血圧の高い患者さんに対し最初に薬を処方する時、時々「血圧の薬は一度はじめたら二度とやめられないのでしょう? だからなるべく薬はのみたくないのですが」といわれることがある。これには返答に窮する。高血圧とは肥満や塩分過剰摂取や内分泌疾患などでおこることもあるが、原因の多くは加齢に伴う動脈硬化でもある。動脈硬化が原因なら確かに薬を止めればまた血圧は上昇するだろう。しかしどうも患者さんの疑問は少し観点が違うようだ。どうも「一度飲みはじめて途中でやめると何か重大な副作用が起こる→だから最初から飲まないほうがよい」とお考えのようである。本当は「今、血圧を下げないと重大な合併症がおこりうる→だから今から内服を開始したほうがよい」のである。けっしてやめるやめないを理由にして処方を決めているのではなく、今、血圧を下げることが必要だからお出しするのである。どうもえらい誤解のようである。