虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『にじいろせいか』のはむちょこ と 答えが小数になる単位の変換

2016-10-17 07:49:58 | 算数

「1mは何㎝?」の問いには、すぐに答えることができても、「1㎝は何m?」という問いに混乱してしまう子は結構います。

 

「1㎝が100集まって、100cmになると、1mと同じ」ということは理解できても、1cmを1mの単位で表すとどうなるのか」はピンとこないという子は多いです。

 

そこで教室で100こ入りのお菓子のパックを作って、このややこしい単位の変換について学ぶことにしました。(虹色工場のお仕事です)

 

100ぴきハムちょこ=1パックです。

それなら、1ぴきのハムちょこは、1パック分からすると、

どういう風に表せばいいのでしょう?

■パックの■にあてはまるのは何でしょう?

 

袋入りお菓子のように身近なものを利用すると、1ぴきのハムちょこは0.01パックにあたること、

つまり100分の1パックであることが理解しやすいです。


暗算って必要? 学校では教えない計算法も算数を学ぶ上で大事 2

2016-10-16 19:47:01 | 算数

ゲームで数を扱う時、計算方法等を教え過ぎないようにすることが、最終目的への最短距離を直観的に判断する力をつけるために大切です。

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 前回の記事で、「学習につまずきだした理由が、暗算ができないことにある」というケースについて取りあげました。

こう書くと、「計算が遅いのがつまずきの原因かな?」「計算訓練をしっかりさせるといいのかな?」

と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

確かにそれも一理あります。

でも今回取りあげている「暗算が全くできない」ことからくる算数のつまずきは、塾をしている方などからよく耳にする

「子どもが計算練習し過ぎて高速計算マシーンのようになって、考える力が極端に弱くなっているケース」と真逆のようで、非常によく似た状態から起こっているトラブルでもあるのです。

ですからこの問題を、計算速度の問題として軽く片付けずに、一度よく考えを整理して、背後にあるもやもやしたものをあぶりだしておく必要があるのかもしれません。

「暗算が全くできない」のにしても「高速計算をし過ぎて、思考力が鈍る」のにしても、どちらも細部に気を取られて、全体を把握して問われている本質的なものを見抜くことや、

メタな視点から見通しを立てることや、何が重要で何が重要じゃないのか判断することを無視してしまうことに問題があるように感じています。

次回に続きます。

 


4歳になったばかりの子の工作 と 算数

2016-10-16 09:00:41 | 工作 ワークショップ

4歳になったばかりのAちゃんとBちゃんのレッスンで。

「今日は何が作りたい?」とたずねると、「馬車」というAちゃんの答え。

予想しない答えにちょっとびっくりしたものの、そういえば馬好きの子が多いので、先日、100円ショップで馬の形のおにぎり型を買ってきたことを思いだしました。

馬を描くのは難しいので、どうしても、「かいて!」となりがちなのです。

型があれば自分でなぞって作れますから。

 

馬の型を見て、最初は「難しいからできない」と言っていたAちゃんですが、少しなぞりだすと、「もうひとつ馬つくる!」「もうひとつ馬作りたい」といくつも馬を作っていました。

型で作った馬は背中をテープでとめると、ちゃんと立ちます。

馬のたずなは、お尻の部分に貼っていました。

 

馬車ははさみを使いだした子の定番、「紙コップのタコさん」の切り方の変形です。

はさみを扱うのが上手なBちゃんは、ひとりでどんどん作っていました。

「紙コップのタコさん」は、こればかり何十個も作り続ける子がいるくらい幼い子たちにとってわかりやすく魅力のある工作です。

これにゴムをつけてくるくるまわるおもちゃを作ったり、お花を作ったり、かさを作ったりします。

豆腐のパックに貼ると馬車ができました。

貼るのは少し難しいようだったので手伝いました。

 

 

髪ゴムでひき算の学習。

どらえもんの日本一周ゲームも3歳児さん向けのルールで楽しみました。

 

絵本の世界の地図を見ながら、おしゃべりしています。


暗算って必要? 学校では教えない計算法も算数を学ぶ上で大事

2016-10-16 07:18:13 | 算数

知力には問題がないしっかりさん。

それなのに「学校で習う小学2、3年生の算数につまずきが出始めています」という相談をいただくことがあります。

 

すると学習につまずきだした理由が、暗算ができないことにあるケースがけっこうあります。

これまで暗算をしたことがなく、明らかに暗算でした方がいい場面でも学校で習う計算方法通りの手順を踏んで、

「10借りてきて、残っている数と足して~」

と言葉を使って解いていこうしているのです。

 

暗算といっても、そろばん教室に通って訓練するような特別なものではありません。

 

10+10+20=

とか

100-1=

100+3=

 

といったほとんどの人が無意識のうちに自動的に暗算で解いているような問題です。

それを学校で習った解き方で解くか、暗算で解くことができるかで、算数の力がずいぶん違ってくるのです。

 

計算速度だけの問題ではなくて、

「問われていることの全体像をざっくり捉えて、何をどのようにして解いていけばいいのか自分の中で割り振りして決めていく」といったことも苦手になっていくケースがよくあるのです。

 

たとえば、

100-1=

と問われた時に、いちいち「100の位から10借りてきて、そうしたら90と10になるから、その10から1を引いたら9になるから、

その9とさっきの90を足して、99」というまどろっこしい計算手順を踏んで、何分間も時間をかけて解いていく子がいるのです。

 

もちろん間違いではないし、学校でもそのように習っているのです。

 

そのように言葉を多用して国語の問題を解くように、算数の問題を解いているうちに、自分で使っている言葉を記憶しておくので頭がいっぱいいっぱいになってしまう子がいるのです。

 

次回に続きます。


年中さんたちの算数レッスン と 数の指遊び

2016-10-15 09:19:46 | 算数

年中さんたちのグループレッスンです。

 

「10+10+3+4+4=」

と言いながらチップを置いていって瞬時に数を当てる遊びをしています。

計算が大好きで、ポケモンゲームの得点計算にはまっている●くんは、問題を出すと同時に答えを出していました。

ほぼ全問正解です。

女の子たちも、数えていくのではなく、数を塊として捉えて答えを出せていました。

 

↑のチップも、一瞬で答えを当てます。

 

赤いチップ1枚と、青いチップ2枚が交換できます。

 

「赤いチップ2枚の時、青いチップ何枚と交換する?」

「赤いチップ3枚の時、青いチップ何枚と交換する?」

といった問題を考え中。

 

今日、はじめていっしょに参加していた2歳の弟くんも

2の指を作って、お姉ちゃんの問題のお手伝い。

 

たいていの幼児は数の世界が大好きです。

無理な訓練をしなくても、計算でも文章題でもたちまちスラスラ解くようになっていきます。

 

そのように幼児が算数の問題をスラスラ解けるようになるよう導くためには、いくつかのコツがあります。

 

まず一番大切だと思う点は、小学校に就学していない子にはできるだけ「間違ってるよ」と言ったり、答えに「バツ」をつけたりしないことです。

勉強以外でも、(スポーツや芸術活動など)「成績」「評価」「点数」といったものにあまり触れさせないことが、幼児の持っている驚異的な力を発揮させる上で重要だと感じています。

なぜかというと、「自分の言うことが間違ってないだろうか」というためらいのない子たちは、母国語を覚えるのと同じように、算数の世界のルールも驚異的なスピードでマスターしていくからです。

あまり小さいうちに、「問いにはひとつの答えがある」「問題には、正しい答えと間違いがある」と思い込んだ子は、自分では考えずに「大人が正しい答えを言うのを聞いて、「暗記すればいい」という態度を身につけがちです。

でも、評価にさらさず、子どもがさまざまなアイデアを口にし、思いついたことを自由に口にするのを奨励していると、子どもは1つのものを見るだけで、何十もの自分なりの考えを口にします。

そんな時、たくさん間違えるのがいいです。

子どもが間違ったことを言っているときは、「○○ちゃんは、そう思うのね」と言って聞き流すか、場合によって、それが間違っていることが目で見てわかるような体験を用意してあげるといいと思います。

でもあくまでも恥をかかせずに、

「あれ?こうだと思ったのにどうしでだろう?」と間違えたことでかえって好奇心が刺激されて、知りたいという気持ちが高まるように気をつけます。

まだ理解にいたる時期ではない子もいるので、本人が正しさを求めない限り、そっとしておくといいと思っています。

 

自分の考えと現実のつじつまが合わなくなった時、子どもは長い試行錯誤の上で、深い理解に達します。

 

数遊びが、自由自在に計算し、算数の文章題を解く力に発展するようにするには、学習時間と遊び時間のバランスが大事です。

幼児の場合、自由な遊びが9に対して、見本を見せたり、問いかけたりするの時間は1より少ないくらいがいいと思います。

 

間違えても教え込もうとせず、ただ正しい答えを示して、それでも聞こうとしなければそっとしておきます。

 

ごっこ遊びの世界に少しずつ数の世界を取り入れて楽しむことも大事です。

レジ、コイン、値段が書いてあるメニュー表、10個の卵が入る容器、同じ種類の食べ物など数を意識できる小道具を子どもの要望に合わせて増やしていきます。

 

その時、教えようとして子どもの学ぶ順序を壊さないように注意します。

たとえば、子どもははじめのうちは物とお金をやり取りするにしても計算しようとしません。ただ交換します。

そういう時期には、ただ交換することを楽しむことが大切です。

「交換する」という操作の基礎が身につきます。

欲張って、お金の計算をさせようとすると、算数の苦手な子を作ってしまいます。

 

3と1、5と1ではなく、

「いっぱいと1」「たくさんと1」と認識している時期には、そうした感性を大事にしてあげます。

子どもの発達の順序を大人の都合でねじまげないようにして、ただ楽しく数と触れる体験を増やすのです。

 

幼児はもともと数の世界が大好きです。

算数とすぐに仲良くなっていきます。

 

算数に親しむもうひとつのコツは、指が10本であることを利用する遊びをいろいろすることです。

 

<指が10本であることを意識する遊び>

◆パッと手を見て指の数を当てる

①1~5まで

② 6~10まで

(5と1で6、5と2で7……など)わかるように

 

◆合わせていくつじゃんけん

①じゃんけん5

「あわせて5にするじゃんけんするよ。じゃんけん2、あといくつで5?」と言って2を出します。

相手の子は3を出します。

同様にさまざまな数で合わせて5になるように手を出しあいます

 

②じゃんけん10

上と同じ方法で合わせて10になるように手を出し合います

 

◆数の指作れるかな?

①10までの数を言って指を作ります

②お友だちに10の指を出しておいてもらって、11~20までを作ります

 

◆いくつか当てて

子どもに指で数を作って後ろ手に隠すように言います。

「3?5?」などとたずねて、「もっと大きい」「もっと小さい」などのヒントをもらって当てます。

 

◆ごっこ遊びのお買いもので、買い物をするときに指を出して確認するようにします

 

◆ひき算

「今からひき算をしますよ」と言って、5の指を作らせて、

「キティーちゃんのマシュマロ(子どもの好きな食べ物なら何でもOK)が1,2,3,4,5あるよ」

と言いながら1本ずつ指に触れていきます。

「2個食べるよ。パクパク」と言いながら食べるふりをして、2本指を折らせ、「3残ったね。5-2=3」と教えます。


福引ガラガラを作ったよ♪ 3歳児さんの工作

2016-10-15 08:34:35 | 工作 ワークショップ

雑誌の付録の福引ガラガラが気に入った3歳半のAくん。

「お家に持って帰りたい」と抱えこんでいました。

そこでいっしょに簡単な福引ガラガラのおもちゃを作ることにしました。

 

丸いチーズの空き箱に玉が出てくる穴をあけ(切り込みを入れると簡単にできます)、真ん中にストローを通して貼るとできあがり。

回しすぎるとストローのじゃばらが緩んでくるので、モールを通して補強しました。

 

「妖怪ウォッチがついていない」と口をふくらませるAくん。

雑誌の切り抜きを自分で貼りおえると、ちょっと顔がほころんで、「でも、ここがないよ。シューッてすべるとこ」と、付録のガラガラとの違いを指摘していました。

そこでブロックですべる部分もつけました。

 

いいガラガラができました。

教室にあった小さい木片を入れてガラガラ回すと、うまい具合にでてきます。

ガラガラを回しながら、「いくつでてくるかな?」と予測したり、「あたりかな?」と期待したりしています。

あたりの木片は、Aくんが色えんぴつで塗りました。


子どもとの関わりのあり方はボードゲームやカードゲームの展開と似ている 2

2016-10-14 14:48:27 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

前回の記事で、非常に困った態度を身につけてしまった子の親御さんによくある間違った対応について、ゲームの話にたとえてこんなことを書きました。

① 子ども同様、その子自身が今手のなかに持っているカードは何かな?と見ることを知らない。

② どれがよりよいカードなのかわからない。

③ ひとつだけの答えカードへの決めつけをしてしまう。

 ④ 子どもの手中にないよその子が持っているカードを出すように子どもをプッシュする。

⑤ 今出せるもののなかでよりよいものが出ていても気づかない。

⑥ ひとつだけの正しさへの決めつけのせいで状況が読めなくなっている。

 

これについて、もう少し具体的に説明をすることにしますね。

「集団行動が取れない」とか、「わがままがすぎる」とか、「物分かりが悪い」とか、「勉強を嫌がる」といった子どものことで気になることがあるとき、親御さんがとりがちなまちがった対応のひとつに、

「① 子ども同様、その子自身が今 手のなかに持っているカードは何かな? と見ることを知らない。」

というものがあります。

 

ゲームでは、配られたカードのなかで勝負していくルールがあります。

他の人がいい手をだしているのを見て、「自分もそのカードを出したいな」と思っても、そのカードを持っていなければ出すことができません。

子どもにしても、同じ月齢の子同士でも、持って生まれた能力も環境も発達の順序もそれまで積み上げてきたことも異なるのですから、「この状況で、今、自分ができること」という手中のカードはそれぞれちがいます。

持っているカードが異なるのに、今その子がどんなカードを持っているのかを知ろうとしなければ、

 ⑤ 今出せるもののなかでよりよいものが出ていても気づかない。

という状況、つまり、子どもは今できることのなかで最善の方法をとっているのに、見過ごしたり、邪魔したりして、また元の困った態度に戻らせてしまうということが起こりがちです。

たとえば、こんなことがあります。

「新しいことをするが不安で、他の子らとする活動時間になると、ふらふらと立ち歩いていて、呼んでも聞こえないふりをする」という態度をいつも取っていた子が、

急に、「やりたい!ぼくもやりたい!がんばる!」と調子がよすぎるほどの意欲をみせるときがあります。

大人に褒めてもらったり、周囲に認められたりすることに無関心な子が、ちょっとしたきっかけで、「いっぱいいっぱい褒められたい」「認めてほしい、注目されたい、自分自身を肯定的にとらえたい」という気持ちを抱くときがあるのです。

心がちょっとずつ成長しているのです。

 

でも数日前まで、ふらふら立ち歩いていて呼んでもしらんぷりだった子が、「やりたい!ぼくも(わたしも)やりたい!がんばる!」と意欲いっぱいに宣言する場合、

たいがい、数分もしない間に「もう終わりにしていい?」たずねてくるのがオチだったりします。

また、懸命にやっているようでも、たびたび深いため息をついて、「もう終わっていいよ」と助け舟を出してもらうのを待っていたりするのです。

 

そうした態度は、それだけ見ていると感心できるものではありませんが、新しいことをするのが不安で、活動から逃げることしか頭になかった子にすると、より良い手でもあるはずです。

まずそうした「前よりちゃんとしているのか、ちゃんとしていないのかわからないけど、こちらのいい反応ばかり期待しているな」という過渡期を経て、少しずつ力をためて、

本当に褒められたり、認められたりするような態度を身に着けていくのです。

 

でも親御さんのなかには、呼んでも聞こえなかいようにみえた時期より以上に、「やりたい!」と言って、すぐにやめたがる態度に対して、

「自分でやるって言ったでしょ!」と責めたり、「すぐに飽きて放り出してしまう」と心配したりする方がいらっしゃいます。

すると、子どもは、すぐに元の無関心さへ戻ってしまいます。

わたしが子どもと接するときは、こうした『過渡期』と思われる時期をとても大事にしています。

 

次回に続きます。

 

 

 


子どもとの関わりのあり方はボードゲームやカードゲームの展開と似ている 1

2016-10-13 06:35:18 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

お父さんやお母さんに悪態をつきまくる子の心 6

の続きではあるのですが、ちょっと間があいたので、別のタイトルで書かせていただくことにします。

 

虹色教室はひとりひとりの子の好みやニーズに沿った環境を大切にしているので、家庭や集団の場では無気力だったり能力を十分に発揮できなかったりする子も、

こちらでは物事に全力投球で取り組む姿がよく見られます。

でも、子どものなかには、持って生まれた特性と、それまでの環境や親子関係でこじらせてしまったものが原因で、リンク先の記事にあるような、

周囲を困惑させる態度や言動が習慣化した状態で教室にくる子もいます。

そういうケースで、子どもが困った習慣を手放し、潜在的に眠っていたその子の魅力的な面を存分に発揮するようになっていく過程は、

妙なたとえですが、教室で子どもたちとよくしているボードゲームやカードゲームの展開によく似ているな、と感じています。

 

ボードゲームやカードゲームで使う知恵は、非常にこじれてしまった子どもとの関係を良い方向に持っていくのに役立つことがあります。

たとえば、先に書いたように、大騒ぎしたり、周囲を攻撃したり、心ここにあらずとなったり、ふらふらと立ち歩いたりして、勉強などの苦手な場面を避ける習慣が身についている子というのは、

ゲームでいうと、自分が手に持っているカードのなかから、それを出すのが自分にとって有利かどうか、ゲームの状況にあっているかどうかにかかわらず、

こだわりとなっている1枚のカードばかり出し続けているようなものです。

 

なぜそんなことをするのかというと、自分の持っている他のカードを見て、「何を出そうかな」と選ぶ行為に慣れないのかもしれないし、どれがよりいいカードなのかわからないのかもしれません。

自分がいいと思っているカードが手中にない限り、全部悪いカードと決めつけているのかもしれません。

 

非常に困った態度を身につけてしまった子の親御さんも、子ども同様、その子自身が今手のなかに持っているカードは何かな?と見ることを知らなかったり、

どれがよりよいカードなのかわからなかったり、ひとつだけの答えカードへの決めつけをしてしまったりするのをよく見かけます。

子どもの手中にないよその子が持っているカードを出すように子どもをプッシュしたり、今出せるもののなかでよりよいものが出ていても気づかなかったり、

ひとつだけの正しさへの決めつけのせいで状況が読めなくなっていたりするのです。


女の子の忍者屋敷作り

2016-10-12 07:24:41 | 工作 ワークショップ

物作りが好きでたまらない小1のAちゃん。

今回、何がしたいのかたずねると、「忍者屋敷が作りたい」とのことでした。

Aちゃんには、屋敷の家部分にあたる基本の形の作り方を学んでもらいました。

100円ショップのスパンコールで簡単工作

の舞台に似た作り方ですが、今回は同じ高さの形を量産するため、紙の折り方を工夫しました。

 

Aちゃんは工作慣れした子なので、基本の作り方をどんどん発展させて自分なりの世界を広げていました。

 

形を作り出す折り方に強い関心を寄せて、「同じサイズの長方形2枚を重ねて、3対1くらいの比率で折ってから、一方をひっくり返して貼りあわせると長方形の筒の形になること」や、

同じサイズの左右対称な台形4枚を貼り合わせるとお城の石垣の形になること」などに心から感動していました。

 

 

(↑写真の右上に小さく映っているのが、長方形2枚をひっくり返したときの様子です)

 

感動したときのAちゃんの口癖は、

「すごい!すごい!家に帰ってから、もう一回全部自分でやってみたい。もう一回、最初から全部自分で作りなおしてみたい」です。

 

Aちゃんの畳はタイル風でした。

 

スパンコールのカギと星で忍者の武器ができました。

 

算数が得意なAちゃんは、最レベ1年生の問題は、最後の算術特訓の問題以外は、最高レベルのものもすべて簡単だったという話でした。

でも、算術特訓にあった集合の問題では混乱しているようでした。

そこで、「16人子どもがいる」という前提を頭に入れたうえで、えんぴつをもらった14人の子を白丸でかきだし、えんぴつもけしごむも両方もらった10人の子を黒丸でかきだしでから、

「14+10=24 子どもは全部で24人であっているかな?」とたずねました。

「それはおかしい!だって、子どもは全部で16人」

「そうよね。ねこが好きな人?ってたずねて、Aちゃんが手をあげて、犬が好きな人?ってたずねてもAちゃんが手をあげたら、

1,2、2人だなってカウントすると変よね」

そんな話をしながら、どんな風にこの問題を整理したら正しい答えが出るのか、いろいろ試してみながら話しあいました。

Aちゃんは集合の問題に興味がわいたようです。しっかり理解して解いていました。

 

「三角形の3つの角を切り取ってあわせると180度になる」ことを利用した手品を披露して遊んでいたら、Aちゃんが四角形で試したがりました。

Aちゃんの予測は、「丸になる(360度のことのようです)」そうです。

正解。

わたしが「、四角形の4つの角をたすと、360度になるのよ。」と話すと、Aちゃんは傍らにあった電卓に何かを打ち込んでから、

「やっぱり、360度になった!」とうれしそうな声をあげました。

「360度というのは、三角形の3つの角の合計の180度を2回たしたものじゃないか」と思ったそうなのです。

 

確かに折り紙で見ると、半分までの円にあたる形が180度、丸いかたちが360度だというなら、それを二つ足すと360度になるんじゃないか」と予測するのもわかります。

Aちゃんは物作りを通して、実際目にしているものを使って、さまざまな視点から物を考える習慣が身についている子です。

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『虹色オンライン教室

学ぶことが好きになる工作教室』のサンプルページへの飛び方がわからないという

声をいただいています。こちらにリンクを貼っておきます。

http://nijiiro.lekumo.biz/kousakusample/


いろいろなものがリンクしあっている世界を味わう

2016-10-11 09:52:52 | 理科 科学クラブ

子ども向けの科学絵本に松ぼっくりを水につけると、松ぼっくりの形が変化する話題が載っていました。

雨から種を守ろうとする自然の知恵なのだそうです。

 

教室には1年前にいただいた 「だいおう松」の巨大な松ぼっくりがあります。

科学絵本を見ながら、「これを水につけたらどうなるかな?これも絵本の松ぼっくりみたいに変わるのかな?」と問うと、「ムリムリ!だって、これ死んでるもん」と子どもたち。

確かに1年も棚の上に放置されていたものですから、「死んでいる」と言われるのも仕方がないのかも。

ダメもとで実験。水を入れたボウルの中へ。

 

子どもたちは工作の合間に松ぼっくりの様子を見に行っては、「あー、すごい、形が変わっていってる!!」と大騒ぎしていました。

思った以上の展開に、わたしもびっくり!!

 

2時間後の姿はこちら……↓

表面は松ぼっくりというよりパイナップルのよう。

まったく別の植物のように変形。

サイズは3分の1ほどに縮こまったように見えます。

小1のAくんは、数分おきに松ぼっくりの変化を見に行って、「うわぁー!アルマジロみたい」と喜んでいました。

後でお母さんからうかがったところによると、最近、Aくんは大きな松ぼっくりを見つけて家に持って帰るという経験をしたところなのだそうです。

その経験そのものは日常のちょっとした出来事だったのでしょうが、そんなささやかな経験のひとつが、次に別の形で出会った時の強い好奇心の引き金となるんだな、と感じました。

 

少し前にブログでHEPでやっている『もうどく展』の紹介をしたところ、さっそく見てきたという子が何人かいました。

『もうどく』展を見てきた子たちと、植物も生き物も他の動物に食べられないように、自然の知恵を使って必死で生きているだね、という話をしました。

『もうどく展』を見てきたという子たちは、このだいおう松の松ぼっくりの変化に対して、「松の針のチクチク攻撃で他の動物が近づかないように自分の体を守ったり、

水がきても種が大丈夫なように変形したりして、すごいなー」とより深く感動していました。