ビル・クリントンが米国大統領の頃、「米国に着陸する飛行機にAEDに積載していないと着陸は許可しない」と発表した。確か西暦2000年の頃であった。あの「黒船到来」から14~15年が経過している。つまり一般市民が行う心肺蘇生の重要性が強調され、日本でもその後どんどん心肺蘇生講習が行われるようになっているにも関わらず、いまだにこんな現場での局外者の対応なのである。心肺蘇生が1分遅れれば7~10%ずつ救命率が低下すると当時から言われていた。つまり単純計算なので概算であるが、何もしなければ10分で70~100%の人が亡くなるのである。確かに外傷による心肺停止では救命率は特に低く、またAEDの適応はないことも多いので作動しない可能性が高い。しかしそれでも救命のために1分1秒を争う現場において、救命よりも傷病者のプライバシーを優先したその同伴者の言動は常識にかけるものであると考える。