最近、Dという降圧薬の「脳血管障害を抑制する」という効能に捏造があったと報道された。嫌な予感がした。うちでもこの薬を出している。不安だったがやはり誤解された患者さんがおられた。患者さんは「Dという血圧の薬はとんでもない。高血圧に効かない薬なんていらない」とお怒りになられていた。「脳卒中を予防する」という効能は捏造だが、「血圧を下げる」という効能はきちんとあるのである。この患者さんは特に脳血管障害をお持ちでもなく降圧効果がきちんと得られているので、この薬の内服には問題はない。まあしかしデータの一部に捏造があったということで主たる降圧効果も患者さんは疑われているようであった。この患者さんの血圧は内服によって実際安定している。現状は効能を示しているのでこのままでよいのであるが、患者さんの気持ちとしては自分が内服している薬ということで一度いやになったらいやなのであろう。お気持ちは理解できる。「ちゃんと効いているのでわざわざ他の薬に変える必要はないですよ。薬を換えるとしばらくは血圧の変動があって微調整が必要になるので面倒だと思いますが」と説明申し上げた。