フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

1月23日(火) 晴れ

2007-01-24 12:59:47 | Weblog
  午前中から大学へ。11時半から社会学の教室会議(たかはしの二重弁当を食べながら)。生協文学部店で秋山駿『私小説という人生』(新潮社)を購入。最初に田山花袋の『蒲団』が取り上げられていて、その書き出しのうまさが賞賛されている。「事件に富み面白さを追う読物小説でも、これだけ鮮やかな書き出しを持っている作品は、めったにあるまい」と書いてある。『蒲団』を小馬鹿にする論者が多い中、秋山は私とまったく同じ考えのようである。賛同者を得て心強い。午後2時半に編集者のKさん来室。基礎演習のガイドブックの校正原稿(三校)をその場でチェックし、校了とする。午後3時から文化構想学部の論系運営準備委員長懇談会。まだまだいろいろと決めなくてはならないことがある。午後5時半から現代人間論系運営準備委員会。科目の英語表記を決める。今日は小規模な会議ばかりで、息が抜けず、首が凝った。安藤先生と五郎八で食事。私は力うどん、安藤先生は鴨南蛮うどん。寒いときは蕎麦よりもうどんの方が体が温まる。
  帰りの電車の中で佐伯啓思『20世紀とは何だったのか』(PHP新書)を読む。蒲田について、切りのいいところまで読みたかったので、マクドナルドで30分ほど続きを読む。
  帰宅すると石神井書店から注文してあった南博責任編集『近代庶民生活誌』全20巻(三一書房)が届いていた。代金(前払い)は16万8千円で、まだ始まったばかりだが、今年で一番大きい金額の買い物である。

          

  TVのニュースで関西テレビの今回の『発掘!あるある大事典Ⅱ』の不祥事での処分が伝えられたが、処分内容もさりながら(社長は減俸処分のみ)、記者会見なしというのが評判が悪いようだ。自社の製品(番組)の品質管理ができない企業(TV局)が、他社(不二家)の製品(洋菓子)の品質管理問題を問えるのかいうことである。ことはTV局だけに限らない。新聞社や出版社も含めて、一つの権力機構としてのメディアは、自分自身へ向ける監視や批判のまなざしが弱い(甘い)という問題は、以前から何か不祥事が起こるたびに指摘されてきたことである。もし今後、関西テレビの今回の処分に対する世間の不満が高まれば、処分の変更(最終的には社長の辞任)がなされるだろう。世論は自然に生じるものではなく、メディアによって誘導されるものであることを考えると、メディアが世論から復讐されるかっこうになる。像使いが像に踏み潰されるのだ。