今でも当時のバレー部の同級生の2人がうちに通院している。時々のみにも行く。「そろそろ監督にも会ってみたいな」といったら、「あいつなんか二度と顔も見たくない」と一番殴られたI 君がいっていた。I君は、中学2年の冬に雪のふる校庭で、ついに監督と取っ組み合いをした。二人とも泥だらけになった。日頃の鬱憤晴らしの大ゲンカだった。きっかけは忘れたがとにかくド派手な殴り合いだった。中学時代、あの怖い監督に応戦して「手出し」ができるのは驚異であった。I君はすごいなと思ったが、その後はなんら問題もなく、通常の毎日が過ぎていった。これがいいのか悪いのかではなく、このような時代だったのである。I君のような行動は特殊である。ほとんどありえない。その他の生徒のほとんどは理不尽な体罰に毎日おびえながら部活をしていたのである。でも不思議なもので自分の一番楽しかった学生生活は間違いなくこの中学時代だったのである。体罰という暴力によって管理されてはいたが大人と子供の狭間であり、果たすべき義務もなく、無責任に毎日が送れたということが楽しかったのであろう。