金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
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145:櫻井陽子ほか 『平家公達草紙』

2019-09-13 21:20:07 | 19 本の感想
櫻井陽子・鈴木裕子・渡邉裕美子『平家公達草紙: 『平家物語』読者が創った美しき貴公子たちの物語』(笠間書院)

【Amazonの内容紹介】

『平家物語』に満足できないなら
自分たちで書けばいいじゃない?

『平家物語』の登場人物を借り、鎌倉時代の読者が創った
美しき御曹司たちが織りなす逸話集『平家公達草紙』。
公達への夢と憧れの詰まった、二次創作の元祖!
全話の内容をストーリー仕立てでわかりやすく紹介!
現存する三系統の影印・翻刻・注・現代語訳を掲載!
本文の読解を助ける補注とコラムを豊富に収録。
資料編には系図・書誌・人名一覧・人名索引を収録。
『平家公達草紙』の下地『安元御賀記』翻刻を初紹介。

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全部は精読していないので好み度★はなし。

書店で見つけたもの。
「鎌倉時代の二次創作」という説明に惹かれて。
こんな物語があったとは知らなかった。

京に住む女性たちにとって、「平家物語」の中で
最も興味を惹かれたのは合戦の場面ではなく
自分たちにとってなじみのある今日でのエピソード、
というのには納得。
そりゃあ、坂東武者より平家の公達のほうにときめくよね。

「建礼門院右京大夫集」でときめく
→「平家物語」を読む
→萌えが足りない! 二次創作したろ!
になるのもわかる。

大部分は原典の写真・翻刻・注・現代語訳・絵巻の写真で
構成されていて、
門外漢が気軽に読めるページはほんのわずかなので、要注意。
古典としてがっつり知りたい! という人にはおすすめ。

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144:田辺聖子 『おちくぼ姫』

2019-09-13 21:02:23 | 19 本の感想
田辺聖子『おちくぼ姫』(角川文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

貴族のお姫さまではあっても、意地悪い継母に育てられ、
召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられ、
床が一段低く落ちくぼんだ部屋に
ひとりぼっちで暮らしている姫君―
といえば“シンデレラ姫”を思い浮かべることでしょう。
姫君と青年貴公子のラブ・ストーリーでもある
「おちくぼ姫」は千年も昔に書かれた
王朝版「シンデレラ物語」です。
若い読者のために現代語訳された、
とびきり面白い物語を楽しんで下さい。

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装丁がすごく可愛い。

原作にある下品な要素も含みつつ、
原作の兵部の少輔の扱いのような
「ちょっと、それは倫理的にどうなの?」
という部分に関しては作者独自のアレンジも加え、
エンタメに昇華している。
継母たちに復讐しながらも、最後は許して
ハッピーで終わっているところがいいよね。

前書きと後書きの書き方からすると、
読者層としては中高生あたりを想定しているのかな。
当時の風俗についてもさりげなく説明がされているし、
短くまとまっているので古典入門としておすすめ。

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