ミシェル・マンゴリアン作/小山尚子訳『イングリッシュローズの庭で』
(徳間書店)
★★★★☆
第二次大戦中、姉のダイアナとともに海辺の町へ疎開してきた少女ローズ。
優等生で美しい姉へのコンプレックスに悩まされていた彼女が、
〈狂人〉ヒルダの日記や新たな友人との出会いを通して、恋を知り、
世界を知っていく様子が生き生きと描かれます。
子どもの頃に読んだ『若草物語』や『あしながおじさん』を思い出させる、
なつかしい感じのする児童文学でした。
キリスト教世界だけではなく、日本でも婚前交渉を忌む風潮というのはあって、
その反動なのか、さまざまな面で性に対する奔放さが持ち上げられる昨今。
「とにかく、いけないのだ」と教え込むことにも効用はあるのだろうなあと
思いました。
というよりは、そんなふうに洗脳するしかすべはないのかも。
「愛してる」を免罪符にしがちだけど、
年若い女の子に「愛」の真偽は見抜けないし、
そもそも十代で他人に対する「愛」が成立するかどうかも疑わしいので。
(失敗しないとわからない、という考え方もあるでしょうが)
そして当時徹底的に非難されていた未婚での出産。
タブーを犯すことの最大の代償は世間との衝突だということが、
しっかり描かれていて好ましく感じられました。
(徳間書店)
★★★★☆
第二次大戦中、姉のダイアナとともに海辺の町へ疎開してきた少女ローズ。
優等生で美しい姉へのコンプレックスに悩まされていた彼女が、
〈狂人〉ヒルダの日記や新たな友人との出会いを通して、恋を知り、
世界を知っていく様子が生き生きと描かれます。
子どもの頃に読んだ『若草物語』や『あしながおじさん』を思い出させる、
なつかしい感じのする児童文学でした。
キリスト教世界だけではなく、日本でも婚前交渉を忌む風潮というのはあって、
その反動なのか、さまざまな面で性に対する奔放さが持ち上げられる昨今。
「とにかく、いけないのだ」と教え込むことにも効用はあるのだろうなあと
思いました。
というよりは、そんなふうに洗脳するしかすべはないのかも。
「愛してる」を免罪符にしがちだけど、
年若い女の子に「愛」の真偽は見抜けないし、
そもそも十代で他人に対する「愛」が成立するかどうかも疑わしいので。
(失敗しないとわからない、という考え方もあるでしょうが)
そして当時徹底的に非難されていた未婚での出産。
タブーを犯すことの最大の代償は世間との衝突だということが、
しっかり描かれていて好ましく感じられました。