自分が当直で不在の夜に、深夜になっていきなり家のドアをドンドンドンと叩き、チャイムをピンポンピンポン鳴らされたと言う。ドアの外から「おい! 早く開けろ!」と怒鳴り声が聞こえるというのだ。確かに深夜のこのような有機物体は、怪奇的な幽霊よりもはるかに物理的恐怖をおぼえる。幽霊のほうが危害を加えないのでまだましである。嫁が恐る恐るドアフォンで確認すると階上の住居のご主人だったようだ。どうやら深夜に帰宅してエレベータのボタンを押し間違えて降りたらしい。ほぼレイアウトの似たような廊下なので自分の家の玄関と間違えたのである。酒に酔っていたとはいえ、このご主人相当バツが悪かったであろう。でも酔っていてあまり記憶になければバツが悪いも何もあったものではないが・・・。