例えば、下町の工場でわずか数十分の1mm単位での金属加工を、寸分たがわずに目で見てやってのける職人さんもたくさんいると聞く。あるいは金属の丸い打ちだし加工をハンマー一つでドーム状にアールをつける人もいるとか。そしてそれが衛星ロケットの先端に使われているとなると、もはやこれは日本が世界に誇る技術者なのだと信じて疑わない。これら人たちに「叙勲」や「褒章」をと考えるのも早計であろうが、何らかのその卓越した技術に対して正当な評価を公的にしてあげてもいいのではないかと考えるのである。特にモノづくりの分野では農業、工業問わず後継者不足ときく。高度成長期を支えた日本のモノづくりの伝統が衰退していくのかと思うと寂しい気がする。海外で「日本の製品は質がよく壊れない」というプライドは今後も日本のアイデンティティーにし続けたいのであるが。