特に自分の中学では逸材が入部するということはなく、普通の近所の生徒ばかりである。それが(自分の学年ではないが)都大会で優勝するまでになるのであるから、いい悪いは別にして、これは指導法によるものとしか言いようがないのであろう。確かに練習中のゲンコツやらビンタやらは当たり前だった。しかし当時は誰も文句を言う教師も父兄もいない時代であった。確かに自分のような生意気な生徒などは口で言っても言うことなど聞きはしない。「あ あの教師は怖いぞ、おとなしくしよう、言うことをきこう」と分けも分からず体罰逃れのためのいい子になっていたのである。自分はチームでは準レギュラーだった。試合も毎回出ていたというわけではない。練習中もレギュラー陣が受けているビンタを横目で見ていたのである。確かに自分は殴られる機会は多くはなかったので痛くは無かった。もちろん殴られるのはいやだったがレギュラー連中と痛みを共有する一体感もなく少し寂しい思いをしたのも事実である。