King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

戦争論により知る安全保障

2019年08月29日 23時56分34秒 | 珈琲

毎年この時期に戦争関連の番組が増えるのは仕方のないこととしてもこの

100分DE名著にも『戦争論』というのはあまりに露骨なという感じを受けました。

ですから見るのもずっあとになってビデオをみたのですが、その一回目が実に

衝撃的でした。まず戦争というのものが狩猟採集時代の争いから貴族の戦争、民主主義の

戦争と分けて語られ特に近代の一般市民層が現れ、それが18世紀の武器で殺し合い、

大量破壊と民衆の存在確認と合わさり拡大したという点と、核兵器によりその大量殺戮が

出来なくなりどうなったかという考察はまさに現代のテロとの戦いにみられることであり、

戦争が日常化潜在化したという未来をこの本の中で見事に予見していたのだという感に

とらわれました。

 

それにこの貴族の戦争から国民の戦争というあたりで日本人はまた考えねばなりません。

 

というのは世界最大の軍艦を持ち所ジョージの言うところでは世界一の性能の歩兵銃を備えた

国なのになぜ日本は敗戦を迎えたのかという単純な問いにここのところのNHKの特集では2.26事件

や5.15事件といった事件で日本は国の総理大臣を失っており、そういったテロにより軍部に

物を言える人はいなくなった中軍人の総理大臣が立ち戦争に突き進んだということと、ガダルカナル

では陸軍と海軍がバラバラでなおかつ通信設備や情報共有という意識も乏しくとても統一された思想の

元の戦いではなかったという感じになります。なお無謀の戦端の拡大など戦術そのものが高度に意図

されたものでなく、各々の名誉や神国という無意味な自分たちこそが正しいと信じる思想などまったく

持つべきものを正しく使えていない戦略とか幼稚な考えとそもそもの戦う意味が何だったのかの差が

もたらしたのかというイメージになります。

 

米国がそもそも自由のための戦いであり、ひとりひとりの兵士がヒーローですが、日本は臣民であり天皇陛下の

ために死を賭して戦うと云う皇民の戦いなのです。これは兵器にもその思想が現れていて世界一の戦艦大和最速で

46センチ砲という世界最大の砲台を持つ世界一美しい兵器もすでに空母などの機動戦の時代に戦艦戦は古く、

日本は静音性や航続距離でも世界一の潜水艦もあり、空母や戦闘機乗りの着艦能力などやはり武力だけでは

負けるとは考え難く、最初の真珠湾攻撃にしろ最初に石油確保の道を築いてから世界戦に拡大したのでも

よかったのではという戦略のなさが一番浮かぶのです。

 

神風攻撃や桜花や天海など人命軽視の作戦がなんのために戦ったのかという根本思想まで理解できないところに

この戦争論は明確な答えを示したように感じたのです。

 

つまり戦争とは産業革命により爆発的に増えた工業力と生産能力により一般市民という階層の出現と資本主義という

社会が大量消費を必要とする体質であり、戦争がそれにマッチして工業力と戦争による大量破壊がマッチして経済成長と

戦争は辞めることができないものとなったのです。

 

ここで重要なのは権力や政治に利用されない知恵であり、本能や名誉で武力に走ることなく、平和を築く努力が

必要となります。それは相互理解と相手の尊重なのですが、相手が愚かなところとか野蛮な思考に捉われていると

同じ価値観が保てなくなり、武力による解決に頼るという選択をしてしまうこともありえます。

 

つまり全部の人が平和と文化的に暮らしたいと常に思っているわけではないことと時に愚かな考えにあり、それが正しいと

譲らないで人の尊厳や共通の認識である基本的人権を侵してしまうときに有効に正当な状況にするには武力に頼るのが

簡単で野蛮で愚かだと言い訳するのも簡単です。

 

しかし、核兵器の登場でその大量破壊も人類終了という事で今までのような世界戦は出来ないことになり、それでも

戦争をしたい向き(戦争による大量破壊が必要な向き)は戦争をする道を探ります。それは極東の赤化阻止という事で

実現します。朝鮮戦争以降弱い物や反撃できないところに限って軍事介入するという戦争手法に変わり、それがテロ

との戦いという常時戦闘社会に変わってしまいました。常に国境も人種も関係なく、やられたからやり返すという

潜在的な不満分子と宗教原理主義者などのテロ主導国家の出現で戦場も国もなくどこでも戦闘が起きるようになった

のです。

 

このテロとの戦争を予見したことでこの戦争論は秀逸でさらなる変化も予想される国という概念もなくなる近未来では戦争はどういう

形をとるのかという事を考えるとまずどうしたらこのテロとの戦いもその後の戦いも止められるのかということに

我々は考えて行かなくてはなりません。

 

 

 

 

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