金木犀、薔薇、白木蓮

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84:高橋英夫 『友情の文学誌』

2007-07-04 21:40:34 | 07 本の感想
高橋英夫『友情の文学誌』(岩波書店)
★★★★★

正岡子規と夏目漱石、森鴎外と賀古鶴所、
武者小路実篤と志賀直哉、芥川龍之介の周辺……
師弟という縦の関係、同年代間の友情という横の関係を中心に、
西欧思想もからめながら文学史上の「友情」について語る一冊。

おもしろい!
わたしの好きな森鴎外と、個人的№1イケメン文豪・志賀直哉に
スポットライトをあてているというのもあるのだけれど、
書簡や日記を引用したそれぞれの世代・主義の「友情」が
バラエティに富んでおもしろく、飽きさせない。
鴎外を褒める漱石にヤキモチを焼く子規、
子どものころの鴎外について語る鶴所……
同性愛的な友情になにやらトキメキをおぼえてしまい、
ボーイズラブを愛する世の女性たちの気持ちが
初めてわかった気がしました

そして反自然主義で結託して四誌が合同しようとしたり、
武者小路と志賀が鴎外を気に入らないためにそれに抵抗したり、
この人たち、なんだか熱いよ~!
大学時代、安保闘争のノリで熱弁を振るう一部の人々を、
「こういう人たちってまだいたんだね」
「なんかうらやましいなあ」
とまるで時代の遺物を発見したかのように友だちと話していたのを
思い出したり。
「最近の若い人たちは本当に政治に無関心だ!」
と職場の大御所たちが嘆くそのすぐ隣でぼんやりしている
すべてに無関心な若者代表のわたしなのでした。
コメント
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