金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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19:瀧羽麻子 『左京区恋月橋渡ル』

2017-01-24 19:02:51 | 17 本の感想
瀧羽麻子『左京区恋月橋渡ル』(小学館)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

毎朝六時半のラジオ体操にはじまり、
「いただきます」の声を合図にほかほかの朝食が食堂のテーブルに並ぶ。
京都市左京区の学生寮で四年間なじんだ生活は、
山根が大学院生になった春からもつづいている。
ウマがあう生物学科の安藤や数学科の龍彦らと同様、
工業化学科の山根もまた趣味と研究を偏愛しすぎる毎日で、
当然、異性のことなんて頭の片隅にもなかったのだが―。
葵祭や五山送り火、京都ならではの風物を背景に、
不器用な理系男子のみずみずしい初恋のときめきを、
あたたかく包みこむ純情恋愛長編小説。

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初めての作家さん。
ダニと野菜の口論のところでは笑ったし、
『ローマの休日』っぽいラストの読後感も悪くないんだけど……
どうも引っかかるのは、ヒロイン。

ヒロインに一目惚れをして、初めてのデートに奮闘する山根くんの、
本当にみっともないくらいにダメなところに胸を打たれる。
彼の先走りすぎた申し出も、いかにも恋愛慣れしていない男の子といった感じ。
学校が舞台だったらヒロインとその婚約者がスクールカースト上位で、
山根くんは下位。
最初から独り相撲感が漂っていて、いたたまれない。

作者が意図しているのかどうかわからないけども、
現実だったら間違いなく、ヒロインたちは、裏で山根くんを嘲笑してる。
本当に性格がよかったとしても、彼に恋愛感情を抱かれていることに
無自覚ではいられないだろうし、それであの対応はどうなの。
なんだかきれいなラストになっていたけれども、
ヒロインやその婚約者の善意も、単純に良いものとして受け取れないのであった。

ただ、もやっとはするものの嫌いじゃないので、姉妹編も読んでみる。


コメント
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