画像はPaul Smith x John Lobbの一足。おもに屋内で履き倒しているのはよいのですが、ヒールやトゥはすでにキズだらけ。ワックスの厚塗りを施してある関係で、実は本体にはほとんどダメージがないのは幸いか。
が、ここへきてマイブームは皮本来の質感を生かした、マットな仕上げ。
先日、ジョンロブ2010をマットに仕上げたところが異様な迫力を帯びるようになって、革そのものの質感を味わえるようになったのが非常に新鮮で、この一足も、と考えて仕上げてみますた。ツヤはあくまでもオマケ。出たら出たで仕方ないか、くらいな扱い。
思い起こせば、この道にはいったのは小学校4年の秋(爆)。誕生日に母が買ってくれたブラックの革のローファーを、赤い靴墨で磨き上げて、その色調の変化を喜んでいた、というからタダモノではない(実話です)。
しばらくは、というかごく最近まで靴は光らせてなんぼ、という観念に取り憑かれていたのですが、一連のベルルッティやジョンロブの「作品」が使っているレベルを体験するにつけ、素材本来のツヤ、のようなことに目覚めたのは大きな財産というものです。
一足ごとに違う革の質はいかんともしがたいのですが、こうなるとお手入れするに足る一足を、というわけで、また買いたくなっちゃうんだよな~(真鴨)。
画像は、とことんマットに仕上げたつもりが、結局ツヤが出ちゃった、の図。でも、このモデルのミュージアムカーフは、各パーツごとに革の質感が違うせいで、ぜんたいの統一感には欠ける。
たとえツヤが出ても、印象はバラバラな感じで、上級グレードにある凄みのようなものは皆無。せっかくのジョンロブとしてはまことに惜しい。国産でゆくと4万円弱くらいのレベルでしかない。
パーツの寄せ集め、という感じ。クヤシかったら、カネだしな、とまことに非情な世界ですが、いたしかたない。
階級社会の産物である、と認識する瞬間です。パープルに染めたミュージアムカーフはたしかに空前絶後で、そこはよいのですが、こういうのはやはり、満足度からゆくと、対価格比で、高い買い物だったということになるんすよね~。
あ、もちろんジョンロブ限定でのお話です。他の靴で、こんなゼータクいってたらぶっとばされる、って(爆)。
クルマと違って、置き場所には困らないからいいんですが、こうなりゃMTOでプレステージラインか、ということになって、どんどんハマる、仕掛けになっている。
誰かに見せびらかすものではない、あくまでも自己満の世界なだけに重要なポイント。今後のクツ選びに役立てるといたしましょう(まだ買うのかい)。
第2次大戦の立役者とされたロシアのスパイが、死の床についたところで、ハタと起き上がり、ジョンロブに注文を入れまくったそうな。
出来上がりまでに、自分は死んでしまうのは明白ながら、死にゆく今もジョンロブで自分の靴が作られているのだと思いたかったのだ、という伝説がまことしやかに語り継がれておりますが、なーんか、そのキモチ、わかる気がする(こちらも別の意味でビョーキですな)。