループの2歳2ヶ月の◆くんと、2歳4ヶ月の■くん。

「ニコニコ顔のカードの時はがまんして、プンプン顔のカードの時にベルを

鳴らします。」

絵をきちんと見分けたり、衝動を抑えたりするのが上手になります。

 

2歳児さんたちのゲームは、わざわざ購入しなくても

お家にあるものでいろいろ楽しめます。

 

たとえば、赤、青、黄色のブロックを置いて、

「赤!」と言えば、赤を取り、「黄色」と言えば、黄色を取るゲームなど。

それが易しくなると、「赤~じゃない色!」といった問題を出します。

算数タイムに小さなドーナツで数について学んでいる2歳児さんたち。

 


『天才脳の育て方』 林成之先生の5つのメソッド 3

2013-01-22 09:28:14 | 教育論 読者の方からのQ&A

林成之先生の『天才脳の育て方』 の5つのメソッドの続きです。

 

③成功体験力

 

「怖い」というのは「自己保存」の本能が働いているから。

「この前も失敗したし、今度もできないに決まっている」と思いこむのは、同じで

あることを好む「統一・一貫性」の本能も加勢しているからです。少しずつその本能を克服する工夫をしましょう。

簡単なことから少しずつ克服し、本人に「大丈夫かも」と思わせることが

大事です。成功すれば喜びが生まれ、A10神経が「好きのレッテル」を貼ります。

すると、自己報酬神経軍がさらに働き、今度は自分でトライする意欲が生まれます。

あなたも一緒に失敗を認め、励ませば、必ず成功のうれしさに転換できるでしょう。


この成功体験力という言葉について、大人が安易に「それなら子どもの苦手を見つけては、

簡単なレベルから「できた」という体験を積ませていって、できるようになった体験をたくさんさせればいいんだな、

と捉えていると、

上手くいかないような気がしています。

幼稚園や学校で、「みんなのようにできない」課題について、そうやって低いハードルから克服させて、

「好きだ」「自分にはできる」という気持ちを味あわせることは大事なのです。


でもそればっかりだと、鉄棒の次は跳び箱が気になる、

絵の出来不出来が気になる、

あいさつの仕方が気になる、習い事の進度や家庭での学習が気になる……と

親御さんの仕事が子どもの「できないところ」を見つけ出しては、それをできるようにするための

ゆるいステップを作って、成功させていくことになってしまうかもしれません。きりがないだけでなく、

そうして成功させればさせるほど、親にも子にも

何か違う……という思いが渦巻くようになるかもしれません。気づいた時には、

子どもが自主性や主体性を失って、「みんなのように一通りのことはできるけれど、

自分が何がしたいのかわからない子」になっているかもしれないからです。

 

 

わたしは、そうした親御さんの心配から生じた

「みんな同じ」か「みんなより上手」にさせるための成功体験力よりも、

「こんなことできたらいいな」「あんな風にしてみたい」「これが好きだからもっともっと上手くなりたい」

と本人の中から強い思いが生まれてきた時にこそ、

成功体験力を磨いていってあげたいと思っています。

また、個人的な能力を伸ばすだけではなく、

「自分が自分が」と自分の利になることばかり主張する子には、

他の子たちと協力しあって、相手の気持ちを理解しながら活動していくという体験や、

控えめすぎて、自分の意見を主張できない子には、

嫌な時は嫌、ときちんと言葉にしたり、自分の考えをしっかり表現する体験を

小さなものから成功させていく機会を作っていくようにしています。


『天才脳の育て方』 林成之先生の5つのメソッド 2

2013-01-21 20:41:59 | 教育論 読者の方からのQ&A

 

 『天才脳の育て方』 5つのメソッドの続きです。


②チームのため力


「違いを認めて共に生きる」のは人間の本能。そして、コミュニケーションの原点です。

人を好きになる、指導者を尊敬する、物事に感動する……。

そうしたとき、脳の機能は高まります。

一緒に物事を成し遂げ、自分の損得抜きで、人のために力を出そうとすれば、脳の

本能は強力にサポートするのです。

対して、「他人を蹴落として自分を守る」という考えが生まれるのは、発達段階で愛情が不足したために

「自己保存の本能」が過剰に働くためです。小さいときから、人の良いところをみつけて感心したり、自他を忘れて

一緒にことを為す喜びを体験させてください。


今の時代、「違いを認めて共に生きる」場面を被害的に受け取る風潮が強いな……と思います。

自分の子よりできない子や幼い子が学ぶ場にいると、

進度が遅れるんじゃないか、自分の子の時間が減るんじゃないかと気を揉む方は多いです。

わが子が自分より幼い子の手助けをすることが多いと、損をしている気になる方もいます。

一方で自分の子よりできる子が身近にいると、わが子が自信を失って、

やる気がなくなるんじゃないかと心配する方もいます。

 

実際には、いろいろな年齢のいろいろな能力のいろいろな個性の子がいっしょにいるからこそ、

自分の心が動く場面があってさまざまなモチベーションが生まれてくるものです。

いろいろな子と過ごすことで、「いつもみんなと同じようにできなくてはいけない」という縛りが解けて、

学ぶ内容そのものに強い興味を覚えるようになる子もいます。

ちょっとした挫折に強くなったり、内省するようになったりもします。

 

個人的な子どもの能力アップにばかり努めていても、他よりも優れていよう、と励む気持ちだけで、

いつまでも突き進んでいくのは難しい気がします。

自分の損得勘定抜きで全力投球できる力が育っていたら、

どんな場面に遭遇しても、その時期のベストを尽くせるのではないでしょうか?

 

 

 

グループレッスンでは、それぞれの子の「こんなことしたい」や個性を大事にしながらも、

それぞれの考えや気持ちや「好き」の内容にお互いが興味を抱きあって、

いっしょに活動していくことで、相手の長所に気づいたり、助け合う気持ちよさを味わったり

するように配慮しています。

まだ幼い幼児の子たちにも

ひとりの子がトラブルに遭遇するたび、それが協力して問題を解決する体験となるように

導いています。

子どもは素直で純粋な心を持っていますから、

お友だちのために本気で頭と力を注ごうとするし、

そうした体験をすると、心から喜んで困っている子の手助けをするようになっていきます。

子どもたちのそうした姿を見るにつけ、大人ではなかなかこうはなれないな~と思います。

 

林成之先生は脳が目覚めるポイントとして、こんなこともおっしゃっています。

 

「好意」「尊敬」「感動」が120%の力を引き出します。


「好意」「尊敬」「感動」といえば、昨日こんなことがありました。

京都の工作のワークショップの帰りの電車で、ワークショップに参加してくれていた

年長さんの男の子といっしょになりました。

その時、その子のお母さんから、

少し前にブロック講座に参加してお友だちといっしょに

お城のなわばり図を作ったことがよほど心に響いたのか、それ以来、なわばり図にとても興味を抱いている

ようだ、というお話をうかがいました。

それで姫路城に連れて行ったところ、そこで城の案内の方が大人向けに解説をしているのも

ひとことも聞き洩らすまいという表情で聞いていたそうです。

すると、それを聞いていたその子が、「なおみ先生、なわばり図のところに扉がふたつあってね、

一つのとびらだけ通って、どんどん進んでいくと、ずうっとお城に着かないんだって」

と心底その話に感動している様子で話しました。

本当にしっかり聞いていたんですね。

そういえば、なわばり図を作りながら、城を作った昔の人々の工夫について話していた時、

その子の瞳がその時代の人々の知恵への尊敬でキラキラ輝いていたのを

思い出しました。

 ブロック講座で、その子は最初何を作るか決めかねて、困った表情をしていたのです。

でもお友だちといっしょに図鑑のなわばり図を眺めるうちに、「いっしょに作ろう」と意気投合して

作ることにしていました。

ワクワクしながら協力して作りあげるうちに、

昔の人の暮らしやお城の構造などに強い興味が湧いてきたようなのです。

ひとりで作るのではなく、お友だちとおしゃべりしながら、

他の子の個性に触れながら活動していると、作る作業の中からも

知的な関心事も生じるようです。

 

その時のことを思いめぐらすうちに、今回の工作のワークショップで習ったことを

お家でもっと膨らまそうというアイデアがひらめいたようで、

遠慮がちに、「もう少し、太いストローをもらって帰ってもいいですか?」とお願いされました。

今回のワークショップでは太いストローを使って、エレベーターやアトラクション作りを楽しんだのです。

帰りの電車の中でも、他の子の作品を見た時の感動が蘇って、

自分もそんなものを作ってみようか、もっと面白いものを作ろうか、

という思いをめぐらしていたのかもしれません。

 

 

 

 次回に続きます。


『天才脳の育て方』 林成之先生の5つのメソッド 1

2013-01-20 08:59:54 | 教育論 読者の方からのQ&A

スーパの書棚で久しぶりに雑誌を購入。

PHPのびのび子育て の3月増刊号で、

「男の子」の伸ばし方 というタイトルの雑誌です。男の子の……とあるのですが、

内容をチェックして購入を決めたきっかけは、

教室の親御さんたちの女の子たちへの接し方が、

「女親」×「女の子」で、ちょっと偏りすぎてしまうところがあるなぁ……

この本の『天才脳の育て方』 という林成之先生のメソッドは、大事だなぁ……

と感じたからです。

 

女の子の「自己保存本能」が過剰に働く時、お母さんにそれが感染して、

さらに子どもの偏った思考の習慣を強化してしまうことが、

「女親」×「女の子」の組み合わせではよく起こっているのを見かけるのです。

 

それでは、林成之先生の5つのメソッド(青文字)(雑誌の内容を短く要約しています。

くわしく読みたい方は、ぜひ書店で購入してくださいね)と、そのひとつひとつについて、

わたしが日ごろ子どもと接しながら感じていること(黒文字)を紹介しますね。

 

    『天才脳の育て方』 5つのメソッド


①一気にやる力

「期限付きの全力投球」をすると、緊急時のように、最善の方法を最短で探るために

脳がすばらしく機能する。

「自己報酬神経群」は、「自分がやろうと考えた課題を成し遂げること」によって機能します。

自主性や主体性を持ったときに、脳の思考力や記憶力は高まるのです。「一気に全力投球」は、

損得勘定やリスクを考えていてはできません。

お子さんが「やりたい」と取り組んでいることは、制限したり、他の子と比べずにとことんやらせてください。


虹色教室ではいつも最初の1時間~1時間半は、子どもの「こんなことをしてみたい」「こういう物をつくりたい」に

とことん付き合うようにしています。

 物作りでしたら、ゼロから作りはじめて、できるだけその時間内に完成にこぎつけるように

全力をつくすよう環境を整えています。

途中でうまくいかないことや、お友だちとのトラブル、

「これは無理!」と感じる瞬間にぶつかったら、

その都度、素早く決断を下し、改善策を練って実行に移すように導いています。


林成之先生の脳が目覚めるポイントとして、次のようにおっしゃっています。


脳は「コツコツ地道に」よりも「最善・最短」を求めています。

制限、比較はNG! 全力投球を見守ろう!


教室の素直で従順で温和な性質の女の子たちの中には、

親御さんや先生の言うことをよく聞くためか、「コツコツ地道に」が得意という子が多いです。

 

それ自体はすばらしいことなのですが、それが過剰に働いて、

おまけに「女親」×「女の子」の組み合わせで

それ以外の価値がないかのような生活をしていると、

「最善・最短」を求めて頭を使うような場面を極端に嫌うようになっている子たちがいます。

 

そうした子たちというのは、普段から自分の要求とか願望というものも

他の人の教えてもらってその通りしただけで叶うレベルから出ようとしないために、

その子の思いを引き出してチャレンジさせることを続けていても、

いっこうにリミットをはずすような場面にぶつからず、かわいいもの美しいものを選ぶだけの作業に

終始してしまうことがあるのです。

 

そんな時は、「こんなことをやり遂げたい」という目標を持っている他の子や年下の子の

願望達成のプロジェクトにいっしょに参加させて、

うまくいかない事態を全身全霊をかけて乗り越えていく体験を味わう機会を

設けるように工夫しています。

 

そうした機会を設けると、いつも予定調和の世界で安心していたい子は、

最初のうちぶつぶつ文句を言っていることがあります。

その文句を聞いていると、その子をがんばれなくしている思考の悪い癖がその言葉の中に潜んでいることがよくあります。

たとえば、「できあがっても自分のものではないから損」といった

損得勘定に引きずられて、自分の得にならないことに力を注ぐことへの抵抗です。

「こうなったらどうしよう」「どうせできたって~だもん」といったリスクへの恐れもその一つです。

 

そういう考え方の癖を、一生懸命全力投球してみることで吹き飛ばすと、

勉強の面でその子が抱えていた問題もいっしょに解決していくことはよくあるのです。

 

そうしたタイプの子が勉強ができなくなる原因は

本当にわからないのではなく、「考える」という苦しみを避けて、できるだけ楽をして学びたい、

できれば書写のようなものか、知っていることに答える学習だけしていたい、という思考の癖や、

「間違うかもしれない」リスクが怖いから最初から解くことを放棄してしまいたい、という思考の癖であることが

ほとんどだからです。

 

困ったことになるのは、女同士で気持ちや考えが感染しやすいためか、

女の子がネガティブな思考に囚われだすと、

お母さんにもそれが感染して、

その思考を乗り越える術を教えるのではなくて、

その思考にいっしょに呑みこまれて、その思考の思うがままにまかせて物事を解決しようと

してしまうこともあることです。

 

子ども思いの優しいお母さんにありがちな盲点です。

 

女同士の場合、子どもが挫折感を味わっている時に、共感しながらも、

その子の気持ちと同調しすぎずに、

親がまずメタな視点でその状況を眺めるようにして、子どもがそうした新しい視野を得やすいように

してあげる必要があるのかもしれません。

 

 

 

 

 

 




 


お姉さん方、大活躍 ♪

2013-01-19 19:36:45 | レゴ デュプロ ブロック

今日は小2の女の子たち5人のレッスン日。

いつもは工作に夢中のこの子たちですが、

いっしょに来ていた幼稚園児の弟くんが、

ブログで地上と地下鉄のレールをつないでいる作品に衝撃を受けて、そんなのを作ってみたいと強く願っている

というお話をお聞きしたもので、

今回の自由時間に弟さんや妹さんたちにも参加してもらって、

即席ブロック講座にすることにしました。

 

お姉ちゃんとお友だちがせっせと駅やレール作りを手伝ってくれたので

思った通りの電車ワールドが出来上がって

うれしくてたまらない●くん。

大はしゃぎです。

はしゃぎすぎて、2度ほど高架が崩れてしまいましたが、すぐに修復されました。

 

こちらでもお姉さん方が大活躍。

動物園に出掛けるツアー用の車を作った子がお友だちの妹ちゃんを誘って

ツアーに連れて行ってくれていました。

ついでにこの車のセットもプレゼントしていたので、

妹の◎ちゃんは大喜びで車のコレクションを始めていました。

 

算数タイムの一コマ。

 


「どうして、こんなにすごいのが作れちゃったんだろう?」

2013-01-19 16:00:25 | レゴ デュプロ ブロック

年少さんの★くんと☆くんのレッスンです。

いろいろな素敵なアイデアを次々思いつく、物作りが大好きな★くん。

とはいえ、これまではコツコツ根気よくやり遂げることが苦手で、

「パパッと貼って、命名するだけ」とか、ブロックなら、数個組み合わせて、「これは、○だよ」と言いながら

遊ぶだけ……ということが多々ありました。

 

それが4歳となってから少しずつ根気がついてきて、今回は

モノレールのレールに危険防止の柵をブロックで巡らせる作業を黙々としていました。

教室の端から端まで柵を付けた後で、おもむろに立ちあがると、

しみじみと自分の作り上げた作品を眺めながら、

「どうして、こんなにすごいのが作れちゃったんだろう?」とつぶやきました。

★くん、戦隊物が大好きな子ですから、

「変身してパワーアップしたからじゃない?」とわたしがたずねると、

ちょっとむずかしい顔をして首をかしげると、

「がんばったからとちゃう?」と大阪弁で返してきました。

 

確かに……正しい!適当なことを言って失礼しました。★くん、本当によくがんばりましたよね。

 

☆くんはストローコースター作りに夢中。

太いストローの中を小さな玉が走ります。

 

☆くんはついこの間、年上の子や年下の子といっしょに

ブロック講座に参加しました。その時、みんなで協力しあってブロック製作をした体験がよほど

心に残ったらしく、

わたしが★くんに向かって、「よくがんばったね。そんな長ーいレールを作るなんて、大変よね。すごいすごい!」と

言っていると、

☆くんが横から、「大変じゃないよ。お友だちがいたら、手伝ってもらったらいいんだよ。

お友だちといっしょにやったら、そんなに長いのも、すぐできちゃうんだよ」

と言いました。

 

そう言えば、この日、☆くんのこんな姿がありました。

 

☆くんは几帳面で完璧主義なところがある何でも自分ひとりでコツコツがんばることが

好きな子です。それは素敵な長所ではあるのですが、

お友だちに自分の作品に触れられることを嫌がったり、自己完結して遊びの幅が広がらないところがありました。

 

これまでは自分の作品作りをしている時は、他の子にことは気にもとめなかったのですが、

今回のレッスンではストローでコースターを作っている間もお友だちの作品を見て、

「ぼくのストローと、★くんのストローを、もう一本のストローでひっつけて、滑り台にしたらいいんじゃない?」

と言いました。

そうして作った作品がこちらです。

 

またこんなこともありました。

☆くんがブロックのモノレールを走らせていたら、★くんが自分の作ったモノレールで追いかけてきて、

「連結したら?連結したらいいんだ」と言いました。

(写真は連結後のモノレールです)

いつもなら、☆くんが困った顔をするシーンです。

☆くんは色や形の整った見栄えのいい作品作りに凝るのですが、

★くんが「連結しよう」と言うモノレールはアイデア重視の何だか平べったいモノレールとは呼びがたいもの

だったからです。

すると、☆くんは、「そうだ!いいことがあるよ」と言ったかと思うと、ブロックを取ってきて、

★くんのモノレールと自分のモノレールを上からとめました。

それから、ふたりで満足そうにニコニコ笑いあっていました。