今の研修医よりもはるかに病院内に拘束されたので確かに辛かったが仕事がおもしろかったので苦ではなかった。当然、一晩中はたらいて1~2時間仮眠して翌日また朝から通常業務に突入した。今の研修医は当直した翌日は帰宅させられるらしい。おそらく今の時代の研修医は肉体的にはさほど辛くはなかろう。しかし腕を磨く機会も減っていることをみると果たしてどちらがいいのか分からない。当時自分がいた病院や自分の直属の上司にもよるのであろうが、特に救急関係ではエキセントリックな上司が多かった。某病院に派遣された時のある上司などはほとんど家には帰らず重症な患者の横にずっといて治療していた。「ずっと」という言葉はほぼ年間300日くらいである。しかしかれの救命成績はトップであった。実績があるのでこちらも文句が言えない。彼の仕事のきつさは今の時代で「仕事が激務」などと評価される程度のものではなかった。まるで修験僧のようだった。<o:p></o:p>