King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

『パレスチナ -聖地の紛争』新書 読了

2011年07月12日 09時17分41秒 | 読書

『パレスチナ』を読んだのは、ここのところのオバマ発言や震災で宗教問題を
考えているとどうしてもキリスト教の聖地とその舞台となった地が気になります。

聖書を読むとユダヤ人は兄弟をエジプト人にだまして売り渡し、後に大飢饉でエジプトのその
奴隷の兄弟を頼ってエジプトで奴隷生活をし、モーゼに導かれてエジプトを脱出し、神に約束の
地を与えられて移るも、結局他国に滅ばされると言う歴史が語られています。

ひどい事に、神に約束された地には既に他の民族が暮らしているのですが、神に言われて
それに戦いを挑んで奪い取るのです。

こう書いて見てもとても理解できる歴史ではありません。

人の土地を侵略せよと言う神がいるものなのでしょうか。

しかし、今ないはずのユダヤ人の国がいつの間にかその元の位置にあるのです。

1946年イスラエルの建国がされました。

聖書の舞台のエルサレムは、キリスト教の聖地であり、ユダヤの人たちにも、パレスチナの
人たちにも聖地であると言う重要な土地です。

この本を読むとその歴史と複雑な政治的確執をしる機会を得る事になります。

ただ、後半はやったやりかえしたの繰り返しをずっと読まされることになります。

いったいいつからやられたらやり返していいとなったのでしょうか。

もしハムラビ法典の古い法律が今も生きているとしたら、それは考えなおして
みる必要があるのではないでしょうか。

最近のオバマ氏の発言により大転換を迎えたかのような気がしましたが、
イスラエルを止める決議に一人アメリカだけ拒否権を発動したり、擁護する
立場に変わりなく、平和への足がかりになるはずだったクリントンがキャンプデービット
でやった会議の内容に戻っただけでした。

ブッシュ大統領の同時多発テロに対して愛国者法を成立させ、アルカイダを
名指しして戦争を始めましたが、イスラエルもそれに呼応するかのように
テロに対しては戦っていいとばかりにパレスチナ領内への軍事行動を加速
させました。

ブッシュ後もその過激な軍事行動と侵攻がつづいていたのをアメリカもついに
止めにかかっただけだった事を再確認させてくれました。

もともとイギリスが暫定統治からイスラエル、パレスチナを生むとされていた
のが、パレスチナを含むイスラエルと言う建国を許してしまったイギリス、アメリカ
ですが、それがなぜなのかはやはり解りません。

大国の理不尽さは今までも明らかですが、先日のアメリカのケネディ家の
ドキュメントを見て思ったのは、勝手に人の土地を奪い、世界一の大国に
なったわけですが、その歴史を見るとひどいとだけ言い切れない物を感じ
ました。

奴隷を解放し、公民権を認め、今では黒人の大統領もいる。

かつてはインディアンに施しを受けていたが、今では世界一のGDPを誇り
軍事力でも経済力でも世界一であり、唯一の大国として今もその経済は
拡大を続けるなど、多くの失敗をしていても世界一の豊かさはかわりなく
日本のようにバブル後ずっと低迷を続けると言う国とは違います。

公民権を認めた大統領が衆人環視の前で撃たれてしまうような国ですが、
それでも黒人や民族の差別が少なくなる方向で来ていますし、医療保険も
国民皆保険に向けて動き出しています。

債務国でありますが、経済の拡大は続いています。

リーマンショック後でもGDPの拡大で世界一のままです。

中国の成長で、その座もいつまでと言う予測もありますが、かつてポンドから
ドルに変わったような世代交代はそれを演出する出来事が必要でしょう。

しかし、それを世界が望むかと言う時代の要請もない限り今のアメリカの
覇権は先進国が支え、新興国も支えという風になるのではないでしょうか。

つまりは誰もアメリカのように振舞うのは躊躇しだすか、技術革新で
一機に世界地図が塗り変わるようなこともあるかもしれません。

そんな時代なのに時代の亡霊のようなイスラエルとその紛争がいつまで
続くのか、世界はこんな問題も解決できないと言う無力さを感じます。
コメント
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