今でいう外傷初療の常識では、「四肢、体幹に食い込んでいる歯車はそのまま抜かずに、周りの機械を分解して歯車が食い込んだまま傷病者を救出する」のが正しい。そしてその分解は消防やレスキューなどの専門家にまかせて、医療従事者は近寄らないというのが鉄則である。これは二次災害をおこして傷病者が増えてしまうことを予防するためである。これは安全管理の鉄則である。そりゃそうだろう、傷病者が増えたら次の救助者の負担が倍増することになる。ところが、「モーゼの十戒」で海上に道ができたように、突如人垣の間にサーッと道ができたなら、自分が夢遊病者のようにそこを進んで地上4mの足場に向かったのもやむをえない。でも何で現場に消防やら警察がいなかったのかな? もしいたなら「若造は引っ込んでいなさい」と諌められたかも知れない。そうすれば自分は「夢遊病者」にならなくてもすんだのであろう。あぁ今、考えたらぞっとしてきた。