このような患者さんがいた。外来に来るなり怒っているのだ。お話を伺うと「あの薬局はジェネリックとかいう古い薬をだしている。けしからん。あそこにはもう行かない」と・・・。どこでそのような誤解をされたかは知らないが、ジェネリック医薬品が期限切れ間近の古い薬であるというのは明らかな誤解である。十分に説明申し上げたのであるが、最後まで怒りのやり場がないようであった。帰られたあとにハッと気がついた。患者さんが不快に思ったり不満に思ったときにその感情は往々にして現場ではなく、帰られた後、つまりそこから離れた場所や施設で、しかも後から発せられることである。従って当事者である自分は気がついていないことも多い。誤解であってもなくても患者さんの不満が外部で発せられたら当事者は打つすべがないのである。外来診察の最後に「何か分からないことや足りないものはありますか?」と聞くようにしているが忙しい時はおざなりに聞いているかもしれない。もって我が身を律する必要がある。