急にこれら症状が出現した場合は脳梗塞を疑うのである。今でこそ脳卒中緊急プログラムが広く各病院に普及しており、診断と治療が早ければ、早期の脳梗塞(正確には脳血栓)は麻痺なく回復することが可能になったのである。ただし数時間遅れればもう血栓溶解の適応はなくなるので発症したなら時間との勝負である。前述の症状が出現したらすぐに救急車をよびなさいというのが今の病院前救護の常識になっている。いろいろな応急手当の講習でも盛んにそうするよう教えられている。しかしながら施行率はそれほど高くはなく、また数分以内に救急車を呼ぶといってもどうしてもためらいのあるところである。家族の中には「まあ、明日の朝まで様子見て症状があるなら救急車でも呼びましょうか」ということになる。患者さん本人も「このくらいで救急車などよぶな、大げさでみっともない」と家人に救急車を呼ばせない場合もある。