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★★★★★
荷物が多くて、バッグにハードカバーが入らなかったので、代わりに文庫本。
再々読。
江國さんの本では『ウエハースの椅子』がいちばん好きなのだけど、
二番目に好きなのがこの『ホリー・ガーデン』。
幼い頃からの友だち、果歩と静枝の日常を描いた物語。
ドラマチックな展開があるわけでもなく、
淡々とちいさなできごとのつみ重ねが描かれているだけなのだけど、
読むといつも、「静かで明るい孤独」ということをイメージする。
心配したり、嫉妬したり、劣等感を抱いたり、傷つけたり。
ふたりの関係の複雑さには、奇妙なリアリティもあります。
そして小道具の使い方が素敵。
食べ物や食器、アクセサリーなど、ディティールにまで美意識を感じさせて、
それだけのためにでももう一度読みたいという気にさせる。