今村夏子『星の子』
★★★☆☆3.5
【Amazonの内容紹介】
林ちひろは中学3年生。
病弱だった娘を救いたい一心で、
両親は「あやしい宗教」にのめり込み、
その信仰が家族の形をゆがめていく。
野間文芸新人賞を受賞し本屋大賞にもノミネートされた、
芥川賞作家のもうひとつの代表作。《巻末対談・小川洋子》
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映画になっていたのか。
まったく知らなかった。
なんとも不思議な読み心地の本。
病弱だった自分の健康を祈るあまりに、
両親が宗教にのめり込み、幼かったがゆえに
そんな両親や自分を取り巻く環境に反発することもなく
受け入れて育った宗教二世の物語。
宗教の家の子だということで、友達ができなかったり、
いじめのようなものも経験したりしたのだけれども、
それなりに世渡りの術を身に着けて、
周囲に同化はできないものの、
中学生の社会に適応する主人公。
ラストは解釈がかなり分かれそうだけども、
両親によって心中させられるのかな。
風呂に入れないことをまったく気にしていない両親 、
そしてはっきりは書かれないものの、
経済状況がかなり逼迫していそうな一家。
陰惨なところがないのに、ハラハラしながら読んだ。
主人公が憧れていた教師が、最悪!
傷つけてもよい対象として主人公が設定され、
ひどいことを言われる場面に胸が締めつけられる。
若くて人気がある男性教師がこういうことするの、
すんなり「あるある」と思ってしまうの、
なぜだろう。
実際、自分の身近なところにいたか? と言われると
いないのに、「やりそう」って思っちゃう。